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アサミ 第二十一話「死者」
作者:ひいらぎ 由衣   2012/05/23(水) 18:29公開   ID:LQ8Pd4ylDqI
何者かによって「雪桜旅館」の旦那の憲三と二年三組の志村礼二が殺された。

怪我人も蓬生修と栗山典子の二人で、その他にも慌てて旅館を飛び出して軽傷を負っている人も多数。

旅館の従業員も数名避難して、担任の風見智彦と共に生徒を探しに行っている従業員もいる。

先ほど、旅館にまだ残っている七瀬理央と福島美緒を助けようとした仲居の一人が殺された。

外は大荒れで強い雨が降っていて、そこに雷が轟いている。

高林郁夫は避難者の中に七瀬たち二人と榊原志恵留(シエル)がいない事に不安を感じている。

郁夫は戻ってこない数人の生徒を心配して、旅館に引き返す。

館内は重苦しく凍りついたような恐怖感に包まれ、いつどこで殺人犯が現れてもおかしくないような状態。

郁夫は玄関から入ってすぐにあるロビーを見渡し、誰もいない事を確認する。


「誰か!誰かいないのか!?」


静まり返ったロビーで、郁夫の叫び声が響き渡る。

すると向こう側からその叫び声から呼び出されたようにして、何かの人影がよろよろと郁夫の方に向かってくる。

まさか殺人犯が呼び出されてしまったのか、と郁夫は思ったのだがそれは違っていた。

こちらによろよろと腹部を抑えながら前屈みになってやって来るのは、クラスメイトの和田理沙。

顔と腹部の辺りが血まみれで、眼には涙さえも浮かんでいる。

和田はよろよろと郁夫の方に歩み寄ると、郁夫のほうにもたれかかるようにして立ち止まる。


「和田さん、どうしたの?いったいこれは……」

「た、助け……」


郁夫が和田の顔を覗こうとした時、和田はそう力のない声で言いかけるとずるずると滑るように倒れた。

郁夫は慌てて和田の体を揺さぶったり、呼吸も確かめたり、脈を測ったりした。けれど。


「和田さん……」


和田は死んでいたのだった。

和田の遺体をどうしようかと郁夫は悩むと、二階の方から聞き覚えのある女子の悲鳴が聞こえた。

ベランダの方から、郁夫は二階の方に行くよりも外に出てベランダの方を見上げた方が早そう。

郁夫は和田に「ごめんね」と最後の声をかけて和田から離れ、玄関から外に飛び出す。

玄関を出ると、二階の部屋のベランダから三つの人影が交差している。

髪型や背格好からして、郁夫にはそのうちの二人は七瀬と福島だと分かった。


「やめてっ」


七瀬が叫んでいるのだと郁夫はすぐに分かった。

誰だか分からないもう一人の人影≠ェ七瀬をベランダから突き落とそうとしている。

その人影に対して福島は何とか防ごうと腕を掴んでいる。

もう一つの人影は大きく右手を振り上げて轟いている雷の光で一瞬ピカッと光って右手のナイフがぎらりと光る。


「助けてっ!」


七瀬の人影はベランダから突き落とされそうになったのだが、間一髪でフェンスに両手が捕まって落ちずにはすまなかった。

しかし、七瀬はそのフェンスに捕まった両手を離してしまえば、地面に落ちてしまう。

その頃、人影は残った福島の方を始末しようと福島に襲いかかる。

福島はフェンスに腰を当てて、人影はそこから福島を七瀬もろとも突き落とそうとしている。


「いや!誰か助けて!」


襲う人影は福島の体にナイフを切りつけ、福島は激痛と避けようとした時の衝撃でフェンスを越えてベランダから転落した。

福島の体が覆いかぶさってフェンスに捕まっていた七瀬も同じように転落する。

福島が転落する瞬間、福島は人影の服を掴んで道連れにして人影もフェンスを越えて転落。


「何ていう……」


郁夫はあまりの衝撃に呆然とし、三人が落ちた植え込みの方に目を向ける。

すると、植え込みの向こうから殺人犯が姿を現したのだ。

血と泥で汚れ、元々の色が何だったのかも分からない服。

髪も露出した顔の皮膚も同様、一見しただけではほとんど相好の別もつかない。

ベランダから転落して、殺人犯の方は助かってあの二人は死んだのか。それとも殺されてしまったのか。

片足を引きずりながら、ずず……と、殺人犯は自力で歩いてやってくる。

そして、刃物を持って黒く汚れた顔のぎらりと見開かれた双眸があり、その目が郁夫を見た。

狂ったような目、正気を失った目で、教室で自ら心臓を一突きにして死んだ常本夏帆の目とは全く違う。

あの時の常本の目は虚ろで、何も映し出そうとしていないような、こんな凶暴な目ではなかった。

郁夫はそんな双眸に睨まれ、郁夫はこの場から逃げ出そうとしたのだが、足がくすんで動けない。

仮に動けたとしても、郁夫には全力疾走は心臓の負担で無理だ。

殺される前に病死してしまう恐れもある。


「来ないでよ……」


郁夫は後づ去りをすると、足がもつれあって後ろに転んでしまった。

そこから起き上がろうともせず、ただただ殺人犯がのろのろとやってくるのを怯えながら見ている。

もう逃げられないのだと悟るや否や、殺人犯は勢い良く郁夫に馬乗りをする。


「やめて……やめてよ……何でこんなことを」


かろうじて出た言葉がこれ、郁夫は弱々しい抵抗をする。

すると、殺人犯の狂ったような双眸から純粋な涙が一粒零れおちた。

その涙の雫は郁夫の頬にぴちゃんと落ちると、郁夫は殺人犯と目があった。

そこには狂ったような目ではなく、悲しみに浸る双眸がある。


「なんで……」


殺人犯の口からそんな言葉が飛び出した。


「なんで……娘が死んでアンタ達は生きているの=H」

「え?」

「優しい子だったのに……それなのに、アンタ達はのうのうと生きて……」


殺人犯は右手の血と泥で汚れてしまったナイフを振り上げ、大きく振り下そうとする。

郁夫は死の覚悟をすると「死にたくない」と叫んだ。

すると突然、横から出現した黒い影が殺人犯の右手を掴んでナイフを叩き落とす。

そして殺人犯の首にチョップを入れると、殺人犯はその場に倒れた。


「あ、恒一さん!?」


殺人犯の気を失わせたのは、志恵留の年の離れたいとこの人形作家でもある榊原恒一だった。

恒一の付近には勅使河原直哉と望月優矢の姿もあった。


「大丈夫かい?」

「あぁ、はい。けど、どうして恒一さんたちが……」

「風見から電話があったんだよ。さっき『大変な事になってるんだ』って、それで俺らは車で……」


勅使河原は腕組みをして辺りを見渡しながら言う。

門の前には二台の車があり、おそらく恒一と勅使河原の愛車だと思われる。

避難者の付近には美術教師の見崎鳴もいる。


「一応、赤沢も呼んだんだけど……パトカーと救急車がまだ来てないんだよな」

「他には誰か死人はいる?」


望月は目を細めながら降り続いている雨が目に入らないようにしている。


「はい。僕が知っている限り、和田さんと雪村さんが……」

「雪村?」

「旦那さんの方が=v

「じゃあ……」

「それが始まりで、その後蓬生くんが刺されて、栗山さんが……」

「全部この人が?」


恒一はそう言って再び殺人犯―――女将の雪村菊菜の顔に視線を投げかける。


「何でそんな……」


恒一は言いかげたのだが、自ら大きくかぶりを振る。

その瞬間、恒一の後ろで、立ち上がった郁夫の目の前で、大きな雷の音が轟いたと思うとピカッと光って視界が真っ白になった。

郁夫には一瞬、白い光が地面に直撃したように見えた。

郁夫はゆっくりと強く閉じた目を開くと、門の前で立っていた人物が地面に倒れる。

全身が黒く焼け焦げていて、しゅうしゅうと煙が出ているのが郁夫には見える。

全身が焦げてしまっているものの、形からして制服のズボンを穿いているので男子生徒。

郁夫の鼻には肉が焦げるような嫌な臭いがつんとついて、思わず指で鼻を塞ぐ。

付近にいた生徒と鳴でさえも、顔が青ざめて目を見開いている。

おそらく雷に打たれて死んだものだと推測されるが、誰が死んだのかは分からない。


「お、おい……岸本……」


そう言ったのは澄川陸、死んだのは岸本竜太郎だと思われる。

あまりの衝撃に、その場はパニックになって我先にとその場から走り去る。

その中に大怪我をしている蓬生と栗山の姿はなく、どうやら恒一か勅使河原の車の中で待機しているようだ。

郁夫も、その場から離れようとした時、郁夫のすぐ隣からこう呼びかけられた。


「ちょ、ちょっと……ヤバいんじゃない?」


郁夫が隣を見ると、そこにはベランダから転落した七瀬と福島がいる。

二人とも顔と着衣のジャージが泥で汚れていて、ジャージの袖とズボンは少し破れている。


「二人ともっ、無事だったんだね」

「うん、何とかね……けど、私達も早く逃げよう」


七瀬に勧められて郁夫もその場から立ち去ろうとしたのだが、郁夫の脳裡にこんな言葉がよぎる。

逃げるって、どこへ?

仮にここから離れたとしても、雷は鳴り続けている。

雷に直撃しなくとも、たとえば付近にある大木に直撃して倒れてきたら潰されてしまう。

他にも予想される死に方は山ほどある。

その時、郁夫はふと志恵留の事を思い出し、七瀬と福島が逃げた後にズボンのポケットから携帯電話を取り出す。

電話登録から「榊原志恵留」を選ぶと通話ボタンを押す。

聞こえてくる「接続試行中」の短い電子音、長い間それが繰り返された後。

音が呼び出し音に変わって、三度目のコールで相手が出た。


「高林くん?」


紛れもない志恵留の声、郁夫の携帯電話と志恵留スマートフォンがつながったのだ。


「良かった。つながった」

「高林くんは大丈夫?みんなも……」

「門の辺りまで逃げてきて。けど、全員は揃ってなくて、和田さんが殺されて……岸本くんが雷で。犯人は女将さんで」

「そう。私は大丈夫、さっき駆けつけてきてくれた赤沢さんに助けられて……こっちは志村くんと仲居の一人が殺されてるの」

「そうか。今どこに?」


志恵留の安否を確認すると、肝心な問題を聞いみた。


「裏庭に……食堂の裏だよ。倉庫みたいなのがあってね」

「怪我は?」

「女将さんの襲われた時に左の二の腕と腰の辺りを切りつけられたけど、出血はそんなにしてない。高林くんは?」

「八神くんに腹部を刺されて……けど、こっちも大丈夫」


郁夫はそう言いながら八神龍に刺された腹部を抑えながら裏庭の方に回ろうとする。


「あのね、今私ある人≠ニ一緒なの。それで……その人が大怪我してるみたいで」

「ある人=H」

「うん、女将さんの襲われた時に助けてもらって……腹部を刺されて、出血が酷いし、さっきの落雷で倉庫の壁に頭を打ちつけて……」


郁夫はその言葉を聞くと、眼の奥の違和感がこみ上げてきて、志恵留が一緒にいる人物が死者≠セと分かった。

しかし、志恵留の方はその人が死者≠セとは分かっていない様子。


「今からそっち、行くね」

「えっ」

「僕が……止めるから」

「ねぇ、それってまさか……」

「僕が止めるよ……だから」


郁夫はそこで言葉を止めると、通話終了ボタンを押したのだ。








郁夫は志恵留と死者≠フいる裏庭の方に急いだ。

門から西側の裏庭に回り込む道を抜けると、倉庫の前に志恵留が立っている。

二の腕の辺りの袖が破れてそこから血痕があり、着ている白のジャージは泥と血で汚れてしまっている。

白い陶器のような志恵留の肌も同様で、汚れてしまっていてその白さはない。

志恵留は郁夫に気付くと、郁夫の方を見る。


「高林くん……」

「榊原さんあの人≠ヘ?」

「あそこ」


志恵留はそう言って倉庫の郁夫たちから見て左側の外側の壁を指差す。

しかし、壁の隣には大きな塀があってその隙間は五メートルほどで倉庫が陰になっていて何も見えない。


「向こう側に最初はいたんだけど、落雷の衝撃で頭を打って……私は慌ててこっちに来たんだけど、その人はあそこからこっちに来ようとしてるの」

「そうなんだね」


郁夫は静かにそう言うと、扉が開かれた倉庫から斧を取り出す。

刃の部分は錆ついていて、木の部分も茶色く色あせている。

志恵留は郁夫の手元の斧を見て目を丸くさせる。


「ねぇ、まさか……」

「僕が止める。だから……だからね」


郁夫は斧を両手で抱えながら、倉庫の左側の外側の壁の方を睨む。

その黒い影から、よろよろと壁に手をついて腹部を抑えながらやってくる人影。

その人影を見て郁夫は「やっぱり」と唇をかみしめる。

郁夫は間違いないと思うと、その人物と重なって死≠フ色が見える。

死者≠ェ塀と壁の隙間から出てくると彼≠フ唇が震える。


「ああ……」

「郁夫くん」


やはり郁夫は分かっておきながら「嘘だ」と叫びたくなった。


「ねぇ、本当にこの人が?」


志恵留は郁夫の傍らでそう呟く。

郁夫の脳内でずううぅぅーん≠ニいう、覚えのある重低音がどこかからする、

郁夫の記憶と思考を押しつぶし、正しい記憶が浮かび上がる。

―――トッチャン、なんで?

これは郁夫の腹違いの妹の梨恵の口癖。

―――カーザセンシェー、なんで?

あの元気の良い、二歳児の言葉。

そう、いつも口にする「トッチャン」と「カーザセンシェー」は言葉を言うだけでも必死な二歳児の誤った言葉。

正式にはもっと普通の、郁夫ですら分かるような言葉。

―――由梨さんもあれから∴齡N過ぎか。

郁夫の父の敏夫と電話をしたときに言っていた敏夫の言葉。

あれから≠ニ言うのはそう言う事だったわけだ。

―――一昨年くらいに大変な事≠ェあったと思うんだけど。

郁夫の自宅の迎えのマンションに住んでいるトモさんの妻の由梨が口にした謎の言葉。

敏夫の「あれから」と由梨の「大変な事」はどちらも同じ事。

―――今年から担任と副担任が変わったんだよ。

一年生の時の担任と副担任は転勤して、今年から新しい教師≠ェ入った。

郁夫以外にもいた。今年の四月に入って新しくやってきた人物が。

そして、志恵留の双子の姉の安田野恵留(ノエル)が死んだ四月七日にすでに教職員としてもう成員となっていた。


「ねぇ、本当に?」


志恵留は信じられないと言うような口調で言うと死者≠見る。


「そうだよ、この風見先生……トモさんがもう一人≠ネんだ」


そうだ。僕が親しくしてくれたトモさんがもう一人≠ネんだ。

郁夫は脳内でトモさんからの「心構え」のその四を思いだす。

―――その四。これは夜見北でも一緒だったけど、僕は学校では『風見先生』なんだからな。

郁夫の実の母の郁代の教え子で、郁夫とは長い付き合い(死者≠ゥらの復活後の偽りの記憶にて)のトモさん。

そのあだ名の由来は「カザミ・トモヒコ」だから「トモさん」となった。

教師と生徒のため、学校で「トモさん」と呼ぶのは余計な誤解やトラブルの原因にならないため。

だから郁夫にとっては学校では「風見先生」外では「トモさん」と風見の事をあたかも別々の人間と接するかのようにふるまう。

そんな事だから、六月の死者の雪村理奈にクラス名簿のコピーを頼んだ時。

―――いろいろ心理事情とかあるんだよね。

などと言って、風見との距離を測りあぐねた結果。

クラスの問題にストレートに返事が出来なかったのは、外でもいないもの≠フ志恵留をいるもの≠ニして認めるのは難しかったから。

そして夏休みに災厄≠フ止まった年のOBに聞き込みをする時のある人≠ヘ向かいに住む風見だったのだ。

そして梨恵の言うあの口癖の本当の意味。

―――トッチャン、なんで?

―――トモさん、なんで?

これが本当に正しい言葉。

―――カーザセンシェー、なんで?

―――風見先生、なんで?

おそらく郁夫か誰かが風見の死後に嘆いていた言葉を覚えたのだと思う。


「どうして?そんな……」

「風見先生は担任として紛れ込んだんだ。だからね、教室の机の数が合わなかった理由は職員室の机が足りなくなっていたから=v

「そういう……」

「それにね、風見先生は一昨年の卒業生に姪っ子さんがいたんだ。その時の災厄≠ナ死んだんだと思う」


郁夫が志恵留に解説をすると、風見はよろよろとやって来る。


「そんな……まさか、違う」

「風見先生……トモさん」

「僕なわけがない……郁夫くん、榊原さん、僕は……」


郁夫は斧を持って風見に近寄ると、志恵留に背を向けて呟く。


「僕、思い出したんだ。見てたんだ……僕は」

「……何を?」

「風見先生が殺されるところを……僕は」


郁夫が見たと言うのは一年前に夜見北の災厄≠ェ止まって年が明けた後、担任の鳴が復帰して風見が「担任代行」を止めた後。

範囲内である夜見山の飛井町の大通りで、郁夫は学校帰りに一人で歩いていた時だった。

向こうの方で風見らしき人物がパーカーのフードをかぶった男ともみ合いになっているところを見た。

そして、男は風見の腹部にナイフを刺して、引き抜いて今度は首筋を切りつけた。

風見はそこで息絶えて、男は向こうでその場面を目撃した郁夫にニヤリと笑った。

風見は通り魔に殺害されたと言うのが真実。


「だからね……トモさん」

「待て。おい、僕は……」


郁夫は斧を持って風見に一歩ずつ近寄り、後ろの志恵留に視線を投げかける。

志恵留は目から涙をあふれさせながら、深く頷いた。

郁夫はその反応を見ると、風見の方に視線を戻して斧を大きく振り上げる。


「風見先生……トモさん」

「やめろ!」

「ごめんなさい、トモさん……」







後日、明らかになった事実を一通り述べよう。

二〇十三年十一月十日未明、夜見山の「雪桜旅館」から多数の遺体が発見された。

これらについての確認された身元と発見場所は次の通り。


・雪村憲三(50)……菊菜の旦那。菊菜に全身を刺されての失血死。職員専用の休憩室にて発見。

・志村礼二(17)……男子生徒。菊菜に背中を刺されての失血死。「ツツジの間」にて発見。

・和田理沙(17)……女子生徒。菊菜に腹部を刺されての失血死。ロビーにて発見。二階の廊下にいた可能性大。

・青崎良子(32)……仲居。菊菜に背中を刺されての失血死。三階廊下にて発見。

・岸本竜太郎(17)……男子生徒。落雷による焼死で門の前にて発見。

・雪村菊菜(48)……女将。四人を殺害後、隠し持っていたナイフで手首を切り失血死。門の前にて発見。


以上の六名が死んだとの事。

後から二調べによると、菊菜と憲三は六月の死者の雪村の実の両親だった事が判明。

一人娘を失って精神状態が芳しくなく、元気にしているクラスメイトを見て恨みを持って菊菜はあんな行動をとった。

憲三の殺害理由は、現場が荒れていた事で、憲三が菊菜を止めようとして誤って殺されたとの事。

そして、仲居の一人だった青崎良子については、五月の死者の青崎竜輝の叔母だった事が判明。

それで、この六名は災厄≠ノよる死だった模様。

そして死者≠セった風見智彦の遺体は、発見されていない。

それよりも、元々風見と言う人物がクラスにいた事すら、誰も覚えていない。

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■作者からのメッセージ
意外と死にましたね(苦笑

風見くんには申し訳ないです。

殺したくはなかったんですけど……ね。
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