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マブラヴオルタネイティブ-フォーアンサー 【第壱話】 目覚めは荒野 掴むは居場所
作者:首輪付きジャッカル   2012/07/04(水) 16:59公開   ID:aJK45xIaU56
「くぅあ〜〜〜〜〜よく寝た」
目を覚ませばいつもの暗いコックピット。
 10秒ばかりボーっとし、キャエーデは何かがおかしいことに気付く。
「何で生きてるんだ俺?確かあの時コジマ爆発で・・・」
絶対と言い切れる根拠は無い。しかし彼は確かに最期の瞬間のことを覚えている。
巨大な建造物を倒壊させるほどのコジマ爆発。壊れていく身体・・・
 シィカリウスから降りてみると、彼はますます混乱した。
ネクストからで出た自分の眼前には見知らぬ荒野が広がっていたからだ。
最期の依頼の場所も荒野だったが土質が明らかに違う。コジマ汚染も感じられない。
たどり着いた結論は・・・
「なるほど、ここがあの世か」
状況がつかめないのでとりあえずそう結論付ける。
 愛機に再び乗り込み、とりあえず適当に辺りを走らせる。
シィカリウスのFCSはかなり高性能なので何でもいいから見つけられるかもしれない。そう思ったのだ
 15分ほど走り続けていると、ようやくレーダーに反応があった。
それも1つ2つではない。最期の依頼のときに自分を殺しに来た数より明らかに多い。
 警戒しつつそちらに近づき、様子を見る。そこはあまりに醜悪な光景が広がっていた。
数千、いや万にたどり着きかねないほど無数の生態兵器らしきもの。それと戦う9機のACらしきもの。
「これはまさに数の暴力だな」
思わずそう口に出ていた。あまりに数に差が開きすぎてる。
 しばらく傍観決め込んでいると、あることに気付いた。
(9機のうち何機かは実弾じゃねぇな。麻酔銃かなにかか・・・?)
実弾による攻撃を受けた生態兵器は血飛沫を撒き散らしながら死んでいく。
しかし実弾ではない機体の攻撃を受けた生態兵器は数秒から5分の間に突然動きを停止させ、倒れこんでいる。
 他に、9機の内、何機かは明らかに動きが悪い。いや、9機ともACにしては動きがとろくさいのだがそのうち何機かは明らかに異常だ。まるで怯えているかのよう。
 そのうち動きの悪い一機が生態兵器の突撃を食らい倒れた。そこに小型で赤褐色の生態兵器がわんさかと群がる。

―――バキバキバキバキ―――

 嫌な音がする。あの生態兵器はACの装甲を噛み砕き、喰らっているのだ。
あのまま行けば操縦者もあれに食われるだろう。動揺した別の機体も同じ道をたどった。
 生態兵器に人が喰われそうになっている。それを傍観しているだけの自分。
「このまま放置していっても夢見が悪そうだ。ちょいと手助けしますかぁ。あとで報酬はきっちりもらうがね」
一気にシィカリウスを走らせる。
―――距離約1500m―――
 間に合うか?
―――残り800m―――
 向こうのACもこちらに気付いた。
―――500m―――
 射程距離!
「横槍失礼!逝っちまいなぁ!」
 既に原型を留めぬACに群がる生態兵器に銃弾を打ち込む。
10―――20―――30―――40―――50―――
 弾が切れる、喰われているACを傷つけぬようにブレードで敵を切る。
 群がっていた生態兵器を片付けていると別の支援が来た。もう一機のほうは既に助けられていた。
「俺に敵対の意思はない。そちらに加勢する!面倒な話は後にしてくれ!」
外部スピーカーを使ってこちらの意思を伝える。
『そちらがどこの者かは知らないが、今回の目的は捕獲だ。倒すのは最低限で頼む』
「あいよ!」
 長らく傍観していた結果、黒くて大きな目があるタイプは問答無用で殺しているらしい。
ならばそれを最優先で攻撃すれば問題ないだろう。
「周囲へのコジマ粒子散布開始。プライマルアーマー展開」
でかい目がある奴は目からレーザーを出すことは見ていてわかっていたので最低限の保険。
 シィカリウスで飛び上がると後ろから叫び声が聞こえた。
『おい!そんなに高く飛んだらレーザー掃射が・・・』
 いい終わらぬうちにレーザーによる攻撃がいくつも飛んできた
しかし彼はその光学兵器を難なくよけ、接近。
 ブレード一振りで5体の敵を屠った。生態兵器の血が黒い機体を朱に染める。
「とろくさいんだよ汚物がぁ!」
叫びながら次々と敵を肉塊に変えてゆく。切り裂き、穿ち、目玉に銃弾を打ち込む。
 30分後、黒の機体は赤に染まっていた。
『もう十分だ、撤退する。悪いがついて来てくれないか?』
「もとよりそのつもりだ。居場所が無いんでな」
報酬の請求もしないといけないし・・・
 しばらくついて行くと通信車両らしきものがあった。
『悪いが機体を降りてあそこで基地に連絡を取ってくれないか?』
「そちらが信用たる存在ならな」
 降りたところを蜂の巣になんてされたらたまったもんじゃない。
『手出ししないと将軍殿下の御尊名に誓おう』
将軍殿下がなんなのかは知らないが、信用していいのだろう。
通信車両に入り、基地とやらにコンタクトを試みる。
基地とはなんだろう・・・企業のことだろうか?
「こちらシィカリウス・・・聞こえてるか?」
『シィカリウス・・・それがあなたの名前?』
若い女性の声が返ってきた。芯のあるよく通る声だった。
「いや、これは俺のネクストの名前だ。俺はキャエーデ=スペミンフィーメン。あんたは?」
『私は国連軍横浜基地副司令、香月夕呼よ』
ふむ、長ったらしい肩書きで意味不明だ。
『悪いけどいくつか質問させてもらうわよ。いい?』
「……ああ」
べつに反抗する理由も無い。
報酬の請求(ry
『所属は?』
「フリーだ」
しかし香月は別段怪しむような素振りを見せず、たて続けに違う質問を飛ばした。
『階級は?』
「ない」
『国連軍ってわかる?』
「知らん」
『じゃあ帝国軍は?』
「知らん」
『ここはどこ?』
「自分の中じゃあの世ってことで決着付いてる」
『宇宙人にさらわれたという記憶は?』
「ねぇな」
『BETAって何?』
「知らん」
『じゃあ、さっきまで戦ってた生物は何?』
「生態兵器だと考えてる」
意味のわからない質問ばかりだ。
最後に香月はこういった。
『結論から言うとあなたは 別の世界から来たってことになるわね』
「なるほど・・・」
『驚かないのね?』
「あの世が別世界になっただけだ。驚く必要も無い」
とりあえず自分はここにいて、ここに戦う場所がある。それで十分だ。
しかし一つ疑問がある
「こんな普通じゃない問答の果てに別世界から来たって結論になるのはなぜだ?
普通は頭がおかしい奴で片付けるだろう?」
『まぁ普通ならそうでしょうね。ただ最近同じことがあったから』
なるほど、ならば多少は納得がいくというものだ。
「こちらは質問に答えた。次はそちらの番だ」
『ええ、かまわないわよ?』
「質問は一つ、俺は傭兵だ。生活場所と三食と整備を条件に雇ってくれないか?」
『願ったりよ。こちらの世界については基地についてからゆっくり説明してあげるから』
 こうして彼は居場所を得た。現状なんて理解していない。それでも彼はいいと思っていた。こうして山猫は再び歩き出す・・・


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■作者からのメッセージ
ん〜ホント我ながら文章力ないね
指摘があれば改善するつもり
次回は横浜基地に着いたところから
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