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マブラヴオルタネイティブ-フォーアンサー 【第弐話】 知らぬ世界 一日の終わり
作者:首輪付きジャッカル   2012/07/04(水) 17:17公開   ID:aJK45xIaU56
「―――ということ。わかった?」
実に三時間、まったく休憩を挟むことなく香月は今の世間の情勢と、簡単な歴史を説明した。
「ん、ある程度は理解できた」
 キャエーデはそう答えたが、本当は30%理解できたかどうかってレベルである。彼は覚えるのは早いのだがそれを理解はしていない。ACやネクストの構造を覚えてはいるがこれで動く理屈は話せない。そういうことだ。
それよりも、
「んで?俺の今後の動きは?大虐殺者さんも一人で戦うのはしんどいぞ?」
そう。傭兵として雇われたからにはどこかの部隊に配属される。下手にその辺の廊下を歩いてたらいけないなんて事も無いとも限らない。
「その事なんだけど・・・配属先は私直属の特殊部隊。動きは訓練兵に交じって戦術機の操縦訓練でもしてなさい」
 一時考えるそぶりをした後こう答えた。戦術機にも乗れるようにしておけということだろう。やられる気はないがネクストが動かなくなる可能性もある。そう考えれば理にかなってる。
「それと・・・二週間後ぐらいにあんたの配属先の部隊と模擬演習」
「俺の力を測りたい・・・・そういうことか」
「そうよ。技術レベルを考えるだけて大体は想像がつくけど、言葉だけじゃ信用できなくて、やっぱり見てみないとダメなタイプなのアタシ。技術は高くてもその分脆弱なんて御免だわ。あれだけデカイ事言っていたんだから問題ないでしょ?」
国家解体戦争、リンクス戦争、そしてネクストの話のことである。
「問題ねぇな。しかし何でそんな先になる?」
「あんたが戦う相手の不知火の修理とか、あんたの武器の弾をペイント弾に変えたりと時間がかかるのよ」
「そういうことか。話はこんなところか?」
立ち上がりながら聞く。
「ええ、こんなところよ。あ、それと階級は一応中尉でいいわね?」
「好きにしてくれ・・・ってちょっと待て。部屋はどこだ?」
部屋の場所の説明を受けていないことに今更気付く。廊下で寝ろとでも言うのか!?
「あぁそのこと。部屋の外に案内がいるから」
 書類に何事か書き込みながらそう答えた。
 外に出てみると小さな女の子が立っていた。
ウサ耳?
「・・・こっちです」
小さくつぶやくと少女が歩き出した。
歩きながら少女に話しかける。
「俺はキャエーデ=スペミンフィーメン、君は何ていうんだい?」
「・・・」
「こっちじゃコジマ汚染をまったく感じないけどあの時見た巨大ロボットはどうやって動いてるんだ?皆目見当も付かないぜ?」
「・・・」
(完全に無視されてるよ・・・)
「・・・です」
「ん?なんて?」
「社・・・霞です・・・」
「そうか!社霞ちゃんか!いい名前だな!ちなみに好きな食べ物とかはあるのかい?嫌いな食べ物とか」
「・・・」
「・・・」
(話してくれないか・・・)
 結局それ以降一度も会話が成立することなく基地内の案内は終わってしまった。PX等の本当に主要な場所しか見ていないためあっという間に案内がすんでしまったからだ。終われば与えられた部屋に連れていかれた。
「ここです」
そういって少女は立ち去った。不思議な印象を受ける少女だった。
 部屋に入る。個室か・・・
しばらく物思いにふけった後、明かりを灯したままベッドに横になる。シィカリウスに乗ってるときなら暗くても眠れるのだが、それ以外だと暗いと眠れないのだ。
 かつて殺してきた人間達の顔が浮かんでは消え、浮かんでは消えていく。そんな恐怖を明かりで打ち消す。戦いで人を殺すことに躊躇は無い。だがそれでも、躊躇は無くとも・・・
無力な一億人を殺した記憶が、脳裏に焼きついて離れないのだ・・・


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