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マブラヴオルタネイティブ-フォーアンサー 【第拾壱話】意思を持つ機械 アナタハドコニイクノカ?
作者:首輪付きジャッカル   2012/07/04(水) 18:12公開   ID:aJK45xIaU56
『ここは・・・どこだ・・・』
気付くとそこは真っ暗闇。体の感覚も無い。今時分が浮いてるのか、地面に立っているのか、横たわっているのか、逆立ちをしているのか・・・それすらわからない世界。闇。
『QBは間に合ったのか?間に合わなかったのか?』
撃たれる本当にコンマ数秒前、クイックリロードが完了しすぐさまQBを使用した。その直後にこの状態だ。導き出される結論は・・・
『あぁ・・・俺はまた死んだのか・・・』
―――いや、死んでねぇよ坊主―――
『!?』
不意に闇から聞こえた声。アンビエントとストリクス・クアドロとの戦闘中に聞こえた気がした声。
脳に直接響くような聲。
―――まぁ半分死んでるがな。臓器も抉れてる。お前の体ならもって3時間ぐらいか?―――
『お前は・・何だ・・・?』
闇の中に輪郭だけが浮かんでいるような・・・ちょうどあれだ。ハガ○ンの真理みたいな・・・
―――何だとはヒデェなぁ。いつも人ん中に入って好き勝手動かしといてよぉ―――
『好き勝手・・動かす・・・?俺がか?』
―――あぁ、お前だ。お前以外はことごとく死んだしなぁ―――
何となくわかった。でも一応問う。
『シィカリウス・・・か?』
―――まぁ大多数の人間はそう呼んでるな―――
 唯一つ意思を持ったネクスト・・・くだらない噂と思っていたのだが本当だったか。
目の前に居る影がシィカリウスなのはわかったが結局この空間はなんだ?どうしてこんな状況になってる?
―――ここが何所かってのは、あ〜心象世界ってところかな。上手く説明できん。
どうしてこうなった・・・ってのはお前と対話したくてな―――
『な!?俺もお前も戦闘中だろうが!』
―――あ〜大丈夫大丈夫。時間にして神経信号の伝達時間ぐらいにしかならないから―――
『早!?』


『で、話がしたいってのは?』
―――あぁ―――
 闇の向こうで何か考えているようだ。
そして静かに口を開いた。
―――殺しは楽しいか?―――
『!?』
―――俺は大好きだ。なぁ、お前はどうなんだ?―――
『楽しいわけ無いだろう?楽しんでたら毎晩毎晩うなされない』
―――へぇ?クレイドルのときはあんなに楽しそうだったのに―――
『うっ・・・』
 脳裏に蘇る光景。武器を振るう俺。崩壊するクレイドル。
その時の俺の表情は・・・笑み・・・
―――天元山の依頼の時、お前はどんな顔をしていた?―――
『黙れ!』
 確かに俺はあの時高揚していた。楽しんでいた。でもおかしい。
俺は元々殺しを楽しむ人間ではなかったはずだ。いつからだ?いつから俺はこうなった?
―――心が不安定だな・・・そんなだから―――
『っ!?』
 闇がゆらりと揺らめいた。自分に向けられる圧倒的狂気。
―――その隙間に付け入られる!―――
 そして俺の意識は途絶えた。




「ひっ!」
「どうしたの社?」
香月の横にいた社が突然震えた。
「違う・・違うんです・・・いや・・いやっ・・・!」
震えながらそう叫ぶと彼女は司令部を飛び出した。
 彼女は見えていた。はるか遠くに居る男の感情が大きく変わったことが。本来なら近くに行かなければ思考が読めないはずなのにここまで伝わってくる。根源的悪意。殺意。狂気。
攻撃的な色に彼女は怯えるしかなかった。



『こやつめ、最期まで抗いおって』
 ストリクス・クアドロの長距離ライフルはシィカリウスの胸部の中心から少し右よりを打ち抜いていた。それでも確かに管制部は貫いている。これで大虐殺者も死んだ。王小龍はそう思っていた。
 しかし戦闘はまだ終わっていなかった。
―――ザンッ―――
 ストリクス・クアドロの両腕が切り落とされる。
『何!?』
後退しながらミサイルを撃つ。しかしシィカリウスはそれを掴み取り、握りつぶした。PAの減衰など意にも介さないかのように。
『下がってください、王大人。ここはリリウムが』
左手のライフルを撃ちながら接近するアンビエント。
シィカリウスは身体を軋ませながらストリクス・クアドロを蹴り飛ばし、アンビエントに接近した。
『!?』
あわてて逃げようとするも間に合わない。両手をつかまれ下がれない。
ならばとミサイルを発射するも、やはりというかPAに完全に・・・阻まれた。
―――ミシミシミシ・・・バキッ―――
嫌な音と共に壊れる両手。それを投げ捨て、シィカリウスは鋭い手でアンビエントの胸を刺した。
ちょうどリリウムの目の前には、巨大なシィカリウスの手。それがだんだんと握られていく。
『申し訳ありません王大人。リリウムは、またもあなたのご信頼に背く事になりました。
リリウムは―――』
―――グチャッ―――
シィカリウスがアンビエントから手を引き抜く。その手には真っ赤な血。こびり付いたはらわた
『やはり私では・・・』
ものすごい速さでストリクス・クアドロに接近するシィカリウス。火花が飛び、全身が軋んでいるが構わないとでも言うかのよう。
『・・・人類最大の脅威には勝てなんだか・・・』
直後、異常なまでに高出力なブレードに一閃され、ストリクス・クアドロは真っ二つになった。






―――キイイイイィィィィィン―――
『こ、この音は!?』
『上空から何かが接近してきます!』
大隊規模の敵を蹴散らしたA-01の皆の上を空送機が飛んでゆく。クーデター部隊の戦術機を乗せて、
山の間を飛んでゆく。
クーデター部隊の命がけの切り札が今、切られた。
 そして彼らは殿下の元に向かう・・・


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■作者からのメッセージ
この小説読んでる人だし知ってると思うけど社霞について

彼女は第3計画、つまりオルタネイティブ3によって生み出されたESPの一人なのだ。
具体的な能力は思考を読み取るリーディングと、自分のイメージを相手に見せるプロジェクションの2つ。
第3計画の目的はBETAとのコミュニケーション。
相手の目的を知れば現状打破に繋がるかもしれないというものだった。
思考を読み取り、こちらから思い浮かぶ限りの和解や平和の意思をイメージとして送った。
結果は凄惨たるものだった。
BETAは人間を生物として認識していなかった。そのためこちらが送っているイメージも無視。
何の解決策も見出すことはできなかった。
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