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マブラヴオルタネイティブ-フォーアンサー 【第七話】天(そら)より飛来する物 空(てん)穿つ一撃 前編
作者:首輪付きジャッカル   2012/07/04(水) 17:35公開   ID:lu2Cx/G1lWE
「お〜い博士〜入るぞ〜」
昨夜、寝付けなかったため時間つぶしに書いたレポート(ほろ酔いで書いたため字は・・・)を片手に香月副指令の部屋に入る。
「―――それじゃ済みませんよ。一つ間違えば俺達全滅でした」
「ん?」
部屋に入ると白銀が香月と話をしていた。白銀はどこかあわてている様子である。
「ん〜?何の話だ?俺も混ぜろ」
ニヤニヤしながら声をかける。直感が、これは面白いことがあると告げていた。
「あらキャエーデ、いいタイミングで来たわね。面白い話よ。明日ここにHSST(再突入型駆逐艦)が降ってくるんですって。それも中身は高性能爆薬満載よ」
「そいつは楽しそうだな。明日は退屈しなさそうだ」
「何が面白いんだキャエーデ!一歩間違えれば俺達が全滅するんだぞ!?」
白銀が凄い剣幕で掴みかかってきた。まるでそれが起こるとどうなるか知っているかのよう。
「随分と詳しそうだな。なぜだ?」
「それは・・・」
急に白銀が黙り込む。うつむき何も言わない。まさか・・・スパイ!?ってのは無いか・・・
「あ、それは白銀が未来から来たからよ」
「せ、先生!?」
香月がしれっとして答えた。その言葉に白銀がまたうろたえだす。
「なるほど・・・初めて話した時に言っていた前例とは白銀のことだったか」
「え?どういうこと?」
「俺も異世界から来た人間だし」
普通の人間にこんなこと言っても頭おかしいとしか思われないだろうが、同じ境遇の人間なら別だ。
「え?え!?」
「驚いてないでHSST落下の話の続きをしてくれる?」
「あ、スイマセン!」
香月の言葉に我に返り、改めて説明を始める白銀



「聞けばなおの事面白い話だなぁ。高度60km、距離500km!弾は3発しかない!2発の弾道調整を経てラストチャンスの1発でズドン!・・・かぁ〜、珠瀬かっこいいねぇ〜」
「当時は本当に大変だったんだぞ!?」
「確かにそんな芸当、極東1位のスナイパーの珠瀬にしかできないわよね」
シュミレーター訓練で珠瀬の射撃の精度は知っていたが、改めて凄さを思い知った。
「今度もまたうまくいくとは限りませんし、前もって止めましょうよ!」
「まぁ待て白銀」
ちょっと真面目っぽい声を使い、白銀を止める。
「珠瀬ってあがり症だろ?でもそんな大きなことを成し遂げれば克服できると思わないか?てか前回克服されなかったか?」
「それは・・・まぁ・・・そうなんだけど・・・」
白銀が揺れている。チャンスだ!後に続いてくれと香月に目で合図する。
「それにあまり大きく未来を変えすぎると予期せぬ事態が起こりえるわけだし、前回解決できたなら今回も同じ方法を取るべきだと思うわ」
「まぁ・・・そういうことなら・・・」
よし!説得完了!もしかして自分は傭兵だけでなく交渉人ネゴシエーターにも向いているんじゃないかと思った瞬間だった。
「で、あんたは元々何の用で来たの?」
突然話を振られ、一瞬硬直するが、すぐに思い出す。レポートだ。
「昨日の夜書いたレポートなんだけどさ。レポートって言うか設計図って言うか・・・」
そういってレポートを手渡す。
「アサルトアーマーに指向性を持たせるアサルトキャノンと、自立AIの戦闘マシーン、H(ナインボール)だ。もし技術者に余裕があったら作って欲しいんだが・・・」
「考慮しておくわ」
レポートを興味深げに読みながら答えた。
 既に昼時、腹も減ったので白銀を連れてPXに向かうことにする。



「あれっ!?おーいタケルー!キャエーデ!」
 鎧衣美琴の声がした。
声のほうを見ると207Bのメンバーが集まって話をしていた。
「おお、どうした?みんな揃って」
「どうしたじゃないよ。
タケルこそ、血相変えてどこ行ってたの?」
「え?え〜と」
どこに行ってたかは知ってるが確かに座学が終わったとたんもの凄い勢いで駆けて行ってたな。教官を含めてみんな目を丸くしていたぐらいだ。
「―――男の子にそういうこと聞くかなあ・・・」
「ブブー!そういうのはとっさに出てこないと面白くないよっ!」
鎧衣の駄目出しが入る。確かに今のは面白くなかった。
「それよりそなたも知恵を貸してくれ」
御剣が言葉を挟む。
「何の?」
「いや・・・実はな、明日来訪される国連事務次官というのが・・・」
「―――あぁ、たまの親父さんだって話か」
「知ってたの!?」
ちなみに「たま」とは珠瀬のことである。白銀はいつも珠瀬のことを「たま」と読んでいるのだが・・・猫みたいだと思わないか?
「・・・」
彩峰が白銀をじっと見ている。
「ん?」
「・・・深いね、なかなか」
「・・・お前もな」
「それで困ったことに・・・」
「あうあうあうあうあ〜〜〜〜」
珠瀬が某アニメの某神様よろしくオロオロしている。
・・・シュークリームをあげたら喜ぶだろうか・・・
「わかった、何に困ってるかあててやろう!」
白銀が自身ありげな顔で言った。時間をループしているのだからこのことも知ってるだろう。
「たまが―――「そうなんだよ!壬姫さん、お父さんに自分が分隊長だなんて、手紙に書いちゃってるもんだからさ、もう大変!」・・・」
白銀が答えようとしたのをさえぎるように鎧衣が全て語ってくれた。白銀哀れ・・・
「・・・・・・・おい」
白銀が恨めしそうに鎧衣を睨む。
「で、どうしようか?」
「・・・・・おい!」
「え?なに?」
「おまえ・・・」
「・・・・?」
「いや・・・もういい・・・」
白銀があきらめたかのように目をそらす。しかし本当に鎧衣はいつもマイペースだ。人の話をまったく聞いていない。あれで軍人として大丈夫なのかといろいろと心配になるぐらいだ。
「変なタケル」
変なのはお前だ鎧衣!
「おまえにはかなわねぇよ。
ま、そういうことならオレにいいアイディアがある」
「ほほう?」
「何となく予想はつくけど・・・不安だわ」
「奇遇だな榊。俺も何となく予想ついてんだが・・・嫌な予感しかしない」
そんな中、白銀は自分のアイディアとやらを発表する。
「えー、というわけで、『珠瀬1日限定分隊長』計画を発動セヨッ」
「なんていうか予想通り過ぎてつまらねぇなぁ・・・」
「なんだよキャエーデ。たまを助けてやりたいとは思わないのか?」
「おい、俺が悪者みたいになるからそういう発言はやめてくれないか?」
いつもどおりのふざけた会話。空腹も消えうせるほどに楽しい時間。
「よーし、これから必要なアイテムと担当者を・・・・・・・」
「わるい、ちょっと席を外すわ」
そういって席を立つ。気付いていたさ。さっきから悪意ある視線がこちらを捕らえていることぐらい。
「あ、おいキャエーデ」
 白銀に呼び止められるが無視。
 PXから出ようとしたところで男女の二人組みに声をかけられた。ついでに空腹感が帰ってきて少し機嫌が悪くなった。
「おいそこの訓練兵」
「は、それは自分のことでしょうか」
厳密には中尉なのだが黙っておく。久々に暴れようと思うので。
ちなみにこいつらは少尉だ。(襟章みてわかった)
「お前以外にいないだろ?」
「なにか御用ですか?少尉殿」
「お前の隊はあそこに居るので全員か?」
「はい」
「8人じゃないのか?」
「いえ、7人です」
「だったらハンガーにある、帝国軍の新型は誰のだ?・・・・・お前らの中の誰か用と聞いたが・・・」
「それにつきましてはこのように人が多い場所では話せませんので、人気のない場所まで着いてきてくれませんか?」
「あぁ、かまわんが・・・」






その後、男女の二人組みが3分の2殺しで医務室に運ばれたのは言うまでもない


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