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マブラヴオルタネイティブ-フォーアンサー 【第陸話】月夜の戦場 戦う少女達
作者:首輪付きジャッカル   2012/07/04(水) 17:33公開   ID:bZmv.hgCAuc
「どうだった?手合わせしてみた新型機は」
香月が戦術機から降りてきたA-01のみんなに声をかける。
「どうもこうも無いですよ!何なんですかあれ!?ライフルが止められるなんて」
「戦術機も凄かったけど衛士も人間とは思えないですよ!説明してください!」
速瀬の言葉に涼宮茜も続く。その時、上から声が聞こえた。



「ふぃ〜、楽しかった」
模擬戦を終え、格納庫に戻る途中のキャエーデ。その時、なにやら外で声が聞こえた。
『どうもこうも無いですよ!何なんですかあれ!?ライフルが止められるなんて』
『戦術機も凄かったけど衛士も人間とは思えないですよ!説明してください!』
どうやら先ほどの相手のようだ。コックピットを出てシィカリウスの右肩の上に立つ。
「人間じゃないなら俺は化け物か何かか?」
香月を含めた9つの視線がこちらに向く。
 話をする為にシィカリウスから飛び降り、彼女達に近づく。
―――グキッ―――
あ〜、今のはあれだ。飛び降りたときの足の音だ。気にするな。
「あんた・・・ものすごい顔してるけど大丈夫?」
「ナンノハナシカナコウヅキハカセ。オレハナントモナイヨ?」
彼女達の冷たい視線が刺さる。「何でこんなのに負けたんだろう」そんな視線だった。
「副指令、本当にこれがさっきの衛士なのですか?」
「残念ながらね・・・」
見るな!そんな哀れみの目で俺を見るな!



「改めて紹介するわ。新しくA-01に配属されるキャエーデ=スペミンフィーメン中尉よ。ついでにさっきの新型機の衛士でもあるわ」
「キャエーデ=スペミンフィーメンだ。ちなみに既存の戦術機の動かし方はろくに知らんから今は訓練部隊に混じって勉強中だ」
目の前には8人の女性。あるものは今にも掴みかかってきそうなぐらいの殺気を向けてきており、またあるものは新しい玩具を手に入れた子供のような笑顔を向けてきており、またあるものは何と言うか恍惚な様子だった。
「A-01部隊へようこそ。歓迎しよう、盛大にな!」
「え?」
「あ、いや何でもない。私は部隊の指揮を執る伊隅みちるだ。コールサインはヴァルキリー1」
凄く真面目そうな人なのになぜだろう?一瞬メルツェルに見えた。
「私はCP将校コマンドポスト・オフィサー
の涼宮遙中尉です。これからよろしくお願いしますね。コールサインはヴァルキリーマムです」
なんだか軍人らしくない優しそうな人だ。こういう人はいい嫁さんになるだろう。
「涼宮は指揮車両から戦域官制をしてくれる。
こう見えても怖い女だからな。怒らせないように気を付けろ」
「―――た、大尉!なに言ってるんですか、もう!」
「ほらな」
「なるほど、こりゃ怖い」
絶対怒らせないようにしようと心に決めた瞬間だった。
「B小隊を指揮している速瀬水月中尉です。よろしくお願いします・・・」
「速瀬中尉・・・?目が怖いですよ・・・?」
殺気がひどくて直視できません・・・
「今日の借りは絶対返すからね!覚えときなさいよ!!」
「さて何の話ですかな?」
「ぬわぁんですってーーーーーー!?」
「水月落ち着いて!」
涼宮中尉に羽交い絞めにされながら暴れる速瀬中尉。見てて面白い。
「ちなみに速瀬中尉のコールサインはヴァルキリー2だ」
伊隅大尉が補足する。
「C小隊を指揮している宗像美冴中尉です。よろしくお願いします。コールサインはヴァルキリー3」
 殺気こそ無いがその表情は不気味。小悪魔的な笑顔がものすごく怖かった。
関わったら間違いなく玩具にされそうなので会釈だけして黙っておく。
「C小隊の制圧支援担当、風間 祷子少尉です。よろしくお願いします。コールサインはヴァルキリー4です」
 落ち着きのある優しげな人だ。豪邸の一室でヴァイオリン弾いてたりするのがしっくりきそうな貴婦人。そんなイメージだ。
「C小隊 強襲掃討、涼宮茜少尉です。コールサインはヴァルキリー5。よろしくお願いします」
「ん?もしかして涼宮中尉と・・・」
「はい、姉妹です」
「へぇ・・・姉妹そろって同じ部隊か・・・何かいいな」
何がいいのか自分で言っておいてわからないが。
「お姉ちゃんの分まで頑張らないと!」
「茜ったら…」
「えへへっ…」
なんとも微笑ましい場面だろう。自分は5歳のときに家族を戦争で失ったから素直にうらやましいと思った。
「C小隊 砲撃支援、柏木晴子少尉です。コールサインはヴァルキリー6です。よろしくお願いします」
「ん?この声は一度聞いた覚えが・・・」
「やっぱりレーダーに映らない仕組みは教えてくれないんですか?」
いたずらっぽい笑みで聞いてくる柏木。
「やっぱりあの時のお前かぁ。なに?仕組み?そいつぁ秘密だぜお嬢さん?」
「ん?随分と仲が良さそうじゃないか柏木?うらやましいぞ?」
伊隅大尉がちゃちゃを入れる。すると柏木が赤くなって、
「そ、そんなんじゃないですよ!?」
やばい、かわいい・・・
「B小隊 強襲掃討 高原薫少尉です。よろしくお願いします。コールサインはヴァルキリー8です」
申し訳ないが地味な娘だとおもった。
「あと、今は居ないが築地と麻倉が居るがこの二名は入院中だ」
伊隅大尉が二人について説明してくれた。



「じゃ、これで解散ね。この後は親睦を深めるなり何なりしなさい」
香月はそう投げやりに言うとさっさとどこかへ行ってしまった。
「では香月副指令の言うとおり親睦を深めるためにPXで話でもするか?」
―――この後、PXにて宗像中尉に弄ばれたり、速瀬中尉に首を絞められたりと色々と苦労することになるのであった―――







「今日はいい月だ・・・」
先刻模擬戦を行った場所の廃ビルの屋上にキャエーデは居た。PXでの恐怖はもう思い出す気にもならない。
「にぎやかで、本当、軍人になんて向いてねぇよあいつら・・・」
PXでもらってきた酒を飲みながら人知れずつぶやく。


「なぁ、セレン。1億もの人間を殺し、死してなお、こうしてのうのうと幸せを享受してる俺を・・・
お前は呪うか・・・?」
かつて自分が愛し、殺した女性に問いかける。答えはもちろん返ってこない。
「らしくねぇな、俺も。酔ったのか?幸せにさ・・・」
杯の酒を飲み干し、その場を後にするキャエーデ。
その背を見守るように、夜空には美しい月が浮いていた・・・


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■作者からのメッセージ
私は柏木萌だ
ええ、柏木萌だ
ええ!柏木(ry

高原のしたの名前が不明だったので適当なところから持ってきてしまった。・・・さらに碓氷って暁遥なりで大尉なのに・・・ここでは少尉ってことで!

追記(12/14):麻倉っていう娘が居たことが判明したので碓氷を麻倉に変更しました。碓氷大尉、ごめんね
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