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ネギま!―剣製の凱歌― 第一章-第3話 新たな日常
作者:佐藤C   2012/05/01(火) 00:10公開   ID:fazF0sJTcF.



「じゃ、行ってくるねこのか」
「頑張ってなアスナー♪」

 まだ陽も昇らない早朝にも関わらず、
 制服を着て寮部屋を出て行く明日菜をパジャマ姿の木乃香が見送った。

「……あれ…アスナさんはどこに……?」
「あ、おはよネギ君♪ 起こしてごめんなー、アスナは新聞配達のバイトしとるんよ」

(………こんな朝早くから………)


「…このかさん、僕も起きます……」もそもそ

「ほな、だいぶ早いけど朝ゴハン作ろか?」

「いえ、ちょっと"散歩"に行ってくるだけなので」

 明日菜の帰りまで二度寝しようとベッドに潜る木乃香を背に、ネギは杖を持って寮を出た。




 ◇◇◇◇◇



 ようやく地平の向こうが白んできた頃合い。
 その街中をジョギングして世界樹前広場へ向かうのは、今日も今日とて鍛練に勤しむ士郎である。
 広場では今頃、鍛練の相手である刹那が待っている筈だ。


「……ん?」

(魔力…? 西の空からだ…こんな時間から誰だ?)

 白くなりつつある空を怪訝な表情で見上げると、見えたのは空を飛ぶ何かの影。
 魔力で視力を強化して再度観察すると、その人影の正体は…

 ――女子中等部の子供先生、ネギ・スプリングフィールドだった。



(認識阻害もかけないでなにやってんだアイツは―――――!!)


 認識阻害魔法。
 それは一般人などの意識を逸らし、魔法や魔法使いを認識され辛くする術。
 人前で魔法を使う、魔法に関わるものが現れるなどする際に、それを誤魔化すため使用される事がほとんどである。
 ………例えば今のネギの様に、人の多い街の上を箒で飛ぶ時にも用いられる。


「……悪い、刹那。少し遅れる」

 士郎は自らに認識阻害をかけると、瞬動と虚空瞬動を使ってネギのもとへ駆け出した。




「うーん、アスナさんどこかな――…」

「―――ネギィ!!!」

「うわぁっ!?」

 突然の大声に、ネギはびくっと肩を震わせた。
 とはいえ、自分以外誰もいない筈の空で背後から話しかけられるなど、到底予測もつかないだろうが。

「い、一体なに…………あ。
 ………シ、シロウ!?シロウなの!? うわあ久しぶり!!」

「ああ、もう何年ぶりになるかな?
 ていうかお前メガネになったんだな、やっぱり勉強のし過ぎだって言っ…じゃなくてだなぁ!!」

「え、なに?」

 思わず和みそうになった己の意識を、何とか士郎は現実へ引き戻した。

「再会して早々悪いがなネギ。お前は魔法使いとして何か大事なことを忘れてないか?」
「え?」
「いくら早朝で人が少ないからって、誰かに見られたらマズイだろ…!? 認識阻害くらいかけて飛べ!!」
「え。…ああっ忘れてた!」

 士郎は思わず肩を落とした。


(き…危機感薄い……! まだ子供だから確かにポカはすると思うけど……いや。
 どんな小さなミスでも正体バレたらアウトなんだよな………あ、頭痛い……)

「どうしたのシロウ?」

 頭を抱える自分を見つめる純真無垢ななにもわかってない双眸に、士郎は呆れを通り越して何も言えなかった。
 ……そして既にネギが、明日菜に正体を知られてしまっている事を彼は知らない。

「………なんでもない…そういやお前、こんな朝早くから何やってたんだ?」

「あ、そうだった!アスナさんって人を捜してるんだ。
 新聞配達のアルバイトをしてるって聞いたから手伝おうと思って。いつも迷惑かけちゃってるから」

「…ん?明日菜? だったら、えーと………あの辺りに自販機あるのが見えるか?
 あの辺りを通ってるの見たことあるぞ」

「え? シロウ、アスナさんのこと知って―――あ、いた!」

 士郎とネギの視線の先に、ツインテールを揺らして走る明日菜が見える。

「じゃあねシロウ、僕行くよ!」

「おう、もうこんなヘマするなよ。
 …ああ、あと何か困ったら『アルトリア』って喫茶店に来い、俺の店だ」

「うん!ありがとうシロウ!!」


 挨拶を交わして別れると、ネギは勢いよく明日菜のいる方角へ飛んで行った。


(素直でいい奴ではあるんだよなー…でもこれから色々と大変そうだ……。
 おっと、俺も早く刹那のトコに行かないと)


(…しかし……明日菜に「迷惑かけてる」? …何だろう、とてつもなく嫌な予感が……)




『あれ?何よこのホウキ飛ばないじゃない』
『おっかしいなー、アスナさん体重何キロですか?』
『………。』
『ああっ!待ってくださいアスナさんーー!!』

 結局、ネギは明日菜の手伝いで全く役に立たなかった。




 ◇◇◇◇◇
 


「ねえ、ネギ君来てもう五日になるけど、みんなネギ君のことどう思うー?」

 …その日の昼休み。
 校内広場の芝生で2−Aクラスの生徒――まき絵、アキラ、裕奈、亜子の四人が、バレーボールをトスし合って遊んでいた。

「ん…いいんじゃないかな。カワイイし」
「そだね。教育実習生として授業も頑張ってるしね」

「でもウチら来年受験やし、子供先生じゃ頼りなくない?」
「受験てアンタ、私達大学までエスカレーターじゃん♪」
「でもやっぱネギ君て10歳だし、高畑先生と違って悩み事なんて相談できないよねー」

「逆に私達がセンセの悩みを聞いてあげたりして。うぷぷ♪」
「アハハ、経験豊富なお姉サマとしてー?」


 ―――ザ…ッ


 他愛のない昼休みの雑談に興じる四人の少女……。
 そんな彼女達の背後に今――邪悪な魔の手が忍び寄る……!


『フフ……誰が経験豊富なお姉サマですって? 笑わせてくれるわね』

「!!」
「はうっ!」
「あ…」


「「「「―――あなた達は……!!」」」」









       第3話 新たな日常









「てんちょーさーん、いちごパフェひとつー」
「アタシはチョコレートケーキお願いしまーす」
「あいよー」

 そこは麻帆良学園敷地内に建つ喫茶店アルトリア。現在の時刻は放課後である。
 女子校エリアに近い事もあり、店内は学校帰りの女子生徒が席のほとんどを占めていた。


 ――カランコロン。


「いらっしゃいませ…って、ようネギ!」

 巷でウワサの子供先生ネギ・スプリングフィールドが、賑わう『アルトリア』に来店した。

『ねえ、アレって「あの」子供先生じゃない?』
『あ、ホントだー!カッワイーー!!』
『っあ……んっ…!ハァ…ハァ……ッ!!
 ――可愛い可愛い可愛いなにアレあの子すごく可愛いすごく欲しいよぉはぁはぁはああぁ…んんっ……!!
 ああああもぉ――――お持ち帰りしたいぃぃい…!!じゅるり……』

 彼の登場に店内がザワつき、黄色い声が飛び交い始める。
 ……そして凄くアブナイ感じの発言があった気もするが、そこは触れてはいけないのだろう。


「……はぁ」

「………?どうしたネギ」



「……………。」(´д`川)しょぼーん


 どうにもネギの様子がおかしい。纏う雰囲気がやけに重い。
 どうやら落ち込んでいるように見えて、士郎は彼をカウンター席に座らせた。

「…ま、座れよ」
「うん………」

「何にする?」
「……じゃあミルクティーを…」




 ・
 ・
 ・



『ぼ、僕のクラスの生徒達をいじめるのは誰ですかっ!?
 い…いじめはよくないことですよ!カッコ悪いですよ!僕担任だし怒りますよっ!!』

『!? あ、あんたは……!!』

『(えっ…なに?)』


 ――抱きっ

ネギ『!?(゜Д゜)』


『キャーーッかわいい〜〜!!』
『この子が噂の子供先生か〜〜!!』

『(ええぇぇえっ!?またこの展開―――!?)』




「…つまり、自分の生徒と上級生の喧嘩を仲裁できず、むしろ遊ばれていたと……」

「うん…上級生の人達にからかわれちゃって……。
 結局タカミチがなんとかしてくれたんだけど、でも…僕も先生なのに……」

 しょぼーん、という擬音が聞こえてきそうな雰囲気を背負い、ネギは頭を垂れて縮こまる。
 ミルクティーは全く減っていなかった。


「……はぁ」

(…………。)



「…ネギ。ネギは先生なのに生徒にからかわれて、喧嘩の仲裁も出来なかった。
 だから自分が情けなくて落ち込んでるんだろ?」

「うん…」

「じゃあ、もう一度目の前で喧嘩が起きたらどうする?」

「え………」

 士郎はじっとネギの眼を覗き込む。
 …だが…ネギはそれに耐えられず、再び顔を俯かせた。

「……こ、今度は上手くやりたい。でも僕には――」

「なら頑張れよ、今度こそ上手くやれるように。「今度」なんてチャンスがあるだけでも充分お前は幸運だ」

「言っておくけどな。失敗して落ち込むことは誰にもできる。そこから反省して、努力できなきゃ成長なんてできやしない。
 だからもし「次」の機会があるなら、それを大事にして頑張れ。大丈夫、お前ならきっと出来るさ」

「………!」

 士郎からは見えなかったが……ネギの表情は、明らかに先程までと変わっていた。


「衛宮さん会計お願ーい」
「あ、はい。今いきます」

「………シロウ」
「ん?」

 ネギが立ち上がって、――今度は目を逸らすことなく、真っ直ぐに士郎を見つめた。

「僕…ただ落ち込んでるだけだった。何もしようとしてなかった。
 タカミチみたいに、先生らしくなれるように頑張るよ!」

「…おう、その意気だ。何かあったらまた来るといい」

「ありがとう!ごちそうさまでしたっ!!」


 ―――カランコローン!


(……は、若いってイイなぁ)

 威勢よく走り去るネギを見て、士郎はそんな年寄りくさいことを考えていた。

(あ。ネギ食い逃げ……)


「えーみやさーーん」
「あ、ゴメンゴメン」


(………じいちゃんにツケとくか。今さら増えたって大して変わらないだろ)

 そんなことを考えながら、士郎は足早にレジに向かった。



 …ちなみにその頃、与り知らぬ所で払うツケが増えた近右衛門はと言うと。

「む…ぶぇっくしゅ!!」
「ばっ、汚い唾を飛ばすなジジイ!」
「むぅ…風邪かのう…? む!? エ、エヴァ!その手は少し待っとくれい!!」
「フン、一手も待たん。この対局は私の勝ちだ。諦めて士郎の店のツケを払うんだな!」
「う、う〜む………!」

 そのツケの清算を迫られたりしていた。




 ◇◇◇◇◇
 


「あらアンタ達、偶然ね♪」
「な…! 高等部2−D!!」

 後日、学園の五時限目。
 中等部校舎の屋上を舞台とし、過日の禍根が新たな火花を散らしていた。

「私達は体育の自習でバレーやるのよ。あらアナタ達も?それは残念ね♪
 "今回は"私達が先だったから…ね」

「く…!アンタ達わざとでしょ!
 高等部にも運動場はあるのに、わざわざ中等部こっちの屋上まで来て……!!」

 2−Aが体育授業の為に屋上運動場を訪れるとそこには…先日の昼休みに、まき絵達やネギにちょっかいを出した上級生…
 麻帆良学園・ウルスラ女子高の2−Dクラスが陣取っていた。

「何よ今度は言いがかり?流石はお子ちゃまね」

「はあっ!?アンタ達の方がやる事がガキじゃないのよーー!高校生のくせに!!」

「なんですって? 文句があるならかかってきなさいこの中坊!!」

 この場を治める人間がいないのかといえば、
 ………一色即発の火花を散らす少女達の真ん中に、体育教師代理のネギがオロオロして立っているのみである。


(ああっなんとかしてケンカを止めないと!でっでもタカミチも居ないし……)



『なら頑張れよ、今度こそ上手くやれるように』
『大丈夫。お前ならきっと出来るさ―――』


「………!」

 ネギは唾をぐっと飲み込み、汗の滲む拳を力一杯握り締めた。



「あ、あのっ!! どんな争い事も暴力だけは絶対にダメです!!!」

「……へ?」
「…あ、は、はい…」

 今までオロオロしていただけのネギが突然声を張り上げると、周囲は呆気に取られて止まる。
 そしてこの機を逃すまいと、ネギは咄嗟の策を打ち出した。


「―――両クラス対抗でスポーツで争って勝負を決めるんです!
 爽やかに汗を流せば、つまらないいがみ合いもなくなると思います!!」


(……こ、これで仲が良くなってくれれば………!!)



「………フ、面白いじゃない」
「あら、すっかりやる気ね英子…ふふっ」

「いいですわ受けて立ちましょう。このケンカ必ず勝ちますわよ皆さん!」
「OK、委員長ッ!!」

「ケ、ケンカじゃないですよーーーーー!!(泣」


 こうして―――闘争たたかいの火蓋は切って落とされた――――!




 麻帆良学園本校女子中等学校2−A

 VS

 麻帆良学園聖ウルスラ女子高等学校2−D

 inドッジボール


 ―――――Fight!!



真名「手伝わないのか?」
刹那「くだらん」

『……はっ!?ドッジボールで数が多いのは有利じゃない…逆に的が多くなって当てられやすいだけ!?』
『2−A、鳴滝(史伽)アウトー!』

エヴァ「茶々丸、私は寝る。終わったら起こせ……Zzz...」
茶々丸「了解ですマスター」

『えーい!』
『2−D、アウトー!』
『くっ…この位で調子に…!!』


 何だかんだ楽しそうにプレイしている辺りこの両クラス、実は気が合うんじゃないだろうか?




 ・
 ・
 ・



 ……そして。


『くっ……そ、そんな…!!』

『や…やったーーーー!!勝ったーーーーー!!』




 ◇◇◇◇◇



 放課後。


「へえ、そんな事があったのか」

 喫茶店アルトリア――士郎の正面のカウンターに、刹那と真名が座っている。
 事の顛末を語りながら刹那は緑茶と茶菓子を、真名は白玉抹茶クリームあんみつを口にしていた。

「ええ。私や龍宮など参加しなかった生徒もいましたが、勝った時はクラス全員が盛り上がっていましたね」
「勝ったのか、スゴイな。相手は高校生だったんだろ?」

 すると訊かれた途端に、二人は微妙な表情になる。

「………まあ、らしくない・・・・・高校生だったな」
「……ああ、そうだな…」
「??」


 確かに高校生らしからぬ振舞いが目立つ集団であった。
 わざと人の後頭部にボールを当てたり、自分達がドッジボールの実力者だという事を隠したり。
 トライアングルアタックだの太陽拳だの、技名を叫びながらプレーしたりなどetc..
 終いには「どんな汚い事をしてでも勝つのがポリシー」などと言ってしまう始末である。
 関東一のドッジボールチーム・・・・・・・・・・・・・がそれでいいのかウルスラ2−D。

 だがそれを知らない士郎は、二人のびみょーな表情に首を傾げるのだった。


「それで、ネギが体育の先生の代理だったんだろ?どうだった?」

「「…………。」」

 …しばらくして、二人は視線を交わしてクスッと笑い合った。

「? おい、なんだよ?」
「いや……中々だったんじゃないか?」
「ええ、またいつも通りオロオロしているだけかと思っていましたが、途中からは逆に皆を引っ張っていましたよ」



『後ろを向いていたら狙われるだけです!
 前を向けばボールを取れるかもしれないんです、頑張りましょう!!』


「…だったかな?」

「………へえ。」


 劣勢に追い込まれ後ろ向きな考えになっていた2−Aは、ネギのその言葉をきっかけにして奮起したのだ。


「……そう言う士郎さんの方こそ、今の表情カオはなんだい?」

「ん?何か変な顔してたか?」

「ええ。なんとなくですが…いつもと感じの違う笑みでした」

「…よくわかるなあ」

 士郎が感心すると真名が、刹那をチラリと横目で見て薄く笑う。


「いや…私はただの勘だが、刹那は貴方のことをよーく見てるからな?」

「なっ!? た、龍宮なにを……!!」

(…なんで刹那は真名にからかわれるとすぐ取り乱すんだ?)


 ―――カランコローン!!


「シロウ―――! 僕やったよーーーーーーー!!」ぶんぶんぶんっ!

 ベルの音とともにバーン!と勢いよくドアを開けた人物は、両手を振り上げて満面の笑みで入店した。

「アンタ士郎さんとも知り合いだったのね。てゆーか高畑先生とはどういう知り合いなのか教えなさいよー」

「やっほー!シロウ来たえーー!」にこーっ♪


 ――くしゃっ。


(…え?)


「聞いたぞー。頑張ったな、ネギ!」

 士郎はネギの頭をぐしぐしと撫でてやる。
 ネギは一瞬驚いた顔をするが、最後は嬉しそうに破顔した。

「うん! …あれ、でも何でシロウが知って……あ、桜咲さんに龍宮さん」

「あ、せっちゃん!」
「お・お嬢様っ!?」

「龍宮さんと桜咲さんってよくこの店に来るの?」
「まあな。楓や長谷川も偶に来るぞ?」




 Side 士郎


 ―――お客様三名追加。ああ、また騒がしくなりそうだ。

 そして…ネギ。
 まだまだだろうけど、少しは教師らしくなってきたみたいだし、生徒に信頼されるようにもなってきたみたいだ。
 頼りないと思ってたけど……少しだけ、信用してもいいかな?


 そんな思いを巡らせながら、士郎は新たに来た三人から注文を取り始めた。



 Side out



 ――その頃、店外では。

「………なんだって今日はウチのクラスの奴らが多いんだ……。チクショウあいつら、これじゃ入り難いじゃねえか………!!」

 予想外に顔見知りの多いアルトリアに躊躇い、店に入れない千雨が悔しそうに店内を窺っていた。









<おまけ>

 士郎はネギの頭をぐしぐしと撫でてやる。

ネギ「えへへー」

木乃香「…ネギ君ええなぁ。ウチ最後にシロウに頭撫でられたんいつやったやろ?」

真名「お前も羨ましいんじゃないか刹那?」ひそひそ

刹那「べっ別に私は……!」ひそひそ

真名「ああそうか、お前この間士郎さんにおんぶされてたな。頭を撫でられるくらい羨ましくもなんともないか」※第1話参照

刹那「なっ……!!////」

明日菜&木乃香「「……え………」」

木乃香「………せっちゃん?」

刹那「!! ち・違います!違うんですお嬢様っ!!私はあのっ、その……!! ご、御免ーーーッ!!」ダッ!


 ――カランコローンッ!


ネギ「あれ、桜咲さん帰っちゃったんですか?」
士郎「…あれ、お代は……」

木乃香「えへへー、久しぶりにせっちゃんに話しかけられたー♪」
明日菜「……あんなのでイイの…?」

明日菜(さっきの赤いカオも気になるし…。…桜咲さんってもしかして……?)
真名「〜〜〜っ!(笑いを堪えてる)」


 状況がわからない一部の人間を置き去りに、アルトリアの時間は穏やかに過ぎてゆくのだった。



〜補足・解説〜
 小説内で描写されない、特に解説がない部分はほぼ原作通りです。

>今日も今日とて鍛練に勤しむ士郎。
>おっと、俺も早く刹那のトコに行かないと)
 士郎は毎朝、世界樹前広場で刹那と一緒に鍛練をしています。たまーに楓や真名が混ざることも。
 徐々にその描写を混ぜていく予定です。
 鍛練メンバーはストーリー(ネギの魔法バレ)が進むにつれて増えていきます。

>(認識阻害もかけないでなにやってんだアイツは―――――!!)
 原作ネギよりちょっと抜けてます、この時点では。
 まあ、早朝の出発時に寝惚けてたって事にして頂けるとありがたいです。

>瞬動と虚空瞬動
 原作未読の方に向けて解説。

瞬動:
 別名「クイック・ムーブ」。魔力を籠めた(纏った)脚を使って高速移動を行う技術。
 踏み込みと停止にコツがあり、それを掴めないと習得は難しい。
 それぞれ瞬動の踏み込み=開始を「入り」、瞬動の停止=終了を「抜き」と呼び、入りと抜きの精度がそのまま瞬動の精度に直結する。
 修得者も多く、便利で有効な移動術であるこれにはしかし、二つの弱点が存在する。
 瞬動とは掻い摘んで言うと「魔力で強化された踏み込み」であるため、
 @一度踏み込むと移動中に方向転換ができない。つまり一直線に進む動きしかできないのである。ただし連続で瞬動を使えば"ある程度は"解消できる。
 A「入り」に入る動作を悟られると、簡単にその後の移動方向が読まれてしまう(瞬動は直線的な動きであるため、方向を悟られる事は致命となる)。これによって、「瞬動に入った」と相手に悟らせない「精度の高い入り・抜き」を行う必要に迫られる。
 これが雑だと、いくら連続で瞬動しようが実力者には通用しない(ハイレベルな魔法戦闘になると、瞬動の入りが判るのと判らないのでは大きく違う)。

虚空瞬動:
 文字通り、虚空=何も無い場所=空中で瞬動を行う技術。理屈?知らん。
 瞬動の弱点@を完全に克服できる技術であるが、弱点Aは変わらず克服されていない。

>シロウなの!? うわあ久しぶり!!」
 ネギ・アーニャ・ネカネ・士郎は顔見知りで、士郎とネカネは互いにケータイ番号とメルアドを交換している仲です。
 でもこの設定は正直じゃま。敬語で話さないネギって書きづらいんです。ネギらしさを出しづらいので。

>「てんちょーさーん
>「衛宮さん会計お願ーい」
>「えーみやさーーん」
 士郎は生徒達にとても親しまれております。女子中学生と仲良いとか……滅びろ。

>この対局は私の勝ちだ。諦めて士郎の店のツケを払うんだな」
 人知れず従者の為に頑張るエヴァ様でした。彼女の出番が少ない……!

>先日広場でまき絵達にちょっかいを出してきた上級生
 原作では即日に仕返ししに来たウルスラ2−Dですが、この小説では禍根を引きずって後日に仕返しするという、ねちっこい人々と化しています。
 ごめんなさい英子さん……。

>(…なんで刹那は真名にからかわれるとすぐ取り乱すんだ?)
 しょっちゅう士郎のことでからかう真名、からかわれる刹那。いい関係だと作者は気に入っています。
 そして士郎は色々と気づかないw

>アルトリアに入れない千雨が悔しそうに店内を窺っていたという。
 前話の補足・解説に書いた設定です。
 千雨ちゃんはシャイなのです(ちょっと違う)。

>「…あれ、お代は……」
 刹那の担任であるネギがこの場に居ますが、ネギはまだ子供なので、彼の雇い主である近右衛門にツケました。



 次回、『ネギま!―剣製の凱歌―』
 「第4話 期末テストと図書館探検」

 それでは次回!

■作家さんに感想を送る
■作者からのメッセージ
 今回、以前にお話しした通り顔文字を使用いたしました。今後も使う事がありますが、何卒ご容赦を。

 基本的に、「剣製の凱歌」主人公である士郎のポジションは今回のような感じです。
 ほぼ原作通りの展開に、士郎がちょっと関わっていく。そんな感覚です。
 章によっては士郎がメインを張る機会もいずれ訪れますが、今は影が薄い主人公をお楽しみください(笑)

 誤字脱字、タグの文字化け、設定やストーリーの矛盾点等お気づきの点がありましたら、感想にてお知らせください。

2012/11/9…文章を加筆修正しました。
2012/11/9…あとがきの内容を変更しました。
2012/11/10…補足・解説を修正しました。
2012/12/5…サブタイトルを変更しました。
2012/12/12…微細な変更を行いました。
テキストサイズ:16k

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