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IS インフィニットストラトス〜黒騎士は織斑一夏〜 第八話
作者:AST   2012/07/06(金) 21:04公開   ID:GaMBFwOFFuY
 「で?女の園って奴はどうなのよ?」

 「何?」
 
 一夏は久々に休日を利用して、中学生時代の悪友である五反田弾の家に来ていた。

 
 
 
                   第八話
 
 
 
 「・・・・・一昔前のパンダの気分だ。」
 
 「ああ・・・男が物珍しいのか」
 
 どこか納得したような表情の弾だが、更に聞いてくる。
 
 「でもさ、良い思いしているんだろ?」
 
 「いや、そうでも無い。」
 
 嘘だ!!と読者の心境を代弁しておこう。箒のフルヌード見た癖に、それは無い
 
 「男なら肩身が狭い思いをするぞ・・」

 「でも、男なら一度は憧れるよな。自分以外は全員女子なんてシチュエーション」

 「実際はそんなに甘いモノでは無いぞ?」

 はぁ・・・と一夏は羨ましそうに言う弾に溜息を吐きながら言う。

 「お前の事だ。もしお前が俺の代わりに入学したのなら、ビクビクしながら生活する事になるだろうな・・・」

 「なっ、そんな事ね〜よ!」

 「中学時代に同級生の女子に告白されたのに、怖気づいて断ったのは誰だ?」

 「ぎゃああああっ!!黒歴史を言うなぁぁッ!!」

 頭を抱えて悶える悪友を見て一夏はやれやれだな・・と思った。

 普段スケベでお調子者な奴には、告白されると三種類のタイプに分かれる。

 その一、いつもの様に軽いノリでOKする奴

 その二、いざとなるとビビッて怖気づく奴

 その三、こういう時にはシリアスで真面目になる奴

 どうやら弾は二番目だったらしい・・・・

このタイプは自分が好きな奴以外に告白されると、どんなに美形でも勢いやテンパったりで断ってしまう事が多い

 弾は例に漏れず、このパターンだった。

「彼女は俺たちの間でも一番人気だった。美形、清楚、器量良し、品行方正、文武両道」

 学園のマドンナともいえる彼女を振ったなんて物凄く勿体無い。

 実際にその後、級友達にフルボッコにされたのだ。

 「すいません!俺が調子に乗ってました!!」

 土下座までして頼み込む弾

 かなりの黒歴史だったらしい

 ちなみにその時の断った理由“俺が好きなのは蘭だ!!”

 咄嗟に出たシスコン発言で彼女は泣き出した。

 その後に一夏が彼女を慰めるために言った言葉“まだまだ人生は長い”

 「鈴や箒に再会できて良かったが・・・」

 「ああ、鈴と前に言ってた最初の幼馴染か・・・」

 「彼女等には感謝している・・・」

 そう言う彼の表情は何処と無く柔らかく、優しい目をしていた。

 すると、いつの間にかカメラを持っていた弾が一夏の写真を撮っていた。

 「何のつもりだ?」

 「お前がそんな顔をするのは滅多に無いからな・・写真にして売る。」

 「別に構わんが、俺の表情など買う奴などいないぞ?」

 はぁ・・分かってないな。この鈍感は・・・と、思った弾

 すると、突然ドアが蹴り開かれた。

 「お兄、お昼出来たよ。さっさと食べに来なさ・・・・・」

 「久しぶりだな。蘭」

 「い、一夏さん!?」

 弾の妹、五反田蘭

 かなりの美少女で、名門のお嬢様学校に通っている。

 しかし、今の恰好は一種の下着にも近いラフな格好だった。

彼女は慌てて陰に隠れると身なりを整えてから、彼の前に出てきた。

 「い、いやっ・・あの・・来てたんですか・・?」

 「ああ・・今日は家に物を回収するついでに寄ってみた。」

 「そ、そうですか・・」

 「蘭、お前なぁ・・ノック位しろよ。恥知らずな女だと思われ__うぇっ!?」

 蘭は拳を握りながら弾をギロリと睨む。

 「何で言わないのよ!?」

 「ああ・・いや・・言ってなかったか?そうか、そりゃ悪かった・・アハ、アハハハハ・・」

 蘭に乾いた笑いを返す弾を見た一夏は

 “彼女の方が強いか・・・これも女尊男卑・・・か?”

 と、何か間違った方向に考えていた。

 蘭はそそくさと部屋を出て行く

 「あの・・一夏さんも一緒にお昼どうぞ・・・まだ・・でしたよね?」

 「ああ、頂こう。ありがとう」

 久しぶりに彼らの実家、五反田食堂の食事が食べれる事もあってか

 滅多に表情を変える事の無い一夏が・・・

 「えっ・・・・・・?」

 「マジかよ・・・・」

 優しく微笑んだのだ。

 弾も思わず呆けてしまう程の衝撃だった。

 それでもカメラのシャッターを切っていたのは奇跡であろう

 「はううううううううううッ!!!!?」

 一夏に恋する乙女である蘭には幕引きの一撃になってしまった様だった。

 ポオオオオオオオオオオオッ!!!!と凄まじい勢いで蒸気噴射すると猛ダッシュで食堂の方に降りて行った。

 「・・・・・何だったんだ?」

 「まさか、お前の微笑みをゲットできるとは・・これ一枚で四桁・・いや五桁行くかも・・」

何が何だかよく分からなかった一夏は、とりあえず食堂に降りて行った。

 すると、着替えてきた蘭が待っていた。その表情は紅く、正に恋する乙女だ。

 「あ、あの一夏さん。ゆっくりして行ってくださいね・・」

 「ああ・・いつ食べてもここの飯は美味い」

 「そ、そうですか?」

 その言葉に蘭は嬉しそうにする。

 「蘭の嫁に貰える男は幸せ者だな・・」

 「ふえっ!?」

 一夏が何気なく言った言葉で真っ赤になる蘭

 「それに、随分と綺麗になったな蘭」

 「あう・・・ありがとうございます」

 プシュシュ〜と顔から蒸気を出しながら答える蘭は可愛らしかった。

 「そう言えば、蘭もIS学園を受けるんだったな・・・」

 「はい!簡易適性検査ではAでした。」

 「そうか・・・」

 一夏は目の前の可愛らしい少女がISを纏い戦う様子を想像する。

 しかし、その想像はネガティブな方へと向かって行く

 “もし戦争が起これば蘭も戦う事になるのだろうな・・人を殺し、殺されるかもしれない戦場へと・・・”

 しかし彼女の人生に口出しする様な権利は無い、ならば自分はせめて彼女が死んでしまわない様にするしか無い

 そう考えた一夏は蘭に言った。

 「もし、IS学園に合格できたのなら俺がしっかりと面倒を見てやる。」

 「えっ!?い、一夏さんが・・・?」

 「ああ、手取り足取り教えてやる。幸い優秀な先輩もいるしな・・」

 「手取り足取り・・一夏さんが・・・」

 何か妄想をして赤くなっている蘭

 「弾、蘭の事は任せておけ。俺がずっと面倒を見てやる。」

 「ほ、本当ですか!!?」

 正にこの世の春だと言わんばかりにテンションが鰻登りになっている蘭

 「ああ・・任せろ」( IS的な意味と学園生活的な意味で )

 「約束ですよ!?」( 人生的な意味、婚約的な意味で )

 明らかに何かが致命的に食い違っているが、それに弾が気づいたものの口に出したら人生が終わるので口には出さない

代わりに一夏に言う

 「はぁ・・お前って学校でもそんなんだろ?」

 「ああ・・何故か、箒や鈴に怒られる。」

 その言葉を聞いて弾は鈴の事を思う

 “苦労してんだろうな、鈴の奴も・・・”

 その後、一夏から聞かされた鈴のプロポーズ自爆話に、弾は男泣きするのだった・・・・



 さて、ここで一つ、過去の話をしよう

二年位前の織斑一夏と五反田蘭の話を・・・・・

蘭は今でこそ一夏に想いを寄せているが、出会った最初の頃は違っていた。

彼と初めて会った蘭は、その雰囲気や口数の少ない寡黙な所から苦手意識を持っていた。

そんな彼に恋心を持つようになったのは蘭が不良に絡まれていた時だった。

彼女の近くを偶然通りがかった一夏は、不良共を成敗して蘭を助け出した。

緊張が抜けて泣き出した蘭を胸の中で泣かせた後、腰が抜けて立てない蘭を背負い家まで送り届けたのだ。

ぶっきらぼうな言葉しか掛ける事が出来なかったが、逆に年上でハードボイルドな雰囲気と合わさって、蘭は安心する事が出来たのだ。

彼女を送り届け、何も言わずに去ろうとした所、彼女の祖父である五反田厳に気に入られて、会う度に蘭を嫁にとか言って来るのである。

一夏は幼い頃から相当有名で、女子に媚びず、堂々としており大人顔負けの正論と腕っぷしで男女間の問題を解決してきた。

今の時代には珍しい一匹の雄として威風堂々と女性の世の中に立っているのだ。

他にも説教や相談に乗って暴走族の更生を行ったり、虐められっ子を救ったり、人命救助を行ったりしていた。

その活躍ぶりと彼に救われたりした恩義などで、一夏を慕う集団が出来てしまったのだ。

といっても、彼らは一夏の舎弟みたいな者達で、彼を筆頭にして世の男たちを纏め上げて、男としての尊厳を守り、女性に負けない強い男を目指したり、虐げられている男を救い上げると言った行動をしている。

この活動は意外にも日本だけで無く、世界の各国にまで及んでおり

織斑一夏は実質的に女尊男卑の世界に負けない男達の旗頭でもあるのだ。

彼がISを使えた事によって、更にその運動は活発になってきてはいるが・・

どうも女尊男卑の世界によって甘い蜜を啜っていた政治家の一部による鎮圧行動もあったらしい

名目としては“男性のみの団体を組織する事で女性に対する治安の悪化を防ぐ為”

つまり集団に女性が入ってないのは不平等だろうと言っているのだ。

これには流石の一夏も“こんな時だけ男女平等を謳うか”と呆れた。

それでも彼らは一夏を尊敬し、日々男を磨き、尊厳の回復に努力している。

マキナ一夏は原作の一夏とは比べ物にならない程の影響力を持っているのだ。

これも彼の人徳や性格や生き様のお蔭なのだが・・・

その日、一夏が帰ってからの五反田家は、大騒ぎの盛り上がり様で、舎弟達が彼に会えなかったことに悔んだり“俺たちの蘭ちゃんと兄貴の婚約記念パーティー”とかが開かれていたりした。

当の本人一夏が知らぬ間に、フラグがとんでもない発展を遂げるのだった・・・





月曜の朝、いつもの様に賑やかな教室に入ると、クラスメイト達がISスーツのデザインについて話し合っていた。

真耶がISスーツについて説明して、クラスメイトに弄られていると

千冬がやって来てHRが始まった。

「では、山田先生。ホームルームを・・」

「は、はいっ!ええっとですね、今日はなんと転入生を紹介しますッ!しかも三名です!」

「「「「「「ええええええっ!!?」」」」」」

驚きの声が上がった直後、クラスの戸が開いて三人の外国人が入って来た。

その姿を見た途端、静粛になる教室

何故なら、その内の一人は男だったのだから・・・

しかし、一夏が見ているのはそっちでは無く三人目の方だった。

ニヤニヤと小悪魔の様な笑顔で一夏を見る少女

一夏はこれからの生活に多少の不安を抱くのだった・・・


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■作者からのメッセージ
はい、シャルとラウラに加えて、白アンナちゃん襲来

そしてダークホースの蘭
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