ここは全年齢対応の小説投稿掲示板です。小説以外の書き込みはご遠慮ください。

IS インフィニットストラトス〜黒騎士は織斑一夏〜 第九話
作者:AST   2012/07/06(金) 21:14公開   ID:BDCE5W2kfjg
「初めましてフランスから来ました。シャルル・デュノアです。この国では不慣れな事が多いと思いますが、よろしくお願いします。」
 
 転校生の一人、金髪ブロンドヘアーを後ろで三つ編みにした転校生が自己紹介をした。
 
 「・・・男?」
 
 「はい、此方に僕と同じ境遇の方がいると聞いて本国より転入を___ 」
 
 クラスの誰かが呟いた言葉を律儀に返すシャルルは貴公子の様なイメージだった。
 
 「きゃ・・・・」
 
 「はい・・・?」

 「きゃああああああ!!」

 教室が揺れる程の歓声が響いた。
 
 「男子!二人目の男子!!」

 「しかもウチのクラス!!」

 「美形!守ってあげたくなる系!!」

 「地球に生まれて良かった〜〜〜〜〜〜!!!」

 そんな中、一夏はシャルルの事など見ていなかった



         第九話



 「あー騒ぐな。静かにしろ!」

 千冬が一喝すると、騒がしかったクラスが静かになる。

 「そ、それじゃ、次の人お願いします。」

 真耶がそう言うが、左目に眼帯をした銀髪ストレートの少女は無言のままだった。

「・・・・・・・」

「えっと・・・」

 「挨拶をしろ。ボーデウィッヒ」

 「はい、教官」

 千冬が言うと彼女は従った。

 「ラウラ・ボーデウィッヒだ。」

 「あの・・以上ですか?」

 「以上だ。」

 ラウラは一夏の方を見て、彼に近づいた。

 「・・・何だ?」

 「貴様が・・・」

 彼女が手を振り上げようとした途端、もう一人がその手を掴んだ。

 「っ!放せ、シュライバー」

 「落ち着きなよ。キミがどこで誰と戦おうが構わないけど、ここでは止めてほしいな。ボクが挨拶してないからさ。」

 “それにザミエルが黙ってないよ?”

 シュライバーがそう言うとラウラは舌打ちしながらも下がった。

 「じゃ、僕の番だね。僕はアンナ・シュライバー。聖槍騎士団黒円卓第十二位『悪名高き狼フローズヴィトニル』」

 その言葉に数名のクラスメイトは凍り付く

IS部隊で世界最強と噂される聖槍十三騎士団の事は世界中で有名だからだ。

「ふん、どうやら抑えきれ無かった様だな。」

そう言って教室に二人の女性が入って来た。

一夏は彼女等の姿を見た途端、驚愕の表情をした。

「大佐殿!中佐殿!」

ビシッとラウラが敬礼する。

「お前は・・」

「久しぶりだな。ブリュンヒルデ」

彼女こそドイツ国家代表、第二回モンド・グロッソ優勝者にして織斑千冬のライバル

「エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグだ。ボーデウィッヒの御目付役としてきた。」

「「「「きゃああああああああああ!!!」」」」

途端にクラスが騒ぎ出す・・が

「黙れ、小娘共!!」

彼女の一喝で終わった。

「大佐・・」

やれやれと疲れたような表情してもう一人の女性、ベアトリスは言った。

「ベアトリス・ヴァルトルート・フォン・キルヒアイゼン少佐です。強引な大佐の副官をしていますので苦労が絶えません。」

ベアトリスがそう言った途端

「ほう・・どうやら上官に対する敬意と云うものが無い様だな。キルヒアイゼン?」

「ヒィィィッ!!?ち、違うんですよ大佐!時たま強引すぎる大佐に苦労させられているって言うか、常識人の私が苦労させられているって言うか・・」

墓穴を掘るベアトリス

「私が非常識だと言いたいのだな。貴様は・・・」

「ち、違いますよ!大佐が恋心を忠誠って言ってるから他の女に獲られるなんて・・」

・・・・あ、死んだ。

テンパって言ったベアトリスの言葉とエレオノーレから立ち昇る黒い瘴気にクラス全員がそう思った。

「キルヒアイゼェェェェェェェェン!!!!」

「ヒィィィィィィィィィィィッ!!!!!!!????」

瞬間、脱兎の如く逃げ出したベアトリスと、悪鬼羅刹の様な形相で追いかけるエレオノーレ

Dead or Aliveな鬼ごっこが始まったのであった。

頭を片手で抑えている千冬

ポカーンとしているクラスメイト達と不思議そうにしているラウラ

「何故、大佐殿はあんなに怒っていたのだろうか?」

「それ、本気で言ってるの?」

ラウラに突っ込むシュライバー。

「皆、気にしないでね?いつもの事だから」

シュライバーはクラスメイトをそう言うのだった。

「あー、んんっ・・ではHRを終わる。各人はすぐに着替えてグラウンドに集合。今日は二組と合同で模擬戦闘を行う。解散!」

準備しようとして、一夏は千冬に呼ばれる。

「織斑、お前はデュノアの面倒を見てやれ。同じ男子だろう。」

「・・・了解」

千冬はさっさと教室を出て行った。

「君が織斑君?初めまして、僕は・・」

「後にしておけ。時間が無い。急ぐぞ」

「それもそうだね。」

シャルルの手を取り、一夏は走り出す。

“柔らかいな・・これで男子か・・・無理がありすぎるぞ”

ちらりとシャルルを見ながら、一夏はそう思うのだった。

「シャルル、身構えていろ・・」

「え、どうしたの?」

すると

「あ、転校生と織斑君発見!!」

「金髪で緑の瞳もいいね・・」

「織斑君と手を繋いでる!!」

女子生徒達が至る所から出現し、二人を取り囲もうとする。

「くっ、こっちだ。」

横の通路に逃げ込む二人

「逃がすな!!」

「者共!であえ!であえ!」

女子が更に増える。

「捕まってろ」

「えっ!?ちょっ、うわあああッ!!?」

シャルルを抱えると壁を蹴っての移動で包囲網を突破する一夏

何とか更衣室までたどり着くと、急いで着替えを始める。

「急げ、時間は余り無い。」

「う、うん。」

一夏は一気に上着を脱いだ。

すると鍛え上げられ、バランスのとれた無駄の無い肉体が露わとなる。

「わぁっ!?」

シャルルが変な声を上げるが一夏は気にしない

「・・・・どうした?」

「いや、なんでもないよ?ちょっとあっち向いてて・・」

そう言うシャルルに一夏は

「・・別にお前が女であろうと気にしないが?」

「____ッ!!!!?」

その言葉に固まるシャルル

一夏はシャルルの様子を気にもせずに続ける。

「お前にも事情がある様だが・・辛いのであれば助けを求めろ。手を差し出せ、少なくとも俺は見捨てない。後、一夏でいい」

そう言って着替えを続ける。

「・・・ありがとう」

シャルルは一言言って着替えるのだった・・・


何とかグラウンドに到着した二人の前に千冬が仁王立ちしながら待っていた。

「遅い、もう少し早く来れる様にしろ」

「了解」

「では、今日から格闘訓練及び射撃訓練を実施する。」

「はい。」

皆、本格的な戦闘訓練ともあってか気合が入っている。

「今日は戦闘を実演してもらおう。ちょうど血気盛んな十代女子もいる事だしな・・・鳳、オルコット!!」

「うぇっ!?」

「な、何故私まで!?」

「お前等、少しはやる気を出せ。アイツに良い所を見せられるぞ?」

その言葉に二人はやる気を見せる。

「やはりここはイギリス代表候補生である私の出番ですわね!!」

「まぁ、代表候補生の実力を見せるいい機会よね!!」

やる気が一気に上がっている。

「二人の相手をするのは___」

するとキィィィィンという音と共が聞こえたので上を見ると

「あああああ!ど、退いてください〜〜〜〜〜〜!!」

ISを纏った真耶が落下してきている。

そして一夏に激突・・・・・せずに一夏がズンッ!!という音と共に真耶をお姫様抱っこでキャッチしていた。

グラウンドの大地がひび割れている事から、相当な衝撃がかかった事が分かる。

「・・・っ」

「あ、ありがとうございます。・・って織斑君大丈夫ですか!?」

キャッチした一夏が僅かに表情を歪めている事に気が付いた真耶が心配そうな声を上げる。

「問題ない、足が痺れただけだ。」

そう言って真耶を降ろして、脹脛をマッサージする。

「無茶をするな・・・」

「問題無い。」

千冬が一夏に声をかけるが気にした様子が無かった。

「さて、お前達二人の相手は山田先生だ。」

「えっ!?」

「流石に二対一では・・ちょっと・・」

少し戸惑ったように言う二人に、千冬は不敵に笑い

「安心しろ。今のお前達ならすぐ負ける。」

そう言われてムッと来たのか、二人は戦闘態勢に入る。

「手加減しませんわ!」

「行くわよ!!」

「い、行きます!!」

一夏は目つきが変わった真耶を見て

“・・戦士の眼をしているな”

普段は頼りない先生であるが、流石はIS学園の教師。

“教師足り得る実力は有ると言う事か・・・”

そう考えていると、千冬がシャルルに真耶の纏っているISの説明をさせていた。


「山田先生の使用されているISはデュノア社製「ラファール・リヴァイヴ」です。第2世代開発最後期の機体ですが、そのスペックは初期第3世代型にも劣らないもので、安定した性能と高い汎用性、豊富な後付け武装が特徴の機体です。現在配備されている量産型ISの中では最後発でありながら世界第三位のシェアを持ち、七ヶ国でライセンス生産、十二ヶ国で制式採用されています。特筆すべきはその操縦の簡易性で、それによって操縦者を選ばないことと多様性役割切り替えを両立しています。装備によって格闘・射撃・防御といった全タイプに切り替えが可能で参加サードパーティーが多いことでも知られています」

シャルルが説明していると千冬が説明を止めさせた。

「ああ、もういいぞ。もう終わる。」

上空では爆発が起きて、セシリアと鈴が地面に落ちた。

「くぅ・・まさか、この私が・・」

「あんたねぇ!何面白い様に回避先を読まれているのよ!」

「鈴さんこそ、無駄にバカスカと衝撃砲を撃つのがいけないんですわ!!」

「それはこっちの台詞よ!!何ですぐビット出すのよ。しかもすぐにエネルギー切れるし!!」

「ぐぐぐぐぐぐぐぐっ!!」

「ぎぎぎぎぎぎぎぎっ!!」

睨み合って文句を言いあう二人を無視して千冬が言う

「さて、これで諸君らにもIS学園教員の実力が理解できただろう。以後は敬意をもって接するように!!」

そしてパンパンと手を叩き続ける。

「専用機持ちは織斑、オルコット、鳳、デュノア、ボーデウィッヒ、シュライバーだな!では六グループに分かれて実習を行う!各グループリーダーは専用機持ちがやる事。良いな?では、別れろ。」

「織斑君!!お願いします!!」

一夏の元に女子が殺到したので千冬が一喝してグループ分けをしてくれた。

取り敢えず、マキナ一夏はやるべき事をやったと言っておこう

・・お姫様抱っことか、良く出来ましたのキスとか



昼休み、鈴に誘われて屋上で一緒にランチタイムを過ごしている。

そこにはセシリアや鈴、シャルルまでもが居た。

なんやかんや言い合っていたが、時間が無くなると言う事で一緒に食事をする事にした。

「一夏、はい。これ」

「む・・・これは・・・」

「時間が無かったから、急いで作った物なんだけどさ・・」

一夏は有無を言わさずにその弁当を食べる。

「美味い、上達したな鈴。いつ嫁に行っても問題ないな。」

「は、はぁ!?と、とと当然でしょ!!」

顔を紅くして言う鈴を可愛らしいなと思いながらシャルルの口元にも運ぶ

「ふぇ!?い、一夏!?」

「美味いぞ?」

しどろもどろになりながらも、シャルルは鈴に申し訳なさそうな目を向けてから食べる。

「あ、あ〜ん」

パクンとシャルル食べる。

「う、うん。美味しいね。」

「だろう?」

シャルルは顔を紅くしている。

「む・・・・・・・」

「むぅぅぅぅ〜〜〜〜〜」

「ぐぐぐぐぐ・・・・」

箒、セシリア、鈴は女の直感で何かを察知したのだろう。

「一夏さん。私のも召し上がってくださいな」

そう言ってサンドイッチを取り出したセシリア

受け取りそれを食べる一夏。

「甘い・・デザートサンドイッチか?」

「えっ!?そんな・・・」

セシリアも食べてみるが・・・

「甘いですわ・・・」

どうやら味見をしていなかったらしい

「では、私のも・・」

箒が弁当箱を差し出してくる。

とりあえず唐揚げを食べてみると

「美味いな、お前も良い女になったな。」

「そ、そそそ、そうか!?」

「ああ、何なら嫁に来るか?」

「ななななななななぁ――――――――ッ!!!???」

ポヒュ〜〜〜〜〜〜〜〜と顔を真っ赤にして蒸気を上げる箒

一夏は彼女の様子に構わずに鈴の方へと向く

「それとも鈴が来るか?」

「ふええええええええええ―――――――――ッ!!!???」

鈴も箒と同じ様に顔から蒸気を上げて真っ赤になる。

「セシリアは・・・花嫁修業が足りないな・・」

セシリア的翻訳(俺の嫁になる為に料理が上手くなってくれ)

「はい、頑張りますわ!!」

何か色々と間違っているような気がするが気にしない。

すると更に

「やあ、マキナ」

「シュライバー・・・」

嘗ての同僚がやって来た。

「久しぶりだね・・・・いや、此方では初めましてと言った方が正しいかな?」

「どちらでも構わん。」

二人が話すと黙っていないのが乙女達。

「一夏、この女とはどういう関係だ!?」

「そうよ!何か仲良さ気だし!!」

「まさか・・・」

口々に言う彼女等にシュライバーはニヤリと笑うと

「そうだなぁ・・・何度ヤりあった仲かな?・・色々と」

ビシリッ!!と空気が凍り付いた。

「待て、何かを勘違いしているぞ。」

「「「死ね!!!」」」

「______ッ!!!?」

嫉妬に駆られた女は時に何物にも勝る。




ボロボロにされた一夏はシュライバーに連れられてある部屋に来ていた。

中に入るとエレオノーレとベアトリスが居た。

「久しぶりだな。マキナ」

「お久しぶりです。マキナ卿」

「ああ・・久しぶりだな。」

取り敢えず用意された椅子に座る。

「まさか貴様が織斑一夏だとはな・・・」

「ホント、不思議ですよね。」

口々に言う二人に一夏はむぅ・・と唸る。

「まぁ、世間話は良いとして、この世界にニートが現れた・・しかし永劫回帰の世界では無い。ISコアにエイヴィヒカイトがある。貴様はどう考える?」

エレオノーレが一夏・・マキナに問う

「俺にもわからん。奴がISコアに仕組んだ理由も、乱入した理由もな・・」

「そうか・・ハイドリヒ卿は今、亡国企業の調査をしている。」

「亡国企業?」

初めて聞く言葉にマキナが聞き返す。

「ええ、何十年も昔から存在すると言われている犯罪組織です。目的は不明、未だに手がかりも掴めていないのが現状です。」

ベアトリスの説明を聞き、マキナは言う。

「昔の俺達みたいだな」

「ああ・・・・だが、奴らの好きにはさせん。その為に此方に来たのだからな。」

「成程、俺か。」

「その通りだ。世界でただ一人の男性操縦者だ。サンプルやISは欲しいだろうよ。」

「・・男は二人だが?」

その言葉にエレオノーレは本気で言っているのか?と言う目をした。

「まさか、あんな奴が本気で男だとでも思っているのか?」

「いや・・それは無い」

するとベアトリスが資料を開いて読み上げる。

「本名はシャルロット・デュノア、デュノア社社長と妾との子供です。母親が死んでから父方の方に引き取られたようですが、この報告から見ると道具扱いらしいですね。フランス政府も一枚かんでいますね。失敗してもトカゲの尻尾切りをすれば良いだけですから・・」

そう言うベアトリスの表情は不愉快そうだった。

「ふん、お前がどうするかは勝手だが、やるからには最後まで面倒を見ろよ?」

「ああ・・・情報感謝する。」

そう言って、また後日に話し合いをする約束をしてマキナは一夏に戻る。

「ハイドリヒ、お前はこの世界をどう見る?」

そう呟くと一夏は授業を受けるべく教室にと向かうのだった・・・・


■作家さんに感想を送る
■作者からのメッセージ
黒円卓襲来
テキストサイズ:11k

■作品一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集
Anthologys v2.5e Script by YASUU!!− −Ver.Mini Arrange by ZERO− −Designed by SILUFENIA
Copyright(c)2012 SILUFENIA別館 All rights reserved.