おっす、おら隆也。
今回はまりものサービスシーンがあるらしいぞ。
なんかおら、わくわくしてきたぞ。
画面の前のおめえらも、ティッシュの用意はいいか?
え?毎度のこととはいえ、前回のシリアスな引きはどうしたって?
いやだわあ、奥さん。
昔の人は言いました、それはそれ、これこれ、と。
そんな昔の話を引きずってちゃ、新しい恋はできないぞ。
ってなわけで、毎度懲りずにやってまいりました。まりものご開帳コーナー。
ご開帳って、なんかエロいな。
基本情報
名前:神宮司 まりも
性別:女
年齢:9歳
身長:126cm
体重:27kg
身体能力情報
筋力:121(180)
体力:158(180)
俊敏:157(180)
器用:143(180)
感覚:392(180+300)
知力:157(180)
精神:399(180+300)
気力:133(180)
惜しい、あまりに惜しすぎる。
なんだよ、399って。目標まであと1じゃないか。もっともっと熱くなれよ。
たった1だよ。やればできるって。おれだってこの世界でがんばってしじみ、げふんげふん、いやなんでもござらんよ?
というわけで、精神の能力値が目標の400まであと1足りない。
そう言えば、妖怪1足りないってのがいたな。TRPGの卓によく出没するやつ。
通常技能情報
・語学:431
・歴史系勉学:239
・外国系勉学:398
・文系勉学:731
・理系勉学:427
・医療系勉学:203
・家事:291
・近接格闘術:102
・剣術:501
etc…
なんかまりものやつ英語に興味があるみたい。
外国系勉学ってあるけど、中身を見ると英語398ってなってたし。
なんかあるのかと思って聞いてみると、
「英語っておもしろいんだよ。英語で書かれた本もだいすき」
なんてきらきらした目で言っていた。
でもなあ、今の英語ってのは立場が微妙なんだよな。
正確に言えばアメリカの立場か。
なにせ相手は戦勝国で、日本人が精神のよりどころとしていた征夷大将軍の権威を形骸化させた犯人だ。
当然、国民感情は悪い。
坊主にくけりゃ袈裟まで憎い、の原理で米国公用語の英語も疎まれている。
でもまあ、まりもが好きって言うんならそれでいいだろう。
人間、好きで夢中になれるもんがあるにこしたことはないからな。
格闘術はおれが指導しているせいか。近接格闘術に変化していた。
剣術の腕前も順調に上がっている。大人と打ち合ってもいい勝負をするだろう。
特殊技能情報
・狂犬(Ver.Ex)
・狂犬(Ver.AL)
・思考制御
・思考高速化
・思考並列化:LV2
・感覚強化:LV2
・気練成
・気制御
・精神強化:LV2
あいにくと目標達成していないから、身体強化のたぐいは今のところなしだ。
というわけで今回はまりもの精神修行といきますか。
精神修行といってなにを思い浮かぶべるだろう?
座禅はもうやってるから、それ以外でだ。
精神鍛錬って、一言でいってもそれを行う手段は実に多岐にわたる。
己自身と向き合うのも、自身を強めるための厳しい鍛錬も、滝に身を打たれ精神を研ぎ澄ますのも、すべて精神鍛錬の一つの姿だ。
ちなみにまりもには全部やらせました。
ええ、心を鬼にして。
「ふふ、まりもんはちんちくりんだな。大人の女の人に比べるとあまりにもちんちくりんすぎるなあ」
「ふええ、ひどいよう、ひどいよう」
そう、己自身と向き合う修行。
「そらそらそら、もっとだもっと気合いを入れて走るんだ!そう、汗でそのスポーツウェアがすけすけになるまで!」
「ふええ、そんなに汗をかいたらひからびちゃうよう」
すなわち、厳しい自己鍛錬。
「ごくり、白襦袢にすけるにゅう…いや、違う、おれはロリではない、ロリではないんだ!」
「ふええ、冷たいよう」
つまりは、おきまりの滝行。
これだけやったかいがあって、精神は驚異的な伸びを見せてくれたんだが、あと一歩が足りなかった。
え?半分はおまえの趣味じゃないかって?
いやいや、ソンナコトハナイデスヨ。
そこで今回の精神修行。
恐怖心の克服による精神力アップ大作戦。
この日のために、おれは近くのビデオ屋で怪談物をチョイスしてきた。
さすがにゾンビ物とかはなかったが、古き良き日本文化の怪談ビデオがあったのは幸いだった。
本当にこの世界ってのは娯楽がすくないんだよな。
テレビでやってるのも軍事色が強いものが多いし、たまに見かけるドラマは時代劇。
時代劇好きだからまあいいんだが。
真っ暗にした居間に、ぼぅっと浮かび上がるブラウン管の画面。
そして響き渡るのはおどろおどろしい音楽。
「ひぅっ」
ふふふ、びびってるびびってる。
おれの横ではまりもが食い入るように画面に見入っている。
怖いけど見たい、見たいけど怖い。
恐怖映像にはそんな不思議な作用がある。狙い通りだ。
ぎゅっ、とおれの手を握りしめるまりもの手の温かさに、心がぽわっとしたのは秘密だ。
そう、おれは今から心を鬼にしなければならないのだ。
「ふええ、怖かったよう」
ビデオの上映が終わり、ほっとしたまりもんが、こちらを向いてきた。
目尻にほんのり浮かぶ涙が痛々しい。
だが、
「え?りゅうや…くん?」
「おぶおえぁあぁぁ!!!!」
「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
自作のスプラッターゾンビマスクを被って、威圧の雄叫びを上げたおれの声をはるかに上回るまりもの悲鳴が、家の中に響き渡った。
「ひっく、ひっく、えぐぅう、ひどいよう、ひどいよう…」
「正直、スマンカッタ」
恐怖の連続から解放されたと思った瞬間を狙ったおれの不意打ち。
今考えれば、心臓麻痺の一つも起こしておかしくなかったな。反省反省。
ネタばらしをしたおれを責めるまりも声に、おれは謝るしかできない。
「?」
そこでおれは気づいた、そう、気づいてしまったのだ。
ソファから湯気が昇っているのに。
そう、つまりまりもは、
「りゅうやくんのばかあああああ!!」
「へぶぇあぁ!?」
まりもの遠慮容赦ない一撃を受け、薄れゆく意識の中でおれは聞いた気がした。
全裸でネクタイとソックスをはいて正座している謎の集団がおれにむけてサムズアップして、
「ぐっじょぶ!すばらしい仕事だったよ」
などとのたまっているのを。