16歳になってしまいました、おめでとう、おれ。やっとというべきか、もうというべきか、西暦は1990年。運命の日まであと11年。
相も変わらずに充実しすぎな日々を送っている今日この頃。
ちなみにおれはめでたく、日本帝国軍所属高等部整備学科に進学できました。
まりもは同じく日本帝国軍所属高等部の衛士育成学科に進学した。
まあ、まりもが戦術機の操縦を出来るに越したことはないんだが、自分から
「私は衛士になる!」
とか言い出したときは、おまえはどこの海賊王だと突っ込みたくなった。
話を聞くと、少しでも早くBETA大戦を終了させてみんなが笑顔で暮らせる世界を取り戻したい、だと。
そんなこと言われたら、反対する理由がないだろう、ちくしょう。
おまけだが、夕呼は日本帝国軍所属高等部特別教養科に一応は籍を置いている。というのも、実質的な籍は帝国大学の応用物理学においているからだ。高等部への進学の際に、国の施策の一環として招聘されてしまったから、さすがの夕呼もこれ以上ごねるのは無理だと判断したようだ。
とはいえ一応籍がある、と言う理由で、ちょくちょく帝都から柊町に戻ってきては、おれと一緒にまりもをからかって遊んでいる。
ちなみに理由を聞いてみると、「京塚食堂の料理がおいしいからよ、べ、別にあんた達といると楽しいなんて理由じゃないんだからね」、と言っていた。
例によって、「クーデレ乙!」とか言ってからかってみたんだが、これまた例によって意味が通じていないはずなのにぼこぼこにされた。なんかもう慣れてしまったな、この展開。
国内の情勢だが、1989年に正式に帝国軍採用が決まった撃震弐型の生産配備が始まった。
帝国本土防衛軍が自分たちが先に配備を正式に決めたんだから、おまえらの配備は後だ、などとのたまわったらしいが、議会の圧力で大陸派遣軍への優先配備が決まったようだ。
そうそう、その大陸派遣軍なんだが国威発揚と自国の技術を世界に知らしめるという名目で当初の目標としていた1991年よりも前倒しで閣議決定されたらしい。
まあ、撃震弐型ならそうそう遅れは取らないだろうが、国威発揚とか下らん国の面子で命を賭ける羽目になる帝国軍将校には、ご愁傷様というしかない。
従来の撃震についても、おれが発案したCPUユニット及び戦術機用OSのセットによるアップグレードにより、劇的な性能の向上を果たした。戦術機用OSについてはF−15などにも流用できるので、試しに使って見たらこれが思いの外高評価で、需要に供給が追いついていない状況だ。
実際のところ、CPUユニットおよびOSの入れ替え前と入れ替え後では、生存率が5割も違っているらしい。うーん、前線での混戦状態では、やはりあれらの機体硬直は致命的な弱点だったか。誰もそれに文句を言わなかったことについては首をかしげざるを得ないが、要望が上がってこなかったのは事実なんだから、それはそれと割り切るしかないか。
ちなみに従来のCPUユニットをファミ○ンだとすると、おれが設計したCPUユニットはP○2になる。P○3じゃないところが微妙なところなのだが、この辺りはさすがに生産設備がついてこないために我慢せざるを得ない。
生産工場が、日本、米国に限られているのが供給を圧迫する一因となっているが、こればかりは生産設備を整えることが出来る国が限られているためいたし方がない。
価格はおれの要望に従って徹底的に低く抑えているため、前線国家からは感謝の嵐が届いているらしい。これでも研究開発費が実質0なので十分な利益が出ているのだが、その辺りは諸事情を知っている小塚さん以外は、なんとも太っ腹なことだと感心しきりらしい。
次に第三代戦術機の開発計画、耀光計画についてだが、おれのアイデアとマクダエル・ドグラム社からもたらされた第三世代の技術情報のおかげで、大きな進展があったらしい。こちらについては喜ばしい限りなんだが、話を聞くところによるとずいぶんと切り詰めた設計を行っているらしく、発展性に乏しい機体が出来上がりそうだとか。むむ、それは由々しき事態ですぞ。
そもそも撃震、F−4があれだけ傑作だといわれたのは、その拡張性、発展性があってのこと。それを切り捨ててまでの開発に何の意味があるのか?従来のラインを切り捨ててまで専用の生産設備を用意するのだから、それなりに長い耐用年数、あるいは小規模な改修で次につながる機体の開発を行えるようにしなけれ意味がないというのに、なんだそのていたらくは。これが平和な世界で、資金も時間も充分にある世界ならわかるが、今は戦時中な上に、なによりも時間がない。
つまりその機体が使えなければ、わざわざ新設した生産ラインが無駄になってしまう、それはおおげさにしても、大いなる損失になるのは間違いない。
これは少々てこ入れが必要か?小塚さんを通して根回しをした方が良さそうだな。
ちなみに、戦術機のモジュール構想は、保留となりましたとさ。折角考えたのにな。
ちなみに利点としては、各パーツのどれかが破損しても、それを取り替えることで再出撃が可能な点。パーツ単位で運用することにより、今までの一体型での改修に施すよりも短期間での新規機能の追加、検証が可能なこと、などがあったんだけど。
とはいえ、完全に没にはならずに、工作機械のモジュール化により、使用用途に応じたパーツ交換による汎用性の向上に寄与したことでとりあえずは我慢するか。言っておくが、戦術機のモジュール化構想、諦めた訳じゃないからな。
海外の動きで言えば、米国が新型爆薬M01の開発に成功した、との大々的発表があった。正確にはマクダエル・ドグラム社の兵器開発部門による開発となっているのだが。
裏の事情を知るおれとしては、なんともコメントのしようがないが、G弾推進派にとってはかなりのダメージになったらしい。今はそれで満足するとしよう。
それとほぼ時を同じくして日本帝国から発表された新機軸のミサイル機構について、マクダエル・ドグラム社が独自に交渉を行い、ハイヴ決戦の切り札となるM01搭載のミサイルの開発に成功。それらの情報は世界中を駆け巡った。
おれの感想としては、なんという出来レース、の一言だ。
仕掛け人の一人としては、計算通り!、とでも言うべきところなんだろうが、なんだかなあ。
ちなみに地下侵攻検知用振動計については、実戦経験の少ない日本よりも、米国の方が説得力があるだろう、ということで、マクダエル・ドグラム社を通じて流通させている。もちろん利益の一部は極秘ルートを通じて、帝国軍技術廠に渡るようになっているらしい。
欧州ではBETAの完全なる封じ込めに成功しつつあるらしい。
スエズ戦線で大規模な侵攻があったらしいが、これもなんとか撃隊に成功したらしいし、実に良い感じだ。
このまま行けば、守勢一辺倒であった人類が攻勢に回るの遠くないかも知れないな。
そう言えば、中東方面、アラビア方面でのBETAの圧力が強まっているらしい。
だがしかし、その方面については八十六式兵装に改良を加えた八十九式兵装を重点的にばらまいている地域だ。下手なことにはならないだろう。
ちなみに八十六式兵装との違いは、大きく3つ。装填弾数の増加、炸薬の改良による攻撃力の向上、銃身の材質の変更くらいだろう。
おれの現在の状況だが、ざっとこんなもんだ。
基本情報
名前:立花 隆也
性別:男
年齢:16歳
身長:173cm
体重:64kg
身体能力情報
筋力:7332(379+10000)
体力:7954(341+10000)
俊敏:8001(387+10000)
器用:6543(353+10000)
感覚:997(821+600)
知力:1300(1093+300)
精神:1191(1207+300)
気力:8002(402+10000)
特殊技能情報
【新規取得のみ抜粋】
・身体強化:LV4(VerUP)
・気強化:LV4(VerUP)
ちなみに驚くべきことが判明した。どうやら気を纏った攻撃でBETAを倒した場合、10匹倒すごとに経験値が+1されるらしい。
というのも、前回のBETA討伐を行った際に経験値が増えていたのに気づいてから、こっそりとBETA狩りを何度か行った結果明らかになったことだ。
たぶん気を纏った攻撃で人を殺しても、同じような結果が得られるのだろうが、さすがにそれは実践していない。というのも、脳内シミュレーションでは経験値が増えないのだ。
さすがに現実で人を殺すわけにも行かず、こればかりは実践で試すわけにも行かないの検証は断念している。
人類の武装強化計画は着々と進んでいる。
技術革新も問題ない。柊町の町工場ではナノレベルでの加工技術が確立されつつある。
ちなみ世界に拡散させている技術レベルもかなりのもので、特許料は日本帝国にがっぽがっぽ入っているらしい。
もちろん、それらの金は前線国家に回されているため、日本帝国が一人で肥太るという状況には陥っていない。
問題があるとすれば、食糧事情だろうか。
BETAによる大陸の地形変更による影響か、農作物が不作な年が増えている。
そのため合成食材で補っているのだが、いかんせん、まずい。
天然食材と比べると、かなりの差がある。
これは検討事項だな。
なにせ食事はこの娯楽の少ない世界において、数少ない娯楽の一つと言っていい。
食糧事情の改善は、すなわち人類の士気向上につながると言っても過言ではない!
というわけで、おれの改善テーマの一つに食糧事情の改善が加わった。
因果に囚われたまりもの未来?
確かに、それは大切だけど、その前にやはり目の前の食糧事情だろう、常考。