「皆さん、本日はご入学おめでとうございます。私はこのクラスの副担任の山田麻耶です。これから1年間よろしくお願いします。早速ですが、これからSHRを始めます」
教卓の前で眼鏡をかけた童顔の女性がSHRを始めると大声で言うが、生徒に無視されて若干涙目になる。
「で、では初めに自己紹介を出席番号順にお願いします」
そう指示すると順番に自己紹介がすすむ中、生徒のほとんどが二人のある生徒に視線を向けていた。
一夏side
(キツイ・・・・・・キツ過ぎるこの状況は!?)
一夏こと織斑一夏はどういう訳か世界で一人目のISを動かすことの出来る男性として半ば無理矢理IS学園に入学させられ現在、周囲からの視線に必死に耐えていた。何とか抜け出そうと窓際に座る幼なじみの篠ノ之箒に目を向けるがプイっと顔を逸らされるし、もう一人の方はガン無視だし・・・・・・
「・・・くん?織斑一夏くん!?」
「は、はい!」
いきなりの大声に驚くと、俺の番になっていて山田先生が頭を何度も下げていた。
「え〜・・・えーっと、織斑一夏です。よろしくお願いします」
ちょっと寂しすぎるかもしれないが、今はこれが精一杯だ。しかしクラスからの「それだけ?」「もっと色々聞きた〜い」という視線が突き刺さる。どうしろってんだ!?
そうしてゆっくりと息を吸い込み・・・
「以上です!」
ガタタタッとコントのように倒れる生徒と山田先生。やっぱ、ダメだったか?
パシイィィィン!!いきなり誰かに頭を叩かれた。痛む頭を押さえながら後ろを振り向くと・・・・・・
「全く、ろくに自己紹介も出来ないのかお前は?」
黒のスーツ姿で片手に出席簿を持つ俺の姉、織斑千冬が仁王立ちしていた。
「あ、織斑先生。もう会議は終わられたんですか?」
「ああ、山田先生。クラスの挨拶を押しつけてしまってすまなかったな」
「い、いえっ。これくらい副担任として当たり前のことですから」
山田先生に微笑みかける千冬姉に顔を赤らめる山田先生。そして教壇の前に立つと
「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが私の仕事だ。私の言うことは良く聞き、良く理解しろ。
出来ない者は出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠15歳を16歳までに鍛え抜くことだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」
力強い自己紹介の後の沈黙が・・・
「「「「「キャアアアアアアアアアアアッ!!!!!」」」」」
「千冬様、本物の千冬様よッ!」
「ずっとファンでした!」
「お姉様に憧れてこの学園に来ました!長野から!」
「お姉様のためなら死ねます!」
生徒の余りのテンションの激しさに呆れる千冬姉、オロオロする山田先生、苦笑を浮かべる俺だった。
???side
・・・面倒だ。いくらオヤっさんから言われたとはいえ、こうも周りがうるさいと落ち着かない。やっぱり断るべきだったか。
この???こそこの世界に転生した主人公こと十種である。彼もまたISを動かせる二人目の男性として入学していた。
「(オヤっさんや姐さんは「友達の一人でも作ってこい!」なんて言ったけど、俺は今のままで十分満足してるしそれに・・・俺のカラダを知ればきっと誰も近寄らないだろうしな・・・・・・にしてもうるさすぎる。もう少し静かにできなのか)」
暫くすると、生徒も落ち着きを取り戻し再び自己紹介が再開する。
「では次に十種くん。お願いします」
自分の番になり短く「はい」と答え席から立ち
「十種です。以上です」
し〜〜んと一気に教室内が静かになる。
「あ、あの終わりですか?」
「他に何を喋ろと言うんですか?生徒は織斑先生の弟さんの方が興味あるみたいですし、自分はこれ位で十分でしょ」
「で、でももう少し何か趣味とか特技とか色々自己アピール出来る事など・・・」
「特にないです。これで良いですか。席に着かせてもらいます」
そう言って席に着く。何人か聞きたそうな顔をしていたが無視することにした。
こんな感じで学園生活最初のSHRは終わった。