たった一つの真実見抜く!
見た目は幼児、頭脳は大人、その名は名探偵俺!!
いや悪ふざけとかじゃなくて真面目にそういう状況なんだよね。
気づけば手足も瞼も重いし、頑張って眼を開いてみたら知らない天井だし!
「だぅー」
としか声が出せないし!!!
主観時間で言えば僅か二日前まで俺は日本で高校生活を満喫していたのだ。
平凡な日々→強敵出現→修行、倒す→新たな強敵→敗北→修行→勝利!!という「なん……だと?」な感じではあったが…………とにかく満喫していたのだ。
元々実家がウンタラナンタラ無敵流ドウチャラ【無駄に達筆すぎる看板のせいで誰も読めなかった。読み方はひい祖父さんの代から怪しかったらしいが………爺は無敵流道場と、まんまの呼び方をしていたな】とかいう名前の時代錯誤な実戦道場だった事もあって、ちいさいころから身体を鍛えていた俺は、色んな厄介ごとに巻き込まれ、色んな異常者に絡まれて、さまざまな輩と殺し合った。
何が悲しくて一般人の俺が殺伐としたことをせにゃならなかったのかはわからないが……色物且つ凶悪さがまるでなかったかませ犬的存在の裏柳生八家やテクニカル御庭番はともかく、世界情勢をも変えかねなかったマッドサイエンティスト村松さんの戦闘機獣ディアボロは強かったさ。
もし妹分の愛妹弁当から奴の弱点が鶏そぼろだと解らなかったら、俺はあの時負けていただろうし世界は暗黒の時代を迎えていた筈。
詳しくは『禁則事項』なので言えないのだが、まったくもって大変だった。
口から王水やら強酸やらを吐き出すあのチワワ…………ディアボロはそこかしこを溶かしたり抉ったりと迷惑千万な代物であり、犬好きの俺や妹分の心を存分に破壊しやがった。
おかげで犬を見るたびに妹分が無刀の居合切りをぶつけようとして俺が止めて………まぁそれはいいか。
話しても楽しいものじゃないからな。
ともかく大事なのは今、この瞬間。
何故こんなに小さくなったのか……………だ。
俺に変な性癖はないから幼児プレイで悦びなんて感じないのに、身体は縮みに縮み、鍛えぬいたはずの拳は柔らかく見るからに脆いものとかわってしまった。
それは困る。
どれくらい困るかと言えばあれだ、一人でファミレスに行ったら男勝りの親友【女】がフリフリエプロンでオーダー取りに来た、ってくらい困る。
だがもっと困る事があるとすればなぁ…………
「レオナルトが変な顔をしているぞリーリア」
「あら本当。オムツかしら?」
「なに?なら早く交換しないとな…………ミナ!来てくれミナァ!!」
「アナタ、煩いですよ」
「お、おぉすまん、つい」
「まったくアナタったら……この子が泣いてしまうわ?」
「あぁ。だがまるで動じていないぞ?瞳にも知性が見える……………うむ。」
寝ている俺を見る二人が美男美女過ぎて直視しづらい所とか、どう考えても外国語を話しているようにしか思えない二人の言語がハッキリと日本語に聞こえてしまう所とかだな。
文字を見た訳じゃないから詳しくは分からないが……口の動きからして英語ではないだろう。
と、それは追々考えていくとして、目覚めてからの話を聞く限り、俺はこの二人の子供だという。
しかも名門貴族【名門!そこ重要!!】の跡取りなんだとさ。
名前はレオナルト・エティエンヌ・ドゥレイ・ド・リシュリュー。
リシュリュー伯爵夫妻の長男だ。
名前、長いよな………………おぼえられるかねえ。