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Exceed a dimension 第五話 仲間
作者:シュウ   2012/07/24(火) 21:43公開   ID:4BdgpqIkjdA


「あれが使徒・・・この世界の歪み・・・」



刹那はモニター越しの使徒を睨んだ。

しかし、すぐいつもの穏やかな顔に戻った。


「刹那・・・?」


アレルヤが心配そうに声をかける。


「なんでもない。気にするな、アレルヤ。」


微笑みながら言う刹那。

しかし、アレルヤにはどこかそんな刹那に違和感を感じた。



「イスラフェルが分裂したですって・・・!?まずいわね、こんなことになるとは想像してなかったわ。」


ミサトは焦りを隠すことができない。


「ミサト!ここは何とかしてやりきるから早く作戦考えてよ!」


アスカの怒号がNERV本部に響く。


「でも相手は使徒よ!?無茶だわ!」


「ああ!もうそないなこと言わんでええって!こっちは三機、向こうは二機!数ではこっちが上や!」


「トウジ君・・・分かったわ、三分間よ。その間、何としてでも切り抜けて!」



「分かったわ!三分と言わず、何時間でも相手してやるわああああ!!!」


「やるしかないで!ここでやれへんかったら、男が廃るで!」



アスカとトウジは既にスイッチが入っている。




「怖いけど・・・僕がやらなきゃ、誰もやらないじゃないか・・・」


先程までの威勢はどこに行ったのか、シンジの手は震えている。


イスラフェルを倒したと思ったら分裂し、更に攻撃の激しさが増していた。


シンジは、その光景に恐れてしまったのだ。



「シンジー!何やってんのよ・・・ってキャア!」


「アスカ!」



アスカがイスラフェルの攻撃を食らってしまった。


「どうしよう・・・アスカが・・・」



シンジはもうエヴァを動かす気力さえなかった。


「(もう・・・ダメだ・・・!)」




「諦めるな!」




NERV本部にいた刹那がシンジに呼びかける。


その場にいた全員が刹那に注目した。




「え・・・」


「お前は何のためにその機体に乗っている。」


「そ、それは・・・」



シンジは黙った。


刹那はシンジの応答を待つ。



「僕は、みんなを守りたい・・・もう誰かが死んでいくのは嫌なんだ。」


「僕が、皆を助けるんだ!」



シンジの叫びとともにエヴァンゲリオンが動き出す。



「刹那君・・・」


「奴の背中を押してやっただけだ。あとは、あいつ次第だ。」



「彼は、面白い子だな、碇。」


コウゾウがゲンドウに話しかける。


「さてな。私には関係あるまい。」


ゲンドウは相変わらず冷たかった。




「うおおおおおおおおお!!!」


シンジが乗るエヴァ初号機のパンチがイスラフェルにヒットした。


「碇!ようやくやるようになったんか!」


「心配かけてごめん。もう大丈夫!」


「ちょっと!アタシにも言うことあるんじゃないの!?」


「アスカ・・・ごめんね。」


「・・・ふん、早くしなさい。作戦時間が過ぎちゃうわ。」


「分かってるよ!」


シンジとアスカとトウジのコンビネーション技がイスラフェルを貫く。



「よし!あと一体―――」


シンジがそう言った瞬間、倒したはずのイスラフェルが復活した。



「なんでや!?あいつは不死身なんか!?」



「解析完了!敵は、二体同時に倒さないと撃墜するのは不可能なようです!!」


マヤが解析したことをミサトに伝える。



「こうなったら・・・」


ミサトが奥の手を出す。


「トウジくんは一旦下がって!」


「はぁ!?なんでや!?」


「いいから!」


「っく、了解や!」



ミサトの掛け声とともに、トウジの乗る参号機が後退し始めた。


「ミサト!何考えてるの!?・・・ってまさか・・・」


アスカはミサトの意図がすぐには読めなかった。

しかし、その後、理由が分かった。



「『シンジ君、アスカとのコンビネーション、できるわね?』」


「【アレ】、ですか?」


「『そうよ。アスカも、それでいいわね?』」


「面倒だけど・・・やるしかないわね。」



「ミサト・・・【アレ】・・・とは?」


「見ていればわかるわ。」



スメラギがよく分からないと言わんばかりの表情でモニターを見つめる。



「いいわね?最初からフル稼働、最大千速でいくわよ。」

「分かってる、62秒でケリをつける。」



そして二人の攻撃が始まる。


二人の攻撃はまるでダンスをしているかのように、優雅で、華麗で、何より美しかった。


分裂したイスラフェルを二人同時に追い込む。



一つになったイスラフェルにシンジとアスカの蹴りが炸裂した。




核を壊し、イスラフェルを撃破。


NERV本部にいた誰もがそのコンビネーションに魅了された。



「ありゃ、すごいな。息ピッタリで敵さん手も足も出てなかったからな〜。」


ロックオンは感動していた。


「なぁ?刹那。」


話を刹那に振る。


「・・・」


刹那は少し黙ってから、


「奴らは俺たちにない何かを持っている。俺たちにはない・・・何かが。」


刹那は真のイノベイターとして進化した。


その力なのか、何かを感じ取ったのだろう。




「ぶっつけ本番だったけど、なんとか行けたわね・・・」


アスカがため息をついた。


「中々やるじゃない。見直したわ。」


「いや、僕だけの力じゃない。」


「え?」


アスカが聞き返す。


「あの子・・・刹那が声をかけてくれなかったら、あのままダメになってたと思う。」


シンジはあの時、刹那に声を掛けてもらったことが嬉しかった。


自分の周りに、そんな人が多くはなかったから・・・


「後で、感謝しなきゃね。」




二人が帰還するその先には、NERVの皆と、ソレスタルビーイングが待っている。




皆が出来る、最高の笑顔で。








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