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正義の紅い魔王 小ネタ 其の一
作者:愚か者   2012/07/26(木) 18:11公開   ID:a7PKEAuTavI

 それは人知れずにやって来た。

 それは、それを扱う事が不可能な人物に発見され――使い手を……否、担い手を待ち続けた。

 そして、それは担い手を見つけた。

 それも三人。しかし、それは敢えて一人を除いた。

 その人物に手を出せば実に  な事を成せる。しかし、同時に手を出すと言う事はそれ自体がとても危険な事で在った。

 故に、残りの二人に標的を絞った。


 ――◆◇◆――


 昼下がりの長閑な時間、草薙護堂は頭を抱えていた。

 一つは、自分の先輩で新たな魔王――えみやしゃ ちゅろう――と自身である七番目の魔王――くささぎ ごろー――に対してである。

 最初、その名前を聞いた時はガクッと脱力した。誰だ、そいつらは。そう思ったのも無理は無い。

 今日此処に呼ばれる原因となったのは、はとこであるさくらさんにカンピオーネの事を伝えた連城冬姫である。

 事実、斉天大聖との死闘前に聞かれたカンピオーネについてはリリアナが如何にかしてくれた。

 しかし、そのリリアナも今回に限ってはまったく・・・・頼りにならない。

 そう、そのリリアナたち・・が護堂を頭を悩ませている二つ目であった。

 何故なら、リリアナとエリカの二人が派手なコスプレをして浅草を賑わせていた。

 挙句、二人は背中合わせでポーズを取り

「二代目カレイド・ルビーと」

「二代目カレイド・サファイア」

 そう言って、視線を衆人に向けた後
「「二人合わせて、カレイド・ジュエリーズ!」」
 と言い放った。

 不思議と護堂は、目から涙が止まらなかった。

「あれ? なんで、ゴドー君が泣いているの?」

「アンタまさか、ああいうのが好みなんじゃないでしょうね」

 さくらに対しては、
「何故か、涙が止まらないんだ」
 と伝え。

 冬姫に対しては、
「絶対違う! 俺は変態じゃない!」
 と叫んで否定した。

 とか言っている内に、コスプレした二人は何処かに行ってしまっていた。

 それがどれだけの危険を放置したのかも知らず……。


 ――◆◇◆――


 賢人議会宛てレポート、【魔術礼装】カレイドステッキが起こした騒動について。

 過日、八人目の王――衛宮士郎――と従者にして最愛の人物――遠坂凛――より現行を上回る技術を用いられた魔術品の回収と封印が行われた。

 遠坂氏曰く、彼ら魔術師の大願である魔法を限定的に使用可能とする魔術品であるとの言。

 しかし、同時にこれは途轍もない爆弾である事が判明した。

 なお、誤解を招かない為に記すが――此度回収された魔術品の使用による死亡性は低い。

 何故なら、魔術品には疑似人格が搭載されており――人死を嫌う事が判明したからで在る。

 なら、何故爆弾と称したかと言うと…………………………………………………疑似人格によって使用者の精神が著しく崩壊しかけるからで在る。

 事実、此度の回収に於いて二名の大騎士が引き籠りと化した。
  ※大騎士二名の名は、本人名誉の為に伏せさせて頂く。

 尚、起こした騒動は下記に記す。


 ――◆◇◆――


 草薙護堂は現在、途轍もない苦行を強いられている。

 事の発端は、一本の電話だった。

『ご、護堂さん! エリカさんが、リリアナさんが!』

 万理裕理からの電話は、要領を得たモノでは無く。先程見かけた二人についての電話だった。

 よって、急いで現場に駆け付けて見れば――そこではコスプレをしたエリカとリリアナの二人が、複数の大人の男性を縄で縛って、鞭で叩いて、罵って、蔑んで、踏み付けて、声高らかに喜びに満ちた声と表情を浮かべていた。

 当然、本来の二人を知っている護堂からすれば――それは在り得ない光景であり、現に今も冷や汗が滝の如く流れ続けている。

「……ど、如何したんだ……あの二人は……」

 その声は震え、言葉にした筈の言葉も掠れて何を口にしているのか聞き取れなかったほどである。

 因みに、コスプレの格好は何処か女王様やSを連想させる様な形に変貌していた。

 そんな護堂を見つけたのか、裕理と恵那の二人が護堂の元に駆け寄って来る。


 ――◆◇◆――


 ルディアの持って来た一件からの旅路から日本に戻って、甘粕さんから報告を受けた時――俺と凛の二人は、一瞬にして石化した。

 大観衆の前で、SMプレイに始まり。秋葉原の歩行者天国での熱唱、ディズニーのパレードに飛び入り参加、銀行強盗に対して演劇宜しく魔術攻撃他、etc.etc.……。

 あ、頭が痛い。

 既に凛は顔を真っ赤にして
「士郎、係わるんじゃないわよ!」
 と言って、自身は関わる気が無いと示した。

 凛にしてみれば、アレを此方の魔術師が預かるというのであればそれに越した事では無いと考えているのだろう。

 恐らく、基礎も不明な魔術技術の結晶を渡されても理解出来ないと踏んでいるのだろう。

 分かり易い例が、何の知識も無い子供にフェルマーの最終定理を解けと言っている様なモノだ。

 でもな、凛。此の侭放って於いたら、最終的には巻き込まれる事になるんだぞ。

 それ故に俺は、甘粕さんと護堂の協力元――ルビー回収へ東方西走する事を決めた。

 結果は成功したが、その過程に於いては――推して測るべきだと言わせて貰う。

 因みに、連城家のお譲様に対しては凛が対応してくれた事を此処に示しておく。


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