四月一日。元の世界で、この日がどんな日か聞くと、十中八九、「エイプリルフール」、と答えるだろう。「トレーニングの日」と答えるヤツは相当のひねくれ者だろう。「綿抜」と答える人は、博識ということになるだろうが。あるいはずばり、四月朔日《わたぬき》さんか。
　
　閑話休題。
　
　しかし、この世界においてはそうではない。この世界の人間ならこう答えるはずだ。「STARTER DECK の発売日」と。



　と、いうわけでやって参りました、カードショップ。いや、それにしても、凄い行列だな。百人以上並んでるんじゃなかろうか。朝６時からご苦労なこった。え？お前もだろうって？その通りだが、その話は後で。
　
　ちなみにこの店は、Ｉ２社の直営店だ。基本的に、最初の内は、「STARTER DECK」を卸すのは、Ｉ２社の直営店、規模の大きいところ、多少名の知れたところ、だけに決まった。
　
　理由は大きく分けて３つ。１つは、単純に人数的問題。２つ目は、予約の問題。少量の予約が多数の店から来たせいで、足りないところ、余っているところが生じるのは防ぎたい。３つ目は、コストの問題。「STARTER DECK」はかなり安いが、その分どうしても、利益率は低くなってしまっている。ということは、いくら売れる商品だとは言っても、ある程度の量を仕入れ、更にいい感じに捌けないと儲けが少なく、最悪赤字だ。一つの店舗が大量に仕入れてくれれば、輸送費もその分安く済み、結果的に利益は上がる。他の店舗にもいずれは卸すけど、当分先だろう。あ、もちろん、デュエルアカデミアの方にもそこそこの量を卸した。

　
　それにしても、この１週間は大変だった。あちこち（世界十二カ国）の宣伝イベントに引っ張り回され、脅迫電話がかかってきたり輸送中のトラックが襲われたり（こういうとき金持ちはイイネ。前もって話を通しておけたので、迅速な対応をしていただけた）、ネットにカード情報、デッキ改造案をＵｐしたり、雑用やったり事務やったり（転生前の人生経験に感謝）、ペガサスさんの口調にイラッとしたり、社長に怒られたり、etc......

　とにかく人手が足りないのだ。というわけで、今日から３日間この店の店員をすることに。え？顔でばれないのかって？いや、サングラスかけて、髪形変えて、タトゥーシール貼ったらあら不思議。まるで別人。タトゥーシールは、ノリというか、でも割と本気だったりもするのだが。ちなみに５Ｄ’ｓのマーカーみたいにしてみた。


「おい、お前ら、あと３分で開店だ。気合い入れていけよ！」
　
　普通、新パック発売日とかに店長がこんなこと言うのかどうか知らないけど、今回は本当にしっかり仕事しないと死者が出そうで怖い。自分が作った商品、それもたかだか１３００円の物で死者が出るとかサイアクだな。

「５，４，３，２，１、よし、開店だ！」

　開店と同時にどっと流れ込まない《....》人々。なぜならここは直営店なので、これから３日間は予約していないと買えないのだ。更に、割とアバウトとはいえ、時間指定までしているので、急ぐ必要もそれほどない。本当に１番に買いたい人は、他の大型店の行列に夜中から並んで買うだろう。

「えー、予約番号０００２７３１番の方、三箱のお買い上げでよろしいでしょうか。それでは、三箱お買い上げですので、３９００円です。」

　時間を区切っているのに飛ぶように売れる。店の倉庫から段ボールが一つ、また一つと消える。
　
　そうだ、説明し忘れてたけど、一人三箱まで、ということになってる。もちろん、何回かに分けたり、人海戦術を使えばいいのだが、それでも、買占めようとする人を少しは抑えられるだろう。一応、大きな会社にはＩ２社と海馬コーポレーションから圧力をかけてもらって、会社単位で購入されるのを防いでもいる。

　さて、あとはもうほとんど単純作業だし、これにて終了。次は入学式の日に会おう。じゃあ、そういうことで。











　......って、待て待て待て待て。肝心のデッキレシピの紹介がまだじゃねぇか。そりゃまずい。と、いうわけで、こんな感じで〜す。


STARTER DECK:メインデッキ４０枚　エクストラデッキ１０枚　計５０枚

モンスター：２２枚

カオス・ソーサラー×１
ガガガガードナー×１
ガガガガール×２
ガガガマジシャン×２
キラートマト×２
終末の騎士×２
召喚僧サモンプリースト×２＜準制限＞
スナイプストーカー×２　　　　
聖鳥クレイン×１
ネクロガードナー×１＜制限＞
マシュマロン×１＜制限＞
魔導戦士ブレイカー×１　　　　
ライトロード・ハンター ライコウ×２　　　
ライトロード・マジシャン ライラ×２　　


魔法カード：１２枚

　通常：おろかな埋葬×１＜制限＞
　　　　ガガガボルト×１　　
　　　　強制転移×２
　　　　死者蘇生×１＜制限＞　　　
　　　　精神操作×１＜制限＞　　　　　　　　　　　
　　　　手札抹殺×１＜制限＞
　　　　ハリケーン×１＜制限＞
　　　　闇の誘惑×１＜制限＞
　装備：巨大化×１＜制限＞　　
　　　　ガガガリベンジ×２


罠(トラップ)カード：６枚

　通常：エクシーズ・リボーン×１
　　　　ガガガシールド×２
　　　　くず鉄のかかし×１　　　　
　　　　トラップスタン×１　
　永続：リビングデッドの呼び声×１＜制限＞


エクストラデッキ：１０枚

ランク２：ダイガスタ・フェニックス×１

ランク３：Ｎo.１７ リバイス・ドラゴン×１

ランク４：Ｎo.３９ 希望皇ホープ×１　　
　　　　　ＣＮo.３９ 希望皇ホープレイ×１
　　　　　ラヴァルバル・チェイン×１　　
　　　　　Ｎｏ.１６ 色の支配者ショック・ルーラー×１

ランク５：Ｎｏ.３３ 先史遺産−超兵器マシュ＝マック×１　　
　　　　　Ｎｏ.６１ ヴォルカザウルス×１

ランク６：フォトン・ストリーク・バウンサー×１　　

ランク７：迅雷の騎士ガイアドラグーン×１







..............................あ、ごめん。いや、なんかさ、ちょっと泣けてきちゃって。元の世界で一から作ったらどれぐらいかかるんだろうか、とか考えたら、さ。羨ましくって。
　
　それにしても、この世界ではこのままでも普通に戦えてしまいそうだ。二つ買って組み合わせたら、最強レベルかもしれない。え？カオスシリーズ普通に入れんなって？ハッハッハッ、気にしない気にしない。
　
　それにしても、少々面倒なことをしてしまった。エクシーズのせいで、「ラヴァル」も「ガスタ」も「フォトン」も近々出さなくてはいけなくなってしまった。厳選すればそれほど種類を出さなくてもいいだろうけど、チューナーが存在する「ラヴァル」と「ガスタ」は困りものだな。はて、どうしよう。チューナー以外をゆっくりと出していって、一年後にチューナーを出すか、それとも全て一年後に出すか......
　
　どちらにせよ頭の痛くなる問題だ。