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インフィニット・ストラトス・クン・ポケット 第六球 授業と姉と無知と
作者:作者   2012/07/19(木) 15:54公開   ID:Kj5KwqVsk/2
「ねえねえ、織斑君さぁ!」
「はいはーい、質問しつもーん!」

休憩時間になると突然女子の群れが一夏に迫ってきた。

「山田君って先生の弟なんだよね」
「W弟ってやつだよね」

同じように平次も群に囲まれている。
昨日はだれもよってなかったというのに。

(女だらけは楽園とか言ってたのは誰だったか……)
(女に囲まれるほど地獄はないでやんす……)

そう、もてているわけではない。
珍しがられているのだ。
いじられているのだ。
もてあそばれているのだ。
現実なんてこんなものだ。

「俺は聖徳太子じゃないんだ!」
「聖徳太子は知ってたでやんすか……」

一夏は困り果てていた。

「ん?」

集団から離れた所から視線を感じる。
箒である。

(この集団に何かを感じてるのかな……)

特に気にしないことに一夏はした。
そんなこんなしているうちに千冬が教室に入ってきた。

「あ、座らなきゃ……」

そう言って女子の群れは消えていく。

「休み時間が終わると散っていく……」
「転校生が来たときの人だかりみたいでやんす……」
「お前ら黙れ」

《パァッン パァッン》

「授業中は黙れ。いいな」
「「はい……」」

喋っていたところを千冬に出席簿で殴られた。

「ところで織斑、お前のISだが準備まで時間がかかる」
「あ、そうなんだ」
「予備機がなくてな、専用機が用意されるようだ少し待て」

そう言って千冬は教壇へ向かう。

「せ、専用機!? 一年の、しかもこの時期に!?」
「そ、そういえば聞いたことがある……男子生徒には必ず専用機が用意されるって言う……」
「ええっ!? それ本当の話だったの!?」
「ああ〜。いいなぁ……。私も専用機ほしいなぁ」

周りが騒がしくなる。

「専用機って専用のものを用意ってことだよな。すごいなぁ……」

そう言って一夏は天井を見上げる。
そう思っていると授業が始まった。

「教科書六ページを音読しろ」

指を差されたのは平次であった。

「はいで、やんす」

そう言って平次は読み始める。

「現在、幅広く国家・企業にて作成されているISですが、元となったコアの制作を初めておこなったのは篠ノ之博士であり、制作され数年はブラックボックスでしたが近年新しくコアを作ることができるようになりました。そう言ってもまま微々たるものである、でやんす」
「よし、いいぞ」

そう言って平次は座る。
なお条約などの部分ははしょった。

「作られるようになった、か……」
「ちなみにこれはジャジメントグループや大神グループが資金提供をしたからできたといううわさでやんす」
「ふぅん……」

《パァッン パァッン》

「私語は慎めと言った」
「「はい……」」

そう言って、千冬は再び教壇に戻る。

「あの、先生。篠ノ之さんって、もしかして篠ノ之博士の関係者なのでしょうか……?」

クラスの一人がおずおずと千冬に質問する。

(箒の姉……ああ、確か束っていう人だったかな……あんまあったことないや……)

と、一夏は昔のことを思い出す。
箒との出会いは学校で一人ぼっちだったところを助けそれが理由で一緒に剣道を始めた。
姉の束という人にはめったに会った記憶はない。

「む、うむ……そうだな、篠ノ之は博士の妹だ」

そう言って千冬は答える。

(そういや、束って人と昔知り合いだったって千冬姉が言ってたな……)

そう考えているとみんなの注目が箒に集まる。

「篠ノ之博士と言えば今現在行方不明でやんすよ」
「え?」

そんな時隣りから平次の声が聞こえる。

「そりゃ、心ぱ……」
「ええええーっ! す、すごい! あの初めてのISを作ったっていう人の妹だなんて!」
「ウェ?」

一夏が心配だと言おうとしたときクラスに大きな声が響く。

「ねえねえっ、篠ノ之博士ってどんな人!? やっぱり天才なの!?」
「篠ノ之さんも天才だったりする!?」

授業中だというのに女子たちが箒の周りに集まる。

(千冬姉の前でなんてことを……そのうえ不謹慎だ……)

そう言って二つの意味で心配そうに箒に群がる女子を見つめる。

「私は天才じゃない……それにあの人のこともよく知らない」

そう言って箒は少し悲しそうな顔をする。

「あ、その……ごめんなさい……」

そう言いながら燃えていた焚火に水をかけて鎮火されたかの如く全員自分の席に戻っていく。

(姉をよく知らないってのか? そう言えばあったことないのもおかしいよな……)

「さて、愚か者ども……授業を中断してまで席を立ったのだ……覚悟はできているのだろうな?」

席に戻る女子たちはその声を聞いた時、今までで一番恐怖を感じたと言う。



次回に続く


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■作者からのメッセージ
そういえば言ってませんでしたね。
ヒロインの性格が大幅に変わっていたりします。
セシリアは例外です。
ご注意ください
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