長点上機学園高等部の生徒会メンバーは、理事長室にいた。
そこはいかにも重役の部屋と言った雰囲気で、アンティークな机が奥にどっかりと置かれ、周りの壁には何やら絵画や賞状などが額縁に入れられ、飾られている。
そして中央に置かれた高級品である黒い革製の3人掛けソファーにぴったりと収まる形で、3人は座っていた。
むかって右に興味なさそうに自分の髪の毛をいじる七海、真ん中にきっちりと姿勢正しく座りながらメガネをクイッと上げる冬那、そして左で偉そうに足を組んで眠そうにうとうとしている潤馬。
その中で座る場所がない光は、しかたなく3人の後ろで板チョコをポリポリと食べながら壁にもたれかかっていた。
目の前にはこの学園の理事長がいると言うのにソファに座る両サイドの2人には緊張感と言うものの
欠片すら感じられない。
だが彼らと膝くらいまでの高さしかない木製の机越しに向かい合って座っている理事長は、特に気にしている様子はなかった。
彼は“理事長”と呼ぶには少々若く、おそらく40代後半くらいだろう。
黒いスーツを着込み、赤のストライプ模様をしたネクタイを着用。
身体つきはガッチリしており、オールバックにした短いロマンスグレーの髪が、彼の彫り深い顔を引き立てているのだが、かけている滑稽な丸メガネがそれら全てを台無しにしている。
「さて・・・君たちに折り入って頼みがある」
理事長はそう話を切り出すと、彼の後ろに立っていた秘書らしき女性が3人に各1つずつ資料を手渡す。
それを受け取った彼らは、
各々適当にそれをペラペラと
捲って読んでいく。
そして理事長は話を続けた。
「君たちは
幻想御手と言うものを知っているかな?」
「
幻想御手・・・?」
「なんッすか?それ」
冬那は資料を捲っていた手を止めると、いつものようなポーカーフェイスをして理事長の方に目をむけ、七海は首を傾げながら彼に問う。
「ヒャハ!最近、
巷で広まってる都市伝説って奴だな。それを使用すると、能力のレベルが上がるってやつさ」
理事長の代わりに潤馬が説明すると、理事長は「あぁ」と言って首を縦に振った。
「だが、どうやらそれは都市伝説などではないようだ・・・」
「どういうことでしょうか?」
ため息を吐きながら、理事長は頭を抱えてそう言うと、冬那は少し目を細めてきく。
「最近、我が校では23名ものの生徒が意識不明で病院へ搬送されたのだよ。それも、全員に共通する症状が、能力の急激な上昇・・・普通ならあり得ない。だから考えられるとするなら・・・」
「
幻想御手・・・」
七海の呟きに、再び理事長がうなずく。
「そうだ。それにこんなこと外部に知られてしまえば、口うるさい保護者が我が校に乗り込んでくるのは
必至・・・それにこのような汚点を我が校に残しておくわけにもいくまい。それにこのような現象はこの学園以外でも確認されている。もしこの事件の犯人を捕まえることができれば、この汚点を消すどころか、犯人逮捕の功績を挙げたとして、さらに我が校の株は上がるというものだ」
「つまりは私たちに犯人を捕まえろ、と?」
「そういうことだ。我々教師が捕まえても意味がないからな。ところで・・・光君、君はなにをしているんだい?」
「へっ?」
理事長に質問されきょとんとしている光。
彼はもっていた板チョコに、なにやら白い何かを振りかけており、それがボロボロと床にこぼれていた。
それを見ていた女秘書は、一瞬眉をピクッと吊り上げた。
「だから君が振りかけているそれはなんだい?」
「砂糖ですけど、なにか?」
「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」
部屋にいる5人全員が固まる。
まさか板チョコに砂糖を振りかけて召し上がる馬鹿がどこにいるだろうか?
いや、目の前にいた。
「理事長のお話は
概ね理解しました。私たちも善処は致します」
「よろしく頼むよ」
5人はすぐさま今のやり取りをなかったことにした。
そして冬那はまるで事務処理でもしているような口調でそう言うと、ソファから立ち上がり、一礼をすると、理事長室を出る。
すると他の3人もそれに続いて出て行った。
「よろしかったのですか?」
3人が出て行った後の部屋で、理事長の後ろにいた秘書らしき女性がきいた。
「問題ないさ。彼らはこの学園のエリート集団だ。
風紀委員や
警備員の百倍は
優秀だよ」
理事長はそう答えながら腕を組んで、ニヤリと笑った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「
幻想御手ねぇ・・・」
「形状も何もわからないんじゃ調べようがないッすよね?」
そんなことを話しながら生徒会の4人は、久々に皆で街にいた。
今彼らがむかっているのは第7学区にあるセブンスミストで、欲しかった服がバーゲンに出されるので是非いきたいと七海が言うので、特に用もなかった3人は彼女につきあうことになったのだ。
そんな中、いつものようにポーカフェイスである冬那が、内心喜んでいたのは彼女だけの秘密である。
彼ら4人のむかったセブンスミストは、洋服などの衣類を扱う店が集合している大型のショッピングセンターのようなもので、そのおかげか、子供っぽいパジャマから、アダルティな下着まで品ぞろえが豊富なのだ。
「しかし一体どんな物なんでしょうか・・・?」
「ヒャハッ!普通に考えるなら薬とかでしょうね?でもそんなんで能力が上がるなら苦労しないでしょうけど」
冬那は顎に手を置いて無表情で考える。
そんな彼女の隣で潤馬が学生鞄を担ぎながら答え、光は「う〜ん」と唸りながら棒付きキャンディを咥える。
「案外音楽とかって言うのはどうッすかね!?」
「ヒャハッ!馬鹿かお前?
学習装置ならいざ知らず、ただ聴覚を刺激するだけじゃ無理無理」
「あ゛ぁ゛んっ!?てめぇの方がウチより成績低いだろうがクソ馬鹿っ!!」
「んだとゴラァ!?たかが2点上だったからって調子乗ってんじゃねぇぞドカスがっ!!」
「こんなところで止めてくれよ・・・まぁでもそれなら共感覚性を応用すればなんとかなる話だし・・だけどそれだけじゃ確実に能力が上がるとは思えないな・・・」
「そもそも能力の上昇というのは、その個人の演算能力の上昇を意味します。ということは何かで
自分だけの現実を補強しているのでは?」
そんなやり取りをしながら3人は推論を組み立てて行く。
こんな片手間でここまで推論できる彼らは、やはり天才と言うべきなのだろう。
そして七海と潤馬が殴り合いのケンカを始める前に、なんとか無事にセブンスミストに辿り着くことができた。
4人が中に入って行くと、当たり前なのだが、そこは大勢の学生で賑わっていた。
夏休み前と言うこともあり、やけに水着を扱う店舗が目に着く。
七海はそれらに目を輝かせながら、1人で走ってどこかへ行ってしまった。
「ちょっと!七海!・・って全く・・・おい冬那そういえば・・・ってあれ?」
冬那に何かを言いかけた光だったが、振り返るとそこにいたはずの冬那もいなくなっていた。
思わず辺りをキョロキョロと見渡すと、潤馬がそれに気づいて彼にいった。
「冬那先輩ならここに入って早々どっかに行きましたよ?」
「・・・・・はぁ・・仕方ない、集合場所をメールしておくか・・・」
あまりにも自分勝手な2人に思わずため息が漏れる光は、そう言ってポケットから携帯を出して2人にメールした。
「ところで潤馬はどうするんだい?」
「俺は光さんとまわります。どーせ欲しいもんもないですし」
光が潤馬にきくと、彼はめんどくさそうにそう答える。
光は光でそろそろ新しい服が欲しいなと思っていたので、そちらをまわることにした。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
御坂美琴は悩んでいた。
彼女の目の前にあるピンクに水色と黄色の水玉模様をあしらったフリフリ付きのパジャマ。
御坂の友達である佐天と初春には「子供っぽい」と一蹴りにされた代物だが、彼女は諦めずれずにいた。
「どうせパジャマなんだし・・誰にも見せるわけじゃないし・・・・・ちょっと合わせるだけなんだから・・・」
彼女はそんな独り言をブツブツと呟くと、意を決してパジャマを引っつかみ、自分の体に合わせて鏡の前に立った。
「なにやってんだ?ビリビリ」
「な・・っ!!なんであんたがここにいんのよっ!?///」
御坂は鏡に映る少年―“上条当麻”に驚いて、顔を真っ赤にしながら慌てて振り返る。
そんな彼女を見た上条は、ため息を吐きながら頭を掻いた。
「いやぁ〜、そんなこときかれましても・・・」
今にも電撃を浴びせてきそうな御坂に上条が少々呆れていると、むこうから「おにーちゃーん!!」とかわいらしい女の子の声がした。
ふと美琴がその声のする方をみると、その少女は以前彼女がなくした鞄を探した子だった。
「あっ!常盤台のお姉ちゃんだぁ!」
「久しぶりね?ってお兄ちゃんってことはあんた妹がいたのっ!?」
「違う違う!この子が服を探してるって言うからここまで案内して来たんだ」
御坂の誤解を上条が否定する。
そんな時、突然声をかけられた。
「あれ?君は美琴ちゃん?」
名前を呼ばれた御坂は後ろを振り返った。
するとそこにはこの前会った光と、いかにもガラの悪そうな茶髪で金メッシュの男子がいた。
光はいつものように笑顔を浮かべている、
「光先輩!?」
「ん?その人はだれなんだビリビリ?」
「この人は長点上機学園の光明慈光先輩。ってかさっきからビリビリ、ビリビリってうっさいわねっ!!私には御坂美琴って名前があんのよっ!!」
「はいはい。それで後ろの人は?」
「あぁ、彼は根瑞潤馬君。僕の友達だよ」
上条が少し覗き込むようにきくと、光が答えた。
「長点上機なんてすごいですねぇ!ところで何年生なんですか?」
「僕は2年で彼が1年生かな」
「へぇ、じゃあ光さんは俺にとっては先輩なんですね」
「ちょっと・・・あんたら・・・私を無視して・・・」
上条と光が「あははは〜」と世間話的な感じで話していると、御坂がいかにも怒り心頭といったようすでプルプルと震えている。
上条は冷汗を掻きながら後ずさった。
「おいおい、こんなところで電撃は止めてくれよ?この女の子まで巻き込んじゃうだろ?」
「くっ・・・まぁいいわ・・・」
「えっとぉ〜・・・じゃあ俺はこの辺で失礼します」
光は御坂の怒りをおさめ、それをほっとした顔で見ていた上条は少女に手を引かれてその場から立ち去った。
そんな様子に潤馬はめんどくさそうにあくびをする。
「まぁ潤馬も退屈しているようだし、僕らもここで失礼するよ。あっ、それと・・・」
光がそう言って御坂に近づいて耳打ちをする。
「・・・そのパジャマ似合うよ?」
「なっ・・・!!///」
光がそう言うと、御坂は顔を真っ赤にしてうろたえる。
その隙を狙って光は笑いながら潤馬と走ってその場から逃げた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
光と潤馬は一通り店をまわった後、七海と冬那に連絡した集合場所へと向かった。
そこはセブンスミスト内にあるフードコードで、どこからか持ち出したのかわからないパソコンを弄りながら七海が座っており、隣では冬那が紅茶を啜っていた。
彼女たちが座っているのは円形のテーブルで、ご丁寧にも2つほど席が空けてあり、傍の床には大量の紙袋が並べられている。
一体何をそんなに買ったのか潤馬は若干引き気味に思った。
「以外に早かったんだね?」
「あぁ、先輩」
声に気付いた七海がパソコンの画面から目を離して光の方を見る。
その目はどこかお手上げといった感じだ。
「何やってるんだい?」
「いやぁ〜、
風紀委員の
書庫にハッキングしてみたんですけど、なかなか固いッすねぇ〜」
「あのなぁ〜・・わかってる?それ犯罪。ちょっと貸して」
そう呆れながらも光は七海から半ばひったくるようにパソコンを受け取ると、隣に座ってものすごいスピードで指を動かしてキーボードを叩く。
するとものの1分で目的の
書庫に
不正アクセスした。
「わぁ〜すごいッすね先輩」
「生徒会長にあるまじき行為ですよ?これであなたもとうとう犯罪者の仲間入りですね。まぁそれで捕まって牢にでもブチ込まれていただければ、私としては万々歳ですが・・・」
「ヒャハハ・・相変わらず厳しいこと言いますね、冬那先輩」
そう言う潤馬の横で光は見事に打ちひしがれていた。
「ところであなたは結局何を調べたかったわけ?」
そんな光を無視して(そこで光は目がしらに涙を浮かべ)冬那は七海にきいた。
七海は
書庫に目を通しながら答える。
「いや、もしかしたら何かしらAIM拡散力場に干渉する能力者を探してるんッす」
「はぁ?なんで?」
潤馬が眉をひそめてきいた。
「いや、前に一度AIM拡散力場を使って能力者の
自分だけの現実に干渉することができる能力ってのを聞いたことがあったんッすよ」
「なるほど・・能力を上げる能力者ね・・・・・ん?どうかしましたか?会長」
冬那が少し考え込んでいると、光にそう尋ねた。
彼の顔は何故か真っ青になっており、酷く具合が悪そうだ。
そもそも冬那は滅多に彼の心配をしない。
その彼女が心配になるほど今の彼の顔色は悪かった。
「えっ・・いや・・その・・・ちょっと僕は席を外すよ・・・・・」
そう言った光は、苦しそうな笑顔を浮かべてふらふらとその場を去った。
3人はそんな彼の背中を心配そうに見ることしかできなかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ねぇ御坂さん。知ってますか?」
「えっ?何を?」
佐天涙子は、そう御坂に尋ねると、彼女はキョトンとした顔で首を傾げた。
御坂は光達と別れた後、再び佐天や初春と合流して店をまわっているのだ。
「
幻の序列の噂!」
「
幻の序列?」
「あぁ、私知ってます。確か“この学園都市には知られざるLevel5が存在する”ってやつでしたっけ?」
「そうそう!」
初春が思いだすように解説すると、佐天は興奮した様子で首を縦にブンブン振る。
「それって第6位じゃないの?」
「違うんですよ。それがランクには存在しないらしくて、8人目っていうのが正しいんでしょうけど、何やら第1位と互角の実力だって話なんです」
「どうせ都市伝説なんでしょ?ないない」
佐天は真剣な眼差しで話すが、御坂はそれを鼻で笑って否定した。
そもそもLevel5はこの学園都市の憧れだ。
それをわざさざ隠す理由が御坂にはわからなかったし、そんな簡単にLevelは隠せるわけじゃない。
身体検査で手を抜いたとしても、AIM拡散力場を調べてば一発でわかることなのだ。
そしてそんなことを話している最中、初春の電話が鳴った。
彼女が電話に出てみると、それは白井黒子だった。
『初春っ!!
虚空爆破事件の続報ですのっ!!学園都市の監視衛星が、重力子の爆発的加速を観測しましたのっ!!今、近くの
警備員を急行させるよう手配していますの!』
「観測地点は!?」
『第7学区の洋服店!セブンスミストですのっ!!』
「セブンスミスト・・・ちょうどいいですっ!!私今そこにいますっ!!すぐ避難誘導を開始しますっ!!」
そう言って初春は白井の言葉を最後まで聞かずに電話を切った。
狙われているのが自分だと言うことも知らずに・・・
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
その頃、店内では初春、御坂の2人によって一般人の避難誘導が始まった。
爆弾がある、などと言えば大変な騒ぎになるので、建前では電気系統のトラブルと言うことにしてある。
そして一通りの避難誘導を終えた初春は白井に電話を入れた。
「全員避難終わりました!」
『ならあなたも今すぐその場から離れなさいっ!!過去の事件の人的被害は
風紀委員だけですのっ!!犯人の真の狙いは、観測地点周辺にいる風紀委員!!今回のターゲットはあなたですのよっ!!初春!!』
白井の話を聞いた初春は面を食らった。
そんな時、後ろから「おねーちゃーん!!」と声がして、思わず振り返る。
すると向こうから小さな少女がカエルのぬいぐるみを抱えながら走ってきた。
初春はほっとした様子でその少女を見る。
「あのね!メガネをかけたお兄ちゃんが、これをお姉ちゃんにって!!」
そう言ってその少女は初春に持っていたぬいぐるみを渡そうとするが、突然そのぬいぐるみが潰れ始めた。
それを見た初春は慌ててそのぬいぐるみを投げ飛ばすと、少女を庇うようにぬいぐるみに背を向けて抱きよせた。
すると御坂が彼女たちの前に現れ、それを
超電磁砲で吹き飛ばそうとするが、慌てたせいか、弾丸となるコインを落としてしまうが、さらに上条が御坂の前に現れ、その“
幻想殺し”を宿した右手をつきだす。
だがそれも無駄となった。
「
光壁・・・」
そう声がすると、ぬいぐるみが爆発する寸前で、それは1m四方の不可視のシールドに囲まれ、その中で爆発してしまったっため、周りには一切の被害がなかった。
そこにいたのはいつもより厳しい顔をした光だった。
彼はそのままスマートフォンをポケットから取り出すと、電話をかけた。
「もしもし、七海か?」
『先輩っ!?どこにいるんッすかっ!?さっき避難誘導があって「それより
読心を頼む」えっ?いいッすけど、なんで?』
「訳は後で話す。たぶんこの近くにいる。量子を変速させてアルミで爆弾を作った奴だ」
『了解ッす・・・・・・・いたッす!今ちょうどセブンスミスト前の交差点を西に向かって歩いているッすね!』
「ありがとう」
光は相手の居場所を聞き出すと、電話を切った。
そしてそこにいた御坂の方を向く。
「今犯人はセブンスミスト前の交差点を西に向かって歩いている。早くいけ」
「えっ・・えぇ!わかったわ!!」
そう返事をすると美琴は急いで駆けていった。
御坂がいなくなった後で、光は上条に目を向けた。
「(なんでこの男は爆弾を前にしていきなり彼女たちの前に立ったんだ?しかもまるで迷いがなかった・・・それになんで右手なんか突き出してたんだ?)」
そんなことを考えていると、上条と初春が彼の傍に寄って来た。
「あの、ありがとうございました!」
「あぁ!助かりましたよ!光先輩!!」
初春はペコリと頭を下げ、上条は嬉しそうに笑っている。
だが光は相変わらず厳しい顔をしている。
そんな中、先ほどの少女が彼の元にテクテクとやってきて、明るい笑顔を向けた。
「助けてくれてありがとう!おにいちゃん!!」
「・・・・・・あぁ」
少女の笑顔を見た彼の顔に、少しだけ笑みが戻った瞬間だった。
その後
虚空爆破事件の犯人、
介旅 初矢は御坂美琴により顔面を打たれたのち、
風紀委員の白井黒子に拘束され、事件は解決した。