ここは全年齢対応の小説投稿掲示板です。小説以外の書き込みはご遠慮ください。

マブラヴ 転生者による歴史改変 32話
作者:ぜんくう◆7RWKYcvP01c   2012/08/05(日) 21:20公開   ID:eoF2Dat1HnA
 「頼む!この立花隆也、一生に何回かある内のお願いうちの一つだ!」

 おれの懇願の声が晴れた空に響き渡る。返ってきた答えは、絶対零度の凍りきったものだったが。

 「お断りよ。どうしてアタシがそんなもの着なきゃいけないのよ」

 冷淡に拒絶する夕呼。その目は冷めきっている、というか呆れかえっているというか、とにかくまあ、暖かな感情を感じさせるものではないのは確かだ。

 「いや、だって、これ衛士強化装備だぜ。だれもが一回は着てみたいと思うだろうに」

 おれは手にした衛士強化装備を突きつけた。いうまでもなく訓練兵Ver、いわゆるすけすけラップスーツだ。

 「そんなこと一度たりとも思ったことないわよ。まったく、相変わらずバカ言っているわね」

 「なん…だと!?」

 夕呼の答えに思わず絶句してしまう。

 「なんでそこでこの世の終わりみたいな顔するのよ。だいたい、女のアタシが衛士なんてものにあこがれるわけがないでしょう」

 「だって、おま、考えて見ろよ。すけすけのエロスーツだぞ?着たくないとか、ゆうこりん、お前あたまがおかしくなっただろう」

 「おかしいのは、あきらかにあんたの頭の中よね」

 人によっては、ぞくぞくする、とか癖になる、とか言い出しかねない冷たい視線でおれを見つめる夕呼。幸いおれの耐性値は高い、この目の虜になることはない。

 「くそう、なぜだ!なぜおまえはエロスーツを拒絶する!」

 「というか、よろこんで着る人間の気がしれないのだけど?」

 「それは価値観の違いというものだ!事実まりもは嬉し恥ずかしげに着ていたぞ」

 「あんたね…あのこはあれでも衛士志望でしょう?それにこの間も電話で、恥ずかしいけどがんばる、とかけなげなこと言ってたし」

 「なん…だと!?」

 「はいはい、天丼天丼」

 なぜに夕呼がお笑いの鉄則を知っている?いやまあ、夕呼だからなあ。などと納得。
 だが、それとこれとは話は別だ。

 「いいじゃないかよ、減るもんじゃないんだし。サービス、サービス!」

 「やかましいわよ、まったく。そもそも、今日まりもが居ないなんて聞いていないんだけど?」

 「当たり前じゃん。こんな絶好の機会をわざわざ逃すような情報を漏らすわけないじゃん」

 「このおばか!」

 どごっ、という夕呼の一撃を受けて、おれは派手に吹っ飛んでいった。
 その様子を、興味深げに見つめる武たちマブレンジャー柊町組の7人。
 え?数がおかしいって?
 いやまあ、いろいろあって増えました。

 まずは、マブアクア
 ポニーっ娘来た−!
 満を持しての新規加入、その強気ッ子ぶりは他のマブレンジャー達の中でも1,2を争う。
 速瀬水月
 特殊技能情報
 ・運動適正
 ・ど根性
 特殊属性
 ・マブラヴALメインキャラクタ
 AL支配因果律規定事項
 ・2001年12月29日 死亡確定

 お次は、マブエターナル
 天然のどじっこ、養殖ちゃうで。いわゆるひとつの癒し要員。
 涼宮遙
 特殊技能情報
 ・どじっこ
 ・腹黒?
 特殊属性
 ・マブラヴALメインキャラクタ
 AL支配因果律規定事項
 ・2001年12月29日 死亡確定

 三人目は、マブへたれ
 さて、次行こう。
 え?なんで紹介がなしかって。
 だって、こいつ見る価値ないぞ?
 まあ、いいけど。
 鳴海孝之
 特殊技能情報
 ・へたれ
 AL支配因果律規定事項
 ・1999年死亡確定

 四人目は、マブサニー
 マイペースながらも明るいよい子。ある意味ムードメーカー。
 柏木晴子
 特殊技能情報
 ・マイペース
 ・戦術眼
 特殊属性
 ・マブラヴALメインキャラクタ
 AL支配因果律規定事項
 ・2001年12月25日 死亡確定

 最後の5人目は、マブジジョ
 お堅いところもあるが、弄ると楽しい性格。四姉妹の次女で、一人の男を巡って水面下で熾烈な争いを続行中とか。
 ちっ、リア充め、そんな男なんぞもげてしまえ。
 伊隅みちる
 特殊技能情報
 ・冷静
 ・味覚音痴
 特殊属性
 ・マブラヴALメインキャラクタ
 AL支配因果律規定事項
 ・2001年12月25日 死亡確定

 というわけで、5人増えて、合計7名。
 みちるは少々歳がいっていたが、そこは何とかてこ入れを行っている。
 とまあ、そんな教え子たちの前で、おれは華麗に空を舞っていた。
 武と純夏は見慣れた光景なので、わーとか良いながら見ているし、新規加入の4人はかなり引き気味でみている。ちなみに晴子だけは、面白そうにきゃっきゃ言いながら笑っている。
 重力にひかれて激しく地表に叩きつけられたおれは、よろよろと立ち上がり、夕呼を視野に納める。
 「ふっ、さすがだなゆうこりん、日々一撃が重くなっていく。このままでは、おれが再起不能になる日は近いのかも知れない」

 「なにバカなこと言ってるのよ。それより本当に今日わざわざアタシを呼び寄せたのはその為なの?」

 「おう、なにせ、折角まりもんが帝都に行っている日だからな。この提案をするには今日を置いて他にはない」

 「へえ、まりも、帝都にいっているの?でもなんで?」

 「ああ、進路が帝国軍技術廠所属のテストパイロットになったんで、顔合わせとか適性検査とか、その他諸々の調整だな」

 「ちょっと、まりもがテストパイロットなんて、聞いてないわよ?」

 珍しいことに夕呼が慌てておれに突っかかってきた。

 「あれ?まりもんから話が行ってなかった?」

 「ええ、初耳ね。まりもめ、このアタシに黙ってなにかしようなんて、生意気ね」

 なにやら黒いオーラを出しているのを置いておいて、おれは再び夕呼にお願いをする。

 「まあまあ、いいじゃないか、そんなこと。それよりだ、こんな好機はしばらく来ない。従って、ゆうこりんよ、これを着てくれ!頼む!」

 「いやよ」

 「なぜだ!いいじゃないかちょっとくらい、別に減るもんじゃなし」

 「だからいやよ。あんたに見られるといろいろと減りそうな気もするし。そもそもアタシにはなんのメリットもないじゃない」

 とりつく島もない夕呼だ。
 ふふふ、だが、当方に迎撃の用意ありだ。まあ、こっちが一方的に攻勢を仕掛けてたたきつぶされているんだから、迎撃もくそもないんだが。
 見ろ、これがおれの秘密兵器だ。

 「じゃじゃじゃじゃーん、しさくがたりょーしでんどうのー!」

 持ち込んでいたバックから、人の頭大の箱を取り出して夕呼に見せつける。

 「え?」

 さすがの夕呼も急な展開に目が点になる。
 量子電導脳、夕呼が研究する時空因果律量子理論を応用した超高性能電算ユニットだ。
 言ってみれば夕呼の夢の一つ。一つの到達点。それが目の前にぶら下がっているのだ。

 「ふふふ……どうだね、夕呼くん。君がちょっと脱げば、これは君の物だ。おまけにこれは量子コンピューター技術を使っているからね。普通に君が作ろうとしたら、果たして何年かかることかな?」

 悪役そのものの笑みを浮かべて夕呼に迫るおれ。どん引きするマブレンジャーたち。苦悩する夕呼。
 よし、もう少しだ。もう少しで、おれは夕呼のエロスーツ姿が拝める。

 「くっ、いいわ、対価があるのならアタシも文句はないわ」

 「ん?いいのかね、そんな上から目線で?」

 「あ、あんたねえ!」

 「ふふふ、まあ、いいだろう、おれとゆうこりんの仲だ。今回は目をつむってやろう。さあ、奥に戦場で使用する簡易更衣室が設置してある。さっさと着替えたまえ」

 「今回は、あたしの負け。それは認めるわ。でも覚えておくことね。アタシは作った貸しは必ず返させる質なの」

 「ああ、楽しみにしているよ、ゆうこりん」

 悔しげに顔をゆがめて簡易更衣室へと消えていく夕呼を見送りながら、おれはこれから目の前に繰り広げられるであろう、心躍る光景に思いをはせていた。
 ぶっちゃけ、夕呼は美人だ。まりもとは違って、正当派系の美女と言うべきか。おまけにスタイルバツグン。
 それがあのエロスーツを身につけるのだ。はっきり言って、その破壊力は水爆級だろう。
 あー、思わずよだれがでそうだわあ。たまらんなあ。
 どきどきして待つこと数分、簡易更衣室がひらかれ、それは姿を現した。
 見慣れた衛士養成科の制服に、相も変わらぬ我が儘バディ、って、あれ?

 「え?」

 「隆也くん、残念だったわね。あなたの計画はまるっとお見通しよ!」

 そう、目の前にいるのは帝都にいるはずのまりもだった。

 「え?え?えーーー!?」

 驚愕のあまりまともな単語が口から出てこない。
 なぜだ、なぜまりもがここにいる?帝国軍技術廠との顔合わせは今日だったはず、なのになぜ?

 「混乱しているみたいね、隆也くん。答えは簡単よ、小塚技術大尉殿にお願いしたの。隆也くんがなにか企んでいるみたいだから、協力して欲しいって。小塚技術大尉殿は、喜んで協力してくれたわ」

 「うらぎったな、小塚さん。おれの気持ちを裏切ったんだ!」

 某有名名台詞を微妙に改変して叫ぶおれに、やつはゆっくりと近づいてくる。

 「さあ、隆也くん。前にお話したわよね?」

 「ひ、ひぃいい!?」

 笑顔を浮かべて近づくまりも、その笑顔に死に神の影を見たのは、決して錯覚ではないはずだ。
 事実、おれはその後に訪れた惨劇の記憶を心の奥深くに封印することにした。それだけ怖い思いをしたんだよ、察しろよ。
 ちなみに夕呼は、試作型量子電導脳を手に入れて一人ご満悦だった。
 蛇足になるが、おれの様子が変だと気づいたのは、例によってまりもの女の勘だった。
 ちなみに現在のLVは6。もう勘弁してくれ、と思った俺は決して悪くないよな?な?

 ちなみに17歳のステータスをお見せすると、こうなる。

 基本情報 
 名前:立花 隆也
 性別:男
 年齢:17歳
 身長:174cm
 体重:65kg

 身体能力情報
 筋力:8722(438+10000)
 体力:9031(398+10000)
 俊敏:9074(439+10000)
 器用:7449(399+10000)
 感覚:1034(872+600)
 知力:1342(1147+300)
 精神:1227(1258+300)
 気力:9237(459+10000)

 特殊技能情報
【新規取得のみ抜粋】
 ・自身経験他者譲渡(取得消費経験:5000)

 経験値譲渡は、特殊属性のないマブへたれのてこ入れのために入手した。
 懸念材料のおれの残り経験値不足については、BETA狩りでなんとかなることが分かったので迷わず取得。
 それにしてもへたれってなんだろうな?まあ、いいか。
 あとまりもはこうな。

 基本情報
 名前:神宮司 まりも
 性別:女
 年齢:17歳
 身長:161cm
 体重:乙女の秘密により検閲されました

 身体能力情報
 筋力:3578(400+6000)
 体力:3699(412+6000)
 俊敏:3724(438+6000)
 器用:2496(393+6000)
 感覚:692(407+300)
 知力:367(421)
 精神:692(444+300)
 気力:3823(428+6000)

 特殊技能情報
【新規取得のみ抜粋】
 ・身体強化:LV3(VerUP)
 ・気強化:LV3(VerUP)
 ・女の勘:LV6(VerUP)


 まりもの能力はノーマル撃震を単騎で撃破可能な位だ。
 要するに、以前のおれみたいに強化外骨格での無双も可能になったということである。
 我ながら恐ろしいものを生み出してしまったものだ。
 おかげで、まりもの折檻がトラウマになるほどになってしまった。ひぎぃ、らめぇ、とかマジで口走ってしまったのは秘密だ。


■作家さんに感想を送る
■作者からのメッセージ
作者からのメッセージはありません。
テキストサイズ:9310

■作品一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集
Anthologys v2.5e Script by YASUU!!− −Ver.Mini Arrange by ZERO− −Designed by SILUFENIA
Copyright(c)2012 SILUFENIA別館 All rights reserved.