「旭先輩、折り入ってご相談があります」
そう言って万丈目が俺の部屋に来た。正確には、ものすごく丁寧なメールを前日に送ってきて、俺が了承してから来たのだが。まったく、明日香とは大違いだ。原作でも万丈目は、最初の方以外はかなり好感が持てるキャラだったしな。
「相談?」
「はい。俺はあいつを......遊城十代を倒したいんです!」
「そうか、それならほら、これやるからとっとと帰れ」
「こ、これは!!......って、何ですかこれ!」
「?スタンガンだけど。スタングレネードの方が良かったか?」
「そうじゃなくて、デュ・エ・ル・で、です」
「?まだ勝ててないのか?」
「はい。お恥ずかしながら。せっかく先輩が作りだしてくださったエクシーズモンスターを使っているというのに、いまだ勝ち星を挙げることが出来ていません」
そうか......きっと、毎回のようにアブソがこんにちはなのだろう。可哀想に。
「今回は恥を忍んで、お力添えを頂きたく、参りました」
「......よし、じゃあ、明日限定で、十代のデッキにぶっ刺さるデッキを貸してやるよ」
「!!あ、ありがとうございます!」
なんとなく、面白いことになりそうな気がした。
◆
次の日
「十代、俺とデュエルしろ!」
「おっ!いいぜ、万丈目」
「えー!?アニキ、また万丈目君とデュエルするんすか?今月に入ってもう3回目っすよ?」
「いいだろ、別に。強えやつとなら、何回デュエルしてもすっげー楽しいだろ?」
「そういうもんっすかねー」
「フッ、今回は今までの俺とは違うぞ!お前など、コテンパンにしてくれる!」
「「デュエル!」」
「先攻は俺が貰う。ドロー、スタンバイ、メインフェイズ」
「なんか、旭センパイみたいだな」
「当然だ。このデッキは先輩に特別に貸していただいたデッキだからな。
俺は手札から、ライオウを召喚。ライオウの効果により、互いのプレイヤーはドロー以外でデッキからカードを手札に加えることはできない。これでお前のHEROデッキは封じさせてもらう。カードを二枚伏せて、ターンエンドだ」
「なるほど。E・HEROデッキに対する初動としては最高ですね」
「ああ、そうだな......って、三沢、いたのか。」
三沢君マジ空気。真横にいても気づかない。
「先輩、あのデッキは?」
「十代のデッキに割と刺さるように、俺が構築したデッキだ。別に、アンチデッキじゃないけどな」
「先を越されましたか......」
「俺のターン、ドロー!(うっ、増援もエアーマンも使えないのかよ。なら先にあいつをどうにかしなきゃな。よし。)俺は手札から、E・HERO プリズマー「待った!」な、何だよ、万丈目。ウ○コか?」
「口を慎め。この学園の品位を下げるな。
それよりお前、モンスターを召喚しようとしたな?」
「あ、ああ。そうだけど」
「勝手にフェイズを進めるな。俺はスタンバイフェイズ時に、
罠発動、マインドクラッシュ!カード名を1つ宣言し、宣言したカードがお前の手札にあれば、お前はそのカードを全て墓地へ捨てる。だが、宣言したカードが無かった場合、俺は手札をランダムに1枚捨てなければならない。俺が宣言するのは、E・HERO プリズマー!」
「な、なにぃ!?」
「そ、そんなの、ずるいっす!」
「先輩、これは......」
「三沢、これからは俺みたいにしっかりフェイズ確認しろよ?」
このプレイングは、マナー的にものすごく問題があるだけで、ルール的には何も問題が無い。フェイズ確認しない方も悪いからな。
「どうせスパークガンとのコンボを使おうとしたんだろうが、そうはさせん!さあ、さっさと捨てろ!」
「くっ......俺はモンスターをセットして、ターンエンド」
「俺のターン、ドロー。俺は、
N・グラン・モールを召喚。
バトル、グラン・モールで裏守備表示モンスターに攻撃。グラン・モールが相手モンスターと戦闘を行うとき、ダメージ計算を行わず、攻撃されたモンスターとこのモンスターを手札に戻すことができる!
さらに、ライオウでダイレクトアタック!」
「くっ......」
十代:6000→4100
「ターンエンドだ。もう終わりか、十代。」
「まだまだー!俺のターン、ドロー!よし、俺は手札から、融合を発動!俺は「甘い!
罠発動、カウンタートラップ、マジック・ジャマー。手札を一枚捨て、相手の
魔法カードの発動を無効にする。」......モンスターをセットして、ターンエンド」
「俺のターン、ドロー。グラン・モールを召喚。2体で攻撃して、ターンエンドだ」
十代:4100→2200
「俺のターン、ドロー!!よし、E・HERO ワイルドマンを召喚!そして、速攻魔法 マスクチェンジを発動!来い、変身召喚、M・HERO ダイアン「永続トラップ 王宮の弾圧を発動。ライフを800支払うことで、互いのプレイヤーは、モンスターの特殊召喚を無効にすることができる。俺はライフを800ポイント支払い、ダイアンの特殊召喚を無効にする」
万丈目:6000→5200
「タ、ターンエンド......」
「グラン・モールを召喚。二体でダイレクトアタック」
「ぐぁぁぁー!!」
十代:2200→0(−600)
............あれ?終わった?
「や、やっぱり、メタビート系って強いな。鬼畜だな」
「「「............」」」
みんなドン引き俺もドン引き。
「......フン、こんなものか。つまらんな」
「確かに、ものっ凄い短かったな。三沢、次、お前が行くか?」
「いえ、勝てる気がしないので結構です」
「そうか。俺はデッキ内容知ってるから無いとして......」
見回してみるが、誰もこちらを目を合わせようとしない。が、
「よーし、万丈目、もう一回だ!」
なぜかこいつはものすごく元気だ。
「またお前か......まあいい。そんなにやられたいのならかかって来い」
「「デュエル」!」
「俺のターン、ドロー!俺は、E・HERO フォレストマンを、守備表示で召喚。カードを一枚セットして、ターンエンド」
「俺のターン、ドロー。スタンバイ、メインフェイズ。死霊騎士デスカリバー・ナイトを召喚。カードを二枚セットしてターンエンドだ」
「俺のターン、ドロー。俺は、フォレストマンの効果を発動するぜ。スタンバイフェイズに、自分のデッキか墓地から融合を一枚、手札に加えることができる」
「デスカリバー・ナイトの効果。モンスター効果が発動した時、このモンスターを生贄に捧げて、そのモンスターの効果の発動と効果を無効にして破壊する。融合は加えさせん!」
「甘いぜ、万丈目。俺は手札から、融合を発動!手札のスパークマンとバブルキッズを融合、来い、E・HERO アブソルートZero!」
「甘いのはお前だ!
罠発動、煉獄の落とし穴。攻撃力2000以上のモンスターが特殊召喚された時、そのモンスターの効果を無効にし破壊する!」
「三沢、お前今、『奈落でおKじゃね?』って思ってるだろ?」
「はい。対応の幅がずっと広いですし、除外できますし」
「あれは、『ヴェイパーざまぁwwwww効果破壊無効無効してやったったwwwww』って言いたかったから入れたカードだ」
「趣味悪いですね......」
「ほっとけ」
「これでアブソルートは破壊される。そして、俺の場にモンスターは存在しないため、そいつの効果は無駄になる。残念だったな」
「まだまだー!!俺は手札から、
魔法カード
融合回収を発動!自分の墓地に存在する、融合と融合に使用されたモンスターを手札に戻す。俺は手札に、融合とスパークマンを加えるぜ。更に、もう一度融合を発動!手札の、スパークマンと沼地の魔神王を融合、現れろ、E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン!」
シャイニング・フレア・ウィングマンは、通常はスパークマンと融合モンスター、フレイム・ウィングマンを融合させて融合召喚されるモンスターだけど、沼地の魔神王は融合素材代用モンスターだから問題なし。
「フレイムウィングマンは、自分の墓地のE・HERO一体につき、攻撃力が300ポイントアップする!よって攻撃力は2500+300×4=3700だ。
バトル、シャイニング・フレア・ウィングマンで、万丈目にダイレクトアタック、シャイニング・シュート!」
「ぐぁぁぁっ」
万丈目:6000→2300
「俺はこれで、ターンエンドだぜ」
「くっ、俺のターン、ドロー、スタンバイ、メインフェイズ。俺は、
魔法カード 地砕きを発動。相手の場に表側表示で存在する、守備力が最も高いモンスター1体を破壊する。シャイニング・フレア・ウィングマンを破壊!更に手札から、霊滅術師 カイクウを召喚。
バトル、カイクウでダイレクトアタック。カイクウが相手に戦闘ダメージを与えたとき、相手の墓地のモンスターを2体まで除外できる!」
「!!
罠発動!聖なるバリア−ミラーフォース−!」
「ちっ。ターンエンドだ」
「俺のターン、ドロー!よし!俺は手札から、
魔法カード 戦士の生還を発動!」
「ここで戦士の生還か!」
「相変わらず引きの強いやつだな。手札も場もまっさらな時に、バブルキッズを回収できるカードを引けるとは」
「戦士の生還の効果で、俺は、自分の墓地に存在する戦士族モンスター1体を手札に加えることができる。この効果で俺は、墓地のバブルキッズを「手札から、D.D.クロウの効果を発動!」なにぃー!?」
「このカードを手札から墓地へ捨てることで、相手の墓地のカード1枚をゲームから除外することができる。この効果は相手ターンでも発動できる。バブルキッズを除外する!」
おおっ、やばい、濡れる。万丈目さんすげー。
「くっそー!ターンエンドだ」
「俺のターン、ドロー、スタンバイ、メインフェイズ。俺は手札から、異次元の女戦士を召喚!十代にダイレクトアタックだ!
俺はこれで、ターンエンド」
十代:6000→4500
「俺のターン、ドロー!モンスターを一体セットして、ターンエンド」
「俺のターン、ドロー、スタンバイ、メインフェイズ。まさか、その程度で俺の攻撃を耐えられると思っているのか!俺は、場に伏せてあった、
魔法カード 抹殺の使徒を発動!フィールド上の裏側表示モンスター1体を破壊し、ゲームから除外する」
「くっ、バーストレディ......」
「異次元の女戦士でダイレクトアタック」
十代:4500→3000
「カードを一枚セット。ターンエンドだ」
「俺のターン、ドロー!よし、俺は手札から、ミラクル・フュージョンを発動!自分のフィールドか墓地からモンスターを除外して、E・HEROと名のついた融合モンスターを特殊召喚する!」
「させるか!カウンタートラップ マジック・ジャマー!手札を一枚捨てることで、ミラクル・フュージョンを無効にする!」
「うっ、またかよ......ターンエンド」
「このターンで終わりにしてやる!俺のターン、ドロー!ちっ、スタンバイ、メインフェイズ。俺はグラン・モールを召喚。二体でダイレクトアタック」
「ぐぁぁっ」
十代:3000→600
「ターンエンドだ」
「へへ、残ったぜ」
「ふん。死にぞこないが。手札ゼロで何ができる」
「まだドローが残ってるぜ?」
「まだ勝てると思っているのか。状況を理解していないようだな。いいか、よく聞け。
俺の場に存在するモンスターは、異次元の女戦士とグラン・モールだ。グラン・モールと戦闘を行えば、お前のモンスターは手札に戻る。よって、お前が俺にダメージを与えるには、異次元の女戦士と戦闘を行わなければならない。
だが、女戦士が相手モンスターと戦闘を行った時、そのモンスターと自身をゲームから除外することができる。そして俺の残りライフは2300 。つまり、お前が勝利するには、攻撃力3800以上のモンスターを召喚しなければならない!よって、俺の勝利はほぼ確定している!」
や、やめろ!そんなことしたら十代は困ったときのドローカードを引くぞ(笑)
いやー、なんでこんなにこいつらフラグ建てるの好きなんでしょうね(笑笑)
「まだだ!俺は、自分のデッキの可能性を信じる!俺の引きは奇跡を呼ぶぜ!いくぜ、俺のターン......ドロー! !!!来たぜ!!」
「なんだと!?」
「やっぱ俺のヒーロー達は最高だぜ!
俺は手札から、
魔法カード ヒーローアライブを発動!?」
「なんだそのカードは!?見たことが無いぞ!?」
「へへ。今朝入れてみたばっかりのカードだからな」
出た。これこそ十代クオリティ。
「ヒーローアライブの効果!自分フィールド上にモンスターが表側表示で存在しない時、ライフポイントを半分払って、自分のデッキからレベル4以下のE・HEROを一体、特殊召喚できる!俺はデッキから、E・HERO エアーマンを特殊召喚する」
十代:600→300
「そして、エアーマンの効果を発動!デッキから、E・HERO クレイマンを手札に加える。そして、クレイマンを召喚」
「それがどうした。エアーマンで女戦士を攻撃したところで、ダメージはたったの300だ。時間稼ぎにすらならんぞ」
「なーに言ってんだよ、万丈目。俺の場をよく見ろよ」
「お前の場?......まさか!?」
「俺も一回言ってみたかったんだよなー。
いくぜ、俺は、レベル4の戦士族、エアーマンとクレイマンをオーバーレイ!2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!来い、
H−
C エクスカリバー!」
「攻撃力は.....2000?」
「エクスカリバーの効果!1ターンに1度、オーバーレイユニットを2つ取り除くことで、次の相手ターンのエンドフェイズ時まで、攻撃力を元々の攻撃力の倍にすることが出来る!」
「な......こ、攻撃力4000だと!!?!」
「いっけー!エクスカリバー、異次元の女戦士を攻撃、一刀両断! 必殺真剣!!」
「ぐっ、ぐぁぁぁぁー!」
万丈目:2300→0(−200)
「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ、万丈目!」