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漆黒の竜人となりし者 聳え立つ暗黒の塔
作者:ゼクス   2012/07/16(月) 14:35公開   ID:sJQoKZ.2Fwk
 世界と世界の狭間に存在する空間。
 自身の求める怨敵が向かった世界に居ない事を知ったブラックウォーグレイモンは凄まじい速さで自身の怨敵が居ると思われる地球へと向かっていた。

(奴はあの世界には居なかった。ならば!奴が居るのは先ず間違いなく地球だ!!絶対に逃さんぞ!!)

 そうブラックウォーグレイモンは内心で憎しみに満ちた叫びを上げながら、真っ直ぐに地球へと向かい続ける。
 ブラックウォーグレイモンは絶対に自身を今の体に埋め込んだ存在を赦すつもりはなかった。何処まで追いかけて必ず消滅させる。その想いを抱きながらブラックウォーグレイモンは地球に向かい続けていたが、フッと自身がデジタルワールドから去ってからの日数を考えてみる。

(待てよ?・・・・俺がデジタルワールドから離れてからかなりの日にちが経っている・・・・それを考えれば、今の時期はクリスマスか・・・・となれば世界中にダークタワーが出現する時期だな・・・だが、あの忌々しい二体は俺が殺した筈・・・ならばダークタワーの出現が無くなる筈だが、何だこの嫌な予感は)

 ブラックウォーグレイモンは言い知れない予感を感じていた。
 何か重要な事を見落としている。それに気がつかなければ途轍もなく危険な事態が引き起こされるとブラックウォーグレイモンの内の何かが叫び続けている。
 それが何なのかと深く考え込んでいると脳裏に赤いローブで全身を覆い、複数の暗黒デジモン達を従えているデジモンの姿が脳裏に浮かんで来る。

(思い出したぞ!デーモンだ!!奴の事を忘れていた!・・・急がねばならん!!あの二体が居なくなったとなれば、奴とデーモンが直接戦う可能性も存在している!!それだけは絶対にさせんぞ!!奴は俺の獲物だ!!誰にも渡さん!!)

 ブラックウォーグレイモンはそう内心で叫ぶと、更にスピードを上げて急ぎ、地球へと向かって行く。
 呪わしき己を生み出した全ての元凶を自身の手で滅ぼす為に。





 東京都に存在するとあるアパート。
 その場所に賢は両親と共に暮らし、今は大輔、タケル、ヒカリ、京、伊織、そしてチビモン達と共にクリスマスパーティーを開いていた。
 太一達と分かれた後、大輔達は兼ねてから計画していた賢の家でのクリスマスパーティーを開き、久々の笑顔を全員が心の底から浮かべていた。
 その中にはもちろん此処数週間ずっと落ち込んでいたヒカリも居たが、今は本当にクリスマスパーティーを楽しんでいた。
 その様子を目撃した大輔達は久々にヒカリの心の底からの笑顔を喜び、そのまま楽しくパーティーは終わると誰もが思っていたが、その喜びを打ち消すようにディーターミナルにメールが送られて来る。

「ん?・・・・皆、光子郎さんからメールが届いた見たいよ」

「光子郎さんから?・・・・何だろう?今日は兄さんのコンサートに出席している筈なのに」

 京の報告にタケルは疑問の声を上げ、他のメンバーも首を傾げた。
 今日の昼にアグモン達を太一達に届けて分かれた筈。アグモン達も一緒に居るのだから何かが在っても大丈夫な筈なのだがとその場にいるメンバー全員が思いながら、メールを読んでいる京に顔を向ける。
 そして見つめられた京はメールを読んで行く内に徐々に顔が青ざめていき、唇を震わせながら全員に聞こえるように声を掛ける。

「・・・お台場に・・・・デジモン達が現れたらしいの・・・・それでお台場の街で暴れ回っているって・・・光子郎さんから」

『ッ!!』

 震えながら発せられた京の言葉に、その場に居る全員が目を見開きながら理解した。
 また、戦いの時が訪れたのだと誰もが理解し、それぞれ悩むような顔をしながらも急いでお台場に向かう準備を始めるのだった。





 お台場付近。
 今その場所は、三年前のデジモン達の来襲の時のように多数のデジモン達が暴れ回っていた。次々と何処からともなくデジモン達は現れ、其処かしで建物や人々を襲い続けている。
 そしてその場所の近くではお台場でヤマトとバンドメンバーが参加していたコンサートを見に来た太一達とアグモン達も居たのだが、デジモン達の暴走を止める事が出来ずに悔しげにデジモン達を見つめていた。

「クソッ!アグモン!!」

「わ、分かっているんだけど・・・・ゴメン太一・・・進化出来ないんだ」

「僕もだ」

「私もよ」

「わても」

「俺もだぜ」

 アグモン、ガブモン、ピヨモン、テントモン、ゴマモンはそれぞれ申し訳なさそうに顔を俯かせる。
 その様子を目にした太一達は困惑するしかなかった。例えデジタルワールドではなく現実で在ろうと、アグモン達は進化する事が出来る筈。なのに今のアグモン達は進化出来ずに居る。ブラックウォーグレイモンとの戦いで負ったアグモンのダメージは既に回復している筈なのだ。
 何よりもアグモンだけではなく、ガブモン達も進化出来ないのは可笑しい。
 何故アグモン達が進化出来ないのかと太一達が辺りを見回していると、在る箇所に目を向けた光子郎が目を見開き、太一達に聞こえるように叫びながら指を差す。

「皆さん!あそこを見て下さい!!」

「ん!・・・あ、アレは!?」

 光子郎の叫びにヤマトが顔を向けると驚愕に満ちた叫びを上げ、太一達も信じられないというように目を見開く。
 太一達の視線の先には、現実世界に現れる筈の無い黒き塔-ダークタワー-が静かにその威容を放ちながら建っていた。

『ダークタワーーー!!!』

「そ、そんな馬鹿な!?ダークタワーを作り出せる筈のアルケニモンとマミーモンは確かにブラックウォーグレイモンが倒した筈なのに!?」

 アグモンは視線の先に建っているダークタワーに叫ばずにはいられなかった。
 確かにアグモン達の目の前でアルケニモンとマミーモンはブラックウォーグレイモンが放ったガイアフォースによって消滅した筈。
 あの光景が嘘だったとはアグモンには思えない。何よりもアルケニモンとマミーモンをこれ以上に無いほどに憎んでいるブラックウォーグレイモンが仕損じる事は先ず無い。
 では、あのダークタワーは誰が作り上げたのかと太一達とアグモン達が困惑していると、別の場所の方からネフェルティモンに乗ったヒカリ、ペガスモンに乗ったタケルと伊織にアルマジモン、ホークモンが愛情のデジメンタルの力でアーマー進化した頭部の部分を銀色の装甲で覆い、額の部分に愛情の紋章が描かれた獣型デジモン-ホルスモンの背に乗った京に賢とワームモン。
 そして最後にブイモンが友情のデジメンタルの力でアーマー進化した四足歩行で体を黒い鎧で覆い、頭部の部分にツノを生やし、背中に三本の突起を備えた獣型デジモン-ライドラモンの背に乗った大輔が駆けつける。

ホルスモン、世代/アーマー体、成熟期、属性/データ種、フリー、種族/獣型、必殺技/マッハインパルス、テンペストウィング
古代種のホークモンが愛情のデジメンタルで進化した獣型デジモン。愛情のデジメンタルの風の力を100%発揮している為にパワー、スピードともにかなりアップしている。天空を駆け抜け、空中では多彩な技で絶大な強さを誇る。必殺技は、翼から衝撃波をくりだす『マッハインパルス』と、体を回転させ巨大な竜巻を引き起こす『テンペストウイング』だ。

ライドラモン、世代/アーマー体、完全体、属性/ワクチン種、データ種、フリー、種族/獣型、必殺技/ブルーサンダー、ライトニングブレード
数あるアーマー体の中で完全体に匹敵する力を持った、古代種のブイモン・レナモンが友情のデジメンタルで進化した獣型デジモン。大地を貫く雷のようなスピードで敵に立ち向かう。強烈な電撃を放ち、どんな敵でも黒コゲにしてしまうぞ。必殺技は、背中の3本の突起に雷を集め、敵に向かって一気に撃ち出す『ブルーサンダー』と、頭部の刃のようなツノから電撃の刃を敵に向かって放つ『ライトニングブレード』だ。

(ダークタワー・・・何でアレが現実世界に)

 ライドラモンに乗りながらダークタワーを目撃した大輔は、信じられないと言う心境しかなかった。
 既にデジタルワールドに存在していたダークタワーは全て破壊し、アルケニモンとマミーモンも居ない筈。
 だとしたら考えられるのは、チンロンモンが言っていた真の敵しか考えられない。何処かに居るのかと大輔は思わず焦りながら辺りを見回すが、そんな大輔を落ち着かせるようにライドラモンが声を掛ける。

「落ち着くんだ、大輔!今重要なのはダークタワーを破壊して、デジモン達をデジタルワールドに帰す事の筈だ!」

「ライドラモン・・・・そうだな!行くぜ!!」

「おう!!ライトニングブレード!!」

ーーーバリィィィィーーン!!

 大輔の言葉に答えると共にライドラモンは高く飛び上がり、頭部のツノから放った電撃の刃でダークタワーを切り裂いた。
 同時にダークタワーはデータ粒子に変わって消滅し、太一達は即座に自分達のデジヴァイスを取り出すと、アグモン達に顔を向ける。

「よし!皆行くぞ!!」

『応ッ!!』

 太一の叫びにヤマト達は即座に応じると、それぞれが握っていたデジヴァイスが光り輝き、アグモン達は進化を始める。

「アグモン進化!!グレイモン!!」

「ガブモン進化!!ガルルモン!!」

ガルルモン、世代/成熟期、属性/ワクチン種、種族/獣型、必殺技/フォックスファイヤー
極寒に生息している狼のような姿をしている獣型デジモン。全身が青白く輝く毛に覆われていて、そのひとつひとつは伝説のレアメタルと言われる『ミスリル』のように硬い。獲物を見つけ出す勘と、確実に仕留める力をもっているため、他のデジモンから恐れられている。またとても賢く主人に従順で、なつきやすい性格をしているとの情報も存在している。『グレイモン』同様生息範囲が広く、属性もワクチン・データ・ウィルスと全てのパターンが確認されている珍しい種だ。必殺技は青い炎を口から放つ『フォックスファイヤー』だが、その他にも口から氷を放つなど、氷関係の技も数多く所有しているぞ。

「ピヨモン進化!!バードラモン!!」

バードラモン、世代/成熟期、属性/ワクチン種、データ種、種族/巨鳥型、必殺技/メテオウイング
全身を燃え盛る炎で覆った不死鳥のような姿をした巨鳥型デジモン。大きな羽を羽ばたかせて気持ちよく大空を飛びまわることが大好きだ。戦うことはあまり好きではないが、向かってくる敵には容赦はしない。必殺技は、翼を羽ばたかせ、燃えさかる羽を相手に向かって流星のように無数に飛ばす『メテオウイング』だ。その他にも炎に関する技を多く所持している。

「テントモン進化!!カブテリモン!!」

「ゴマモン進化!!イッカクモン!!」

 アグモン達はそれぞれ自分達の成熟期への進化を漸く終え、即座に暴れ回っているデジモン達を止める為に走る。
 グレイモンは近くの建物に向かって腕を振り下ろそうとしているダークティラノモンやティラノモン達を押さえに。
 ガルルモンは建物や他のデジモン達に向かって突進しようとしているタスクモンを止めに。
 バードラモンとカブテリモンは空中を縦横無尽に動き回っているエアドラモン達を止める為に。
 そして最後のイッカクモンは川などに入り込んだ水棲系デジモン達を止める為に動き始める。
 同時にダークタワーが無くなった事で成熟期への進化が可能になったワームモンと賢は頷き合うと、ワームモンはホルスモンの背から飛び降りて、空中に身を躍らせながら叫ぶ。

「ワームモン進化!!スティングモン!!」

「よし!ライドラモン!俺達も行くぞ!!」

「応ッ!!」

 大輔の言葉にライドラモンは即座に応じると、アーマー進化を一度解いてブイモンへと退化する。
 同時に大輔は自身のD-3をブイモンへと翳し、ブイモンの体は光に包まれて進化が始まる。

「ブイモン進化!!エクスブイモン!!」

「よし!エクスブイモン!!お前はスティングモンと協力して、グレイモンとガルルモンの手助けに行くんだ!!」

「分かった!」

 エクスブイモンは大輔の言葉に頷くと、先に先行していたスティングモンの後を追いかけ、グレイモンを背後から奇襲しようとしていたティラノモン達に向かって蹴りを放つ。

『ハアァァァァァァァァァーーーー』

ーーードゴオォン!!

『グゥッ!!』

「二人とも!このデジモン達はただ急に現実世界にやって来て興奮しているだけだ!!気絶させるだけで充分だ!!」

「分かった!スパイキングフィニッシュッ!!」

「エクスレイザーー!!!」

ーーードオオオオオオオオオオン!!

 スティングモン、エクスブイモンはそれぞれ威力を抑えた必殺技を放ち、グレイモンと共に地上に居るデジモン達を気絶させて行く。

 そして上空ではバードラモンとカブテリモンと合流したネフェルティモンとペガスモン、そしてホルスモンが、上空で動き回っていたエアドラモン達を囲むように動いていた。
 エアドラモン達は自分達よりも実力が上のバードラモン達が逃げようとするが、そうはさせないとバードラモンとカブテリモン、そしてホルスモンが素早くエアドラモン達の前に移動して先を塞ぐ。
 それによってエアドラモンが慌てて動きを止めてしまった瞬間を逃さずにネフェルティモンとペガスモンは、自分達の足から光の紐を作り上げると輪にするようにエアドラモン達を囲む。

『サンクチュアリーーバインドッ!!』

ーーーガシィィィーン!!

『ギギャアッ!!』

 ネフェルティモンとペガスモンの合体技であるサンクチュアリーバインドで拘束されたエアドラモン達は、自分達の体に巻きついているサンクチュアリーバインドから逃れようと暴れる。
 しかし、そうはさせないと言うようにバードラモンは自身の炎の羽を羽ばたかせ、カブテリモンは頭部のツノにエネルギーを集中させ、ホルスモンは両目に力を集めてそれぞれ必殺技を撃ち出す。

「メテオウイング!!」

「メガブラスターーー!!」

「レッドサン!!」

ーーードオオオオオオオオオオオオオオン!!

 バードラモン、カブテリモン、ホルスモンホルスモンが放った必殺技は拘束されていたエアドラモン達に直撃し、エアドラモン達は気絶してしまう。
 そのままネフェルティモンとペガスモンは気絶しているエアドラモン達をサンクチュアリーバインドを使って、エアドラモン達を下ろせる広場の方へと向かって行く。

 一方川の中に入り込んでいるデジモン達を捕まえようと入り込んだイッカクモンは、アルマジモンが誠実のデジメンタルでアーマー進化したサブマリモンと共に川の中に隠れているデジモン達を捜索していた。
 そう時間は経っていないので何処かに隠れている筈だと思いながらサブマリモンに乗った伊織が川の中を見回していると、イッカクモンとサブマリモンに急接近して来るシードラモンとシェルモンを発見する。

シードラモン、世代/成熟期、属性/データ種、種族/水棲型、必殺技/アイスアロー
蛇のように長い体をした水棲型デジモン。攻撃力は高いが知性はほとんどなく、感情のままに生きている。敵に巻きついて物凄い力で相手の体を締め上げる。必殺技は、口から鋭い氷の矢を吐き出す『アイスアロー』だ。その他にも氷に関する技を所持しているぞ。

シェルモン、世代/成熟期、属性/データ種、種族/軟体型、必殺技/ハイドロプレッシャー
『ネットの海』の海岸や浅い海底などに住むヤドカリのような姿をした軟体型デジモン。。体は柔らかい為に体が入る物なら何にでも住み着いてしまう。体の成長と共に住処を変えるため、最後には小さな岩山程度の大きさにまでなるらしい。必殺技は、頭から強力な水流を相手に向かって撃ち出す『ハイドロプレッシャー』だ。

「来ます!!」

「よし!俺に任せろ!!」

 伊織の言葉にイッカクモンはそう答えると、サブマリモンの前に移動し、急接近して来るシードラモン達に頭部のツノを構える。

「ハープーンバルカンッ!!」

「アイスアローー!!」

ーーードオオオオオオン!!

 イッカクモンが発射したハープーンバルカンを、シードラモンは相殺するように口からアイスアローを放ち、水の中で激突し合った。
 それによって発生した激しい水の流れに巻き込まれないようにそれぞれ動き、シェルモンは発生した水流の勢いを利用してサブマリモンに突撃する。

「シェェェェェェーーー!!!」

「そんな攻撃食らわないダギャ!!」

 突撃して来たシェルモンの攻撃をサブマリモンは難なく避けた。
 同時に自身の横を通過したシェルモンの背に、顔を向けて備えられている発射口から超高圧の酸素をミサイルのようにシェルモンの背に向かって撃ち出す。

「オキシジェンホーミングッ!!」

「グッ!!」

 背後から迫って来ているミサイルに気がついたシェルモンは、急いで逃れようとスピードを上げて移動する。
 しかし、オキシジェンホーミングはしつこくシェルモンを追い続け、とうとうシェルモンを捉えて背に直撃する。

ーーードゴオオオオオオオオオオン!!

「シャッ!?」

 仲間であるシェルモンにオキシジェンホーミングが直撃するのを目撃したシードラモンは自身の形勢不利を悟り、イッカクモンとの戦いを放棄して逃げ始める。
 イッカクモンはそうはさせないとシードラモンが逃げ出そうとした先に移動して、シードラモンの動きを阻む。
 シードラモンは何とか逃げようとイッカクモンに攻撃を加えようとするが、その前に背後に回っていたサブマリモンが再びオキシジェンホーミングをシードラモンに向かって撃ち出す。

「貰ったダギャ!オキシジェンホーミングッ!!」

「シャッ!?」

ーーードオオオオオオオオオオン!!

 背後からのサブマリモンの攻撃にシードラモンは慌てて気がつき逃れようとしたが、既に時遅くシェルモン同様にその体にオキシジェンホーミングが直撃して気絶する。
 それを確認したイッカクモンとサブマリモンは気絶しているシードラモンとシェルモンを運びながら、川から顔を出す。
 太一はそれを目撃すると、残っている二体のデジモン-完全体のメガドラモンともんざえモンを真剣な瞳で見つめる。

もんざえモン、世代/完全体、属性/ワクチン種、種族/パペット型、必殺技/ラブリーアタック
すべてが謎に包まれているパペット型デジモン。見た感じは、そのまま熊のぬいぐるみで、背中の部分にチャックが付いているところから、中に何者かが入っているという噂。この可愛らしい体から溢れる愛で敵を包み込んで幸せな気持ちにしてくれる。必殺技は、愛の詰まったハートを敵に投げつけ、戦闘意欲を無くさせてしまう『ラブリーアタック』だ。

メガドラモン、世代/完全体、属性/ウィルス種、種族/サイボーグ型、必殺技/ジェノサイドアタック、アルティメットスライサー
メタルグレイモン、メタルマメモンなどでサイボーグ型デジモンを作るための技術が完成したことにより、対陸海空迎撃用デジモンとして作られたサイボーグ型デジモン。両手に在る鋭いツメは、どんな物質も簡単に切り裂いてしまう。同次期に開発が進められていた“ギガドラモン”とはライバル関係にある。必殺技は、両手から有機体系ミサイルを放つ『ジェノサイドアタック』に、両手から空気の刃を放ち、相手を真っ二つにする『アルティメットスライサー』だ。

「残るは完全体二体か」

「俺達に任せて下さい!賢!」

「うん!!」

 大輔の声に賢は頷き、同時にD-3を構えると、D-3は光り輝き、エクスブイモンとスティングモンの体が光り始める。

「エクスブイモン!!」

「スティングモン!!」

『ジョグレス進化!!パイルドラモン!!』

 エクスブイモンとスティングモンが同時に叫ぶと、二体のデジモンは一つになり、光が消えた後にはエクスブイモンとスティングモンのジョグレス進化体デジモン-パイルドラモンが立っていた。
 そしてパイルドラモンへの進化を終えるとパイルドラモンは先ず空中に居るメガドラモンに飛び掛かり、右手の篭手から鋭い突起を出現させる。

「エスグリーマッ!!」

「ガアァァッ!!」

ーーーガキィィィン!!

 パイルドラモンが突き出して来たエスグリーマに対してメガドラモンは、自身の鋭い爪を激突させ、激しい金属音が鳴り響いた。
 しかし、パイルドラモンとメガドラモンは気にせずに次々と自身の武器を激突させあい、相手を倒そうと攻撃を繰り返す。
 その間にもんざえモンは気絶したデジモン達を助けようと歩き始めるが、その前にアクィラモンとテイルモンのジョグレス進化体であるシルフィーモンと、アンキロモンとエンジェモンのジョグレス進化体であるシャッコウモンが立ち塞がる。

「悪いけど、貴方には此処で止まって貰うわ!!」

「ヌヌヌッ!!ラブリーアタック!!」

 自身の邪魔をするシルフィーモンとシャッコウモンに向かって、もんざえモンはハート型の光-ラブリーアタックを放った。
 その攻撃を素早くシルフィーモンとシャッコウモンは避けると、シャッコウモンはもんざえモンの前に移動し、両腕を組み合わせて力比べを始める。

「ヌヌヌッ!!」

「ウオオォォォォォーーー!!!」

 シャッコウモンが叫ぶと同時に頭の煙突から煙が噴き出し、一気にもんざえモンを背後へと押しやる。
 もんざえモンは何とかシャッコウモンから逃れようと力を振り絞るが、シャッコウモンは更に力を込めてもんざえモンを投げ飛ばす。

「ウオオオォォォォォーーー!!!」

ーーードオォン!!

「グゥッ!!」

 背中から地面に叩きつけられたもんざえモンは苦痛の叫びを上げた。
 シャッコウモンはそれと共にもんざえモンから離れ、好機を窺っていたシルフィーモンはチャンスだと判断すると、両手を円を描くように動かし、両腕にエネルギーを溜め終えると同時にもんざえモンに向かってエネルギー弾を撃ち出す。

「トップガン!!」

ズドオオオオオオオオオォン!!

「グアァァァァァァッ!!」

 シルフィーモンが放ったトップガンを食らったもんざえモンは苦痛の叫びを上げながら、背後に存在していた壁に激突して気絶した。
 それを確認するとシルフィーモンとシャッコウモンはメガドラモンと戦っているパイルドラモンの援護を行おうとするが、それは必要なかった。
 何故ならば既にメガドラモンとパイルドラモンの戦いは終わりへと近づいていたのだ。
 パイルドラモンが右腕から伸ばした爪から伸びているワイヤーにメガドラモンは体を拘束され、何とか逃れようとメガドラモンは暴れるが、パイルドラモンはそうはさせないとワイヤーを伝ってメガドラモンに電流を流し込む。

「エレメンタルボルト!!!」

ーーーバリバリバリバリッ!!

「ギガァァァァァァァァァァァーーーーーーー!!!!」

 急激に流された電流をメガドラモンは耐える事が出来ずに、顔を下に俯けて気絶してしまう。
 パイルドラモンはそれを確認するとメガドラモンを他のデジモン達の居る場所に運び始め、大輔達と太一達は一先ずデジモン達の破壊が終わった事に安堵の息を吐く。

「フゥ〜、一時は如何なる事かと思いましたが、何とか終わりましたね」

「そうだな、光子郎・・・だけど、如何してダークタワーが現実世界に現れたんだ?」

「そうですよね。何よりもダークタワーを作り出せる筈のアルケニモンとマミーモンはもう居ない筈ですし。それにダークタワーの進化抑制機能はもう無い筈なのに」

 太一の言葉に京は同意するように声を出しながら、新たに現れたダークタワーの力に疑問の声を上げた。
 そう、嘗てデジモンカイザーで在った賢が元に戻ってからは、ダークタワーに備わっていた筈のデジモンの進化抑制機能は消失した筈なのだ。そうでなければデジタルワールドで大輔達はブイモン達を通常進化させる事が出来なかった。
 しかし、一時的では在るがダークタワーが進化抑制機能を取り戻した事が在った事を賢は思い出し、信じられないと言う想いを抱きながらも一つの可能性を皆に話し始める。

「・・・もしかしたら・・・アルケニモンとマミーモンは生きているのかもしれない」

「何だって!?」

「本当かよ!?」

「・・・最初に僕がアルケニモンに出会ったのは現実世界だった・・・ブラックウォーグレイモンに倒される瞬間、何らかの方法で現実世界に戻ったのかも知れない」

「だとしたら・・・大変な事になるぞ。そのアルケニモンとマミーモンが現実世界でダークタワーをばら撒いたら、三年前の事件じゃすまない。あの時以上の事件になるかもしれないな」

 賢の話を聞いた太一は険しい顔をしながら自身の推測を話し、他のメンバーも顔を険しくせざるを得なかった。
 もし本当にダークタワーが現実世界に多数出現でもしたら、それだけで大変な事態になるのは確実なのだ。何せ一本だけでもデジモン達が複数現れたのだ。
 もし日本中でデジモンが現れでもすれば、今の太一達には如何する事も出来ない。日本中を一瞬で移動する手段など太一や大輔達には無いのだ。
 その事が分かっている太一達は大輔達にデジタルワールドへ続くゲートを光子郎のパソコンに作って貰いながら、今後如何すべきなのかを考える。

「・・・・とにかく、今日のところはもう帰りましょう。明日にでも僕の家で今後の対策について話し合うべきです」

「それしかないよな」

 太一はそう光子郎の提案に同意しながら、その場に居る全員に事情を説明して、明日光子郎の家で今後についてを話し合う事を決めあうとそれぞれ帰途について行く。

 そして途中で賢とワームモンと駅で分かれた後、太一、アグモン、ヒカリ、テイルモンは自分達の住んでいるマンションに向かいながら今日の出来事について話し合う。

「・・ねぇ、お兄ちゃん・・・・本当に今日のダークタワーはアルケニモンとマミーモンの仕業なのかな?」

「・・・多分そうだろうな。どうやって助かったのかまでは分からないけど、賢の話だとアルケニモンは現実世界にも来れるようだからな」

「だとしたら、アルケニモンとマミーモンの背後の黒幕は現実世界に居るかもしれないわね」

「うん・・・だけどさぁ?何か似てないかな?」

「似てるって何がだよ?」

「今の状況だよ、太一・・・現実世界にデジモンを来させるなんて、僕らが三年前に現実世界に来た時と似てないかな?」

『ッ!!』

 アグモンの言葉に太一達はハッとしたように顔を見合わせた。
 そう確かにアグモンの言うとおり、ダークタワーがデジモンを呼ぶ事以外は余りにも状況は三年前の事件に似すぎている。偶然にも同じ形になったのかと太一とヒカリは考えるが、テイルモンだけは何かを思い悩むように顔を俯かせる。

(まさか、ブラックウォーグレイモンを生み出したのは・・・・いえ、それは無いはずよ。確かにあの時に奴はウォーグレイモンとメタルガルルモンに倒された・・・・それにもし生きているのなら、ブラックウォーグレイモンは地球かデジタルワールドに居る筈だわ・・・・奴の筈が無い・・・でも・・奴ならブラックウォーグレイモンのような存在を生み出しても可笑しくは無いわよね・・・一体どうなって居るの?)

 テイルモンはブラックウォーグレイモンのような存在を生み出しても気にしない存在に心当たりが在った。
 しかし、同時にそれは絶対に在りえない敵でも在った。何故ならばその敵は三年前に確かに倒したのだから。何よりもそれならばブラックウォーグレイモンは異世界になど向かわずに、地球かデジタルワールドで敵を捜索している筈。
 故にテイルモンは自身の頭の中に浮かんだ敵の姿を振り払うように頭を振るうが、疑念だけは深く心の奥底に残りながら帰途へとつくのだった。





 翌日の早朝。
 大輔とブイモンの退化したデジモンであるチビモンは自身の部屋で光子郎の下に行く準備をしていた。
 二人共に昨日の事件が如何しても気になり、早い時間帯で起きてしまったのだ。そして着替えを終えて朝食を取る為に大輔がリビングに向かって歩き出すと、大輔の姉である本宮ジュンの悲鳴が聞こえて来る。

「アァァァァァァァーーーー!!!!」

「ッ!!如何したんだよ!姉貴!!」

 自身の姉であるジュンの叫びに大輔が慌ててリビングに飛び込んで見ると、ジュンは驚愕に満ちた顔をしながらテレビ画面を見つめていた。
 大輔はその様子にただ事ではないと思いながら自身もジュンの横でテレビ画面を覗いて見ると、テレビ画面には日本各地で建っているダークタワーが映し出されていた。

『昨晩お台場に出現した物と同じ黒い塔と思われる物が、日本各地だけではなく世界中に現れた事が今日の早朝に判明しました』

「せ、世界中だって!?」

『また、この黒い塔の周りからは謎の生物が次々と出現しています。現在のところは被害は出ていませんが、政府は自衛隊の派遣も検討し始めたようです』

(ッ!!・・・・とんでもない事になりやがった)

 ニュースのアナウンサーの報道に大輔は事態がとんでもない方向に向かい始めた事を確信して、急いで太一の家へと連絡を取る為に電話機の場所へと走るのだった。





 その頃、デジタルワールドのとある森。
 その場所の上空の空間が歪んだように捩れた瞬間、凄まじいまでの速さの黒い影が森に向かって落下する。漸く地球へと向かっていたブラックウォーグレイモンがデジタルワールドへと辿り着いていたのだ。

「次は地球だ!」

 轟音を立てながら森の中に着地したブラックウォーグレイモンは、次なる目的地である地球に向かう為に空間を歪ませて地球へのゲートを無理やり開こうとする。
 しかし、その直前に自身を見ている何かしらの気配に気がつき、気配が感じられる背後へと振り返る。

「・・・・其処に隠れている奴。一体俺に何の用だ?」

「・・・流石としか言えないな」

 ブラックウォーグレイモンの言葉に応じるように、ブラックウォーグレイモンが見つめていた木の背後から頭のフードを被った男性が現れる。
 知識として見覚えが在る人物にブラックウォーグレイモンは視線を険しくして、フードの人物の名を呟く。

「貴様は・・・・ゲンナイか?」

「その通りだ。始めましてブラックウォーグレイモン。君に名乗る必要は無いだろうが名乗って於くよ。私の名前はゲンナイだ」

 ブラックウォーグレイモンの言葉に答えると共にフードを被っていた人物-ゲンナイ-はフードを取り払いながら自己紹介を行い、自身の素顔をブラックウォーグレイモンに晒す。
 しかし、ブラックウォーグレイモンはゲンナイの素顔になど興味が無いというように目を険しく細めながら話を進める。

「それで俺に何の用だ?悪いが俺は貴様に付き合っている暇は無い」

「・・・自分の憎んでいる敵が地球に居るからか?」

「・・・・・貴様、何を知っている?」

 ゲンナイの言葉にブラックウォーグレイモンは僅かに殺気を放ちながら質問した。
 自身の怨敵が地球に居る情報を知っているのは自分だけの筈。なのにゲンナイはまるで最初からそれを知っていたかのように話し掛けて来た。
 それ故にブラックウォーグレイモンはゲンナイに険しい視線を向け続けると、ゲンナイはブラックウォーグレイモンの頭を深々と下げる。

「君の力を貸して欲しい。今地球は大変な事になっているんだ」

「・・・・・詳しく事情を話せ。話によっては力を貸してやろう。だが、俺が優先するのは奴の事だけだ。地球に居るあいつ等で対処出来る事ならば、俺は手を貸さずに奴を追う」

「分かった。実は今地球では・・・」

 そう言うとゲンナイはブラックウォーグレイモンに地球で起きている出来事を話し始めるのだった。


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