――15:32、関西エリア方面、ブリタニア大阪基地。
他のエリアの基地と同様に第一級の警戒態勢を敷いていた中に、政庁から副総督が飛行戦艦とイレヴンの騎士が来訪し、苦虫を潰したような顔をしていた基地指令官。
そんな最中にさらに彼の機嫌を悪くさせる報告が舞い込んだ。
「オオサカゲットーヨドガワエリアで暴動が発生!」
「規模は約千五百人! これまでとは比べものにならない数です!!」
「ええいっ、この忙しい時に! 忌々しいイレヴン共がっ!」
暴徒を鎮圧するだけなら簡単だが、正体不明の敵による襲撃が考えられる中で、人員を割く余裕はあまり無い。
しかし暴動が起きている以上鎮圧に向かわなければならないし、今の兵士は好戦的になっていることは間違いない。ならば考えられる手は打っておくべきだろう。
「至急ナイトメア二個小隊を鎮圧に向かわせろ。装備は対ナイトメア戦を想定し、随伴のオーガーに予備弾倉を持たせておけ」
「ハッ……指令はナイトメアとの戦闘をお考えで?」
「第一級の戦闘配置の最中にこの騒動だ。何かあれば黒の騎士団がいたから止むを得ず鎮圧した、とでも言えばいい」
「特派についてはいかがしますか?」
「連絡だけは入れておけ。寧ろお優しいユーフェミア副総督の事だ。こちらが何も言わずとも、あのナンバーズを出すだろうさ」
基地指令官の予想通り、連絡を受けたユーフェミアは直ちにスザクに出撃の命令を下した。
『詳細は分かりました。私の騎士にも出撃を命じます』
そうして完全装備のランスロットが鎮圧部隊に加わることになったが、当然の事ながら共に出撃することになったブリタニア兵士からはいい顔をされなかった。
関西エリアの調停のために赴いたのだから、ユーフェミアの行動は至極当然のことだが、基地の兵達は元イレヴンがナイトメアを手土産にテロリストに寝返るのではないかと気が気でない。
尤も、単独での行動が基本となる特派が、鎮圧部隊との共同を受け入れたのもそのような疑惑を払拭する為でもあるので、基地の兵士達も否とは言えなかったが。
兎に角、千五百という膨大な数の暴徒を鎮圧するために、完全武装のランスロットを含めた二個小隊はオオサカ基地から出撃する。
そしてその様子を、基地からはるか離れた倒壊したビルから確認する影があった。鎮圧部隊が完全に姿を消したのを確認すると、黒い制服を着たその人影は通信機のスイッチを入れる。
「……こちら第七偵察隊。敵ナイトメア部隊に白騎士を確認。淀川方面の暴動鎮圧に向かったと思われる」
『了解。間もなく作戦が始まる、偵察部隊は直ちに撤収しろ』
「了解、通信終わり」
――16:45、オオサカゲットー淀川地区。
一級河川として数多くの支流と広さを持つ淀川を挟んで、河川敷に集まったゲットー住民達とブリタニア軍は睨み合っていた。
「ちっ、イレヴン無勢がぞろぞろと集まりやがって……」
「黒の騎士団の奴らが暴れ回っているのを見て増長しているんだろ」
「それでなくとも、此処最近の騒ぎにつけ込んでやがるのさ」
河川敷には当初の千五百を越え、二千に届きそうなほどの難民達が集まり、様々なプラカードを掲げていた。プラカードには自由や独立を願う様々な言葉が綴られており、盛んに声を挙げてそれらを掲げている。
ほんの少し前まではそのような行為を行う者はほとんどいなかったが、此処最近のブリタニア兵士達が長時間の警戒に苛立ち、ゲットー住民達に暴行を加える事例が飛躍的に増加している事が原因の一つに挙げられる。
他にも黒の騎士団との決戦に備えて物資を各基地にかき集めているために、ゲットーへの配給が滞りがちになったり、穏健派のユーフェミアが政治の舞台に出てきたこともあって、彼女に嘆願しようとする者もいる。
そうしていくつもの要素と思惑が絡み重なりあい、ここまで大規模なデモへと発展してしまった。
だがそれを支配者たるブリタニア人が面白く思うはずもない。
「くそっ、うざったい奴等だ」
「いい気になりやがって……!」
隊員達の間から苛立ちの声が度々聞こえ、中にはライフルのトリガーに指をかける者もいる。度重なる正体不明の襲撃に長期間の警戒態勢、打開の見えない情勢に彼らの精神の拮抗は最早限界にあった。
それは鎮圧部隊の指揮官も同様だ。
「いつまでもこんな所で時間を食うわけにはいかん。全機、兵装の安全装置解除しろ」
「待って下さい! 彼らが行っているのは只のデモで、武装も何もしていません! それに興奮している彼らに無闇に発砲するのは危険です!」
部隊長の強引な行動に思わず口を挟むスザクだが、かえってそれは部隊長の怒りを買ってしまう。
「黙れっ、イレヴンの貴様が口を挟むなっ!! 各員、猿共に少し教育してやれっ!」
その言葉を待っていたように、サザーランドがライフルを構え、黒光りする銃口をデモの集団へと向ける。
そして命令が下されると、隊員達は喜々として引き金を引いた。
銃弾は無慈悲にデモの集団へと襲いかかると彼らの身体を引き裂き、同時にあちこちから悲鳴が上がった。
サザーランドだけでなく、オーガーも機体中央に設置してあるチェーンガンを起動して銃弾をまき散らし、淀川を血の赤へと染めていく。
――だがその光景は電子の妖精によって余す事無く捉えられ、そして瞬時にエリア11各地の抵抗組織達へと宣言が下された。
「繰り返す、『ドラ猫は鰹節へと手を出した』、『ドラ猫は鰹節へと手を出した』」 目の前で繰り広げられる光景の酷さにスザクは思わずそれを止めようと飛び出しそうになるが、彼が行動を起こす前にその光景に変化が現れた。
「へっ、イレヴン共が! 貴様等なんぞこの世からいなくなった方がいいんだ――」
銃撃に夢中になり、隊列から突出して前にでていたサザーランド。そのサザーランドに、突如川から飛び出したナニカが組み付いたのだ。
サザーランドのパイロットは慌てた様子でそれを振り落とそうとするが、組み付いたソレは内蔵していたバルカン砲を至近距離で斉射。たちまちサザーランドを蜂の巣にしてしまう。
「あれは……あの時の虫型兵器!?」
キュウシュウ戦役時に見かけた赤い蜘蛛のような機体は、破壊したサザーランドから離れると、その無機質な瞳をこちらに向け、ガチガチと歯を鳴らしている。
しかもそれだけではない。
赤く染まった淀川からは、まるで黄泉の川から湧き出たように次々と赤い虫が姿を現れだしたのだ。僅か3分足らずでレーダー上は敵を示す信号で埋め尽くされてしまい、あまりの数の多さに部隊の指令官の顔が恐怖に歪んでいる。
そして対岸の集団にはいつの間にか、見慣れないナイトメアが立ち塞がるように存在していた。
『見よっ、ブリタニアは罪無き民に対し警告すら行わず手をかけた!』
『無闇に血を流す奴等の蛮行、最早見過ごすことはできん! 虐げられし日本の民よ、今こそ立ち上がる時だ!!』
黒の騎士団のナイトメアの月下が廻転刃刀を掲げ、それに呼応するようにあちこちから月下や無頼、そして無人兵器群がさらに姿を現した。
最早ブリタニア側が包囲されるほどに膨れ上がった敵の数に、部隊から悲鳴が上がる。
「な、なんだコイツ等!」
「く、来るなっ!!」
近づけまいとライフルで弾幕を張るも、ジョロの口から覗くバルカン砲が返礼として放たれて逆に弾丸の嵐に押し潰され、小型バッタは四本の足をせわしなく動かして近づくと、機体に取り付き鋭い足でサザーランドのボディをズタズタにされる。
随伴していたオーガーが苦し紛れにキャノン砲やミサイルをばら撒くもその数を減らすことは出来ず、その巨体が災いしてあっという間に取り付かれると、ジョロの顎とバッタの鋭い足によってバラバラにされてしまう。
「これは……まさか待ち伏せされていた?」
押し寄せる波のように襲いかかる無人兵器達をMVSとヴァリスで追い払いつつ、スザクは呟いた。
こちらの攻撃をまるで待っていたかのように現れ、鎮圧部隊の戦力をものともしないほどの無人兵器を用意していたのだ。こちらの行動が完全に読まれていたとしか考えられない。
(この大規模なデモはブリタニア軍をおびき寄せる餌? だとしても、やられたのは精々二個小隊だけだ。軍の基地や政庁から遠いところで騒ぎを起こしたとしてもすぐに鎮圧されてしまうはず――)
『スザクくん、聞こえる!?』
「どうしましたセシルさん!」
『今入った情報なんだけど、エリア11各地でオオサカと同じように大規模な戦闘が始まっているわ!』
――ブリタニア基地への同時多発襲撃。
ここ最近各基地の兵士達の神経を削っている同時襲撃を、ここ大阪とほぼ同じように行ったということか。
だとしても何故このタイミングなのだろうとスザクは疑問を抱かずにはいられない。どうせやるなら、全く警戒されておらず、対策も取れていない初めから行った方がずっといいだろうに。
飛びかかってくるジョロやバッタをMVSで切り払いつつ、通信に応じながらそう考えるスザクだが、その通信に耳障りなノイズが混じっていることに気づく。通信をする分には問題ないが、普段がクリアな音質の通信だけにやけに耳障りだ。
『それだけじゃなく、基地や政庁との連絡が途絶え気味で……』
『それはともかく枢木准尉、急いで戻っておいで。なんかユーフェミア様がえらく焦っててさぁ』
その後、入れ替わるようにしてユーフェミアの声が流れてくる。
『ロイド博士、そこからは私が……聞こえますか、スザク?』
「ハッ!」
『スザク、あなたは大至急アヴァロンに帰還しなさい。私達はこれよりトウキョウ租界の政庁へと戻ります』
「え、しかし関西エリアの調停は……」
『最早地方エリアの調停どころの話ではありません。先程セシルさんが仰ったように、全国で一斉蜂起が起こっています。それもこちらと同じように、敵は多数の無人兵器を運用しているようですが、詳細は一切分かっておりません』
「詳細が分からない……とは?」
『言葉通りだよ、枢木准尉。一斉蜂起の後すぐに基地指令と君達の部隊との通信が不可能になったんだ。それだけじゃない、他の基地や政庁との通信も一切繋がらなくなった』
珍しく真剣なロイドの言葉とその内容に、当然スザクは驚いた。出現後の敵の攻撃が迅速だったため気づかなかったが、確かに出現後暫くして部隊間との通信が一切無かった。
「ではこの通信は……?」
『私達は今アヴァロンにいます』
『ユーフェミア殿下が基地からの通信ができないならアヴァロンからならどうかと提案されたの。現在アヴァロンは出航準備中で、準備が完了次第ランスロットの回収に向かうからそれまで頑張って!』
『う〜ん、G−1ベースとのデータリンクも全く機能してないねぇ。それにしても基地から通信が出来ないのにアヴァロンからは可能って事は、ECMじゃない? 確かにアヴァロンは独立したネットワークを持ってるから、ランスロットと回線が繋がるのは納得できるけど……』
『ロイドさん、検証は後で出来ますからこっちを手伝って下さい!!』
セシルの一喝にロイド博士の慌てた様子が通信越しにも分かった。
しかし先程の通信の内容を考えると、最悪他のエリアの基地も同様の状態かもしれない。だとすると、エリア11全てのブリタニア基地は通信も出来ず孤立無援の状態、恐らく基地には無人兵器が向かっているだろうから、基地の戦力は防衛で手一杯のはず。そうするとエリア11の中枢である政庁には――
「ユーフェミア様! まさか政庁には……!」
『ええ、もし予想が当たっていれば……今やトウキョウ租界は大混乱に陥っているはずです』
――19:55、政庁司令部
「フクオカ基地との通信途絶!」
「ヒロシマ、オカヤマ、シコク方面も同様に連絡が付きません! 中国地方から西は完全に遮断されました!」
「カンサイはどうした! あそこには副総督が向かっているはずだ!」
「ダメですっ! 暴動が起こったのを最後に、通信が途切れました!」
政庁のCIC(戦闘指揮所)では、数時間前から起こっている異常事態に、設立以来類を見ないほどの慌ただしさを見せている。
今まではテロや暴動が起こっても政庁では簡単な指示のみを出し、現地にG−1ベースで赴き、そこを基点として事態を解決してきたし、そもそも租界のど真ん中でテロを許したことは今までに一度も無かった。
だが今回は事態の規模がまるで違う。
租界を囲むように配置してある監視所――主な役割はゲットーから流入してくる不届きな輩を見張る施設である――からは正体不明の無人兵器やナイトメアの集団が出現し、さらにはブリタニアの国旗ではなく黒の騎士団のエンブレムが描かれたG−1ベースが出現したとの情報が入っている。
さらには他のエリアの主要基地と全く連絡が取れなくなったため、戦場外の情報を入手できなくなってしまった。
「まさか、同時に全ての基地との通信が途絶するとは……」
「強力なECMか、あるいは……敵の攻撃により壊滅した?」
「いや、いくら敵が戦力を隠し持っていたとしても、それだけ大がかりな戦力があれば我等の目を誤魔化しきれるはずがない」
半世紀近くに渡る植民地政策は、逆にそれだけ多くの敵を相手にしてきた歴史でもある。物資・物流の監視などは特に力をいれているが、組織である以上不正や横流しといった行為は少なからずあるものの、いつまでもそれを見過ごすほどブリタニアは甘くない。
全てのブリタニア基地を相手に圧倒するほどの物量を揃えるならば、少なくとも10年近くの時間は要するだろう。
「ともかく、今は目の前の事態を解決しなければならん」
文官たちはコーネリアのその言葉で論議を止め、神妙に頷いた。
「……恐らくこれまでの基地襲撃は、今回のための下準備。他の基地がここと同様に通信不能ならば、こちらの状況を把握することもできん……つまり我々に他の基地からの援軍は期待できんという事だ」
「ですが姫様、伊豆諸島の空軍基地ならば通信は可能です」
「あそこならば三個大隊程の攻撃機と爆撃機が待機してあります」
この政庁にはナイトメアや戦車、攻撃ヘリ等かなりの戦力を配備している上に政庁の防衛機構は並の基地とは比べものにならない。それゆえに少々の戦力ならばはねのけることも可能だが、空軍戦力のアテがあるのならばそれはより盤石となる。
制空権は未だこちらが握っているため、それだけの戦力があればいくらでも対処のしようはある。
――そう、普通ならば。
「普段ならば頼もしいことだが……アレを見るとどうにも不安が拭えんな」
租界を包囲する黒の騎士団の軍勢。それららはほとんどが戦闘車両やナイトメア、まれに戦車がいるもののそれは想定内の戦力であり、捕獲されたG−1ベースも元々はこちらの装備であるため対処法は十分だ。
だが軍勢の中央に陣取る巨大な機影……それは高度約100Mの位置に陣取り、その鋭い切っ先の如き艦首を真っ直ぐに政庁へと向けて浮遊している。
コーネリアの視線の先に映るモニターには、空の青に悠然と浮かぶ桃色と純白が艶やかに映えている。
それはかつてブリタニアの研究所を壊滅させたといわれる伝説の航空艦――ユーチャリスの姿が写っていた。
――20:20、黒の騎士団Gー1ベース内仮司令所
攻略作戦の最中、陥落させた厚木基地から接収したこのG−1ベースは元々司令塔を兼ねた移動要塞である。攻撃力こそほぼ無いに等しいが、防衛火器の豊富さとその堅牢さはこれまでの戦歴から彼らも身に沁みている。
ブリッジでは黒の騎士団総帥のゼロが、スクリーンに映し出される戦況地図を見つめつつ、矢継ぎ早に指示をオペレータに飛ばしている。
「中部地方防衛の『暁の団』に第98無人兵器部隊を投入せよ。富士の守りを疎かにするわけにはいかん」
「はっ」
「厚木の残党を掃討している四聖剣に連絡、掃討戦は第七特務隊に引き継ぎ、所定の位置へと移動せよ」
「了解!」
「……凄いな、あの『ヤドカリ』っていう無人兵器は。あのブリタニアをここまで引っ掻き回すなんて」
傍に控える扇が感嘆の言葉を漏らす。
彼がそう漏らすほど舞い込んでくる情報は、ほとんどが順調なものだ。
これまでの基地への攻撃で、ブリタニア基地のメインコンピュータに、電子戦無人兵器『ヤドカリ』を潜り込ませる事に成功した段階で、今回の作戦はほとんど成功したと言っていい。
エリア11各地のブリタニア基地のメインコンピュータはその全てが『ヤドカリ』に掌握されて碌な指示も出せず、基地の兵士達が各々の判断でレジスタンス達と戦わざるを得なくなっている。
また、各地のレジスタンス達にはバッタやジョロ等の無人兵器を与えているため、いくらブリタニア正規兵といえども苦戦は必須だ。
尤も、いくら無人兵器をレジスタンス達に与えているといってもその数には限りがある上に、ほとんどの無人兵器はデッドコピーに過ぎず、精々が移動砲台か自爆しか能がない。
優秀な指揮官が敵方にいれば、そう時間をかけずに対処することも可能なのであまり悠長にいることはできない。
「ディートハルト、世論の反応はどうだ?」
「はっ、民衆のほとんどがブリタニアの蛮行を非難しております。国際ニュースでも軒並み取り上げられ盛んに報道されているため、大義名分としては十分かと」
作戦開始のきっかけとなった、大阪河川敷での虐殺は既にネットを介して全世界に流されている。仕込みの襲撃でブリタニア兵士のストレスは最高潮にあった事もあり、こちらの予想通りにブリタニア兵が動いてくれたため、明確な大義名分を得ることができた。
これらの虐殺は大阪だけでなく、複数の地区でも起こっている。無論それらもゼロの仕込みにより起こったもので、この騒ぎで亡くなった日本人の数は千を越すと言われている。
直接手を下したのはブリタニア側とはいえ、そうなるよう仕向けたのは間違いなくゼロだ。これから起こる戦いで更に多くの人の命が失われるだろうが、最早止まることなどできはしない。先に亡くなった民には、日本を解放することでしか報いることはできないだろう。
「ゼロ、東北地方の主要な基地は全て押さえた。現在は青函トンネルを守りつつ、北海道から流れてくる敵に備えている」
「よし、これで北からの援軍はほぼ抑え込むことが出来たな。関西について、その後の情報は?」
「大阪基地は制圧したが、ユーフェミア皇女が乗っているという航空艦は取り逃がしたらしい……ただ、逃がすまでにあの白兜にも随分攻撃を加えたというから整備や補給の関係ですぐには出てこれない、と思う」
ユーフェミアとスザクが向かっていた大阪にはかなりの戦力を配備してあったが、ある意味予想通りといったところか。ランスロットのあの機動力ならば、ナイトメアや無人兵器の包囲網を突破するのは可能だろう。
だがいくら再新鋭かつ高性能なナイトメアと航空艦を持っていたとしても所詮は単機。しかもこちらには、あの航空艦を上回るシールド性能と攻撃力を持つユーチャリスがある。余程の事が無い限り負けることは無い。
「だが、警戒しすぎるに越したことはないな……念の為オリジナルのバッタ10機を富士の防衛線に回しておけ、それだけあれば少しは時間を稼げるだろう」
「分かった」
扇は頷くと、哨戒中のバッタを富士方面へ回すよう指示を出す。
たった10機とはいえ、オリジナルのバッタは現行の戦闘機とは比べものにならない程の機動力と兵装を持っている上、ディストーションフィールドも持っているため、スザクといえども消耗は避けられない。
他に考えられる不確定要素は、中華の介入とブリタニア本国からの救援だが、前者については既に大使を取り込むことで対処済み。後者に至っては時間的に見ても、直ぐに援軍を要請したとしても今回の戦いには間に合わないだろう。
「真正面から政庁に殴り込むと聞いた時は、正気なのかと疑いましたが……なるほど、これほど入念に準備をしていたならば納得ですね」
ブリッジの中央に添え付けられた指揮官用の椅子には、一人の少女が座っていた。
濡れ羽鴉の如き深みのある黒の髪を後ろに流して一束に纏め、頭には皇族の血の証を示す宝輪を身につけている。
古くから日本を支えてきた京都六家が一家、皇(すめらぎ)家の息女、皇神楽耶。
しかし由緒正しい血筋であるその娘は、丸く大きな瞳に好奇心という光を爛々と輝かせ、目の前の人物――ゼロに魅入っていた。
「ご満足頂けましたか、神楽耶殿?」
「ええ、勿論! 日本中に点在するブリタニア基地の通信網を掌握し、大量の無人兵器で押さえつけている間に、本丸である政庁を落とす……言うだけなら簡単ですが、まさかそれを本当にそれを実行できるなんて思ってもみませんでしたわ」
これまでにも数々のレジスタンスを支援してきた皇家だが、黒の騎士団程人を惹きつけ戦果を挙げる組織はいなかった。神楽耶はゼロが表に出て以来ずっと彼の動向に注目し、その活躍に胸を躍らせていた。
ブリタニアからの解放という日本の悲願のために精力的に動くゼロの活躍は、神楽耶が子供の頃に憧れていたヒーローそのものである。そんな彼と行動を共にできればどんなに素敵なことだろうと、神楽耶は桐原ら六家の制止も振り切ってゼロに付いてきたのである。
「ご満足頂けたのなら何よりです。尤も、戦力はこれで打ち止めですから、この戦いに負けてしまえば後はありませんがね」
「あら、ゼロ様は負けるつもりでいらっしゃるのですか?」
「勝負は時の運ともいいます……まぁ、負けてやるつもりはさらさらありませんが」
「それを聞いて安心しました。勝利の女神たる私がいるのですから、そのような弱気な事は仰らないでくださいね」
日本の象徴ともいえる皇の存在は今後のためにも必要不可欠だが、感情のままに動く神楽耶の存在は、ゼロにとっては困りものだった。しかし戦場で無茶な要求をしてくる事もなく、己の立場や役割を理解し行動してくれるだけの機転を持っているため、ゼロは神楽耶の行動については特に何も言わなかった。
「さて神楽耶様、そろそろ私は前線へと向かいます。あなたは様G−1ベースで大人しくいてくださるようお願いしますよ」
「ええ、承知しております。夫が帰るまでに家をしっかりと守るのが妻の役目ですから♪」
仮面の奥でこの娘は何を言ってるんだと、あきれながらも軽く返事をし、C.C.を伴ってブリッジから退出するゼロ。
「あ、私は妾がいても気にしませんからね〜」
そして扉が閉まる間際にそんな事をのたまう神楽耶に、ゼロは思わず額を押さえてしまう――当然、仮面に阻まれてそんなことは出来なかったが。
だがC.C.は寧ろ神楽耶の言動を気に入ったようで、くっくっくと珍しく笑っていた。
「ふふふ、随分と面白い娘じゃないか。お前のような坊やには、あれくらい肝の据わった娘の方がいいかもしれんな」
「戯言はそれくらいにしておけ」
神楽耶が言うには、これから日本を支えていくゼロにはいずれ妻が必要になるだろうとの事らしく、それに立候補すると恥ずかし気もなく言っていた。
ゼロとしては、まだ日本も解放してないのにそんな先の話をする意味は無いときっぱりとその話は切り捨てていたが、神楽耶はそんなゼロを気にすることもなく、気さくに話しかけてくるため、戸惑いを隠せなかった。
「第一、私は既に性格の悪い魔女と契約済みだ。その契約を破棄してまで神に縋ろうとは思わんさ」
思わぬ彼の言葉に、C.C.は僅かに目を大きくすると、次いでニヤニヤと意地悪そうな笑みを浮かべた。
「お前にしては中々気が利いた言葉じゃないか。女というものを分かってきたようだな」
「いちいちふざけるのはよせと言っている、この魔女め」
そうしてじゃれ合いながら、格納庫へと向かう彼らの背には、戦闘の前の緊張感など欠片も感じられなかった。
――22:15、トウキョウ租界、外縁部。
高さが100m程もある租界外縁部。
トウキョウゲットーを眼下に見下ろせるその一角に、二つの影があった。一つは少年といってもいい小さな影であるが、何の感情も感じさせない大きな瞳は無機質に眼下に展開する黒の騎士団の軍勢を見つめている。
対してもう一つの大きな影は、ナイトメアライダーを示すパイロットスーツに身を包んだ大柄な男性だ。しかし彼が着ているスーツは通常のソレとはやや意匠が異なっており、肩や背中になにやら見慣れぬ装置が取り付けてある。またそれは男性の顔にも同じことが言え、顔の左半分を多い隠すような仰々しい仮面を着用していた。その仮面の奥から覗く緑色の瞳は焦点が定まらずに大きく揺れているが、素顔の晒されたもう半分の瞳からは確かな感情が読みとれる。
「調子はどうだい? ジェレミア・ゴッドバルト」
「すこぶる快調、万事無き、滞り」「それはよかった。もう少ししたら君の願いは叶うよ。ここまで来た以上彼らも総力戦で来る。そうなればあのテンカワ・アキトも間違いなく現れるはずだ」
「おぉ……テンカワ、テンカワッ! あ奴様こそ! 我が忠義の、マリアンヌ様の敵!!」 脈絡のない、だが確かに怒りを感じさせる言葉を吐きながら、定まらない視線で眼前に広がる黒の騎士団を、かつてジェレミア・ゴッドバルドと呼ばれた男は睨み付けた。
かつてナリタの地で紅蓮弐式に倒され、その身体に重傷を負ったジェレミアは、V.V.配下の技術集団に拾われ、その驚異的な生命力とブリタニアきってのナイトメアライダーとしての腕に目を付けられた。
彼自身の望む望まないに関わらず、延命と身体強化のためにジェレミアの身体には様々な機械が埋め込まれ、正に改造人間へと生まれ変わった。
覚醒後、意識や機械の再調整を加えていないため、言語中枢に些か問題が生まれているようではあるが、戦闘には問題ないだろうと、V.V.は躊躇なくジェレミアをこの戦場へと連れてきた。彼の興奮具合を見ればその判断は間違っていなかった、とほくそ笑むV.V.。
「さて、僕はちょっと寄るところがあるから、適当なところで戦場に介入してね」
「おや、向かい赴くのは、何処の場所へ?」「彼らへのカードは何枚もあるに越したことはないからね、それを手に入れるのさ」
僅かに笑みを浮かべつつ、そう言ってV.V.はきびすを返すと、巨大なオレンジ色の兵器の横を通り過ぎて、その場を後にした。
(ジェレミアは後は放置でいいかな。ラウンズの彼女にもアレは手渡したし、完璧に事を運ぶなら、あの子は確保しとかないとね)
V.V.はそう考えると、てくてくと気軽な足取りで、租界のある場所へと動き始めた――アッシュフォード学園へと。
――22:30、アッシュフォード学園、生徒会室
『現在反乱軍の接近により、ゲットーの治安が悪化しています。市民の皆様は政府より通達があるまで、外に出ないようにお願いします』
生徒会室に備え付けてあるテレビは、今朝未明から起こった暴動の特番を延々と流している。今までエリア11の暴動と言えば、小規模の勢力が各地でバラバラに騒ぎを起こして即座に鎮圧されていたが、今回は黒の騎士団を旗印とし、これまでとは比べものにならない規模で起こっている。
ネットに流出した大阪淀川の虐殺映像は、エリア11内では遮断されたものの、既にエリア11だけでなく中華連邦や欧州等世界中に拡散してしまっている。
虐げられたゲットー住民の怒りは、その映像と黒の騎士団の行動によって化学反応を起こしたように膨れ上がり、租界内の住人も危機感を感じてか表には人の影が消えてしまっている。
アッシューフォード学園もこの非常時に休校となっており、ほとんどの生徒は寮の自室へと篭もっているが、生徒会の面々はここ数日姿を見せないルルーシュやカレン、ラピスにアキトの身を案じ、クラブハウスで一人目の見えないナナリーを放っておくのはマズイだろうと自主的に集まっていた。
だがテレビで伝えられるブリタニア軍の情勢は最悪に近い状態となっており、黒の騎士団は既に租界外縁部に陣を敷いているという。
「ねぇ、此処は大丈夫だよね?」
「大丈夫だって! コーネリア総督の正規軍がいるんだし、第一ここは軍事施設でもなんでもないんだから、狙われる心配なんてナイナイ!」
「でも貴族の子息女を人質に取るなんて可能性もあるんじゃ……」
「こ、怖いこと言うなよニーナ」
シャーリーとニーナの不安そうな声にリヴァルも思わず背筋を寒くする。これまで虐げられてきた日本人の事や横暴に振る舞う数多くのブリタニア人を見てきたこともある上、自分達は一度そういった輩に殺されそうになったこともあるため、彼女達の不安は至極当然のものだろう。
「カレンからは家にいるから大丈夫って連絡があったけど……ねぇ、ナナリー。ルルーシュからは何か連絡ないの? アキトさんだけでなく、ラピスも掴まらないから何か嫌な予感がするんだけど……」
ミレイはナナリーに心配そうにそう尋ねる。
こんな緊張の真っ直中で家族四人の所在が不明とあっては、彼女もさぞ心細いだろうと思い、生徒会の皆もナナリーのためにと集まってくれたが……当のナナリーはあっけらかんとしていた顔で答えた。
「大丈夫です。ラピス姉様からはついさっき連絡があって、警察の方に保護されたそうです」
「け、ケーサツに? どういうことだよソレ!」
「外を歩いてたところにこの戒厳令でしょう? ラピス姉様はあの容姿ですから非常に目立ったので、暴徒に絡まれないよう親切な警察官が声をかけて保護してくれたそうです。電話でこちらは大丈夫だからと笑って仰っていました」
ラピスの桃色という珍しい髪色に彼女自身の神秘的な雰囲気から、確かにそれはありえるかもしれないと皆納得し、ナナリーの言葉に安堵の溜息をついた。
しかしそんな中でミレイだけはじっとナナリーの顔を見つめ、再度問いかけた。
「それじゃあアキトさんは? それにルルーシュも……」
「お兄様とアキトさんも、一緒に別の施設に避難しているようです。それとお兄様はもし何かあれば、クラブハウスの地下に避難施設があるからそこに篭もるようにと」
「避難施設? そんなのがクラブハウスに?」
「なんでも以前の誘拐騒ぎを教訓に、かなり強力なシェルターを作ったそうです。もしうもの時はそこに逃げ込めば半月は大丈夫だっ、て」
ナナリーの誘拐騒ぎは学園でも大きな話題になっていた。過度の妹思いのルルーシュの事だから、妹の安全のために核シェルターをこしらえるくらいの事はやってのけるだろう。
ナナリーの言葉に生徒会の皆は安堵の笑顔がこぼれるが、唯一人ミレイだけが釈然としない顔でナナリーを見つめていた。
(ナナちゃんてば、やけに落ち着いている……いや、落ち着きすぎているのよね。いくら連絡があって安全地帯にいるのが分かったからって、こんな堂々とできるものかしら?)
ミレイは、ナナリーの顔に不安の陰が全く浮かんでいない事が気にかかって仕方なかった。不安という感情に押しつぶされて青白くなるよりはずっとマシだが、この緊迫した状況下で、やけに落ち着いたナナリーの態度にはどうにも違和感が拭えず、ナナリーが何か隠しているのではないかと内心疑っていた。
そしてその一方で、ナナリーはミレイが自分の言うことに疑問を抱いているようだと朧気ながら感じていた。目の見えないナナリーにとって、人の話す言葉が纏う感情というものは、案外馬鹿にならない。先程からミレイの言葉の調子には、僅かにこちらを探る気配が感じられる。
(ミレイさん、疑ってる。今までの私らしくないですから、それも仕方ありませんよね……でも、もう私は守られてばかりは嫌ですから)
シェルターの事は嘘ではない。ルルーシュがナナリーのために作ったというのもある意味本当のことであるし、ラピスからももしもの時はそこに避難するよう言い含められている。
だが、ラピスから兄が今まで行ってきた所業を聞いたあの時から、ナナリーは自分を抑え込むことを止めた。
今の弱い自分では出来ることは、たかがしれている。だがそれでも、クラブハウスにいればもしもの時はシェルターに籠もって生徒会の皆を守ることくらいはできる。今の自分《・・・・》にはそれができるはずだ。
今までずっと世話になりっぱなしだった恩を、ほんの少しでも返したい。それはナナリー自身の願いであり、ナナリーが求めるやさしい世界を作るための、小さな一歩だった。
(お兄様、私は私自身のために戦います。だからお兄様もお兄様自身の願いのために戦ってください――私達が望むものは、きっと同じはずですから)
ナナリーはせめてTVから流れる情報は決して聞き漏らすまいと静かに耳を傾け、戦地にいる家族達の無事を願うのだった。
――23:55、トウキョウ租界、外縁部上空
『聞くがよいブリタニアよ、我が名はゼロ。力あるものに対する反逆者である!』 彼方にブリタニア軍の軍勢が並ぶのが望むトウキョウ租界外縁部上空にて、金色で縁取られた漆黒のナイトメアーーガヴェインから、ゼロはブリタニア軍に向けてそう宣言する。
既に眼下にはコーネリアのグロースターを含めたナイトメア部隊だけでなく、リニアガンを搭載した戦車や防衛用火器が勢ぞろいし、全ての砲塔がゼロの搭乗するガヴェインへと向けられている。
しかしルルーシュはそれを目にしながらも全く同様を見せず、繰り返し降伏を促す言葉を続けた。
『我が名において命ずる、降伏せよ! 諸君等ブリタニアの正義はこのエリア11では最早無用である。これは最終通告だ。0時まで待つ、降伏し我が軍門に降れ』 降伏勧告を終えるとルルーシュはスピーカーのスイッチを切り、ゆっくりとシートにもたれかかった。
賽は投げられた。期限の時刻までは後3分を切っている。もう間もなくトウキョウ租界はこれまで類を見ないほどの混乱と多くの血が流れるだろう。ルルーシュはそれを考え暫し瞳目する。
「いいのか? わかっていると思うが、このまま戦いが始まれば貴様の命は血みどろに染まる。例えこの戦いを……エリア11を解放しても、世界全体が更なる戦いの嵐に染まっていく」
そんなルルーシュに、ガヴェインの前方シートに座るC.C.がそう声をかける。
「分かっている。だがこれは俺の願いであると同時に、貴様との契約を果たすためにも必要な事だ。それに今更止めてしまえば、これまで失われた命の意味がすべからく無価値になる」
C.C.はその言葉を聞いて、静かに目を瞑った。
この魔女は契約者にギアスという力を与え、その代償として自らの望みを叶えることを契約者に協力させる。その一方で、彼女は契約者を命を懸けて契約者の命を守り、命を尽くして契約者の願いに尽くそうとする。不死という特性を持っているとしても、死をも厭わないその様子は正に呪いに等しい。
だが、先程の言葉のように、時折この魔女は契約とは明らかに反する提案をすることがある。戦いを避け、遠ざけることは契約者の願いを、ひいては己の願いすら遠ざかるというのにだ。
あるいはそれは、戦い以外の方法で契約を果たして欲しいという彼女の慈愛の心に基づくからかもしれない。
だが、そんな甘っちょろい考えは最早必要ない。自分の手は既に血に染まっており、改革のために救うべき日本人にすら手にかけた。そんな自分が真っ当な道へと戻ることは許されるべきではない。
「この戦いは、まだ始まりに過ぎない。ブリタニアを壊し世界を変える……これは俺の願いと同時に母さんの願い、そして我が騎士の願いでもあるのだ」
ガヴェインの後方、黒の騎士団の先陣となる位置にいる新月へと目を向けるルルーシュ。
七年前、あの静かな森でアキトは語った。母マリアンヌが、父シャルル・ジ・ブリタニアの意志を曲げてまで世界を変えようと行動したということを。そしてアキトはその願いのために、まだ子供に過ぎなかった自分に剣を捧げてくれた。
あの男がいてくれたから、自分はここまで来れた。あの男が磨いてくれたから、自分は強くあることができた。
もしアキトがいなかったら、自分は虚構で塗り固めた鎧で弱い心のままに力を奮い、最愛のナナリーすらも犠牲にして世界を壊そうとしたかもしれない。
――タイマーの残り時間は既に10秒を切っていた。
ブリタニア軍は既に砲撃準備を終え、その矛先をこちらに向けている。
(母の願い、アキトの願い、己の願い。そして解放のために自分に付いてきてくれた黒の騎士団達皆の願い――その全てに応えるために、俺はもう迷わない!)
「剋目せよブリタニアよ、これがゼロと、我が共犯者アキトの反逆の狼煙だ!」
その言葉と同時にタイマーのカウントは0を示した。
後にブラックリベリオンと呼ばれる戦いの始まりである。
※オリジナル兵器説明
『バッタ(デッドコピーver)』
アキト達の世界の代表的な無人兵器を、皇歴世界の技術力で再現した兵器。
動力はエナジー機器を用いたバッテリー駆動で、人工知能を搭載しているものの、その性能はオリジナルに比べるとすこぶる低い。
オリジナルのように飛行はできず、地上を走りまわる事しかできないが、その早さはナイトメアにもひけを取らない。
戦法としては、その名が示すようにバッタの如く走り飛び回って敵に取りつき、前脚の廻転刃(チェーンソー)で敵を切り裂いて戦う。
また全ての機体に自爆装置が取り付けられており、戦闘不能になったり個体反応が消失すると自動的に爆発する。
『ジョロ(デッドコピーver)』
バッタと同じく、皇歴世界の技術で作られた無人兵器。
武装は口内に搭載されたガトリングガンと顎の牙。バッタと比べて中距離戦に対応しており、比較的高性能な人工知能を搭載している。
またこのジョロも、同様に自爆装置を装備している。