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マブラヴ 転生者による歴史改変 34話
作者:ぜんくう◆7RWKYcvP01c   2012/09/02(日) 14:42公開   ID:eoF2Dat1HnA
 18歳になりました。やらはたまであと2年。前世では魔法使いでした。
 LVは3まであがりました。LVアップが止まったのはいいですが、相手はプロなので素人魔法使いLVはがんがんにあがっていました。
 というわけでただいま、西暦1992年です。

 去年の世界情勢だが、BETAの東進は未だ起こらず、人類は現行ハイヴの間引き作戦を徹底的に行っている。
 新型ミサイルとM01弾頭の威力は凄まじく、戦術機は取りこぼしのBETAを打ち倒すための掃討兵器とかしているそうだ。まあ、人死にが少ないのはいいことだ。
 地下進行の予兆と、出現地点の正確な計測が可能になった今は、BETAの奇襲作戦も大して意味をなさない。
 とはいえ、やつらの最大の利点であり武器は物量であり、愚直なまでの前進行動だ。目標に向かってひたすら突き進む、他のBETAが倒れようが敵中に孤立しようが、圧倒的なまでの戦力差を見せられようが、奴らは留まると言うことをしらない。ある意味理想的な兵士と言えないこともない。
 そのあたりの答えは、おれの中ではすでに出ているのだが、はて、これをどうしたものやら。答えは簡単。あいつら、機械だ。正確に言えば、炭素系生命体型の機械、と言うべきか。
 そもそも意志なんてない。あるのは決められた命令に対して動く、反応すると言い換えても良いか、機能が備わっているだけだ。これはカシュガルハイヴの反応炉を調査してわかったことだが、あいつら反応炉からの命令である程度の動きをコントロールされている。
 戦術的な要因で戦略的な勝利を納める方法というのは限られている。この場合、ハイヴに存在する反応炉を破壊すればいいだけだ。それだけで、他のBETAは軍隊から単なる個体になりさがる。
 物量で負けている人類の簡単な勝利方法としては、各地にあるハイヴの反応炉を破壊していくことだろう。
 反応炉が全てなくなったところで、BETAどもは補給も出来ずに勝手に自滅してくれる。
 とはいえ、それが簡単にいかないからここまで押し込まれているわけではあるが。

 そう言えば、米国から面白いものを手に入れた。
 HI−MAERF計画とかいう計画で作られた兵器なのだが、なんでもG元素をエネルギーにしているらしい。
 G元素、BETA由来の未知の元素とことらしいが、よくよく調べてみると重力素子を元にして作られた物質のようだ。
 残念ながら、柊町のオーバーテクノロジー研究所では、その程度の物質は掃いて捨てるほど作られている。目下研究中なのは、BETAの通信機能に使用されている未知の情報伝達粒子についてだ。
 普通にBETAをばらしただけでは分からないが、BETAの全属種に共通してある物質が混入している器官が存在する。これが全体にあるならまだいいものの、一部の器官にだけ存在するからたちが悪い。
 ちょっとばらしただけではわからないようになっている。
 その器官も、他の器官と同じ素材で出来ており、単純な違いは未知の受容体が存在するか、しないか、だけだ。
 この未知の受容体というやつがくせ者で、ニュートリノなみの透過率を誇る情報伝達粒子の受容体なので、発見するだけで一苦労だ。おれの脳内シミュレーターでさえ、1ヶ月近くかかった。
 で、今は反応炉のデータを元に、反応炉とBETAとがやりとりを行っているであろう、情報伝達粒子についての研究が行われている。
 この粒子の亜種がどうもレーザー級の異常な照準能力にも関わっているらしいので、上手くすればレーザー級封じの奥の手に使えるかも知れない。
 話がそれたが、モスボール化されてあとは博物館送りになるのを待つだけだったXG−70aの設計図を入手することに成功した。交渉材料は、撃震弐型の運用データと、ライセンス生産の権利だ。
 ML(ムアコック・レヒテ)型抗重力機関による重力場(ラザフォード場)の展開によるレーザーの排除構想、そして重力場の精密制御が不可能なため人が搭乗して使用するには無理だという注意事項などをみたが、こちらの技術力をなめちゃいけない。
 重力場の制御については、量子電導脳の有り余る演算能力を使えばなんとでもなるし、ML型抗重力機関の燃料については、先ほど述べたようにこちらで生産可能だ。
 これは使わないてはないが、いかんせん、G元素を独自で作り上げることができるわかると、いろいろと面倒なことになる。
 正直面倒なことは苦手なんだがな。まあ、こまったときは鎧衣えもんに丸投げするかな。

 ちなみに次期戦術機のプランは着々と進めている。
 柊町から日本帝国に常に最新の技術情報を発信しているので、あと2〜3年もすれば、撃震参型の量産に耐えうるだけの技術力をえることができるだろう。
 そんなわけで、撃震参型用のレポートをせっせと書いているおれの耳に、とある情報が舞い込んできた。
 今から1年後、1993年にインドのポパールハイヴに対する攻略作戦が発動されるという内容だ。
 仮にスワラージ作戦と呼んでいるようだ。ふむ。これは利用できるかな?
 まりもとおれのの正式任官が1993年だから、なんとか参戦可能か。
 しかしまりもがあやつるとなると、従来の撃震弐型では心許ない。かといって、撃震参型の完成系をいきなり出すわけにも行かないしな。
 などと悩んでいるおれに天啓が舞い降りた。よくTVアニメとかで、試作型とかがでてくるじゃないか。しかも量産機を遥かに上回る能力を持つという設定で。
 それの設定を使うのはどうだろうか?
 これから作成される撃震参型のデータをとるために、費用対効果を度外視した新技術の概念実証機として作られる機体。
 すなわち先進技術実証機撃震参型の作成を行い、実戦に参加させる。もちろん機体は1機のみ。まりも専用機として作る。
 中身はどうするかな。折角重力子の制御機関もできたことだし、撃震伍型あたりをベースに作り込みか。
 内容は一応小塚さんに通しておく必要があるな。でも通るかな、この提案。
 ただでさえ、最近は技術流出に上がうるさくなっているって言っていたからな。
 でもこれも、日本帝国の明日を支える技術の礎になる、とか言ってなんとかごまかせないかな?
 最悪、小塚さん、鎧衣さん、悠陽のコネもフル活用することになるかもしれないが。ちなみに悠陽なのだが、あれで次期将軍候補筆頭なのだそうだ。なに考えてやがるんだろうな、五摂政の連中。
 まだ活きのいい年頃の男なんざ掃いて捨てるほどいるだろうによ。

 というわけで、撃震参型の基礎設計図を小塚さんに見せたら、ものすごい顔色していた。
 続いて先進技術実証機撃震参型の説明をしたら、真っ青になっていた。
 そんな技術は帝国内には存在しないはずだが、とか言っていたので、柊町なら設計図見せたら納期の見積もりまで1日で余裕でした、といったら、泡吹いて倒れてしまった。
 幸い医療技術はそこらの名医が裸足で逃げ出すほどのものを持っているので、その場で応急処置をしたが。
 どうやら、精神的にかなりの負荷が掛かった事による、自己防衛の一種だったらしい。
 カウンセリングまがいのことをやって、小塚さんをなだめすかし、とりあえず落ち着いてくれたことを確認した、と思ったら鬼気迫る勢いで尋問されてしまった。
 いやあ、小塚さんまで情報が回っていると思っていたのだが、全然その辺の情報は入っていませんでした。
 G元素程度なら柊町で生産できますよ、とか言ったら、射殺されそうな目で睨まれた。
 報・連・相、って大切だよな、と改めて思い知った今日この頃。

 まりもたち衛士訓練生組も、卒業まであと半年になると、名称を訓練兵と改めて、軍隊の基礎をきっちりとしこまれるようになる。
 おれたち整備訓練生も、訓練兵になり軍隊のイロハについてを学んでいる。
 ちなみにまりもの進路は、当然帝国技術廠の戦術機試験衛士、おれは帝国技術廠の第13特殊実証実験部隊所属の整備員だ。
 まあおれの場合は仮の姿で、実際は小塚さんの補佐の役割なのだが。
 予定では、1993年に配属、その後日本帝国軍としてスワラージ作戦へ参加。ちなみに帝国技術廠からの参加というのは、実戦での試験機の運用データ蓄積という名目があるからなりたつことである。本来であれば、無駄な指揮系統を同じ軍隊内にいれることはあり得ないんだそうだ。
 まりもは当然試験衛士として、おれはその試験機の専属整備士として配属される。

 現在日本帝国軍が大陸に派遣しているのは二個連隊、216機の戦術機と、それに付随する整備兵および補給車両などで総勢5000名弱だ。
 衛士に限定するなら、損耗率は今のところ年間10%前後。年に20人前後が死亡、ないしは戦線復帰が不可能な傷を負っている計算だ。
 これは嬉しい誤算といえるのだろうか。
 かつての大陸派兵による試算であれば、損耗率は60〜70%と想定されていたらしい。それが八十六式兵装、八十九式兵装、撃震弐型、新型ミサイル、M01弾頭、地下侵攻検知用振動計の登場により、ここまで減ったのだ。
 ちなみに損耗率は、全部隊を足しての損耗率だ。対BETA戦では補給部隊が地下進行の奇襲を受けて壊滅などと言うのも珍しい話ではないらしい。従って、本来ならば年間3500名が命を落とす戦場だったのだ。
 それでも検討せざるを得ないほど、大陸での戦況は日本にとって重大な懸案事項だったのだろう。
 スワラージ作戦においては、スワラージ作戦のためだけに二個連隊を抽出して、支援を行うという。おれとまりももその編成に組み込まれるらしいのだが、そこは帝国技術廠の権限と小塚さんの手回しにより、ある程度独立した作戦行動権限を与えられる予定になっている。
 とはいっても、所属は第十三戦術機甲大隊、小塚さんのお兄さんが指揮する大隊の指揮下という形にはなるらしい。
 そのあたりはまあ、なんとかなるかな。

 問題はマブレンジャーたちの教育なのだが、これはまりもが訓練の日々を書き留めていた、まりもの修行記録帳がおおいに役立つ事になった。
 分かりづらいことや、理解が及ばないであろう事について、懇切丁寧にまりもが覚え書きとして書き留めていたこの記録帳により、おれたちがいない間でもマブレンジャーたちの成長が滞ることは少ないだろう。
 まあ、今年いっぱいは相手してやれるから、ノートを睨みつつ、足りないところをおれとまりもがサポートする、という形で特訓を続ける予定だ。
 着々と準備は整っている。人類初のハイヴ攻略に向けて。もちろん、作戦の発動は来年だし、相手はBETAだ、こちらは一致団結しているとは言い難い利害関係で互いに互いを引っ張り合う愚かな人間達。
 必勝の確約などない。それでも、それでも、多くの人々は望んでいる、信じている。BETAという侵略者達に、人類が一矢報いることを。

 あ、そういえばXG−70aの改良型どうしよう。超弩級航空戦艦雷雲、とか作ってみようかな。
 こいつが完成すれば、ハイヴ攻略も相当楽になるはずだしな。
 まあ、それも来年がすんでからだな。


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