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マブラヴ 転生者による歴史改変 33話
作者:ぜんくう◆7RWKYcvP01c   2012/08/26(日) 21:53公開   ID:jkr/fq7BJDE
 「うーん、壮観」

 おれは空飛ぶマブレンジャー帝都組達を地上から眺めていた。
 一応「気配同化」を覚えさせて、それを発動させながら飛んでいるため、映像などに残されてない限りは、発見されることはない。
 空を見てマブレンジャー達を視界に納めても、何かが空を飛んでいるという認識すらできないのである。恐るべし、気配同化。
 それでもあらかじめその存在を知って、その気の性質を掴んでいればおれみたいに地上から観測することは可能だ。

 「1年でここまで進歩したのは、ひとえにあの子達の頑張りによるものよ。隆也くん、ちゃんと褒めてあげてね」

 月一で臨時講師をしてくれるまりもが声をかけてくる。

 「ああ、わかっている。それにしても凄い努力家だよ、あいつら。飛翔術は、かなり緻密な気の制御が必要になってくるってのに」

 「そうね。私だって、最初の頃は跳躍中に軌道の変更が出来る程度だったのに」

 そうなのだ。まりもでさえ飛翔術を完璧に使いこなせるようなったのは、16歳のころ。おれが身につけたのが13歳のころ。それをマブレンジャー達に至っては、わずか10歳にものにしている。
 まあ、空を飛ぶ速度もその軌道もたよりないものではあるが、それでも大したものだ。
 才能もあるのだろうが、やはり努力とまりもの指導がものを言っている。なにせおれの場合は独学で身につけたから、効率が悪いにもほどがあるし、まりもへの教導にいたっては、感覚で教えていたからな。
 まりもの場合はちゃんと、筋道を立ててわかりやすく教えている。気の制御方法についても、それは同じだ。
 おそるべし、女教師まりもん。
 でもあれだな、女教師っていうと、なんか急にエロくなるな。女教師ゆうこりん、とかもいいかもしれん。
 よし、つぎのH−MANGAは女教師ものでいこう。
 などとおれの考えを見透かすかのように、横のまりもがあきれたような目を向けてきた。

 「また、いやらしいこと考えているでしょ。隆也くんって、本当に顔に出やすいわよね」

 これだ。もはやまりものおれに対する観察スキルは、マスタークラスと言って良いだろう。
 ここまでくると、ちょっと怖い気もするが、気にしてはいけない。

 「ほんと、男ってわかりやすわよね。まあ、その分簡単に誘導できるから楽でいいんだけど」

 夕呼がそれに追随してくる。のやろう、そういえば結局おれが作った試作型量子電導のカリパクしやがったんだよな。
 とはいえ、そのことをまりもがいる前で追求すると、あの記憶がががが…いかん、思い出すな、思い出すんじゃないぞ、おれ。

 「うっせ。こちとら思春期の健全青少年なんだ。そういうことを追求するんじゃね。セクハラで訴えるぞ!」

 「はいはい、そうよね。繊細なお年頃だものね」

 バカにしたように言ってくる夕呼。おのれえ。
 実のところ今の力関係って、ある意味おれが一番弱い立場にいるんだよな。
 夕呼>まりも>おれ、って感じ。でもまあ、まりもがいないとおれ>=夕呼に逆転するから、ある意味三すくみか?うーん、わかっていることは、女2人揃ったら、男1人じゃお手上げってことだな。
 考え込んでいると、マブレンジャーたちがお空の遊泳を終えて、大地に降り立っていた。
 それと同時に気配同化を解除する。夕呼が、あ、やっとはっきり見えるようになった、とか言っている。意識していても、気配同化を使っていると、認識が非常にしづらいんだよな。
 おれやまりも見たいに気配の探知能力にすぐれているとその限りじゃないんだが、一般人である夕呼ではそんなもんだろう。

 「おう、さすが我らが弟子たちだ。もう飛翔術を扱えるようになるとはな」

 「ほんと、すごいわね、みんな」

 おれとまりもがほめると、マブレンジャーたちは年相応の照れを浮かべる。

 「わ、わたしたちが凄いんじゃなくて、まりも先生の教え方が上手いだけです」

 「うむ、まりも先生の指導なくしてこのように早くこの技を覚えることはかないませんでした」

 「まりも先生、ぐっじょぶ」

 「さすがまりも先生です。壬姫でも、こんな凄いことが出来るようになるなんて、夢のようです」

 「やっぱりまりも先生の教え方はわかりやすいよね」

 ん?なんでまりもの賛辞ばっかなんだ。おれは、ねえ、おれに対してのお礼は?

 「師匠の教え方だと、たぶんここまで早く習得はできませんでした」

 「うむ、師匠は天才だからな。我々凡人が教わるには、我々があまりにも未熟すぎる」

 「ぐわーときて、どかーんと打ち出すんだよ、とか教え方としてドンだけ?」

 「壬姫も師匠の教え方はこーしょー過ぎて難しいです」

 「師匠は人にものを教えるの、致命的に下手だよね」

 「「「「み、美琴(さん)!」」」」

 最後の美琴の言葉に、慌てて他の4人がフォローに入る。
 ふーん、そうなんだー。そういうことなんだー。
 みんなおれよりまりものほうがいいんだー。

 「もう、隆也くんも落ち込まないで。確かに私が教え始めてからの方が伸びが良くなったかも知れないけど、それは隆也くんが素地を徹底的につくっていたからなのよ。だから、もっと自信を持って、ね?」

 隅っこでのの字を書いていると、まりもがフォローに来た。ほんまええ子やな、まりもんは。
 対して夕呼は、ゲタゲタ笑っている。
 野郎、もといあのアマ、いつか目にもの見せてやる。
 ちなみに千鶴は父親が外務大臣に就任、慧も父親が陸軍中将に昇進したそうで、周りの護衛がつくようになったらしい。
 ちなみに壬姫も父親が国連の要職についたらしく、同様に護衛がついているそうな。
 まあVIPに護衛がつくのはしょうがないよな。その辺は、おれが潜入工作技術を教え込んでいるので、気配同化などを併用して問題なくこの訓練には参加できている。
 問題は冥夜だ。
 事情が事情だけに、冥夜にもおつきの武家ができるらしい。斯衛の中でも名門の月詠家のものらしい。まだ内定しているだけで実際の派遣はまだらしい。ちなみにこの情報源、悠陽である。
 未だにちょくちょく手紙の中継役をやっている。自慢じゃないが、見つかったことはない。一度だけ、紅蓮のおっさんにニアミスしたが、気づかないまま行ってしまった。
 そういえば、剣の秘奥をちゃっかり会得し、剣術879とかになっていた。さすが斯衛最強の男。
 おつきの武家ともなると主との信頼関係を重視するらしい。なので、冥夜が勝手に姿を消したり、秘密の特訓をするのは難しくなるかもしれない、と言ってきた。

 「めーやよ、お前が守りたいものはなんだ?自分を慕ってくれるおつきの武家か?確かに信頼に足る人物であれば好意的になっても問題はないだろう。だが本当に守りたいものを見失ってはいけない。情にほだされるなとはいわない。情が介さぬ者が上に立って苦しむのは、その下にいるものだからな。だがな、情を知り、なおそれでも目的のために必要とあれば情を切り捨てることが出来る、それもまた王者の資質だ。今のお前に必要なものはなんだ?今はまだ、悩んでもいい、間違ってもいい。時間をかけても良いから自分で考えて、答えをだすんだ。そして未来を自分の手で掴むその意志があるのならば、一時的におつきの武家を裏切ることになってもいいからここに来い」

 「わかりました、立花殿」

 などと、ちょっと格好いいこと言ってみた。これで好感度アップかな?

 「小難しいこといっているけど、ようは好きにしろ、おれは知らん、っていっているのと同じよね」

 「ちょっ、このばかゆうこりん、いらんことをいうな!」

 「なによ、このええかっこしいが」

 うがーと、おれと夕呼がやりあっているのを、まりもが温かい目で見ている。そんないつもの月一の稽古風景だった。



〜〜〜
 ちなみにマブレンジャー柊町組だが、こっちは結構なてこ入れが必要になってきた。
 なにせ、武と純夏以外はスタート年齢がそれなりに遅れているからだ。
 晴子は10歳だからまだ良いとして、水月と遙とへたれは13歳、みちるは14歳だ。
 あまりやりたくはないが、経験を使って無理矢理感覚の能力値を上昇させた。
 なんでやりたくないかというと、能力値ってのは確かに大切だが、その能力に至るまでの過程というのもまた無視できないものがあるからだ。
 とはいっても、あまりのんびりやっている時間もない。苦渋の選択というやつだ。
 そんなわけで精神に関しては多少の上昇はさせたが、基本地道な精神修行を行わせている。
 とまあ、おおむね順調にことが進むかと思ったのだが、思わぬ伏兵が現れた。
 遙の妹である茜だ。
 お姉ちゃん子の上、マブレンジャー入りしたことで友達付き合いすることになった水月にあこがれるこの少女、執拗に遙を追跡し、問い詰め、ついにこの秘密特訓の存在を突き詰めてしまったのだ。
 恐るべし、行動力。
 ちなみにステータス見たら、こいつもメインキャラクタ属性持ちだった。
 涼宮茜
 特殊技能情報
 ・委員長のライバル(Ver.Ex)
 ・水月ラブ(Ver.AL)
 ・負けん気
 特殊属性
  ・マブラヴExサブキャラクタ
  ・マブラヴALメインキャラクタ
 うん、つっこみどころはあるんだが、突っ込んだら負けなような気がする。
 本来なら無視することなのだが、言っても聞かないだろうしな。
 しょうがない、因果律反逆刑事マブデカのマブマダーとして採用するか。
 ちなみにマブレンジャーみたいな徹底的な強化はしない。夕呼とまりもの違いと言えばわかりやすいだろうか。
 というわけで、夕呼は因果律反逆刑事マブデカのデカ長役に決定な。異論は認めん。
 そんなこんなで、とりあえず日々は終わっていくのであった。


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