作者:佐藤C
2012/09/19(水) 10:55公開
ID:fazF0sJTcF.
〜まえがき〜
今回は、作者こと佐藤Cが作成した、オリジナルのネギま!魔法を紹介するものです。
「ネギま!―剣製の凱歌―」で登場した、または登場する予定のものも一部含まれています。
:注意事項
・今話をお読みにならずとも、小説の内容を理解する上で問題ありません。なので興味がない、面倒だ、という方は読み飛ばしていただいて結構です。
・また、携帯電話からの閲覧では、呪文に振られたルビが物凄い事になりますので読み辛いと思われます。よってPCからの閲覧を推奨致します。ご注意ください。
・一部のギリシャ語が環境依存文字であるため正しく表記されないので、敢えて正しくない(本来とは違う)綴りで載せています。ご了承ください。
それではどうぞ。
『無銘の剣匠』〈エグコスミア・シディロルゴース〉
(初登場/第一章-第6話 桜通りの吸血鬼@)
コピーマジック。投影魔術とネギま!世界の魔法をブレンドした、士郎の
独自呪文であり技術。
敵の魔法を視認し、高速で解析し、呪文の構造術式を理解し、相手の魔法・呪術を投影して相手に返す。高速解析・瞬間理解・反転投影・術式改変…このプロセスを一瞬で行う
迎撃魔法である。しかしこの呪文の術式に組み込まれている投影魔術の性質上、士郎に解析・理解できない魔法は模倣できない。
基本的には無詠唱で使用するが、極大呪文や上位古代語魔法など、強力な魔法をコピーする際には呪文詠唱を行なうことで魔力消費を抑えている。
言わばコピー&ペーストのような性質の魔法であり、「相手が発動した魔法術式というテンプレート」に魔力を流し込む事で迎撃……相手の攻撃を即座に潰す。また、これを目の当たりにした相手に「自分の魔法と同種の魔法で打ち消された」という動揺を与える狙いもある。
弱点は「魔力切れを恐れて連発できない」ことと、「近接格闘戦ではコピーが間に合わない」ことである。
<呪文>
契約に従い我に従え
鍛冶の王
来れ
千千の
剣を鍛えし錬鉄の炎
踏鞴ふみ鳴らし模造せよ夢幻の
金床「
無銘の
剣匠」
契約に従い我に従え鍛冶の王来れ千千の剣を鍛えし錬鉄の炎踏鞴ふみ鳴らし模造せよ夢幻の金床「
無銘の剣匠」
<補足・解説>
踏鞴
鉄を溶かす炉の火力を維持するために、火に風を送り込む装置のこと。
もの●け姫にも出てくるアレ。
金床
鍛冶を行なう時の作業台のこと。
無銘
ネームレス。すなわち名前が無いこと。
剣匠
刀鍛冶のこと。
無銘の剣匠
この呪文は、士郎が解析・理解でき、また使用する魔力があればどんな魔法も模倣できる。
だがどんなものでも作れる故に、自分だけの特別な何かを作る事はできない。
だからこそ「無銘(無名)」なのである。
シディロルゴー・バシレウス
=Σιδηρουργου βασιλευσ.
ギリシャ語で「鍛冶屋の王」。
フローゴス・カタスケヤーズメノー・キーリエス・クシーフォス
=φλογοσ κατασκευασμενο χιλιεσ ξιφοσ.
意訳すると「何千もの剣を製造した炎」。
ギリシャ語の直訳だと「炎は何千という剣を作った」。
「剣」を意味する単語は希語辞典によると「クシポス」ですが、私はグーグル翻訳で自分の耳で聞いた感じ「クシーフォス」と聞こえたのでそう書きました。ちなみに英語表記に変換すると「xiphos(サイフォス)」となります。
エパナーリプティケース・ティン・メガーリ・オフサルマパティ
=επαναληπτικεσ την μεγαλη οφθαλμαπατη.
ギリシャ語で「偉大な幻想を複製する」。
エグコスミア・シディロルゴース
=Εγκοσμια σιδηρουργοσ.
ギリシャ語で「平凡な鍛冶屋」。
『炎盾』〈フルクトゥアーティオ〉
火属性の防御壁を発生させる。
<呪文>
「
炎盾」
<補足・解説>
ネギま!原作に登場する『風盾』がデフレクシオ=deflection、ラテン語で"たわみ"
『氷盾』がレフレクシオー=reflectio、ラテン語で"反射"
これらを参考にして炎の「揺れるイメージ」から、
ラテン語で「変動」「揺らぎ」を意味するフルクトゥアーティオ(fluctuatio)を使用した。
『烈火・爆流壁』〈オビエクタム・フランマ・フーレンス〉
火属性防御呪文。術者を中心に何本もの炎の柱が発生して全方位から攻撃を防御する。
発動時、火柱で視界が制限されてしまうのがネック。
<呪文>
舞い上がれ熱波の炎威、
我らに火天の加護を。
「
烈火・爆流壁」
<補足・解説>
火天
「十二天」という仏の一人で、火が神格化された存在。インド神話の火神アグニと同一視される。
オビエクタム・フランマ・フーレンス
=obiectam flamma furens.
ラテン語で「荒れ狂う炎の障壁」の意。
『炎の扇』〈セラフ・アネミスティーラ〉
火属性の上位古代語魔法。
術者の腕に巨大な火球を纏い、それを前面の敵に叩きつける呪文。要するに『
雷の斧』の炎属性版である。
『雷の斧』と同様、呪文詠唱が短い割に高威力なため使い勝手が良い。
<呪文>
来れ熾天の炎 焼き払え「
炎の扇」
<補足・解説>
セラフ・アネミスティーラ
=Σεραφ ανεμιστηρα.
ギリシャ語で「熾天使の扇」の意。
<モチーフ:キリスト教の天使セラフィム>
最も神に近いとされる第一階級の天使達、それが
熾天使。
彼らは燃え盛る六枚の羽根と二つの頭、炎の車輪…そして聖なる扇「フラベルム」を持っているとされる。
ちなみにセラフ(Σεραφ)はセラフィム(Σεραφειμ)の単数形である。
『切り裂く氷輪』〈ルーナエ・アンプーテス〉
外郭が刃のように研ぎ澄まされた、氷の円環を無数に発射する。
円環は直径20cm〜2mの間の様々なサイズをしている。
<呪文>
来れ氷精 冷気を旋れ蛮行轢き断つ銀の車輪「
切り裂く氷輪」
<補足・解説>
氷輪
月の異称(別名)。「氷のように冷たく輝く月」という考えが由来らしい。
ルーナエ・アンプーテス
=Lunae amputes.
ラテン語で「切断する月」「月が断ち切る」などの意。
『狂い咲く氷梅』〈ラビドゥス・ゲル〉
(初登場/過去話Y、魔法世界編A 朱色の禍音)
氷結させた対象を砕き破壊する、「おわるせかい」の簡易縮小版。
対象を一瞬で氷結させて閉じ込めた直後、それを砕いて内部にダメージを与える。凍結範囲が小さい分「おわるせかい」よりも凍結速度が速い。
攻撃の出が速く使い勝手が良いが、それが利点と成り得るのは並みの魔法使い程度まで。例えばエヴァンジェリンほどの魔法使いならば、普通の氷系呪文でも「狂い咲く氷梅」と同等以上の凍結速度を叩きだせるためである。
作中でフィンレイがこれを使用した際は、喰らった相手が気づく間もなく対象の足を地面ごと氷結させた。
<呪文>
来れ氷精 砕け氷牢 花弁の如き氷裂文「
狂い咲く氷梅」
<補足・解説>
狂い咲き
季節外れに花が咲くこと。
氷梅(こおりうめ)
染め模様の名前。
「氷の割れ目(氷裂文)」を全体に描き、所々に梅の花を散らしたもの。
梅花氷裂。
ラビドゥス・ゲル
=Rabidus gelu.
ラテン語で「狂った霜」の意。
『氷の旋風』〈ヒエーミス・テンぺスタース・グラキアーリス〉
氷系大呪文。
雪、霰、雹などを巻き込んで吹き荒ぶ竜巻。
しかし[氷+風]属性の竜巻なんて「ただの吹雪じゃん」とか思うなかれ。この魔法の利点は攻撃判定が発生する範囲の広さにある。竜巻だけでなく竜巻の周囲にも冷気が及び、竜巻が通過した一帯を氷結させる威力を持つ。
要するに、外見で判断できる以上の攻撃範囲を持っているため、躱したと思ってどっかの狗神使いみたいに油断していると呆気なく氷結してしまうのである。
<呪文>
来れ氷精、風の精氷を侍らせ吹き荒れよ北嶺の風雪「
氷の旋風」
<補足・解説>
ヒエーミス・テンぺスタース・グラキアーリス
=Hiemis tempestas glacialis.
ラテン語で「氷の冬の嵐」。
呪文名は「○○・テンペスタース・(属性)」という、「雷の暴風」や「闇の吹雪」と同様のネーミングで名付けた。
『雪崩れる津波』〈プリミーラ・キオノスティヴァーダ〉
氷系極大呪文。
巨大な津波を広範囲に発生させ敵を飲み込む。この極寒の冷水を浴びたものは例外なく凍りつき、数秒後には津波自身も氷結して辺り一帯が氷原と化す。
<呪文>
契約により我に従え水底の王来れ至大なる紺瑠璃の極洋、
猛り立つ海馬冷冷たる極北の氷雪、
凍りつく刃熱を奪え 時を停めよ 水司る大地のわだつみ「
雪崩れる津波」
<補足・解説>
わだつみ
=海神。
極洋
南極や北極に近い海洋のこと。
極北
北の果て。北極に近い所。
海馬
ヒッポカムポス、またはシーホース。ギリシャ神話に登場する半馬半魚のこと。
普段はイギリスとノルウェーの間の海に棲んでいて、有事の際はポセイドンの戦車を牽いてゆくスゴイやつ。
プリミーラ・キオノスティヴァーダ
=Πλημμυρα χιονοστιβαδα.
ギリシャ語で「洪水の雪崩」の意。
<モチーフ:ギリシャ神話のポセイドン>
海の神ポセイドンは「地下水の支配者」「泉の守護者」など水を司る神として有名だが、その起源は大地(地震)を司る神であったことから、原初は「大地を揺らす神」と呼ばれていた。
『灼けた砂塵』〈カフティアモ・アネモストロヴィーロ〉
地系極大呪文。
高温に熱せられた砂を巻き込んだ竜巻を敵に放つ。灼熱の砂嵐。
<呪文>
契約により我に従え砂漠の王逆巻き来れ 地響き轟く砂塵の嵐枯れた骸を熱砂の大地に晒せよ悪神「
灼けた砂塵」
<補足・解説>
カフティ・アモ・アネモストロヴィーロ
=Καυτη αμμο ανεμοστροβιλο.
ギリシャ語で「熱い砂の竜巻」。
<モチーフ・エジプト神話のセト神>
セト神はかつて、ホルス神やオシリス神を超える・もしくは彼らに並ぶ力を持っていたとされる強大な嵐の神。大地を象徴する存在であり、彼が砂嵐を生み出しているとされていた。
"砂漠の王"、"偉大なる強さ"などと呼ばれ、悪の化身アペプを打ち倒した事から"
Apepの殺害者"とも呼ばれる。しかし時代と共に神話が変化し、自身も悪神とされてしまう。
だがその類稀なる強さゆえに、悪神とされた後も人気のある神様なのだとか。
『時の方舟』〈アルカーエ・テンポーリス〉
極大呪文に相当する難度の、時間操作系呪文。
時間の加速と停滞、両方を可能とする高度な時間制御魔法。
(この小説世界の)切嗣は過去に「固有時操作結界」を開発するにあたり、この呪文の術式を流用している。
<呪文>
契約に従い我に従え破壊と真実の大公来れ不朽なる千年時計、
約束された永劫回帰常磐を現し遍く時を刻めよ星霜「
時の方舟」
<補足・解説>
破壊と真実の大公
時間は「創造者」「喰らいつくす者」と表現され、破壊の力と真実を開示する力を持つとされる。
千年時計
文字通り「千年動き続ける時計」。
永劫回帰
「時間が無限に続くと前提するなら、一度世界が滅び、再び世界が生まれたとき、現在の私達と全く同じ状態が再現される(=回帰する)」という考え。
つまり、一度世界が滅んだあと、また地球という星が生まれ、日本という国が生まれ、日本人として現在と同じ時代に生を受け、現在と同じ名前・家族・友人を持つ……現在と全く同じ世界が再び生まれる可能性がある。という考え方。
常磐
永久に変わらないこと。
星霜
歳月のこと。星は1年に天を1周し、霜は毎年降ることから。
アルカーエ・テンポーリス
=Arcae temporis.
ラテン語で「時間の箱舟」。
<モチーフ:キリスト教の悪魔アガレス>
ソロモン72柱に属する魔神の一柱、地獄の大公アガレス。
しかしその正体は、かつてナイル川流域で信仰された時の神。異教の神というだけの理由で悪魔認定されて堕天した。不憫ではあるがキリスト教では珍しい話ではない。
『百の荊棘』〈ケントゥム・ヴェープレッス〉
地面から無数の茨が萌え出でて、その棘の生えた蔓をムチのように操って攻撃する。応用度が高く、敵を縛り上げて動きを封じる事も可能。
ただし、樹霊の眷属でもない限り、この呪文を使用するには触媒として植物の種が必要である。
<呪文>
来れ薔薇姫、
巡れ蔓蔦鞭となりて打ち据えよ 賢しき魔女を「
百の荊棘」
<補足・解説>
荊棘(けいきょく、いばら)
いばら。ばら。また、いばらがはえて荒れた土地。乱れて騒然とした状態。
障害になるもの。また、障害などの多い状態。
ケントゥム・ヴェープレッス
=centum vepres.
ラテン語で「百のいばら」「百の荊棘」。
<モチーフ:グリム童話「いばら姫」>
薔薇姫
元々、バラの語源は「イバラ」であり、それに対して「
薔薇」の漢字が当て字として与えられたと言われている。
賢しき魔女
「いばら姫」こと「眠れる森の美女」には複数のストーリーが存在し、そのうちの幾つかにいばら姫を殺そうとする王妃が登場する。結果的に未遂で終わるものの、毒殺、惨殺、■■及び■■幇助など、とんでもない非道に手を染める事がほとんどである。
『千の荊』〈キーリオーン・アンカッフィア〉
植物系極大呪文。
「百の荊棘」の上位版…と言うよりは、この呪文を扱いやすく簡素化したものが「百の荊棘」であると言える。
ぶっちゃけNARUTOの忍術「花樹海降誕」に似ている。 無数の巨大な薔薇が生え出でて、蠢く蔓が周囲一帯を破壊する。この呪文が発動した後には、広大な薔薇の草原しか残らない。
蔓の太さは通常サイズの薔薇と同等の物から、最大で直径3mほどの物まであり、咲く薔薇のサイズもそれに比例する。ちなみに咲き誇る薔薇は赤と白の二色のみ。
その巨大な蔓と鋭い棘で敵にダメージを与えるほか、蔦で対象を絡め取ることも可能であり竜種すら動きを封じる事ができる。
<呪文>
契約に従い我に従え春の乙女萌え立ち来れ 生命の息吹きと草木の芽吹き蔓よ 棘よ 花冠を開いて大地に踊れ「
千の荊」
<補足・解説>
萌え立つ
植物が芽吹くこと。
花冠 花びら全体を指す言葉。逆に花びらの一部の事を「花弁」と呼ぶ。
キーリオーン・アンカッフィア
=χιλιων αγκαθια.
ギリシャ語で「千のいばら」という意味。
<モチーフ:ギリシャ神話のペルセポネ>
ペルセポネ(ペルセフォネ、ペルセポネー)は、季節が誕生するきっかけとなった逸話を持つ女神。
春、芽吹き、季節の女神であり、「
乙女」とも呼ばれる。
のちに冥界の王ハデスの妻(=冥界の王妃)となり……その後に愛人を作ったりするが、それでも乙女と呼ばれている。
おいこら王妃。
:その他、イマイチな出来の呪文は簡素な羅列に止めておきます。
『
風花・
桜東風壁』
術者とその周囲を守る旋風を発生させる風系広域防御結界。
『
雷の豪雨』
激しいスコールと雷を降らせる。
『
爆ぜる雷轟』
術者の掌から無数の雷閃が走り、雷と接触した箇所から起爆して爆発を引き起こす。
『
岩垂氷』
地面が隆起して鍾乳石の槍を作り敵を串刺しにする。
※原作の「
石の槍」とそんなに変わらないと後から気付いた。
『
地を這う黒雲』
地面が割れ、地表の裂け目から火砕流を発生させて敵を飲み込む対軍勢呪文。
『
重き渦紋』
重力の渦を作り出し、その渦に触れたものを飲み込んで消滅させる。
『
果てしなく赤き燎原』
炎系極大呪文。
出来は悪くないが良くもないため、詳細は未公開。いつか案を練り直して掲載したい。
……以上で「番外1 オリジナル呪文」は終わりです。お目汚し失礼いたしました。