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英雄のセカンドライフ 第5話 扉の先へ
作者:絶望   2012/12/11(火) 13:28公開   ID:9GZLopdxjVY
「ルシファー?」

ムラサメはアランを見た。
がアランはムラサメの言葉を無視し上を向いたまま早口で言った。

「と、とりあえず転生の儀は終わり」
「聞きたいことがある」
 
アランの言葉を遮り後ろの禍々しいオーラを放つ天使(?)像を指差した。

「あれは天使か?」

ムラサメの問いに顔から汗をたらしながらも上を向いたまま答えた。

「それは後でお話しするので」

ムラサメは目を細めアランを見た。
そう言ったアランだったが目が泳いでいるのが見え確信した。
(...この男、話すつもりはないな)
おそらく死者の案内役の務めを果たした後、すぐに逃げるつもりだろう。
ムラサメは口を歪め、嫌な笑みを浮かべ心の中で呟いた。
...がその前に洗いざらい話してもらうが。
ムラサメはアランの様子を見て正攻法では難しいと判断し視線をニヤニヤしながらこっちを見ているリリスに移した。

「あんたは分かるか?」
「知ってるわよ〜」
「教えてほしい」
「いいけど〜でも次からあんたじゃなくてリリスって呼んでねぇ」

ムラサメが頷くとリリスか゛答えようと口を開いたがアランがリリスの口を手でふさぎムラサメを見た。

「分かりました。話しますよ」

アランは大きくため息をついた。
ムラサメはそれを聞いた後リリスを指差した。
アランははっとしたように手を離すと謝った。

「すみません、リリ」
が最後まで言う前に昇竜拳並みの一撃がアランのあごを襲った。
アランは短く悲鳴をあげ祭壇の天井にぶつかった。
それを見たリリスは拳をあげたままの手を下ろし呟いた。

「次、やったら殺すからねぇ」

落ちてきたアランは小さく手をあげた。

その後、アランは彫像は天使だと言う事と俺が堕天している事を教えた。
...あの天使像については教えなかったが。

「普通は堕天しないので、これ以上は私にも分かりません」
「十分だ」

ムラサメは答えた後、すぐに階段に向かった。
まだ何か隠しているようだが今はこれでいい。
それよりも...
考えているムラサメにアランは背中に向かって言った。

「後、細かい説明は全員が転生してから話しますので」
「ああ」

その言葉を最後にムラサメは階段を下りた。


「堕天...か」

ムラサメは階段を下りた後、顔を抑えながら皮肉げに呟いた。
ふと昔の記憶が脳裏に蘇った。

戦国時代。
それが始まると同時に蔑まれてきた夜野家は他国の大名達はこぞって夜野家を登用した。
なぜそうなったかは簡単な話だった。
夜野家は昔から戦いでは負ける事はなかった。
そして強く、そして非情の精神を貫いていたからだ。
現に敵の中に同じ一族がいてもムラサメは容赦なく殺した。
勝者でありたければ非情であれ。
夜野家の掟だ。
それゆえに夜野家の人間は堕ち人《おちびと》と呼ばれた。
人の業から外れた人間、外道...それが堕ち人だった。
だが、皮肉な話、戦国時代が終わりに近づくたびに夜野家の人数が減っていった。
実際、関ヶ原の時には俺と父親、後は女、こどもしか残っていなかった。
...その後の事はもう知る由もない。

ムラサメは顔を抑えていた手を離し自嘲し呟いた。

「ここでも堕ちた存在か...」
「ムラサメ!」

その声に前を向いた。

「なんだ、ドレイク」
「なんだってお前」

そう言いながらドレイクはムラサメの背中を指差した。
なるほどそういうことか...

「俺は天使だ」
「そうなのか」
「ほんとですか!」
「うおっ!」

いつの間にか現れたアクアにドレイクが驚き、言った。

「アクア、脅かすなよ」
「すいません、それよりもムラサメさんも天使ですか」
「それよりもって...俺はついでみたいでひでぇな」

アクアはドレイクの言葉を無視しムラサメの言葉を待っていた。

「ああ」

アクアはそれを聞くと満面の笑みを浮かべた。

その後、ドレイクが転生の儀をしたが...背中に黒く歪な羽が見えたとだけ言っておこう。
ドレイクの後は淡々と進んでいき、5時間で終わった。
ちなみに天使4:悪魔6の割合だ。
ムラサメが考えているとリリスとアランが門の前に立ち言った。

「神界の扉を開きます。
これからの説明は中に入ってからするので、勝手な行動は控えてください」
 
形式的な事を話した後、音を立てて門がゆっくりと開いた。
扉の先へ全員が目を見開いたまま止まった。
笑みを浮かべたままアランが手を広げ大声で言った。

「ようこそ!神界へ」




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■作者からのメッセージ
遅くなってすいませんでした。
pcが調子が悪くて、何も書けませんでした。
後、13さん感想ありがとうございます。
5話はドレイクとリリスとアクアの描写が少なくなりました。
次からはもっとだせるようがんばるのでよろしくお願いします。
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