ここは全年齢対応の小説投稿掲示板です。小説以外の書き込みはご遠慮ください。

ネギま!―剣製の凱歌― 過去話Zero エピソード衛宮家
作者:佐藤C   2013/02/25(月) 22:02公開   ID:fazF0sJTcF.



<Episode.1 衛宮矩賢>



 およそ二十数年前―――1970年代後半の…関西呪術協会。

 其処は一切の光が届かない闇黒の洞窟。
 もしくは、穴倉のように続く回廊の最奥部。
 或いは其処は……忌むべき邪悪を祀り上げる、魔聖のほこら


 そこでは六人の男女が一様に険しい表情をして、
 床にある「何か」を見下ろしていた。


「………矩賢のりかた…何と愚かな。よりにもよって近衛分家たる衛宮の当主が」


 その中の一人、白髪交じりの黒髪を持つ屈強な体格の男性が吐き捨てた。


「しかし…恐るべき実力ちからだな。“刀”を守るため張られていた四十二の防壁、二十七の結界、
 三十一の封印、八つの呪詛……その悉くを薙ぎ払ってこの場所まで辿り着くとは……。
 失うには惜しい男だった」

 神経質そうな顔つきをした、蛇を思わせる鋭い眼光を放つ男が思案顔で呟く。


「……確か矩賢はんには、息子さんがおった筈どすな」

 濡烏の長髪を持つ、この中で唯一の女性が口を開いた。
 彼女は赤い袴と白い道着を纏い…その細腕には不釣り合いな野太刀を持っている。


「ああ…うちの詠春が話していたな。確か名は……切嗣と言ったか」

 黒い短髪の男は厳しい顔で口を一文字に結び、
 白い道着の袖に隠れた腕を組みながらそう漏らした。


「…では、彼にはどう説明しますか?」

 茶髪を肩まで伸ばした赤い着物の少年が、隣に立つ老人の顔を窺いながら訊ねる。


「………真実を知るにはまだ早い。そうやな…せめて十八歳を待ってからとしよう。
 それまでは…此処に居るみなの秘密とする」

 背の低い白髪の老人が目を閉じながら、そう言って物憂げに顎鬚を梳いた。
 しかし唯の老人ではない。
 彼の左眼に刻まれた一条の傷が、それを何よりも物語っている。


「…しかし危なかったどすな……この「城塞」が無かったら、『ひな』は確実に矩賢はんに持ち出されとったでしょう」

 彼女は首を動かして、
 回廊の行き止まりになっている「何の変哲もない壁」を見上げる。
 つられて数人が同じように視線を動かした。


「…皮肉な話だ。侵入者に対して絶対的な殺害能力を持ち得る防御機構はこの“百九番目”のみ。
 そこまで辿り着いてしまったことが逆に……此奴の命を決めたか」

 彼が見下ろす先には、神鳴流の道着―――男性用の黒い袴と白い着物―――を着た男性が……血溜まりに沈んでいる。
 傍らに転がる眼鏡からは、砕けてレンズが失われていた。


 そこに倒れている人物は………生前は、「衛宮矩賢」と呼ばれる男だった。



「それでは…青山師範」

「わかっております。早速“妖刀ひな”の再封印に入ります。
 つきまして長、手練れの術士と神鳴流を…合わせて百人ほどご用意願います――――」


 ――京都神鳴流剣士・衛宮矩賢は、
 封印された伝説の妖刀「ひな」を手に入れようとして死亡した。

 まだ十代の少年だった切嗣は、
 その若さゆえに父の死の真相を伝えられず…京都神鳴流と関西呪術協会に不信を抱く。
 彼はこの夜の一週間後……京都から姿を消した。





〜補足・解説〜

※大前提として
 この小説は「魔法先生ネギま!」の並行世界という扱いですが、それと関連し得る「ラブひな」の設定を無視しています。
 よって『ネギま!―剣製の凱歌―』では、「妖刀ひな」は京都神鳴流を滅ぼしかけたのち、神鳴流によって代々厳重に封印・管理されてきたという事になっています。


<キャラクター設定>
衛宮矩賢
 切嗣が十代の頃に謎の死を遂げた、手練れの神鳴流剣士。
 その死の真相は、強さへの野心に取り憑かれた彼が「妖刀ひな」を手中に収めんとして失敗したためだった。

>「城塞」
 設定としては、あらゆる術(攻撃)を術者に反射する呪術防壁としている。
 いわゆる呪詛返し、通称「百九番目の隠し城塞」。
 平安時代から存在しており、製作者や正式名称は不明、術式も高度過ぎて解析不可という謎の呪術。
 この防衛術式は土地の霊脈から魔力(霊力)を汲み上げて動力源としており、無尽蔵の出力とほぼ無制限の防御力を誇る。刹那の『真・雷光剣』やナギの『千の雷』を正面から受けてもビクともせず、ラカンでも局部破壊が限度という、日本どころか地球屈指の呪術である。ただし強力な攻撃は反射しきれない場合もある。
 弱点は、動力源である霊脈との繋がりを乱される、もしくは断たれること。

>彼はこの夜の一週間後、京都から姿を消した。
 矩賢は殺されたのではなく、実は違反行為による自滅。
 まだ子供だからと切嗣に何も教えなかった事が、その気遣いと侮りが彼の生き様を歪めてしまう。









<Episode.1,5 月詠>



 ―――2003年、四月二十五日未明。


「うふふふ…♪これが『妖刀ひな』……! 慣れない書庫漁りをした甲斐がありましたな〜♪」

 柄を縛る紐は黒、鍔はくろがね、鞘は漆黒の漆塗り。
 尽く黒に拘った拵えを持つ「ひな」と呼ばれるその刀を、月詠は愛おしそうに頬ずりする。

「……あの膨大な秘録書庫を読解したのはほとんど僕なんだけど、月詠さん」

 疲れたようなフェイトの言葉も、今の彼女には届かなかった。

「それにしても…前にひなを盗もうとして亡くなりはった「衛宮」ゆうお人って……
 このかお嬢様のお義兄様――あのお兄さんの家名ですなぁ……」

「…ああ、衛宮矩賢か。衛宮士郎のついでに彼の家系を数代前まで調べたけれど……。
 ……息子や孫と違って、彼は随分と俗物だったみたいだね」

「息子?孫?…とゆーコトはこの「衛宮」さんは、あのお兄さんのー…」



 ――その数ヶ月後。「新世界」。
 墓守り人の宮殿で……妖しき黒刀はくろき鞘から抜き放たれる。


「…力の為に魔に身を委ねるとは…月詠!」

「嫌どすなぁ先輩。闇と魔で力を増幅ブーストしとるんはネギ君も同じですやろ」


 運命は、転輪する――――。





〜補足・解説〜
 月詠とフェイトの暗躍時期は、京都決戦の直後。こんな所でおまけでの伏線回収。
 神鳴流が厳重に保管していた「衛宮矩賢による妖刀ひな強奪未遂」の秘録を読み、そこに残された情報を足がかりにして、フェイトの協力でひなを盗み出した。










『詠春、僕は馬鹿だった。
 「正義の味方」なんて夢物語で………そんなものになれるわけなかったんだ。
 その時、やっと気づいたんだよ―――』




<Episode.2 衛宮切嗣>



 砂塵が舞う乾燥した荒野に、二人の男が向かい合って立っていた。

 片方は、乾燥色の布を外套の様に羽織った金髪の白人男性。
 その顔に残る幼さが、彼が成人ではなくまだ青年と言うべき年齢だと告げている。

 対するもう片方は、土色の迷彩柄の外套を着た東洋人男性。
 少し痩せこけた頬とボサボサの黒髪という不精な風貌に反し、彼は瞳に鋭い意思を宿していた。

 …東洋人の身なりが、土で多少汚れている程度なのに対し。
 白人の外套は原型を失い、彼の体を砂塵から守る機能もないボロ布と化していた。


 東洋人は手に持ったスナイパーライフルを捨て、懐から拳銃を取り出す。
 白人はそれを見て、指輪を嵌めた左腕を前方に突き出した。




 ・
 ・
 ・



 ……白人の正体は、メガロメセンブリア本国からの指令を受けた魔法使い。
 戦場で人々を虐殺する殺人鬼…「魔術師殺しマーダー・メイガス」の討伐隊に組み込まれた、まだ年若い魔法使いだった。

 現在、魔法使いの社会情勢は穏やかではない。
 それは「新世界」こと「魔法世界ムンドゥス・マギクス」で勃発した“大分烈戦争”の影響だ。

 歴戦にしてベテランの魔法使い達がそこに出兵している今、
 旧世界の平穏を守るのは自分たち若者の仕事だと、彼はそう思っていた。

 「外道に堕ちた魔法使いの討伐」。
 その誇り高い任務に―――命の危険が伴うという事も忘れて―――集まった若き彼らは心躍る思いだった。

 自分は正義のために戦える。
 未熟な自分達でも今この時だけは、無辜の人々の為に生きる「立派な魔法使いマギステル・マギ」のようだと―――。

 ………浮かれていたと、そう言っていい。



 「魔術師殺し」に辿り着いたのは、彼だけだった。

 他の仲間はみんな死んだ。


 隠れた場所から狙撃された。
 銃弾は魔法障壁を貫通した。
 魔力を使用しない銃火器相手では、魔力から攻撃を察知することはできなかった。
 誘導されたのか、周りは既に地雷原と化していて逃げられなかった。
 空を飛べば狙い撃たれた。
 下手に動けば殺された。
 瞬きしたら死んでいた。
 息をしたら死んでいた。

 ―――気づいた時には、死んでいた。




 ・
 ・
 ・



 魔法使いは涙を流しながら、人を殺せる怨嗟の瞳で「魔術師殺し」に視線を向ける。
 それを平然と受け止める黒髪の男は、先ほど火を着けたタバコを口に咥えながら……
 自分を睨む青年の涙が、赤い色をしている錯覚を覚えた。

「……おまえがっ…お前が今まで殺してきた人々の無念ッ……!
 そして――ここに来るまで死んでいった仲間達の恨み!!思い知れぇぇえ“衛宮切嗣”ぅぅぅうううううううううううううううううッ!!!」

一番ウヌム二番ドゥオ三番トリア四番クァルト―――解放リラーゼ

「!? なっ…」


 事前に地面に撃ちつけられていた魔弾、それらが内包する呪いが解放された。
 魔弾同士が光の線で互いを結び、光の四角形スクエアが敵の周囲を取り囲む。
 大地に浮かび上がった正方形はそのまま、立方体の結界へ姿を変えて魔法使いを捕らえ込んだ。

 ―――大呪文級戦術運用時間制御魔法―――。




“『固有時操作結界ムヴェーレ・プロプリース・テンプス』―――――――十重停滞ディカプル・スタッグネイト




 『魔術師殺しとは戦うな』。もしも戦うことがあるのなら。
 罠に嵌められ。魔法を殺され。己が身に流れる時間を容易く強奪されるだろう。


「独創性のない口上を上げている暇があったら…呪文の一つでも唱えておくべきだったな」


 『固有時操作』に侵された魔法使いは憐れ、十分の一にまで時間経過を制限された。
 それはビデオのスローモーションのように。
 身体の動きも思考さえも、全ての動作じかんが停滞する。
 ……彼は今、自分の身に何が起こっているか理解すらできまい。


(…これだから「魔法使い」って奴は……)


 ――ジャカ…ガキンッ!


 握る銃の弾倉に装填される魔弾。それは『火炎の魔弾グランデ・イグニス―――燃える天空ウーラニア・フロゴーシス』。


 ――ダンッ!――ダンッ!!


 そのまま何の躊躇いもなく、敵に二発の銃弾を撃ち込む。
 しかし弾丸は結界内部に侵入すると、敵と同様その時間を停滞させて動きをスローにしてしまう。
 ……だが、問題は無い。


制御解除リラーゼ・アールテル解放エーミッタム


 それは時間遅延解除の呪文と、火炎を解き放つ言霊。
 同時にそれは敵にとって、死の予言に等しい言葉となる。
 「時間」が手元に戻って来た時にはもう遅い。
 二つの『燃える天空』が、「魔術師殺し」――――衛宮切嗣の敵を焼く。




『そう、席は限られている。幸福という椅子は、常に全体の数より少な目でしか用意されない。
 その場にいる全員を救う事などできないから、結局は誰かが犠牲になる』

『だから』

『それを。被害を最小限に抑える為に、いずれこぼれる人間を速やかに、一秒でも早く切り落とした』




 それを邪魔すると言うのなら。
 戦場に居る者すべてが、衛宮切嗣の殺すべき敵だ。


 ――唸る轟音。燃ゆる立つ火柱。
 天すら焦がす赤光しゃっこうを背負い、切嗣は紫煙を吐いて戦場に背を向けた――――。





〜補足・解説〜

>討伐隊
 切嗣の身柄を確保する(生死は問わない)ために、メガロ本国からの指令で召集・編成された部隊。
 描写はされなかったが地雷を踏み、狙撃され、果てはミサイルランチャーまで撃ち込まれ、部隊は一人を残して全滅する。
 その最後の一人も切嗣と戦って死亡した。

 メンバーは男性五人と女性二人の七人編成。各々の事情で大戦に参加しなかった若者たちばかりなので、総じて若い。
 女性メンバーの名前はシャルロッテとイリス。
 男性メンバーの名前はマシュー、サイモン、エドアルド、ジェームズ、そして本国から派遣された部隊長のユーリー。

サイモン
 切嗣と戦った若い魔法使い。
 色素の薄い金の短髪と鮮やかな青い目を持つイギリス系アメリカ人。
 身長179cmの18歳であり、青年どころか実は少年であった。

 本当ならサイモンも大分裂戦争に参加している筈だったが、
 彼を死地に向かわせたくなかった家族が押しとどめ、祖父と父親が出兵した。
 しかし正義感の強い彼は「魔法界のために戦えない」ことを不満に思っていた。そこに聞こえてきた「魔術師殺しの討伐任務」の話に飛びつき、彼は家族に黙って討伐隊に志願してしまい、派遣された中東で非業の死を遂げる。

 始動キーは「ユピ・テル・ジュピテル・プルトーネ」。
 それぞれラテン語のユピテル(木星)、ポルトガル語のジュピテル(木星)、イタリア語のプルトーネ(冥王星)をモチーフとしている。サイモンの趣味は天体観測で、そのため星の名前を始動キーに組み込んだらしい。
 余談だが、彼は同じ討伐隊のシャルロッテに一目惚れしていた。

>大呪文級戦術運用時間制御魔法
 何かカッコイイ呼び名を入れたかったんです。
 「戦術運用」とか言ってるけど全く戦闘向きじゃない(汗)。
 「時間制御魔法を戦術的に運用する呪文」という意味での名称なので間違ってはいないんですけど。

>ディカプル・スタッグネイト
 英語で「十倍の停滞」の意。

>リラーゼ・アールテル
 Fate/Zeroで切嗣が使う呪文「Release alter制御解除」(レリーズ・アルター)をラテン語読みにしたもの。


※その他の詳細は「設定2 衛宮切嗣」を参照してください。









<Episode.3 裏・第0話>


まえがき:

 「ネギま!―剣製の凱歌―」における切嗣、及びアイリとイリヤの死因は、「第0話 プロローグ」で描写された「国際空港の火災」である。
 しかしこの事件は<事故>と呼ばれたりテロと言われたり、実は作品中で表現が一定していない。また第二章-第18話においてフェイトが、この火災には裏があったと思わせる台詞を吐いている。さらに18話の補足で私こと作者は、「(フェイトの他に)真相を知っているのはメガロメセンブリア上層部くらい」と記述した。

 このEpisode.3は、その真相について触れた物語である……。




 ◇◇◇◇◇




 ――――キィィイイイン……
 ――ゴォォオオオオオ―――………!!


 旅客機が離着陸する音が響く。
 空港ロビーは利用者のあまりの数に混雑して騒がしい。
 そんな中、群衆の中に混じって……若干目を引く一団があった。

 美しい銀の長髪を背中まで流している、雪の様に白い肌を持つ妙齢の美女。
 傍には、彼女と瓜二つの容姿をした愛らしい少女が立っている。
 その少女と手を繋ぐ赤毛の少年は東洋系の、人懐っこい顔立ちをしていた。

 そんな特徴的な彼らの中心に立っているのは……。
 黒いトレンチコートを着てボサボサの黒髪をそのままにした、だらしない不精な東洋人だった。


「すげー!すげー!みんな英語だ!!なに言ってるのかぜんぜんわかんねー!!」
「こらシロウ!大声で騒がないの!!」

 三歳年上の姉に手を引っ張られながら、八歳の弟は異国に目を輝かせる。


 …姉の名を衛宮イリヤスフィール。
 弟の名を、衛宮士郎という。
 子供達の微笑ましい様子に、衛宮夫妻―――衛宮切嗣と衛宮アイリスフィールは目を細めた。


 長時間のフライトを経て衛宮一家は、アメリカ合衆国○○州の国際空港に到着した。









     ネギま!―剣製の凱歌―「裏・第0話Re:Zero









「荷物も受け取ったし、そろそろ空港を出ようか」
「先ずはどこへ向かうんだったかしら?」

 まるで観光旅行に来たように気軽な会話をする衛宮夫妻。
 だが彼らが抱える事情は、そんな易しいものではない。
 衛宮家はとある事情により……一所ひとところに留まれない、世界中を転々とする生活を送っていた。

 新たに生まれた士郎のために、ここ数年は海外へ行くことを避けていた。
 だが知人の協力を以てしても…あれ以上日本に潜伏し続ける事はできなかっただろう。

(…いや、全くだ。近衛翁と詠春には頭が上がらないな……)

 師と親友を思い浮かべて切嗣は苦笑した。


アメリカこっちの知り合いに隠れ家を用意してもらってる。
 連絡が来るのは二日後だから、それまでは近くの適当なホテルに――」


 ――ピリリリリリリリッ!


 突如、切嗣の携帯電話が着信音を鳴らした。


「あ、ダメよキリツグー」
「とうさん、公共の場じゃマナーモードにしなきゃダメなんだぞ」
「ははは、うっかりしてた。悪いね二人とも。
 ……あとイリヤ。僕の事はちゃんとお父さんと呼びなさい」

 母親の真似をして自分を呼び捨てにする娘に――いつもの事ながら――苦言を呈し、
 彼はケータイのディスプレイを確認しながら家族から距離を取った。


(………知らない番号だ。
 信頼できる一握りの人間にしか僕の番号は教えていない、いったい誰だ…?)

 無論、ずっと同じ番号を使っている訳でもない。
 彼は用心深く、定期的に携帯電話の機種と番号とアドレスを変更している。
 …そこで彼はふと、自らのケータイの状態に気づいた。


(…これは…魔力…!?)


 さらに目を凝らしてみると……
 切嗣の携帯電話の陰に隠れて動く…小さな妖精の姿が視えた。

 ――――電子精霊による探知ディテクト

 近年、世界ではインターネットシステムの普及と発展が目覚ましい。
 それに対応した魔法技術が研究されている事は切嗣も知っていたが……
 既に個人のアドレスを探知する域にまで達していた事には驚きを隠せない。

 同時にそれは、そんな最新技術を持ち出してまで切嗣と接触しようとする誰かが居るということだ。
 ……彼は意を決して、通話ボタンをプッシュした。




 ◇◇◇◇◇



「どんな電話だったの?」

 何気なく、アイリスフィールは戻ってきた切嗣に訊ねた。
 「誰から」と訊かないのは、彼女が夫の交友関係にそこまで詳しくないためだ。

「ああ、昔の知り合いでね。
 どうやら急用ができたらしくて、他の知人に僕の番号を聞いて連絡してきたらしい」

 切嗣は軽く笑って子供達の姿を探す。
 二人はロビーのガラス窓から飛行場を眺めていた。
 彼は子供達に声をかけようとして……妻の様子を訝しんだ。


「……アイリ?」

「……切嗣。あなた今…とても怖い顔をしているわ」

 切嗣の表情が、強張った。



(……駄目だな。引退したくらいでもうポーカーフェイスも出来ないのか…)

 これでは交渉もできやしない―――そんな風に自嘲しながら、彼は愛妻を安心させるように口を開いた。


「…いいや、何でもないよ。それより少し野暮用ができた。
 すぐに戻って来るから空港の外で待っていてくれないか」

 これは万が一の場合に、彼女達がを逃れるようにとの判断だ。
 もともと彼らはこのまま空港を出る予定だったのだから、この提案は何ら不自然なことではない。
 …だが彼の愛する妻は、再び予想外の台詞を口にした。


「………ちゃんと帰ってくる…わよね……?」

「…っ!!」


 ………完全にバレている。
 さっき受けた電話によって……切嗣じぶんが重荷を抱えた事が。

 …どう誤魔化すか、どんな言い訳をするか……そんな事を考え始めた切嗣が前を向くと。
 アイリスフィールが悲痛な面持ちをして、今もじっと、愛する夫の顔を見つめていた。


(……ああ、本当に………彼女には敵わない)


 心の中で、彼は再び自嘲する。
 しかし先程と違って完全な自嘲ではない。
 …本当に、この女性に出会えて良かったと……苦笑交じりに己の幸運を感じていた。


「…ありがとうアイリ。でも大丈夫だ、心配しなくていい。僕は必ず戻ってくるから」


 ああ、そうとも。
 腕が衰えようが、勘が鈍っていようが……たとえこの身がなまくら刀になろうとも。
 『魔術師殺し』の伝説が、そう簡単に錆つく事など有り得ない。


 妻に背を向ける時にふと、彼の視界に自分の子供達が映る。
 離陸する飛行機に興奮する息子と、姉としてそれを落ち着かせようとする娘の姿。


(―――絶対に、この子達の所に帰ってくる。絶対にだ…!!)


 そう誓い、彼は今度こそトレンチコートを翻した。




 ◇◇◇◇◇



 切嗣が向かっている第二倉庫までの道に設置された監視カメラが、皆あらぬ方向を向いている。
 おそらく電子精霊の扱いに長けた者が警備システムに干渉しているのだろう。
 彼は通路をつかつかと歩きながら、先程の電話を思い出していた。



『………衛宮切嗣ダナ』

『今スグ空港ノ2番倉庫ニ一人デ来イ』

『言ッテオクガ交渉ノ余地ハナイ』

『私達ノ呼ビ出シニ応ジナケレバ、
 空港各所ニ敷設シタ8ツノ戦術級魔法地雷デ、コノ空港ゴトオ前ヲ吹キ飛バス』

『我々ハ貴様ニ鉄槌ヲ下ス者。逃ゲヨウナドトハ思ワナイコトダ―――』



 …何とも頭の悪い脅迫電話だったなと、切嗣は半ば呆れていた。

 始めから相手が単独とは思っていなかったが、自分達から「我々」…複数人いるとバラしている。
 バレた所で関係ないと割り切っている可能性もあるが……。


「…流石にこれは非常識だろう」

 切嗣が目をやったのは、通路の壁に貼られた“人払い”と“認識阻害”の呪符。
 彼ら自身、そして切嗣が動き易いように用意したものなのだろうが―――

 倉庫を"人払い"で占拠してしまうなど、空港の業務に支障が出かねない。
 そしてそこから異変に気づく者が現れる可能性もある。

 ………電子精霊など技術には目を瞠るものがあるが…考えの足りない連中だと、切嗣は頭が痛くなった。


「……此処か」

 視線の先にある鉄の扉の上には、「第二倉庫」の文字が並んでいる。
 …だが…普段は固く閉じられている筈の扉の鍵は、無惨にも壊されていた。


 ――スッ…


 ここに来るまでに、拳銃には弾丸を装填を終えている。
 懐に入れたそれに触れて再度確認し、倉庫の扉に背中からもたれかかった。

(………四…五、六…七……。…七人は間違いなく居るな…)

 ……これ以上できることは何も無い。
 切嗣は口をきつく結び、眉間に皺が寄るほど険しい表情をして―――倉庫の扉を開け放った。


 ――そこには、純白のローブを着た七人が立っていた。
 全員がフードを目深に被っており、彼らの顔は窺えない。

 だが内部に入れば正確に判った。
 今の切嗣には見えない位置……積まれたコンテナの上と影に、他にも三人ほど隠れている。


「……僕を釣るためのデマであって欲しかったが…どうやら魔法地雷の話はハッタリじゃないらしい」


 視線の先には、淡い光を放つ魔法陣の存在がある。
 魔法地雷は現役時代の切嗣じぶんも世話になった代物だから、遠目からでも理解できた。

 ―――アレは、本物だ。


「…ええ、そうよ。よく来たわね衛宮切嗣」
「下手をすれば、貴様の妻と子供の命がかかっているものな? 今ごろ空港の外へ逃げた頃合いか」
「だが問題はない。お前さえ逃さなければそれで良い」
「外道に堕ちた魔法使い…“魔術師殺しマーダー・メイガス”の衛宮切嗣。
 貴様は今日ここでようやく……正義の前に敗れ去るんだ……!」

 各々の言い分を口走りながら、彼らは散開して切嗣の周囲を取り囲んだ。


 ………切嗣は彼らの正体を、自分に恨みを持つ兵士や傭兵の類だと考えていた。
 だが違った。そして確定だ。
 古今東西…どんな世界を探しても。
 「正義」を名乗る魔法使いの集団など、切嗣には一つしか心当たりがない。

 魔法使いの総本山、通称「本国」。
 “魔法世界ムンドゥス・マギクス”二大勢力の一、「メセンブリーナ連合」――――彼らはその末端だろう。


(こいつら…そこまで僕を殺したいか……!!)

 腹の底から湧き上がる度し難い感情に、切嗣は危うく呑まれそうになる。
 ―――こいつらは何を考えているのか。
 今ここに何万人の一般人が居ると思っている?
 魔法地雷の発動―――使用する気がないとしても、起動できる状態で用意しておくなど……
 到底正気の沙汰ではない……!!


「…笑わせてくれるなよ。お前達はそれを本気で正義だと信じているのか?」

「なにを訳のわからないことを。私達が正義でなくて何と言う!!」

 …その返答に、切嗣は今度こそ浮かぶ嗤いを止められなかった。
 嘲りによって口角を上げ………正義の味方を目指した男は再び、殺害者として目を覚ます。


「…だったら教えてやろう。
 この『魔術師殺しぼく』を敵に回した意味を―――その身を以て知れ…!」


 ―――これより衛宮切嗣は、
 あらゆる魔法を殺害する――――……!!




 ◇◇◇◇◇



 空港前のタクシー乗り場の待合所。
 その隣で彼女は、子供達と共に夫が来るのを待っている。

「……………。」

 その目立つ容姿のため、周囲の人々にチラチラと視線を向けられながら、
 アイリスフィールは物憂げな表情を隠しきれずに立っていた。

「キリツグおそーい」
「とうさん遅いなー」

 子供達二人は自分達の荷物を地面に下ろし、そこに腰を下ろして足をバタつかせる。
 その光景に思わず頬を緩め、アイリスフィールの不安が少しだけ和らいだ。

「イリヤお姉ちゃんはさ、魔法ってとうさんに習ってるの?」
「んーん。まだよ。どうして?」
「だってカッコイイだろ!おれ、ぜったい魔法使いになるんだ!」
「ちょ…しーっ!!シロウ!声が大きいわよっ!!」

 士郎は気にも留めず大声で「魔法」と口にしてしまい、イリヤは慌てて彼の口を塞いだ。

 「魔法使いは、己の正体と魔法の存在を知られてはならない」。
 しかし幸い、彼の日本語は外人ばかりの周囲に伝わらなかったようである。
 そもそも意味が伝わったとしても。「子供の言うことだ」と誰も本気にしないだろうが。


「でもさ、とうさんってカッコイイだろ!おれもとうさんみたいになりたいんだ!」
「ん――……たしかにキリツグはカッコイイけど…」


(………カッコイイ、ね………)


 アイリスフィールは、複雑な思いを抱かずにはいられない。
 魔法とは結局、旧世界の武器―――銃やナイフと何ら変わらない。使う者次第で薬にも毒にもなる。
 そこには息子が夢見るようなファンタジーなど欠片も無い。

 ―――それを、誰よりも知る男が。
 身を以てそれを味わった男の妻が自分であり、息子が士郎あなたなのだと………アイリスフィールは言えなかった。

「ねえお母様!お母様もキリツグがカッコイイと思う?」
「思うよなーかあさん!!」

 別の思考に沈んでいたアイリスフィールはその声でハッとする。

 子供達の話題が微妙に変わっていることに少し戸惑いながら、
 目を輝かせて父親の話をする彼らに……彼女は笑顔を浮かべて頷いた。

「…ええ、そうね。あの人は…」


「…あなたはいつだって格好いいわ。切嗣」


 …結局は、惚れた弱みと言うやつなのだろう。
 自覚してアイリスフィールは苦笑する。
 そして彼女は子供達と一緒になって、広く蒼い異国の大空を見上げた。



 ……あと三十分もしないうちに、その空が赤く燃えるとも知らずに……。




 ◇◇◇◇◇



「ぐ…っ!な…魔法が……魔法が使えない!?
 そんな、アレはただの噂では―――がっ!!」

 呪文封印弾S.S.Bにより無力と化したその男を、切嗣は魔力強化した拳で容赦なく殴り飛ばす。
 男の仲間達は既に全員、気絶して倒れ伏していた。

 ――もう時間が無い。
 切嗣は男の襟元をグイッと掴んで引き寄せる。

「さあ教えろ。どうすれば魔方陣を停止できる!」

 切嗣の右10mほどの場所で、魔法地雷がセットされた魔方陣が今にも起動しようと光を放つ。

「……む…無理だ……私はもう魔法が…私は魔法が使えない!!
 ははっ、もう誰にも止められない!!」

 錯乱して喚きだす男の有り様に、切嗣は眉間に皺を寄せて舌打ちした。

「わからない奴だな!
 誰が止めるかなんてどうでもいい、その止める方法を教えろと言っているんだ!!僕が止める!!」

 …そう言った瞬間、男の口が歪にゆがんだ。


「………ふ、はは……」

「……!?」


「―――くはっ…は、っはははははははははははははははははははははははははははははっ!!!
 お、おおお多くの魔法使いを手にかけた『魔術師殺し』、え衛宮切嗣!!
 ここで…ここで貴様は死ぬべきなんだ!私とっ…我々と共にな!!」

(な…………ッ!?)

 切嗣は絶句した。

「な…にを、何を馬鹿なことを言っている!?
 ここには…ここには今、何万人の一般人がいると―――!」

「貴様のような人殺しが何をほざく!!
 これは…そうさ!これは正義のためなんだよっ!! 貴様を殺して…私は英雄になる!!」

(こ…の、糞野郎………ッ!!)

 唇を噛む切嗣の視界の端で、魔方陣が瞬いた。
 今までにない強い光を放って―――起動する。
 空港の八ヶ所に仕掛けられた魔方陣は同期して…八ヶ所を繋いだ円の内側に大爆発を引き起こす――――


(呪文封印弾は弾切れ…!固有時操作は間に合わない…ッ!!)



「…アイリ…!イリヤ…っ!!士郎ぉぉおおおーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!」




 ―――そしてあの、地獄は生まれた。





《其処は地獄。または煉獄。或いは魂を灼く錬鉄場――――。》






 …………Next:「第0話 プロローグ」.....



 ◇◇◇◇◇



あとがき:

 …こうして、無関係な多くの一般人を巻き添えにして衛宮切嗣は「殺された」。

 彼は自分が失敗した場合も想定してアイリスフィールに空港の外で待つようにと指示していたが、
 爆発の規模は予想を超えて大きく、彼女と長女イリヤスフィールも死亡してしまう。
 彼らの中で唯一生き残った士郎もまた、この出来事で心に大きな傷を負った。

 メガロメセンブリアは数日遅れて事実関係を把握するが、
 「本国の魔法使いが数万人規模の一般人を犠牲にするテロを起こした」などと公にする事ができず、
 この事実は闇に葬られる。

 このテロの生存者は僅か七名の子供達だけだった。
 本編の舞台である2003年時点では、その子供達も火災の後遺症などで多くが亡くなり、
 士郎を含め二人しか生存していない。

 一部の者が暴走して突っ走った挙句、周囲を巻き込んで大惨事にしてしまった。
 それが全ての真相である。

 ―――こうして士郎は、独りになった。

 ……けれど。










 ……やあ、君が士郎くんですね?

 初めまして。僕は………詠春。近衛詠春と言って、君のお父さんの友達です。

 …いきなりこんな事を訊かれて困るでしょうが…士郎くん。君は――――



 会った事のない外国の親戚の所に行くのと、
 今日会ったばかりのおじさんに引き取られるのは、どちらがいいですか?






<Episode.4 RENDEZVOUS OF FATE>





 見ず知らずの人間ばかりの場所に放り込まれるよりは、
 自分の父親の友人だという…この不健康そうな眼鏡の男の所に行く方が、いくらかマシだろうと。

 そんな適当過ぎる考えで、士郎はそれを受け入れた。









〜補足・解説〜

【Episode.4】
>RENDEZVOUS OF FATE.
 =ランデブー・オブ・フェイト。英語で「運命の待ち合わせ」。

 士郎が詠春に引き取られる方が良いと決めた事により、
 それを知った士郎の伯母・ユリアスフィールはハンカチを噛んで悔しがったとか。
 ユーブスタクハイトの方は、士郎を引き取るのは吝かではないが、好んで引き取ろうとも思わなかったらしい。
 士郎ではなく(アイリに生き写しの)イリヤが生きていたなら、彼女の方は喜んで受け入れたと思われる。


【Episode.3】
>アイリスフィール
 原作では貴族然とした風雅さと少女の様な幼さの二面性を持つと言われているが、
 この小説では良妻として完成している(笑)
 料理の腕前は公式二次作品と違ってそこそこ上手。最初は下手だったが努力して上達した。
 …ただし掃除などの家事は壊滅的で、
 衛宮家は切嗣以下三人で仲良く家事をこなしている(最近、切嗣は子供達に「掃除の邪魔」と言われるようになってきた)。

>イリヤスフィール
 この時点で11歳だが、年齢の割に無邪気過ぎるきらいがある。
 今話では、はしゃぐ弟の手綱を握って姉の貫録を見せようとしていた。

>士郎
 はしゃぎ過ぎではとも思うが、これは初の海外で舞い上がっているのが原因である。
 だが実は赤ん坊の頃など、物心つく前は海外で過ごしていたのだが本人は覚えていない。
 放浪生活は情操教育に良くないのではと、衛宮家は士郎が3歳の頃から日本に定住していた。
(イリヤの時もヨーロッパの何処かに定住。ユーブスタクハイトに会いたくない切嗣がドイツだけは積極的に避けていたが)

>“魔術師殺し”
 心構えから準備の周到さまで、Episode.2の切嗣と比べるとどれほど弱体化しているかがわかる。
 かつての彼なら「間に合わない」と考える前に動いていた。

>考えの足りない連中
 電子精霊の扱いなど技術は一流でも、それを戦術・戦略的に扱うおつむが弱すぎるという話。
 倉庫の占拠については、長時間使う訳ではないのですぐにはバレないと踏んでいた。

>これ以上できることは何も無い。
 時間があれば即席の罠など用意して仕掛けただろうが、
 電話の内容が「すぐに来い」という非常にアバウトな指示だったために時間をかけられなかった。

>純白のローブを着た七人
 恋人、親代わり、子供、友人など大切な人を切嗣に殺されたという復讐者と、大量殺人鬼である切嗣に義憤した正義漢、手柄を立てて名を上げたかった小物など、動機と目的が一貫していない人種の集まり。
 共通するのは、彼らが(メガロメセンブリアの)「正義」を狂信する、かなりの過激派だったということ。
 結果、彼らは魔法地雷を持ち出して使用するという愚を犯した。

>「んーん。まだよ。
 原作イリヤは(一応)淑女の嗜みがあるので、それを踏まえると「いいえ、まだよ」と言うのではと思いましたが、
 この小説では一般庶民の少女なのでこんなカンジです。

>空港の外で待つように
 アイリが切嗣を心配して空港の近辺に待機していたために、結局彼女達は爆発に巻き込まれてしまう。

>メガロメセンブリア
 組織の末端が暴走してテロを引き起こし、その真相を隠したという負い目がある筈だが、
 彼らは「千の剣ミッレ・グラディウス」と呼ばれるまでになった士郎を切嗣の息子と知りつつ何度も本国にスカウトしている。
 切嗣が賞金首だったとはいえ、何とも面の皮の厚い連中である。
 またフェイトがこの事実を知る事ができたのは、メガロ上層部に『完全なる世界コズモ・エンテレケイア』の内通者がいるため。

 一応明言しておきますが、メセンブリーナ連合の魔法使い全てが今回のような過激派ばかりではありません。
 自分達だけの独善的な「正義」の思想を持つ者は少なくないですが、だからといって皆が皆危険な考えを抱いている訳ではありません。
 「正義に拘っているが善人である」人物の例は高音やガンドルフィーニ。
 「連合に所属しているがまともな人」はドネットやメルディアナ校長。
 「まともだが腹に一物抱えている人物」は近右衛門、ゲーデル提督、リカード元老院議員など。

裏・第0話Re:Zero
 「」と「Re」をかけてます。気づいた人いますか?w



 それでは次回!!

■作家さんに感想を送る
■作者からのメッセージ
 誤字脱字・タグの文字化け・設定や展開の矛盾点等お気づきの点がありましたら、感想にてお知らせください。
テキストサイズ:27k

■作品一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集
Anthologys v2.5e Script by YASUU!!− −Ver.Mini Arrange by ZERO− −Designed by SILUFENIA
Copyright(c)2012 SILUFENIA別館 All rights reserved.