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マブラヴ 転生者による歴史改変 38話
作者:ぜんくう◆7RWKYcvP01c   2013/03/17(日) 19:40公開   ID:jkr/fq7BJDE
 やって参りました20歳。さようなら10代、こんにちは20代。
 というわけで西暦1994年、例の年まであと7年。
 さてさて、それまでに何が出来るか、何をしようか。課題は山積み、未来は未定。困ったものだ。
 とはいえ、悲観する事ばかりでもない。
 AL因果律の一つ、「能力者の帰還率6%」を見事に砕いてやった。スワラージ作戦終了後に、ラリーサたちのステータスを除くと「能力者の帰還率6%」が二重線で取り消しされていた。
 とりあえず一矢報いたとみていいだろう。この調子でおじさん、ばんばんやっていくぞ。とりあえず今身近にあるのは、武の1998年の死亡か。1年間も張り付いて警護なんてできないから、なにか手を考えておかないとな。
 問題は、武の立ち位置だな。純夏がメインヒロイン(笑)なのに、その相方的ポジションである武が死ぬということは、それなりの意味があることだ。
 「能力者の帰還率6%」みたいに、不特定多数に与えられた物語に大きな影響がないAL因果律は見逃されるが、武のような重要なポジションにあるものにはそれなりに大きな干渉がある、というのは十分に考えられる。
 ふむ、武の能力増強を少し重点的にやってみるか。でもあいつ、物語属性が皆無だから必要な経験値がなあ。スワラージ作戦で多少暴れたけど、大した経験にはなってないしな。よし、久しぶりにオリジナルハイヴでの狩りを楽しんでくるか。BETAの東進もだいぶん進んできているからちょうど良いかもしれない。
 でも仕事を持ってるとなかなかできないんだよな。悩ましいなあ。

 そんなこんなで日本国内の動きなんだけど、これがまたややこしい。
 簡単に国内の政治家の立ち位置を説明すると、まず国粋主義派、親米派、中立派と大きく3つに分けられる。
 国粋主義派は、米国憎しで凝り固まっているだけならいいものの、先の大戦の戦勝国である欧米諸国なども嫌っている。がちがちの頑固頭だ。
 親米派は読んで字の如く、同盟国である米国と仲良くやっていくことを考えている、ではなく、米国の日本出張機関的な役割を果たしている。こいつらもある意味ガンである。とはいえ、最近の日米関係が良好なことから、以前ほどひどい立ち居ふるまいはしていない。
 最後の中立派は、数少ないまっとうな連中である。基本的には日本の国益を守るために振る舞い、外交では譲るべきところは譲り、守るべきところは守る。国際貢献を通じて日本帝国の発言力を大きくさせることにより、日本帝国世界での立ち位置を確立させる、などなど。普通の政治家であり、このご時世得難い政治感覚を持っている。
 で、今の国会でしめる割合なのだが、国粋主義派6、親米派3、中立派1ととてもひどいことになっている。明らかにおまえら政治と自分のイデオロギーの発散とを混同しているだろう、といった感じである。
 ちなみ隠れ中立派は国粋主義派、親米派にもいるのだが、この連中は表だっての行動は控えているため、実質的な勢力図に変わりはない。
 国粋主義者たちは、今のところスワラージ作戦で日本帝国軍があげた戦果を背景にかなり気が大きくなっている。おまけに今年は純国産戦術機である不知火も登場して、意気揚々だ、と言いたいところだが、国内外の反応は微妙だった。それもこれもまりもがなんちゃって撃震参型で無双の限りを尽くしたためだ。そのため現行の正式配備されているどの機体よりも高いポテンシャルを秘めている、人類初の第三世代である不知火の性能が思いっきり霞んでしまっている。確かに性能を比べてみると大人と子供くらいの違いがあるのだからしかたがない。
 おかげで国粋主義者共の、帝国軍技術廠の小塚三郎技術大尉が率いる開発チームへの風当たりがハンパ無くひどい。技術公開は段階を追って行うと言っているのに、すぐに公開しろ、できなければ国家反逆罪だ、などとのたまうのは良い方で、権力をちらつかせてなんちゃって撃震参型の強制徴収を企む輩も複数。まあ、強制徴収したところで、今の技術力であれを解析出来るとは到底思えないのだが。しかも肝心のコアユニットであるMOSは現在夕呼のところでチューニング中だし。
 とりあえず不知火は残念な子として扱われているが、実際のところはこれがまだ稼働している撃震に取って代わると、相当な戦力アップにつながると思っている。それだけ第一世代と第三世代の能力差は顕著なのだ。
 各国の技術者も、それは一応わきまえているが、技術者でないなんちゃって撃震参型の魅力に取り付かれた政治家達から見れば、到底ものたりるスペックではない。おかげで各国の技術部は難儀しているそうだ。南無。
 次に親米派の動きだが、今のところは殆ど米国のスパイだ。必死扱いて日本国内の技術情報をかき集めて米国に送っているが、残念、それは私のおいなりさんだ、もとい、それはダミー情報なのだよ。まあ、致命的なポカをやらかしそうにないので今のところ泳がせている。とは言え、柊町の核心に触れるようなことが無いように最新の注意は払っているが。ちなみに、もし触れてしまったら、そのときはまあ、よい子にはとてもお見せできない事になる。
 最後の中立派は、うまいこと動き回って地盤固めを行っているようだ。帝国軍技術廠が自由に開発できるのも、この人達の尽力によるものが多い。実は影の実力者として、榊是親がいるのだが、彼は表向きは親米派となっている。政治の世界は色々と大変だね。ちなみに榊是親は、千鶴の親父さんだ。飛行少女とかしてしまった娘の扱いに手を焼いているらしいが、まあ、いっか。

 国外の動きに目を向けてみると、やはり一番の変化はインド大陸の戦線だろう。
 ポパールハイヴの陥落を機に、一気に前線を押し込みオリジナルハイヴ付近までBETAを押し返した。そして防衛網を構築、M01地雷の設置と来るべきオリジナルハイヴからの南進に向けて準備万端だ。
 問題はポパールハイヴ内で見つかったBETAの残骸の検分で、異常な傷跡を持つBETAが複数発見された事だ。このことと、軌道降下部隊の報告から、謎の支援者の存在が公に認められることになった。
 目撃情報だけでなく、通信記録から人類側の勢力であり、かつおそらく人類であろうとの推測はついたが、それにしては異常な事が多すぎる。
 現行技術では到底不可能な、光学迷彩、ステルス技術、そして謎の兵装。とくに12.7mm重機関銃とおぼしき兵器から発射される一撃が、大型BETA種を一撃で沈めるなど冗談としか思えなかった。
 国連軍ではこの謎の支援者のコードネームを黒い幻影と名づけ、要観察対象として位置づけた。接触には最大限の注意を払うようにとの通達がされている。
 欧米諸国は、スワラージ作戦の成功を受けて、意気軒昂だ。M01搭載ミサイルの追加発注ががんがんかかってきている。戦術機については、欧州専用新型の開発が進んでいるが、どうやらあまり芳しくないようだ。今は撃震弐型のライセンス購入を行い、新機軸の技術の吸収開発を行っている。まずはリヨンハイヴをターゲットにしているらしい。
 問題は、中国大陸の戦線だ。
 装備は旧式、あるのは量だけ。物量VS物量という、相手が人類相手なら問題ないが、BETA戦では愚の骨頂と言える戦略で戦闘を行っているのが、オリジナルハイヴ東部戦線だ。
 トップが悪いと、手足が苦労するという典型だ。
 おかげでじりじりと戦線は東に移動しつつある。理由は明白だ。BETAの物量に押し負けているのだ。
 人類側の戦力と違って、BETAの物量の回復力はハンパじゃない。こちらが1回復している間に、連中は10は回復している。はっきりって勝てる気がしない。
 日本帝国としてはBETAの東進を許すと言うことは、日本の国土が脅威に晒されることに他ならない。そのために再三日本帝国としての協力を打診しているのだが、国連を通しての支援なら受け付けるの一点張りだ。戦線がさらに東、つまり日本帝国よりになれば強気の交渉も出来るのだが、良くも悪くも今はまだ戦線は日本帝国に直接影響を及ぼすほどではない。
 そのため現在では中東戦線に展開していた国連出向中の二個連隊を中国戦線に投入するようにと打診を行っている最中だ。
 ちなみにスワラージ作戦に参加した二個連隊についてはすでに日本帝国内に撤収が完了している。
 日本帝国が撤退する際には、盛大な見送りがあった。今まで避難生活をしていた人々や、共に戦った兵達、皆が笑顔で見送ってくれた。

 「ありがとう、にっぽんていこく」

 かざされた横断幕に拙い文字で書かれた言葉を思い出すと、今でもちょっと胸が熱くなってしまう。年を取ると涙もろくなって困るな。
 それにくらべて統一中華の連中はまったく。頭に来るがどうしたものやら。殴って終わり、ではないのが外交の難しいところだ。
 こりゃ裏から手を回して軍事クーデターでもさせるか?その方が手っ取り早い気がしてきた。それくらいあの国ってのは腐っているからな。
 別に親日政権を作る必要ない。要は、まともな対BETA戦を行えるだけの能力を持つ政権ができればそれでよいのだ。
 とはいえそう言う権謀術数を必要とするのは苦手なんだよな。この手の陰湿な企みとかは割と夕呼が得意そうだな。今度相談してみるか?
 でもまあ、あいつもあいつで忙しい盛りだからな。
 第四計画選定に向けての最終コンペがあるから、それの準備に余念がない。もっとも、じつは内定が出ているのでポーズだけでいいんだけどな。
 そこはそれ、負けず嫌いの夕呼である。自分の手がける仕事に隙があるのは気にくわないとのことだ。
 ちなみに内定の決め手となったのは、夕呼が確立させた時空因果律量子理論とそれを元に作られた超高性能演算ユニットの基礎概論だ。
 実物があるとこういう時に強いよな。
 問題は第五計画というか、G弾推進派の動きなんだが、これがなあ。
 スワラージ作戦の成功を受けて、少しは大人しくなるかと思ったが、逆効果でした。
 曰く、G弾を使えば遥かに少ない戦力と犠牲でハイヴの攻略ができたのだ、ということだ。取らぬ狸の皮算用も良いところだな。G弾の副次作用を考えなければそれでもいいんだろうけどな。
 ちなみに、おれの持つ技術でどうにか出来ないか?だが、実は出来ます。
 要は重力偏差を解消してやればいいだけなので、意外と簡単にできたりします。
 それじゃなんで協力してやらないのか、というと、この技術を使えばさらに強力な兵器が開発出来てしまうからだ。下手すると一発で地球の磁場がやばくなる。
 そんな兵器を、地球への影響を隠して運用しようとする連中に渡してやるほどおれはお人好しじゃないし、人を信じてもいない。
 おれの一番の目的はまりもを死なせないこと、次にAL因果律なんてくだらないものをぶち壊すことだ。
 人類の勝利?まあ、勝利できればいいな、とは思うし、そうなるように手を回してはいるが、平和ってのは本来尊いものだ。
 他人の手により棚ぼた的にもたらされた平和なんて、簡単に手のひらからこぼれ落ちてしまう、ってのが持論である。本当の平和ってのは、自分たち一人一人が自分自身の力で手にしないといけない。
 まあ、出来る限りの技術提供はするけどね。

 そういえばマブジジョが無事日本帝国軍所属高等部の衛士育成学科に入学できた。
 もともと心配する余地のないステータスだったので心配はしていなかったのだが、一応一安心。
 ちなみにまりもの時の失敗を教訓に、戦術機適性試験の数値についてはある一定の数値を超えるような結果になる場合に、強制的に数値を書き換えるように仕込みがしてある。
 おかげでまりものときみたいなことにはならなかった。よかったよかった。
 とはいえ、入学してからの成績がまりもと甲乙つけがたいことから、第二のまりもとして大いなる期待を寄せられているそうだ。
 問題なのはそれを聞きつけた軍関係者が早速囲い込みを掛けていることか。
 ちなみに、斯衛の連中もこなを掛けてきているが、そこは前途有望な学生に無用な心労をかけることはあいならん、と言う理由で手を引かせた。悠陽さまさまである。
 まあ、マブジジョもとい、みちるの奴もステータス的には劣るとは言え、なんちゃって撃震参型を駆るだけの能力はあるからな。今の状態でも、おそらく世界でトップクラスの戦術機操縦技能を持っているはずだ。

 肝心の本職である帝国軍技術廠の仕事はというと、まあ、いろいろとやっている。
 実はなんちゃって撃震参型でやらかしすぎたので、そのカバーストーリー作りに大忙しなのである。
 試作部品の検証データを脳内シミュレーターから引っ張り出して偽造したりとか、いろいろと難儀な話である。
 あと九十三式電磁投射砲については、大量生産のために製造ラインを整備中だ。世界中から発注が来ているせいだ。
 問題は材料となる金属が無重力中で精製する必要があるので、すぐに大量に用意できないことだ。このあたりは宇宙軍にがんばってもらうしかない。
 宇宙軍の連中は、俺たちは軍隊なんだが、とぼやいていたがもともと日本帝国の宇宙軍ってのは閑職だったりするので、忙しくなったというわりに嬉しそうだ。まあこれから軌道降下部隊の投入や、軌道降下爆撃などの戦術が重要視されるようになるはずだから、逆に忙しくなりすぎるかもしれない。
 それを考えると宇宙でのプラント整備を急いだ方がいいな。ちなみに宇宙活動用の工作機械については、モジュール機構を備えたオリジナルの人型工作機を投入している。
 意地でもモジュール機構を持つ人型ロボットを普及させてやる、というおれの執念が実った形だ。これは意外と好評なのでよかったよかった。
 素材の確保が出来たら後は、米国にもライセンス生産を打診する事になっている。
 あとは、海洋メガフロートの整備くらいか。
 前線国家向けに合成食材を精製するプラントを洋上のメガフロート上に設置している。ちなみに職員は難民を使っている。
 難民保護の課題もこれで多少は解決しているのだが、それでも用意した職以上に難民が流入してくるから大変だ。
 もっとも、食料生産プラント用洋上メガフロートを作ってがんがん食料を生産しているから、日本帝国は他の国と違って難民が飢餓におびえると言うことはない。
 不幸中の幸いというやつだ。
 合成食材の味の改革も順調に行っている。今では、下手な天然素材よりも、合成食材ほうが人気があることすらある。
 軍事力強化についての研究は日々行っているが、今のところ現行技術で作成できるものはあらかた出尽くした感がある。
 仕方がないので、柊町の技術を世界に流出させるペースを上げることで対応しようと思っている。
 柊町については、もはやおれですら完全に把握できないほどの魔窟と化している。
 魔窟というか、近未来都市というか。あれだ、みんなの考えた23世紀を地でいっている感じだ。
 うーむ、自分でタネをまいておいて何なんだが、柊町は一体どこに向かっているんだろう?
 この間なんて、モヒカンでトゲトゲ肩パットつけたにーちゃんが、電導チャリンコ乗りながらひゃっはーとかやってたし。まあ、一応今は世紀末ですしね。

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