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マブラヴ 転生者による歴史改変 40話
作者:ぜんくう◆7RWKYcvP01c   2013/04/21(日) 20:17公開   ID:jkr/fq7BJDE
 「素晴らしい!」

 おれはその映像の出来のすばらしさに思わずスタンディングオベーションをしていた。
 あ、そう言えば、スタンディングオベーションとスタンディングマスタベーションってなんとなく語感が似てなくね?
 とか思ってたら、畑山翔子が、

 「スタンディングオベーションですか、そこまで評価していただけるとは光栄の限りです。そう言えば、オベーションとマスタベーションと語感が似ていますね。今後の資料のためにも是非、ぶちょ、もとい社長に実演による資料の提示を、ぶはっ!」

 と言い出したところを、突然割って入ったスリッパ突っ込みで黙らせた人物がはあぁ、と深いため息をこぼしながら呟いた。

 「畑山主任、ジチョウしてください」

 ロシア人の別嬪さんこと、二宮ラリーサだ。真面目系のキャラクタだとは思っていたが、思っていた通りの属性を持っているようだ。

 「その突っ込み、さすがだね。いやいや、やはり君は素質がある。ぜひ、エロ作品作成のラインに参加して欲しいのものだ。なにせ、あそこのラインは癖が強くて扱いにくい人間が多くてね」

 頭をさすりながら、にこやかに語りかける畑山翔子。畑山翔子は、おれがかつて在籍していた日本帝国軍所属高等部の衛士育成学科に所属していた双子の片割れだ。今の肩書きは、柊アニメーションの全年齢向けアニメーション制作室主任だ。ちなみに姉の方は日本帝国軍所属高等部の衛生員育成学科に所属していた。ちなみにそちらはMANGAに適正があったので漫画家をやっていたりする。全方位対応畑山と言えば、HMANGA四天王筆頭と言われるほどの実力者である。
 おれはときわ荘の地下に設置されたミニシアターで、ようやく完成した劇場版ANIMEである大撃神を鑑賞していた。毎週日曜日に放映している5種類の撃神が5体合体して完成するのが大撃神という超大型戦術機である。ちなみに撃震でなく、撃神というところがみそである。
 話がそれたが、おれがスポンサーとして作成しているANIMEは多岐にわたる。子供向けから成人向けまで幅広い。問題は成人向けが帝国の憲兵に目をつけられる可能性が高いところか。HMANGAは戦場での人気故に最近は表に流通しても黙認されているようだが、今のところ国内でしか流通を予定していないHANIMEははっきり言って検閲の対象となる可能性大だ。
 無論のこと軍部はもちろん、各国のヘビィなOTAKUどものとのコネクションを使えば拡散させることは可能なのだが、ANIMEには音声という壁がある。
 HMANGAの場合は、各国の言語に翻訳すればよかったのだが、ANIMEとなると吹き替えをする必要がある。なぜ吹き替えなのか?答えは簡単、この世界、字幕という概念が殆どないのだ。
 なにせかなり高性能な自動翻訳機があるくらいだ。だがそれでは駄目なのだ。
 声優の魂の籠もった素晴らしい演技を翻訳機で通して聞くなど邪道も良いところだ。
 そのため今のところ日本国内のアングラでの流通しか予定していない。

 「ちなみに作成中のHANIMEの出来はどんなかんじなんだ?」

 「ええ、それについては順調です。ですがやはり声優の確保が難しいですね」

 「うーん、やっぱりそこがネックか」

 そう、先ほども言ったように、声優の素晴らしい演技が無ければどんなに作画のクオリティが高かろうが、駄作になりはてる。前世ではそう言った残念な作品が幾つかあった。特に劇場版とか、海外アニメの吹き替えとか。

 「声優としての実力も確かで、エロも出来る。しかもそのことを秘密に出来る。そうなると数は限られてくるからな。しょうがないさ。今はとりあえず優秀な声優を確保することに務めよう。HANIMEの声優は、とりあえずヒロインの声がマンネリ化するが、仕方がない」

 「そうですね…」

 悔しそうに声をこぼす畑山。彼女はエロ方面については、姉である畑山道江に大きく水を空けられているため、それを気にしているようだ。

 「社長、なぜあなたはそんなにエロを求めるのです?」

 ラリーサが尋ねてくる。

 「今のANIMEでも、子供達はたのしんでいます。大人たちのにんきも高いです。それなのに、なぜ?」

 「わからないか?まあ、無理もないけどな。なあ、畑山主任にはわかるか?」

 「ええ、当然です。そこにエロがあるから、それ以外に理由はありません」

 「そう、その通りだ。ラリーサ、分からないか。おれ達には、成人向けも子供向けも関係ない。そこに面白い話があればそれを作らざるを得ない。そして、エロもまたしかり。そこにエロがあればANIMEにしたくてたまらないのだよ」

 屹然とこたえるおれと畑山をあきれた様な目で見つめるラリーサ。

 「要するに、エロが好きなわけですね」

 「まあな」

 「そうね」

 2人揃って答えるおれ達を見つめるラリーサの目は、非情に冷たいものであった。一部の人にとってはご褒美であるかも知れない。
 そういえばこのときわ荘についての説明がまだだったのでここで説明をしておこう。
 ときわ荘の荘とは名ばかりで、見た目は完全にマンションだ。
 地上12階、地下3階ににも及ぶ高層建築物。地上部分は1階がミーティングスペース、事務所などビジネスフロアとなっており、2階より上は全て居住区画となっている。
 ちなみに地下1階は、ANIME作製の作業場になっている。むろん、MANGA用の作業場もある。地下2階は収録スタジオやミニシアター、ついでに娯楽用の施設とトレーニングルームなどがそろっている。
 そして最下層の地下3階だが、そこは締め切り間近の作者や、スタッフ達が閉じ込められている。彼らは、手がけている作品を完成させるまで太陽の下に戻ることが許されないのだ。
 言っておくがこんな恐ろしい施設を考え出したのはおれじゃない。このときわ荘をつくることを打ち明けて、デザインに意見を募ったメンバー、エロス四天王、畑山翔子を始めとする数人のANIME制作スタッフたちだ。
 自分たちの様な人種は、極限状態に追い込まれないと真価を発揮しないタイプが多い、とのことからしかたなく設置したわけだ。
 たまにBL欠乏症を起こすBL好きの女性が現れる程度で、それほどひどいことにはなっていないようなので一安心だ。ちなみに監獄をイメージしがちだが、作業に集中しやすい様にシンプルだが備品には気を使った作りになっている。

 「そう言えば、そろそろ撃神ファイトに追加戦術機を投入する予定だが、デザインとかどうなっているんだ?」

 「そちらのほうは、ANIME部門は操縦キャラクタ設定とイラストが担当でした、デザインに関してはMANGA部門の担当となっています。そこからの報告がまだ挙がってきていませんので何とも」

 「そうか、確か統一中華の殲撃10型をモデルにした殲激10型だっけ?」

 「はい、シンプルながらもスタイリッシュな機体にする、と息巻いていましたが」

 「わかった、そちらのほうは任せる」

 撃神ファイトっていうのは、言ってみれば民間用に簡素化した戦術機のシミュレーターのことだ。これに登録された機体を自在に操り、そして腕を磨いていく。
 1人でミッションをこなして行くもよし、複数人で団体戦をするもよし、対戦するもよし。
 そう言えば武がこの間このゲームの全国大会で優勝したとかいっていたな。
 ちなみにこのゲームで、ある程度衛士適正を計ることも出来る。Gとかは掛からないものの、操縦席はぐるぐる回ったりするからな。
 技術的に軍事機密的なものがふんだんに盛り込まれているが、その当たりはブラックボックス化して日本全国に設置している。
 そのため一部の訓練校などは、本格的な衛士訓練を始める前にこのゲームでならしてからということに使っているところもあるらしい。
 確かに、このゲームで全国区レベルの能力を誇るプレイヤーは、戦術機に乗らしても驚くべき早さでエース並みに機体を自由に扱えるようになるという。
 もっとも、軍事教練なんかは当然受けていない訳なので、体力的な面や基本的な軍事知識の面で即戦力とは行かないらしいが。
 筐体の開発と、プログラミングなんかは、ときわ荘とは別のビルでやっているのだが、機体のデザインや操縦キャラクタのイメージデザインなんかは、こちらのときわ荘で行っている。

 「そういえば撃神ファイトですが、最近ネットワークの負荷が増大しているそうです。何らかの対策を打たないとそろそろ回線の輻輳が起こる可能性があるとか」

 「あーそうか、そういえば、柊町ネットワーク用の回線を使っているんだったな。せっかくだから、ゲーム用に回線を引っ張るか。ついでに柊町ネットワークを全国に解放しよう。衛星回線を使用するからインフラの設置代は大してかからないだろうしな」

 まてよ、どうせなら、世界規模でネットワーク接続するか?情報処理特化型の量子電導脳を使えば、その程度の制御は楽に出来るだろうし。
 よし、ちょっとばかり「R・T先端紳士技術研究所(ロリじゃないよ紳士だよ)」に、その方向で検討させてみよう。
 理想型は密かに管理されたインターネットだな。一見管理不可能なネットワークに見えて、その実、情報処理特化型の量子電導脳が全てを握っている。
 完全に秘匿された世界に見えて、実は丸わかりな世界。もちろん、それを知るのはおれと後は夕呼、R・T先端紳士技術研究所くらいだが。
 表向きには匿名が可能なようにしておけば、おばかなやつとかはほいほい馬脚を現したりするだろうし。
 あとはそれを気取られないように対処しておけば良いだけの話だ。

 「社長、悪巧みをしている顔をしていますね」

 どこか楽しげに畑山が声を掛けてくる。

 「ん、まあな。これからますます楽しくしていくぞ。ネット配信が出来るようになれば、世界にANIMEを配信することも簡単になるからな」

 「なるほど、それはすばらしいアイデアです」

 これが、のちにワールドネットワークと呼ばれる世界通信網誕生の瞬間なんだが、おれと畑山、そしてラリーサはそんなご大層なものだという認識はまったくなかった。
 いやあ、無知って怖いね。

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