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マブラヴ 転生者による歴史改変 42話
作者:ぜんくう◆7RWKYcvP01c   2013/05/05(日) 20:15公開   ID:I3fJQ6sumZ2
 「ふふふ、やったわよ、隆也!」

 「あー、ようやく第四計画の選定が完了したか。おめっとさん」

 帝都大学の研究室で、おれと夕呼は無事の第四計画本命獲得を祝っていた。

 「シャンパンを用意してあるわ。どう?」

 「お、本当にか?今時シャンパンとは、かなりの値段がしただろうに」

 「まあね。でもまあ、たまにはね」

 良いながらクーラーボックスからシャンパンを取り出し、ぽん、と栓を開ける夕呼。
 豆知識ながら、スパークリングワインは割とそれなりの値段では売っているが、シャンパンとなると非常に高価なものとなる。
 いわずもがな、シャンパーニュ地方で作られたスパークリングワイン=シャンパンなので、今ある分しか存在しないためだ。
 おまけに、シャンパーニュ地方の奪還がいつになるか、奪還したところでまともにブドウの収穫が出来るようになるまで何年かかかるかわかったものではない。
 そのため、最低ランクでも100万はくだらないというのが現実だ。

 「それじゃあ、乾杯!」

 「乾杯!」

 夕呼のグラスに自分のグラスをちんっ、と当てる。
 軽く口に含むシャンパンは、うん、よく分からんがきっとうまいはずだ。いや、ぶっちゃけ、ワインの良し悪しなんて分からないんだよな。
 ソムリエとかに聞かれたら、貴重なシャンパンをよくも、とか言われそうだが、気にしてはいけない。

 「そういえば、まりもはどうしたの?」

 「あー、城内省のお偉いさんに捕まっているところだ。なんでも、新しい斯衛用戦術機について意見を聞きたいとのことらしい」

 「まあ、まりもも大変よね。でもまあ、これからもっと大変になるわよ。なにせ、アタシの計画が動き出すんだからね」

 一杯目のシャンパンをクイッと空けながら夕呼が悠然と微笑む。
 うーむ、色っぽい。まりももそれなりに色っぽいんだが、何というか艶の部分では断然夕呼に軍配が上がる。
 まりもはどちらかというと健康的な色気だな。まあ、見た目も軍人として鍛えられた身体のまりもと、科学者としてほっそりとした、でも出るところ出ている夕呼。
 どちらが好きかと言われれば、はっきり言って悩む。2人とも素材が良すぎるからな。
 そう考えると、おれってば、実はすげー恵まれているんじゃね?
 等と思いつつ、夕呼の言葉に反応を返す。

 「それだけどな、かなりの反感を買うことになるんだが、それでもやるのか?」

 「愚問ね、まりもはアタシの計画には欠かせない要員よ」

 「国内だけじゃない、海外からも批判が来るぞ?」

 「それこそ、知ったこっちゃないわよ。アタシは世界を救うための研究を行うわよ」

 おれはそれを聞いて、大きくため息をついた。
 やっぱりそう言う考えになるか。

 「ゆうこりん、おまえはもう少し周囲との融和を覚えるべきだ」

 「む、なによ、隆也のくせに。あんたから融和とか言われるのは心外なんだけど」

 「まあ、そう怒るな。今のまりもんの立場ってわかっているのか?」

 問われるとキョトンとした表情を浮かべる夕呼。

 「スワラージ作戦で大活躍した衛士。世界有数の腕前を持つ衛士、ってところかしら?」

 「まあ、肩書きだけならな。ところがどっこい、裏に回ると色々な評価があるんだ。戦術機の新機軸機動戦術の祖、1人決戦兵器、衛士の中の衛士、世界最高峰の衛士、そのほかあげたら切りがない」

 「ふーん、で」

 探るような目線を向ける夕呼。こいつ、実は分かっているのか?

 「そんな著名人を、国連の秘密計画に組み込む、可能だと思うのか?」

 「まあね、難しいことは分かっているわ」

 あっさりと、自白した夕呼。野郎、分かっているのかよ。それでもなお、まりもが欲しいということか。

 「分かっていながらそれでもその無茶を押し通すと、そういうことか?」

 「こっちとしても、必死なのよ。この計画を失敗するわけにはいかない。手駒には絶対の信用が出来る人間が欲しい。でもどいつもこいつも信用ならない」

 「なるほどね、ゆうこりんも大変なわけだ」

 「あたりまえじゃない、第四計画の各国から参加する人員リスト見た!?殆どが諜報関係の経験者ばかりじゃない。まったくもう、狙いはバレバレなのよ」

 ぷんすかと頭から湯気を出している夕呼を尻目に、おれは頭の中で柊町からどれだけ人員をリストアップできるかを考えていた。
 少なくともあの地域の人員なら信頼は出来る。

 「でも、まりもんを独占しようとするのは止めとけ。各国の反発が強すぎるし、なにより日本帝国内に敵を作りかねない」

 「それは分かっているんだけどね」

 難しい顔で考え込む夕呼。まあ、いろいろと言わんとすることは分かるんだが、まりもを独占するのは悪手だ。
 なにせ、まりもの教導を望む声は未だに世界各国から上がっているし、前線からはまりもとなんちゃって撃震参型の派遣要請が殺到している。
 それを、詳細を明かせない秘密計画が独占するとなると、軋轢がハンパじゃないだろう。その干渉役を果たす日本帝国に取ってはとてもじゃないが見過ごせないだろう。
 いや、各国の首脳はその重要性を理解はしているはずなのだが、問題は前線の士官や一般兵だ。彼らはこの計画が果たす役割の意味と重要性を知ることすら許されない。
 とはいえ、まりもにそろそろ前線から離れて欲しいというのもおれの正直な思いではある。
 なぜかって?決まっているじゃないか、前線だとニャンニャンできないからだよ!
 あ、まって、石を投げないで!
 性欲を持て余すのは大変なんだよ。昔(前世)とは違って、おれの性欲は今ぜっこうちょーなんだから。
 好きな相手とニャンニャンするのは大切なことですよ?

 「そもそもまりもんを計画に組み入れてどうするつもりなんだ?」

 「決まっているじゃない。第四計画専属の特殊部隊に入る予定の新人の教官をまかせるのよ。まりもの持つ知識と技術をたたき込んだ衛士を作り出すことが出来れば、強力な戦力を手にすることが可能よ」

 「あー、そう言えばA−01連隊とかいう戦術機部隊を発足させるんだっけ?」

 「そうよ、第四計画のためだけの戦術機甲部隊。アタシの手駒となる部隊ね」

 どこか嬉しそうに答える夕呼。

 「メンバーの選定はどうするつもりなんだ?」

 「第三計画の成果を利用するわ」

 その答えに、おれは思わず右目の眉毛が跳ね上がるのを感じた。

 「あら、不服なの?」

 「ああ、成果っていう言い方がな」

 「あ、そ」

 おれの声の中にある静かな怒りに気がついたのか、気まずそうに目をそらす夕呼。
 なんだかんだ言って、恋人なのだ。普段紳士なおれが怒ったらどれだけ怖いか、よく知っている。
 具体的に言うと、夜のニャンニャンタイムにお仕置きタイムが追加される。
 いや、うそです、すいません。お願いだから、石を投げないでください。まじで痛いんだって。

 「それで、その第三計画の子供達はどうするつもりだ?」

 「どうもしないわよ。使えそうな子はこちらで引き取るつもりだったんだけど、ソ連のお馬鹿さん達がなんか裏でいろいろとやっているらしくてね」

 「ふーん、ちなみに引き取りが可能なのは?」

 「1名、トリースタ・シェスチナだけよ」

 その答えに、再びおれの右眉が跳ね上がる。

 「第6世代の300番、か。相変わらずあの共産主義者共は」

 「一応名前を用意してあるわよ。さすがに、そんな名前じゃあんまりだしね」

 あわてて弁明するかのような夕呼。なるほど、自分はあいつらとは違う、と主張したいわけだな。

 「ほう、ちなみにその名前は」

 「社、社霞よ」

 「社、か。ずいぶんと珍しい名字を持ってきたな」

 「そう?言われてみればそうかもね」

 うそぶいているが、それなりに考えた名前なんだろう。目元がやや赤い。恥ずかしがっているっぽい。
 むぅ、ういやつめ。今晩は存分に可愛がってやらねば、などと考えていると、夕呼がきっと睨みつけてきた。

 「言っておくけど、別に深い意味があってつけた訳じゃないんだからね!」

 はいはい、ツンデレ乙。と心の中で唱えておく。口に出すと、また面倒くさいからな。

 「それで、ほかの第三計画の子供達を強制徴収したいんだがどうだろうか?」

 「どうだろうか、と言われてもね。基本的にオルタネイティブ計画は国連の拠出金から行われているから、その成果は全て国連配下のものだというのが建前だから、無理をすれば徴収は可能よ」

 「ふむ、それならその方向で頼む」

 「いいの?ソ連の教育を徹底的にたたき込まれた連中よ。はっきり言って、思想教育のし直し、その他諸々を考えると割に合うものじゃないわよ」

 「ふふふ、いいんだよ。なにせ今は、漫画のアシスタント、アニメの動画職が不足しているからな」

 悪い顔で微笑むおれを、あきれた目で夕呼が見つめる。

 「はっきり言って、あんたのほうがよっぽど非道だと思うんだけどね」

 「まあそういうなって、一応おれの遠大なる野望のためなんだから。それより、柊町の帝国軍基地を間借りするってのは本当か?」

 「ええ、そのほうが何かと都合が良いでしょ?なにせ、あんたのお膝元なんだから」

 「まあ、確かにそうなんだけどな。帝都近辺の基地を貸せといったところで、第四計画の詳細を知らない連中は拒絶するに決まっているし。それくらいなら、柊町くらい帝都から離れていたら問題ないだろうし」

 「そいうこと、期待しているわよ、立花隆也第四計画主任研究者殿」

 「へいへい、せいぜいがんばるとしますか。ところでまりもなんだが、臨時帝国軍柊町衛士育成科の教官を行わせるのはどうだ?3年の後半に半年間ほど特殊教練があるんだが、それで十分じゃないか?」

 おれの提案に夕呼が思案顔を浮かべる。周りの反応と、そのメリット、デメリットを考えているのだろう。計算高い女、と言われるが、単純にメリットどデメリットを比較する客観的視点が長けているだけなんだよな。

 「わかったわ、それで手を打ちましょう。手配をしておくわ」

 「おう、それくらいなら何とかおれも手の回しようがあるからな」

 というわけで、第四計画が始まるに伴う人員の調整が始まった。
 まあ、実際のところ量子電導脳は出来ているし、人員さえ整えばすぐにでも動ける状態なんだがな。
 なんだかんだで、本格的に動けるのは2年後ぐらいか。
 それだけの期間があれば、撃震参型と空中戦術機用空母雷雲も出来上がるだろう。
 ちなみに雷雲のスペックは、搭載戦術機一個中隊12機、ML機関駆動で搭載ML機関は3機。
 荷電粒子砲2門、その他は現在構想中だ。
 うん、ぶっちゃけ、決戦兵器。
 もちろん実戦初投入は、夕呼と話をして決めている。
 オリジナルハイヴ攻略作戦、桜花作戦である。

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