「これこそが、錬金術の力だ。さぁ十代、君の力を見せてくれ」
アムナエル:17000 十代:6000
(除外カード枚数:アムナエル17枚 十代:5枚)
くっ、なんという一ターン目だ。まさか、先攻一ターン目で魂吸収の効果により、11000ものライフを回復してくるとは。
「アニキ...............」
「十代、気張れ、気張るんだな」
「俺のターン、ドロー!
よし、さっそくだけど、お前の力、使わせてもらうぜ」
「なに?」
「俺は手札から、
魔法カード
平行世界融合を発動!」
「パ、パラレル・ワールド・フュージョン!?なんだ、そのカードは!?」
「このカードは、除外されているモンスターをデッキに戻すことで、エクストラデッキから、融合E・HERO一体を融合召喚するカードだ!」
なるほど。数で押し切られている現状から言えば、悪くない一手だ。問題は、どのモンスターを召喚するか、だが............
「俺は、ワイルドマンとエッジマンを融合。来い、E・HERO ワイルドジャギーマン!!」
よし、これは最高の一手だ。ワイルドジャギーマンは、相手の場の全てのモンスターに一度ずつ攻撃をする事ができるモンスター。数の差など無意味。
この状況にアムナエルは――――――――笑っている。
「クッ、ククッ、クハハハハハハハハッ、やはり、やはりだ、遊城十代。君には、錬金術の才能がある。それも、ほとんど無とも言えるところから奇跡を起こせるほどの、最高の力が!」
「どういう意味だ?訳わかんねーぞ」
「わからなくともいい。今は、な」
どことなく、その声音は嬉しそうだ。この状況を、喜んでいる?
「さぁ来い、十代」
「十代、駄目なんだな!このままじゃ............」
「わかってる、隼人。このまま攻撃すれば、魂吸収の効果でアムナエルのライフが1500回復するだけで、ダメージは与えられない。
それなら............」
カオスディスティルか魂吸収、あるいはその両方を破壊してしまえばいい。
できれば両方とも処理してしまいたいところだが、そこまで都合よく、そういう効果を持つカードはないだろう。
そして一枚だけ破壊できるなら、替えが効きそうにない魂吸収を破壊すべきだ。あのデッキには、他にも色々と除外の手段はあるに違いない。
「
平行世界融合を発動したターン、俺は特殊召喚できない。だが、俺にはまだ通常召喚が残っている。
俺は、手札からE・HERO エアーマンを召喚。そして、エアーマンの効果を発動。
このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、このカード以外の自分フィールド上のHEROの数まで、フィールド上の
魔法・
罠カードを破壊できる。
俺の場にいるエアーマン以外のE・HEROはワイルドジャギーマン一体。よって、一枚のカードを破壊できる。
俺は、魂吸収を破壊!!」
「ほぉ、やるな。カオスディスティルの効果で、魂吸収は除外される」
キーカードを破壊されても、全く動じた様子はない。
これ以上ライフが必要なわけではないのだろう。
「行け、ワイルドジャギーマン、三体の錬金獣に攻撃、インフィニティ・エッジ・スライサー!!」
「くっ......この三体も同じく、ゲームから除外される」
「よし、これで錬金獣は一掃だ!いっけー、アニキ!!」
「おう!俺はE・HERO エアーマンで、アムナエルにダイレクトアタック、!!!」
「ぐあっっ」
アムナエル:17000→15200
「減った気がしねーな。俺は、カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」
「私のターン、ドロー!
魔法カード カオス・グリードを発動。
自分のカードが四枚以上ゲームから除外されており、自分の墓地にカードが存在しない場合に発動する事ができる。デッキからカードを二枚ドローする。ドロー」
(除外カード枚数:アムナエル22枚 十代3枚)
「私は手札から、
紅蓮魔獣 ダ・イーザを召喚。
このモンスターの攻撃力と守備力は、除外されている自分のカードの数×400ポイントとなる。よってその攻撃力は、8800!!!!」
「は、8800!?!!」
「そんな!?」
くっ、ライフの超回復と超大型のモンスター、それを両立するだと!?
なんというタクティクスだ。
「遊戯十代、お前も所詮、ここで敗れるだけのデュエリストか。さらばだ。
紅蓮魔獣 ダ・イーザの攻撃、滅びよ、ワイルドジャギーマン。デストラクティブ・フレイム!!」
「まずい、ワイルドジャギーマンの攻撃力は2600!
この攻撃が通ったら十代は............」
「アニキ!!」
「
罠発動 くず鉄のかかし!
相手モンスターの攻撃を無効にして、さらに、このカードを再びセットする!」
ふうっ。危ない。
十代の奴、あんなカードをデッキに入れていたのか。
「こんなところで終わるほど、俺はやわじゃないぜ!」
「ふむ。どうやらそのようだな。私はこれで、ターンエンドだ」
「いくぞ、俺のターン、ドロー!
俺は手札から、
魔法カード 融合を発動!
フィールドの『風属性』エアーマンと『E・HERO』ワイルドジャギーマンを融合!出ろE・HERO Great
TORNADO!!
Great TORNADOが融合召喚に成功した時、相手フィールド上のモンスターの攻撃力を半分にする。タウン・バースト!!!」
「くっ、なるほど、そう来たか」
猛烈な向かい風が、ダ・イーザに吹き始めた。
うまいな。いくら攻撃力が高くとも、半分にすれば、その攻撃力はかなり低くなる。
ただ、Great TORNADOの効果が『元々の』攻撃力を半分にする効果であったなら、どんなによかったことか。それならば、元々の攻撃力が『?』のダ・イーザは攻撃力が0になったものの。
「これでダ・イーザは攻撃力4400。だが、Great TORNADOの攻撃力は2800。ダ・イーザは突破できない」
「ハッ、俺の融合はまだ止まらないぜ!」
「なに?」
「俺は手札から、
魔法カード
融合回収を発動!
墓地の融合と、融合素材モンスター一体を手札に加える。俺は墓地のエアーマンと融合を手札に加える。
そしてエアーマンを召喚して、今度は第一の効果を発動。デッキから、HERO一体を手札に加える。俺はデッキから、E・HERO スパークマンを手札へ。
融合を発動!場のエアーマンと、手札のスパークマンを融合。来い、
V・HERO アドレイション!!!」
「なっ、V!?V・HEROだと!?」
「へへ、意外と他のHEROもいるかもな。
V・HERO アドレイションは、『HERO』二体の融合モンスターだ。
V・HERO アドレイションの効果を発動。
このカード以外の自分の場のHERO一体の攻撃力分、相手の場のモンスター一体の攻撃力・守備力をダウンさせる!!」
「くっ、つまり、ダ・イーザの攻撃力は――――」
「2800ポイントダウンして、1600!!」
「俺は、
V・HERO アドレイションで、
紅蓮魔獣 ダ・イーザに攻撃、アンビション・サンクションズ!!」
「ぐっ、カオス・ディスティルにより、ダ・イーザは除外される」
(除外カード枚数:アムナエル23枚 十代3枚)
アムナエル:15200→14000(1600−2800)
「よし、E・HERO Great
TORNADO、追撃だ!スーパーセル!!」
「ぐぁぁぁぁぁぁぁっ」
アムナエル:14000→11200
「よっしゃー!俺はこれでターンエンドだ」
「いいぞー、アニキー!!」
攻撃力2800のモンスターが二体、場に残った。もし、この二体で二回ずつ攻撃できれば、それだけでアムナエルのライフは吹き飛ぶ。
十代にはくず鉄のかかしもあるから、アドレイションの効果を使うことで、相手が強力なモンスターを出してこようとも、弱体化させて撃破できる。
これは、十代がかなり有利だ。
『にゃーお』
「あれ?ファラオ?どうしてここに?」
はたと気づくと、足元に大徳寺先生の飼い猫、ファラオがいた。
翔はファラオを抱き上げる。
「今大事なところなんだ。一緒にアニキを応援しよう」
『ふにゃ、ふぎゃぎゃぎゃぎゃーっ!!』
「ぎゃあああああ!?」
「大丈夫か、翔!」
「ううっ、痛いよー!」
ファラオは翔の顔をひっかき、腕から飛び出した。そして、アムナエルに向かって駆けていく。
「ファラオ!」
「行くな、ファラオ!そいつは危険だ!!」
『にゃ〜ご』
だが
ファラオは体をアムナエルに摺り寄せた。アムナエルはファラオを抱きかかえると、背を撫で始める。
「ど、どうなってるの」
「ファラオが、知らない人になつくなんて」
「知らない人..................まさか、そんな!!」
「そう、その通りだ十代。私の正体は――――――」
アムナエルは、仮面をゆっくりとはずした。その下にあった顔に、俺たちは驚愕する。
「「「「大徳寺先生!」」」」
そんな、馬鹿な..................
「だ、だが、あのミイラは!」
「そのミイラも紛れもなく私自身だ。
私は、錬金術の力で死の世界から蘇ったのだよ」