「――――えー、以上で予選を終わりにしたいと思います。予選を突破した人数は8人。今大会は本当にレベルが高いです。引き続き、本戦の方にも期待していきたいと思います」
あーやっと予選が終わったか、俺は一番最初だったからずっとヒマだったんだよなー。途中から寝ちまったぜ。
「――――続いてー、本戦に入りたいと思います。本戦はトーナメント形式です。トーナメント表はこちらです!」
トーナメント表を表示した画面が控室と会場の中央に現れた。おっ、俺は4回戦目か。一番最後だな・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・んっ?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・んっ?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・んなっ・・・・・・・・・・・・・・なんであいつがここに、思わず2度見しちまったぜ。・・・・・・・・・・・・・・・どこだ?・・・どこにいる?・・・・・・・・
俺は周りを見渡す。が、見当たらない。
「それでは1回戦目を始めます。・・・・・・・試合開始ぃ!」
くそっ、どこだ?・・・・・・いるんだろ・・・・・・・
懲りずに俺はさらに探す。だが、やっぱり見当たらない。
「おおっと、ルリ選手いきなり服を脱ぎ始めた―!!」
どこだ?・・・・・しかし、なんであいつもここに?
「エイーチ選手、ルリ選手を凝視して動けないっ!!」
くっ!・・・・・・まぁ、2回戦目に出てくるはずだから待つか・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なっ、なんだあのルリってやつ、超絶美少女じゃん、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なのに・・・・・・・・・・・・・・・なんであんなに
・・・・・・・・・・・・・マッチョなんだぁぁぁぁああああああああああああああ!!!!!!
「は、入ったー!!ルリ選手の渾身の右ストレートが、エイーチ選手の鳩尾に入ったー!!エイーチ選手、動かない!!・・・・・・よって、準決勝に勝ち進んだのは、ルリ選手!!!」
なんなんだよ、この世界・・・・・・・・・・・・・・
「続いて、2回戦目。出場選手は前へ・・・・・・・では、」
あ、やっぱりあいつだ・・・・・・・・・・
「――――開始ぃ!!」
「ああぁ、めんどくさっ。早く終わんねぇかぁ」
ははっ、あいつだ。相変わらずめんどくさがりだな。
「わりぃな、一瞬で終わらす」
「ゴムゴムの・・・・・・
――――――――
銃!!!!」
「おおおおおおおおぉぉぉぉ!!!宣言通り一瞬で終わったぁぁぁぁああああ!!!!強い、強すぎる。ルイ選手ぅぅぅぅうううううう!!!!2回戦目勝ち上がったのは、ルイ選手!!」
当たり前だろーが。
「続いて、3回戦目。出場選手は前へ。では、・・・・開始ぃ!!!」
3回戦目はとばすね。結果は斧を持ったやつが勝ってた。
「では、4回戦目を始めます。・・・・・・開始ぃ!!!!」
花恋を抜き、構える。相手は確か、ワンタとかいうやつだ。
「あれぇー、キミは確か予選でトゲアに死にそうになりながら勝ってたやつだよね」
なんだコイツ?
「はははっ、なら僕の敵じゃ無いね。だって僕・・・・・・
――――前回の1位だもの。あいつより強いよ」
・・・・・・うざっ!!
「御託はいい、早くかかってこいよ」
「はははっ、あんまり調子乗ってると・・・・・・死ぬよ?」
「へっ、弱い犬ほどよく吠えるって言うぜ」
「は、は、は、は、は、は、は、は、はぁっ!!・・・・・・キミは殺す!」
んあっ?・・・・・・あいつ、姿が変わって・・・・・・真っ白な狼に変わった。
「僕は、悪魔の実 希少種
合成系の能力者だ。この世に
合成系は15個しか存在しない。僕はそのうちの1つ、『イヌイヌの実 モデル
氷霧狼』を食べたのさ。これでキミには万に1つの勝ち目がなくなった」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まぁ、犬だとはわかっていた。
「どうした?驚きすぎて声も出ないか!」
違う意味で声も出んわ。
「はははっ、
氷霧狼は
動物の狼と
自然の氷の合成さ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・キミっ・・・・・・キミも
合成系だったの?」
はぁ?いきなりなんだよ。
「キっ
合成系には、他の悪魔の実にはない、特殊な能力がある。そのうちの1つが
合成系同士の交信だ。僕ら
合成系は相手が同じ
合成系かどうかわかるんだ。そして、僕はキミが
合成系だと確信している」
俺が
合成系?『ヘビヘビの実
黒の狂乱龍』は
合成系なのか?
「ま、まぁいい、とりあえず死んどきな」
ワンタが獣型から、人獣型に変わり、突っ込んできた。
「くらえ・・・・・・
―――――
氷河狩り!!!!」
爪ごと前足を凍らせ、何度も何度も切り裂いてきた。花恋でそのすべてを
捌き、スキを見ては攻撃するが、全部避けられる。
「はははっ、当たらないなぁ。むかつくよ、キミ。でも、これで終わりだ。
――――――――
氷霧狼の怒り!!!!」
デ、デカァァァァアアアアアアアアアアアア!!!!!!なんかいきなりデカくなった!!?
「はははっ、死になよ。鉄塊拳法、狼牙の構え!!」
な、六式?
「キミじゃ勝てないと、言ってお・・・・・・狼牙!!」
「ぐっは・・・・・・・」
「
ご主人様がCP9を家に招いて僕に六式を徹底的に教え込ませたのさ」
六式は卑怯だろ。
「知らないのか、キミ。卑怯汚いは敗者の戯言ってことを。死ね、嵐脚
孤狼!!&
氷結槍!!」
目の前には、狼の形をした斬撃。周りには100近くの氷でできた槍。・・・・・・・・・・・絶体絶命だね、これ。ちっ、しゃーねー、使うか。
「一刀流奥義・・・・・・・・・・・・・
――――――――“
芹”!!!!!」
音より、速くっ!
音速を超え、俺はすべてを斬った。俺が動きを止めた後、斬撃の音が聞こえてくる。ふと、顔を上げると、氷の結晶がキラキラと舞い落ちてきた。
「シイグ選手、あの状況から生き残ったぁぁぁぁああああ!!舞い落ちる氷の結晶がとても美しいです!!!」
会場中から声援が聞こえる。だが、俺の心は焦っていた。
やべーよ、使っちまったよ。・・・・・・足が動かねぇ。
「くそぉぉおお!!・・・・・・削る
指銃 氷河ドリル!!」
ワンタが指に螺旋状の氷を纏い、俺を突き刺そうとしている。よかった、まだばれてねぇ。けど、ピーンチ!!
「一刀流
捩花!!」
上半身をひねり、渦巻く斬撃を飛ばす。斬撃がワンタの指が纏う氷を破壊。が、ワンタは止まらず、俺を突き刺す。
「――――
指銃!!」
「っっ!!・・・・・・・・・・ぅがっ!!」
後方へ思いっきり吹き飛ばされた。
「んん〜、あれ、どうした?キミ、もしかしてさ〜。さっきので体動かなくなったのかな〜」
くっ、そっ・・・・がはっ・・・・
「はははっ、じゃ、
――――――死ねよ。」
ワンタは手を上にかざし、叫ぶ。
「“
吹雪”!!」
会場の気温が一気に下がった。風が強くなり、雪が吹き荒れる。
「さ、さみぃ」
「はははっ、そのまま凍え死ね!!」
死んで、たまるかぁぁぁああああああ!コイツをぶっ倒して、ぜってーあいつと戦うんだ。
「な、なんか、いきなり元気になった」
「お前の間違いは、ただ1つ・・・・・・
――――俺を、バカにしたことだ」
ワンタを上に蹴り上げる。そのあとを追い、飛び上がる。
「ぼ、僕は死なん。いつか必ず、
ご主人様を殺すその日まで!!」
「勝手にやってろ、俺には関係ねぇ。」
花恋を強く引き、
「一刀流・・・・・・・・
――――――――“
戯刃獅守”」
ワンタをぶった斬る。
「勝った、またもや勝った。今回初登場のシイグ選手!!いったいどこまで進むのか!!私、目が離せません!!」
いや、ガン見されても困るんだけど・・・・・・
「は、・・・ははっ、ゲホっ、ガ、ガファっ・・・・・・キ、キミには・・・・グっ、言って、おきたいことがある。ガハっ・・・・・・ふー、いいか、
合成系には、1つの昔話がある。ゴハっ・・・・15の
合成系が集いし時、世界は終焉を迎える。これは、ハーハー、覚えておけ」
「・・・・・・気が向いたらな」
「ふざけ、ゲホっゲホ、ふざけるなぁっ、ガハっゴハっ」
俺はワンタに背を向け、控室に向けて歩き出した。