「な、なんでしょう、突如シイグ選手の纏う雰囲気が変わりました。自らをデネプラと名乗るシイグ選手、これはいったいどういうことでしょう」
司会や観客たちがざわざわとし始める。皆、デネプラの登場により不安になっているのだ。そしてここにも1人・・・・・・
「デ、デネプラ・ドラコだと・・・・・・なぜだ、なぜ
合成系の一角がシイグの中に・・・・・・しかも【憤怒】の称号を持つデネプラ・ドラコ・・・・・・」
シイグの父親ルーラ・クーレイは驚きを隠せなかった。そしてもう1人ワンタもまた、控室で1人驚きの声を出していた。
「うそだ・・・・・・まさかね、
狂乱龍だとは思わなかったよ・・・・・・龍と人の合成、【憤怒】の称号か・・・・・・僕の【嫉妬】より強いじゃないか・・・・・・はははっ、ズルいなぁ・・・・・・」
そして試合会場では・・・・・・
「ぐはっ・・・・・・デ、デネプラといったか?何者なんだおんしは・・・・・・」
「オレか?だからオレは
狂乱龍、称号は【憤怒】または、【
悪魔王】の方がわかりやすいか?」
「っ!?・・・・・・
悪魔王・・・・・・」
「オレら
合成系は個々に自我を持つ悪魔の実だ。そして悪魔の実の頂点に立つ種類でもある。『15の
合成系が集いし時、世界は終焉を迎える』・・・・・・子供の時、誰もが聞く御伽噺だ。お前も聞いたことあるだろ?」
「まさか、そんな御伽噺が事実だとでもいうのかっ!?」
「ああ、事実だ。少なくともオレはこの世界を終わらせっ・・・・・・くそっもう時間か、予想より早いか・・・・・・悪いなおっさん、もう起きるみたいだ」
デネプラの言葉とともに、シイグを纏う負の雰囲気が消えた。シイグの顔からは混乱の感情が読み取れる。
(なんだ?さっきまでの記憶が少しとんでる・・・・・・はっそうだ、まだ試合の途中・・・・・・)
シイグは周りを見渡し、ダシンを見つけ驚愕する。
なっ・・・・・・ダシンが
斬られてる「ダ、ダシン、それは誰にやられた?」
「・・・・・・おんしだ」
「嘘をつくなっ!」
「嘘ではない。だが、わしを斬った時のおんしはデネプラ・ドラコと名乗っていたがな」
っ!?・・・・・・俺の食った悪魔の実が・・・・・・
ダシンは放心状態のシイグに言った。
「・・・・・・わしはこの程度の傷でやられるほどヤワじゃないわい。仕切り直しといこうぞ」
はっ、そうだまだ終わってない。この問題は一旦置いとくか。
「悪いな、すぐに終わらす」
「わっはっはっは、なめるなと言うておるだろうが」
ダシンは斧を腰にため、横薙ぎする。
「斬・夜叉薙ぎ!!」
「ほいっと・・・・・・」
シイグはそれをジャンプで避ける。その顔には少し驚きの感情が含まれてる。
なんだ?ダシンの動きがやけに遅い。それに身体が軽すぎる。これもさっきのが関係してるのか?
「なにをしている。戦いの最中に考え事か、余裕だなぁぁぁぁああああ!!」
や、やべぇ、怒らせちまった。
「打・大強撃!!!」
ダシンは斧を振り上げ、空中にいる俺を地面に叩き付ける。
「げはっ・・・・・・」
地面には小さなクレーターができていた。
「わっはっはっは、調子に乗り過ぎじゃい」
「それは、・・・・・・」
すぐに立ち上がり、ダシンの斧に飛び乗り、そこからダシンの頭上までジャンプする。
「――――――お前だ。一刀流
月下香!!!」
身体を横に2回転させ、その勢いのまま花恋を下に振る。
「ぐっ・・・・・・」
心地よい斬撃音の後、地面に着地しダシンを指さし言う。
「み、見ろよ、おい。き、斬れたぜ」
「わっはっはっは、本当じゃな。本当に強くなりおった」
マ、マジか、斬れた・・・・・・
シイグが一番驚いていた。
「だが、この程度じゃまだわしは倒せんぞ。本気で来い。わしも本気を出す」
まだ本気じゃなかったの!?
「ふんっ!・・・・・・」
ダシンを纏う闘気が一段と濃くなった。
「死ねぇえぇええええっ!!斬・車輪撃っ!!!」
ダシンはその闘気を斧に纏わせ、斧を地面に平行に持ち、自身を軸に回転しながら俺に襲い掛かってくる。
「へへへっ、どうやらあんたの闘気に当てられたようだ。俺も戦いが楽しくなってきた」
シイグは花恋の刃先を上に向け、胸の前で持つ。そして、ニヤリと笑う。
「森羅万象、全てを貫く業火の棘・・・・・・一刀流・・・・・・」
花恋の刃先を標的に向け、顔の横に構える。腰を落とし、花恋を突き出し、一気に駆ける。刃先から炎が現れ、花恋を燃やす。
「――――――『
常盤山査子』!!!!」
ダシンを貫く。
「悪いな、父様のためにも負けられねぇんだ」
ダシンに背を向け、会場を後にする。
次は、多分ルイとだな。