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ONE PIECE ONLINE 第12話 「合成系(キメラ)とは」
作者:波良田瑛太   2013/03/29(金) 13:37公開   ID:ic3DEXrcaRw


「準決勝第2回戦を制したのは・・・・・・ルゥゥゥウウウウイイイイィイィィイイイっ!!!」


観客から地面を揺るがすような声援が起こる。


俺は控室でソファに座り、聞こえてくる声援に耳を預けていた。


なんだよ、俺声援なんてもらえなかったぞ。・・・・・・まぁ、あいつの戦いは見てて面白いからなぁ。ゴム人間って珍しいよな。


「・・・・・・では、これより決勝戦に向けて半時の休憩時間とさせていただきます」


休憩時間か、そんなものあったんだ。俺にとってはラッキーか。俺には早急に解決しなければならない問題がある。


『俺の能力』について・・・・・・


さっきの戦いで、俺の記憶がない時間、『デネプラ・ドラコ』を名乗る何者かが、俺を操っていたとダシンは言っていた。狂乱龍デネプラ・ドラコは、俺の食った悪魔の実だ。つまり、悪魔の実には自我があるということか?そして、どうにかして俺の意識を追い出し俺の身体を操った。でも、何故?どうやって?


俺が思考の渦に飲まれようという時に、誰かが俺の名前を呼んだ。


「やぁ、シイグ君。あの時ぶりだね」
「お前は、ワンタ!・・・・・・何しに来た?」


突如現れたワンタに対し、俺は警戒心を丸出しにし花恋に手をかける。だが、ワンタは片膝をつき、頭を下げ言った。


「お久しぶりです。我らが主、悪魔王サタン様」


はっ?


「ちょちょちょ、ちょっと待て。なんだよいきなり」


まったくもって意味が分からん。なんだよ誰だよ。さたんて。つーか、ワンタの声変わってない?


しかし、ワンタは俺の質問にはまったく答えない。


悪魔王サタン様より貰い受けし、【嫉妬】の称号、レヴィアタンがただいま、戻って参りました」


その、ワンタとは少し違った声に反応してか、俺の身体の奥底から何かが聞こえる。


えっえっ、えっ?なにこれ?


〈ぉぃ、ぉい、おいっ!聞こえるか?〉
〈き、聞こえるけど、お前は誰だ?〉


そろそろ良いでしょ、俺に何が起こっているのか教えてくれ。


〈質問は後で受ける。今は、さっきの試合はオレのおかげで勝てたようなもんだ。つまりオマエはオレの恩がある、変わってくれればチャラでいいぞ〉
〈あ、ああ、わ、


その瞬間、俺の意識が飛んだ。








ふぅ、やっとか、めんどくせぇ身体に食われたもんだ。


だが、今はそれより・・・・・・


「久しぶりだな、レヴィ」


俺が再開のあいさつをすると、レヴィは顔を上げた。


「ええ、ほんとですよ」


その顔には、涙が流れていた。


「やっと、やっと仲間に会えたっ・・・・・・」


そして・・・・・・俺の顔にも涙が流れていた。









しばらく、静かに泣き続けた後、オレらはこれからのことを語り始めた。


「レヴィ、オレは目覚めたばかりなんで今の時代のことがさっぱりわからん。教えてくれ」
「はっ。ですが、私の身体ワンタも奴隷という身分なので、世情は詳しく分かりませぬ」


ちっ、使えねぇな。


「主、そういうことは声を出さずに仰ってください」
「ああ、悪い悪い、声に出てたか」


だが、レヴィを罵ったところで現状は変わらん。オレの身体シイグに聞こうにも、まだ慣れてないからなぁ。


さて、時間もない。仲間全員集めるには海を渡らなければならない。幸い、オレの仲間は強いから、全員”偉大なる航路グランドライン”にいると思う。だが、海にはなぜか強敵がいる。せめてどんな力か、あらかじめ知っていれば対処のしようがある。


やはり、情報が欲しいな。


ちっ、あんまりこの身体を酷使したくなかったが、そうも言ってられないか・・・・・・


「レヴィ、オレの身体シイグに聞くことにする。質問ばっかしてくると思うが、逐一答えてやれ。オレの身体だ、世話のなるからな」
「あの、失礼ですが、それはご自分でやられた方が・・・・・・」
「やれ」
「はっ、変わりませんね、主は。わかりましたよ」


そういうオマエも、お堅いところは変わらねぇけどな。


「それじゃ、まかせた」


オレはオレの身体シイグの意識を戻す。








「うぅ、んっ・・・・・・はっ!」


目を開ける。視界は靄がかかっている。


「っ!?」


頭痛がしてきた。痛っ、つーか今、どんな状況?


「大丈夫ですか?」


視界が鮮明になってきた。目の前を見ると、ワンタが俺の顔を覗き込み、訪ねてきている。


か、顔が近い。吐き気がしてきた。俺は手で押し返しながら言う。


「だ、大丈ぶぅえっ、大丈夫だ。離れろ」
「わかりました」


俺の今の状態は、ソファの上で寝ていた。頭痛はするしで、全く理解できない。


目の前のやつに聞くか。


「まず、お前は誰だ?」


ワンタは片膝ついたまま、言った。


「我が名は、レヴィアタン。主より【嫉妬】を貰い受けた者です。世間では、氷霧狼アセナと呼ばれています」


氷霧狼アセナって、ワンタの食った悪魔の実だよな?・・・・・・


「あ、主って、誰?」
「あなた様が、狂乱龍デネプラ・ドラコと呼んでいる方です」


まじかよ・・・・・・


「えーと、悪魔の実って、本当に自我を持ってるんだ・・・・・・」
「いえ、その考えは不正確です。自我を持っているのは我ら合成系キメラと呼ばれる者だけです」


レヴィアタンさんは淡々と答えてくれる。いい人?じゃないな、いい悪魔の実?これもちょっと違う、いい悪魔でいいか。いい悪魔だな、レヴィアタンさん。・・・・・・レヴィアタンっていうのも長いな。レヴィさんでいいか。


「自我を持つって言うのはどういうことなんですか?」
「自我を持つというのは、あなた様「シイグでいいですよ」・・・・・・シイグ様の身体にもう1つの意識がある、ということです」


俺の中にもう1つ・・・・・・


「シイグ様が心の中で主に語りかければ、答えてくれると思いますけど?」


まじで、そんなことが可能なのか!ちょっとやってみようかな?


・・・・・・き、緊張してきた、どんな奴だろう?礼儀正しいといいな。


・・・・・・って、さっき話したけどあんま良い奴じゃなかったじゃん。


「レヴィさん、やっぱ遠慮しとくよ。」
「そうですか・・・・・・でも、話しかけてくると思いますよ」


〈なぁ、オレもシイグって呼んでいいか?〉


話しかけてきたー・・・・・・


〈別にいいですよ。俺はなんて呼べばいいですか?〉
〈サタンでいいぞ〉


「それで、レヴィさん。合成系キメラって、いったい何なんですか?」


ずっと気になっていたことだ。合成系キメラの真実。


「・・・・・・・・・・・・合成系キメラとは、遥か昔、世界政府によって封印された人間たちです」


・・・・・・マジ?

             


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■作者からのメッセージ
はい、どーも、波良田瑛多です。

まず、すいません。前回のあとがきに書いたとおりになりませんでした。

次回こそ、シイグVSルイ だと思います。

よろしくお願いします。それでは。
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