今回の話は多分に気分を害する可能性がある描写が入っています。
一言で言うと、これはひどい、です。
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「勢いで書いた、今は反省している。」
作者はなどと意味不明な供述をしており、復帰までにはまだしばらくかかる模様です。
1995 晩夏 シベリア最前線
「これは!おいおい、ソ連さんよ、本気かよ」
「どうも本気みたいね。おまけに、第三計画の成果を奪われたと逆恨みをした一部の者が同調。後始末は、前線で起こったテロと偶然起きたBETAの襲来が重なった、というシナリオにそって進められる予定ね」
先進撃震参型の管制ユニット内で頭を抱えながら立花隆也はもたらされた報告の内容を整理していた。
ソ連の一部高官がキリスト教恭順派に同調する振りをして彼らと手を組み、現実に存在する最もBETAを実戦で殺してきた衛士である神宮司まりもを亡き者にする。
その混乱に乗じて、先進撃震参型およびその他の日本帝国製の最新機器を入手。もちろん基地内にいる日本帝国関係者は皆殺しというシナリオだ。
最悪なのは、その決行が今日これから行われると言うことだ。
準備が出来ていないこの状況でどれだけの手が打てるというのか。隆也の背筋を一筋の汗が伝う。
現状動かせる手元の戦力は、自分自身とまりも、そしてあの軍団だけ。
しかしあの軍団はあまりに危険すぎる。だが、自身の命はともかく日本帝国関係者全員を守るためにはどうしても手が足りない。
やつらに掛けた枷を外さねばならないのか。しかし一度実戦の味をしってしまったあの連中は、果たして自分たちを制御できるようになるのか?
脳内シミュレーターの結果では無理、と出ている。やつらはその性質上恐ろしいまでの実力を誇るが、一度でも実戦の味を知ってしまうと戦場を求める修羅と化してしまう。
自分が暇つぶしに作り上げた軍団とは言え、あれが世に出るようなことになればどれほどの悲劇が待っているか。
隆也ほどの胆力を持ってしても、こみ上げる震えは押さえきれなかった。
「どうするの、隆也?国連経由で報告を入れてみる?」
「いや、どのみち実行開始まで時間がない。これから先、この件に関わった連中には天誅を下すことには変わりないが、それよりも今ここにいる日本帝国兵の命が問題だ」
「そう、まあその辺は任せるわ。アタシとしては、あんたとまりもが無事に帰ってくれば計画に影響は無いんだから」
通信機の向こう越しで、物騒なことを告げるのは言うまでもなく香月夕呼だ。彼女としては、むしろ第十三大隊が壊滅して、2人が第四計画の専属になってくれた方が都合が良いとさえ考えている。
もっとも、大声でそんなことを言えば、まりもと隆也から白い目で見られるので言わないが。
「ちっ、しょうがない。今は四の五の言ってられんか。やつらを使うしかない」
「奴らって?」
「前線で万が一こういった事態が起きたときのために編成した軍団だ。対人戦では、おそらく世界最恐だ」
「気のせいかしら、最強がへんなニュアンスに聞こえたけど?」
「気のせいじゃない。やつらは、作り出したおれでさえ恐れる連中だ」
「あら、面白そうじゃない。そんな連中がいるんなら、ぜひうちの計画に・・・」
「ゆうこりん!」
「な、なによ、怖い声を出して」
「言っておくが、奴らは簡単に制御が効くようなそんな単純なものじゃない。そして、今回で初めての実戦を経験することで、もっとおぞましいなにかに変わる」
「いいじゃない、それならなおさら手元に欲しいわ」
「いいのか、今から資料を送ってやるから、それを見てよーく考えるんだな」
言ってから隆也はMOSに指示し例の軍団の資料を柊町にある量子電導脳に送らせる。量子暗号化通信を使用しているため、盗聴の心配はまずない。
「ふーん、これね。なになに・・・って、ねえ、隆也、あんた正気?」
「ああ、最初は乗りで作ってみた、今では反省している」
「これを実戦投入?」
「日本帝国兵に損傷を出さずに状況を押さえるのには、それしか手はない」
「ときどきアタシ、あんたが突き抜けたバカなのか、天才なのか分からなくなるわ」
「ほっとけ。それよりだ、そんな部隊手元に置きたいか?」
「・・・置きたくないわね。これなら通常の警備部隊を配置する方がましだわ」
「だろ?そろそろ時間もなくなってきたな。よし、おれも腹を決めた。こいつらを投入する。それじゃ、これより作戦行動に移る。幸運を祈っておいてくれ」
「わかったわ、せいぜいがんばんなさい」
通信が切れると、隆也は大きく深呼吸した。現在の状況を整理、シミュレートする。確かに、確かにあの軍団を投入すれば日本帝国兵には損害はないだろう。そう、物理的な損害は。
「背に腹は代えられない、か。MOS大隊特殊部隊用秘匿回線を開け」
「承知しました」
「特殊部隊各員に次ぐ、大規模テロの可能性有り、これより性戦を開始する。繰り返す、特殊部隊各員に次ぐ、大規模テロの可能性有り、これより性戦を開始する。いっておくがこれは訓練ではない。作戦概要は各自の端末に転送した。諸君らの奮戦を期待する」
やってしまった。そう呟くと隆也は管制ユニットのシートに身体を投げ出した。
「しらねえぞ、おれは、悪いのはこんなことを企むソ連のバカ野郎どもだ。おれに罪はない」
現実逃避する隆也であるが、大本の特殊部隊を作り上げたのは自分自身である。つまり最終責任者は本人なのだが、彼は現実から思い切り目を背けていた。
高級士官用の食事部屋で行われたその会食には、ソ連の高官1名と前線指揮官1名と戦術機大隊隊長3名、そして日本帝国の小塚次郎中佐と補佐官兼大隊CP小塚(旧姓竹中)冷子となぜか神宮司まりも大尉が参加していた。
「いやいや、極東最強の戦術機大隊である日本帝国の第十三大隊の指揮官とこうして食事ができるとは実に光栄ですな」
高官は基地指令だろうか。階級は少将。はげ上がった頭と顔に刻み込まれたしわは歴戦の戦士といよりも、策士を思わせる。
対照的なのが前線指揮官だ。彼は鍛え上げられた身体と油断のない身のこなしで、まさに常在戦場の心構えを体現させている。
残りの大隊長3名だが、こちらは最前線の衛士らしからぬ油断しきった様相をていしている。いや、油断と言うよりは、日本帝国をバカにしているとも取れる態度だ。
「いえ、こちらこそ、ユーラシア大陸の東の戦線を支える勇猛なるソビエト連邦の勇士達と語り合える機会をいただき、感激に耐えません」
普段の彼を知るものがいたら、すげー猫かぶりだ、と驚かんばかりの小塚次郎中佐の対応ぶりだ。伊達にここ数年間、最前線で各国のお偉方との会食を経験してはいない。
「そして、こちらが、極東最強の衛士、神宮司まりも大尉ですな。いやー、まだお若く美しいのに、その名声はこの最前線まで届いてきていますよ」
「はっ、身に余るお言葉、ありがとうございます」
言葉を掛けられたまりもが敬礼で答える。自分を見るその視線がなにやら獲物を狙う前に舌なめずりしているような感じを受けて、まりもは無意識に警戒レベルを上げていた。
そのときである。例の通信が耳に聞こえてきたのは。
『特殊部隊各員に次ぐ、大規模テロの可能性有り、これより性戦を開始する。繰り返す、特殊部隊各員に次ぐ、大規模テロの可能性有り、これより性戦を開始する。いっておくがこれは訓練ではない。作戦概要は各自の端末に転送した。諸君らの奮戦を期待する』
「!?」
驚愕のあまり先ほどまでのソ連高官に対する警戒が吹き飛んだ。特殊部隊員への出動要請!?いや、それ自体は問題ではない。問題なのは自部隊である第十三戦術機甲大隊の特殊部隊に出動が要請された事である。
自分で言うのも何だが、特殊部隊はまさに特殊だ。特殊というか、異常というか。そもそも正規部隊として登録されていないのだ。それ自体がおかしい。そんな特殊部隊が動く事態とは。
「申し分けありません、化粧直しに離席させていただけますか」
恥ずかしさよりも焦燥感が勝ったまりもは、さっさと部屋を飛び出し化粧室に飛び込むと手元に携帯端末を取り出すとチェックを開始する。
そしてその内容に一瞬驚愕を浮かべるが、自分に対しての指令をみてほっと一安心。
例の特殊部隊との共闘の必要は無し。小塚中佐と、小塚(旧姓竹中)大尉の身の安全の確保だ。
そこで気が抜けたのがまずかった。と、後にまりもは反省するが、それは夕呼の馬鹿笑いにかき消されるのであった。
日本帝国軍の宿舎に、密かに忍び寄る影。
昼の搬入作業で疲れた日本帝国の衛士たちは早々に食事とシャワーを終えて休憩に入っている。
つまり、油断しきっているということだ。
そこをつく。
キリスト教恭順派の特殊な戦闘訓練を受けたテロリスト達は、指示に従って作戦行動を開始していた。
見張りに立っていた憐れなソ連軍兵士は物言わぬ亡骸になっている。
もともと最前線の歩哨など、気が抜けて当然なのだ。なにせ相手はBETAだ。
敵対する人間が入ってくるなど想定はしていない。そう信じ切っていたところに持ってきて、訓練されたテロリストの奇襲だ。誰1人として生きてはいなかった。
問題はその歩哨を統括する本部であるが、こちらは今回の作戦を企てたソ連の高官の息が掛かっている人員だ。例え監視カメラに不審な影が現れたとしても、一瞬後には姿を消していることを確認して、問題なしと報告をあげる。
今や日本帝国軍の宿舎は風前の灯火であった。
そう、彼らがいなければ。
行動を起こそうとした恭順派の1人、彼は高度な軍事訓練を受けており、この作戦の要の1人として数え上げられるほどの凄腕だった。
そんな彼が背後に不審な気配を感じたと思った瞬間、口元を手で押さえつけられ、腕をねじり上げられたまま組み敷かれた。万力のごとき力で苦痛の声を挙げる事すら出来ない。
何よりも彼が混乱したのは耳元に吹きかけられる粗い息づかいだ。
「良いケツだ。鍛え上げられた肉体、引き締まった筋肉。良いしまり具合だろうな」
日本語だろう。意味が分からないが、しかし確実に彼を恐怖に陥れる様な気持ちの悪さがあった。それ以上に、自分の股間に押しつけられる硬い感触に恐怖した。
「1分間に100回の腰振り、そこからもたらされる至上の快楽。今その身に刻み込んでやるよ」
その夜、ナイスGAY部隊副隊長、腰振りの源治に捕まった彼は、作戦から脱落した。そして、その後悔い改めて人類愛のすばらしさを説いて世界を回ったという。
一方その頃、別の恭順派の部隊を率いていた彼女は恍惚とした表情で空を見上げていた。
たかがキス、されどキス。
彼女もまた高度な軍事訓練を受けた者だった。そんな彼女が気配さえ感じることが出来ずに後背を取られていた。耳元をくすぐる荒い息づかいに、振り返ろうとしたところを組み伏せられて一瞬にして口腔を蹂躙された瞬間、勝負は決まっていた。
「ふふ、可愛い子猫ちゃん、大丈夫よ。男なんかより、女の同士の方が気持ちいいことを教えてあげるから」
その夜、マジカル百合りん部隊副隊長、舌遣いの魔女優菜に捕まった彼女は、作戦から脱落した。そして、その後アングラの百合百合H−MANGAにどっぷり填っていったという。
ナイスGAY部隊隊長の阿部さんとマジカル百合りん部隊隊長の百合子さんは、小高い丘からその光景を見ていた。
いずれも整備員で構成された特殊部隊。一見正規兵と比べると見劣りすると思われがちだが、その実力は百人力を地でいく猛者の集まりだ。
「作戦は順調に推移中だぜ。いずれもノンケだが、手だれた俺たちの敵じゃない。陥落させるのに一分もあれば十分だ」
「ふふふ、男は単純で良いわね。女の子は繊細なので二分はかかってしまうわね。でもその分落ちると深いわよ」
恐ろしい会話を交わす彼らこそ、隆也が投入を躊躇った軍団の特殊部隊の隊長達だった。
彼らの眼下で行われているのは一方的な蹂躙だった。ハンガーに向かった連中は、すでにいろんな意味で昇天させている。
「これで女の子の補充要請が受け入れられると嬉しいのだけどね」
「それは難しいだろうぜ。なにせ極秘作戦だ。団長も公にはしないだろうしな。なによりも、俺たちのようなアングラな人間はあまり表に出るべきではないのさ」
「そうね。ひっそりと咲く百合の花もいいものね」
「そう言うことだ」
憐れな犠牲者たちの処遇についてはすでに決まっている。後は、こちらの犠牲を如何に少なくすることに腐心するのみだった。
「うん、想像していた通りひどい」
隆也は小型観測機を基地内の各地に飛ばしてその惨状を目の当たりにしていた。
解き放たれた野獣は、憐れな羊たちを瞬く間に蹂躙していく。
問題は、獲物の肉の味を覚えた野獣たちを果たして押さえ続けることができるか、ということだ。
いちどノンケを堕とす快感に目覚めた野獣たちを果たして押さえるこが可能か?可能だろうが、それはよほどのストレスをもたらすに違いない。
しょうがない、あんまり需要が無いんだが、そっち方面のMANGAとかANIMEを充実させるか。
それでも被害がでないように規律を正す必要があるだろうが。
もっと早く気づいていれば他に手の打ちようがあっただろう。例えば、マブレンジャーの海外派遣を実施するとか、色々と。少なくともこんな惨状が広がることは無かっただろう。
などと後悔する隆也であった。