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ONE PIECE ONLINE 第5話 「その後の日本とシイグの再生」
作者:波良田瑛太   2013/01/27(日) 15:18公開   ID:ic3DEXrcaRw


シイグ達特殊プレイヤーが消え、
日本は、混乱の嵐に包まれた。

理由は二つ。

一つ目。
まあ、当然《OPO》プレイヤーが、突然消えたため。
ゲームのキャラだけでなく、プレイヤー生身の身体も消えてしまった。
プレイヤーの家族は驚愕し、警察に電話をする。
警察が必死に捜索するが、見つからず。
しかも、おかしなことに
3日。
たったの3日で、捜索を打ち切り。
それ以降は、もう何もしてくれなくなった。
怒った家族はメディアにこのことを話し、捜査してくれるように頼むが、
尻尾すら出さなかった。
しかたなしに、《OPO》制作会社『俺、天丼。』に問い合わせの電話をするが、
一つもつながらず。
『俺、天丼。』のビルは、跡形もない。
そこに存在していたということすら、疑問に思う程、痕跡がなかった。
さらに、残されたプレイヤー達は強制ログアウトの後、再度ログインできないよう、
サーバーにロックがかけられた。
このロックに、面白半分で挑戦したハッカーがいたのだが、
今はガチで挑戦しているが、相手にもされない。

二つ目。
日本上空に、黒い穴が開いた。
この黒い穴は、《OPO》内特殊アイテム発動と、ほぼ同時刻に現れた。
現れた直後は、まだ小さく、誰も気づかなかった。
米粒を通すか通さないかくらいのホントに小さいもの、
だが、一時間経つ頃には、東京を覆うくらいの大きさになり
二時間が経つ頃は、既に関東全土を覆っていた。
さすがにこんな大きな事件は、世界に素早く情報が伝わった。
そして、世界中から調査の戦闘機や船が日本へやってきた。
日本も日本で、調査すべきと判断し、自衛隊を穴へと向かわせた。
しかし、あと少しで穴にたどり着くというところで、穴が、震えた。
キーン、という不協和音を響かせながら、急速に大きくなる穴。
戦闘機たちは、慌ててミサイルを放つが、穴の一歩手前で掻き消される。
なすすべなく立ち尽くす調査団たちに、穴は立ち尽くすことすら許さなかった。
穴から、黒い触手が現れる。
その触手によって、次々につかまる戦闘機たち。
捕まった戦闘機たちは、すべて穴に飲み込まれた。
緊急事態なので、情報はすぐ世界に伝わる。
そのため、今回のこともすぐに伝わった。
世界は驚愕し、全武力を持って、穴を排除しようとする。
無駄だと、心のどこかで分かっていながら。
無意味だと、感じていながら。
無力だと、思い知らされていながら。
行動しないわけにはいかなかった。
せめて、何かを残すために。

穴は、無慈悲だった。
その全武力でさえ、一口に飲み込んだ。
嘲笑うように。
冷笑うように。
嗤うように。

まだ、穴は大きくなる。
どんどん。
どんどん。

ついに、穴は日本を覆いこんでしまった。




そして




誰かが、ふいに、こう呟いた。
それが、日本を終わりを告げる鐘の音だとは、知らずに。


「な、なぁ・・・あ、あの穴。なんかさ、なんかさ、・・・・・・近づいてきてねぇ・・・?」


それは、ごく、ごく、小さな声だった。
声になっていたかすらわからない。
しかし、周りにいたものにはしっかりと聞こえてしまった。
聞いてしまったからには、確認せざるを得ない。
そして、空を見上げる。
黒い穴は、確かに近づいていた。
それを見たものは、全員こう考えた。


(このままでは、あの穴によって、日本も消されてしまうのではないのか?)


・・・と。
そこからは、最悪だった。
日本は地獄と化した。
座り込み、泣き、喚く者。
壊れたように、嗤い続ける者。
ここぞとばかりに、犯罪を犯す者。
自分の身すら危ないのに、他人を助けようとする者。
海外に逃げ出す者。
それぞれの本性と言えるものが、全面にではじめた。
しかし、海外行の飛行機が着陸することはなかった。
穴がそれを許さなかったのだ。
黒い触手を伸ばし、飛行機を乱暴に掴み取り、自らの穴に引きずり込んだ。
その光景は、地上にいたものの恐怖を更に煽った。
阿鼻叫喚の嵐を生んだ。


そんな、混沌とした日本で、この状況を気にした様子でない青年がいた。


「ふふふ。今日がその日だったか」


青年は、ポケットに手を突っ込み、口にはタバコをくわえている。
ふー、と煙を吐き出し、周りを見渡しながら言った。


「おうおう、酷ェ状況だな」


酷い、と言いながらも、他人を助けるそぶりを見せない。
かといって、自分で手いっぱいというわけでもなさそうだ。
ただ、穏やかな笑顔を浮かべている。


「ふふ。あー、楽しみだ。アイツを倒す、倒して倒して、殺す。それが出来るんだってんだからよゥ」


恐ろしい言葉を並べてはいるが、その穏やかな笑顔は変わらない。
逆に、その笑顔が恐ろしい。


「早く、早く行きたい。早くしろよゥ! “黒扉”ァ!!」


突然、青年が穴に向かって叫び始めた。
黒い穴は、動きを止める。
日本の地上まで、あと、2メートルといったところだ。
もう、泣き叫んでいるものはいない。
皆が、絶望に飲み込まれた顔をしている。
青年が、“黒扉”と呼ばれた、黒い穴に向かって、手を伸ばす。


「やっとだ。感謝するよ。“異形の神”とやら。アンタのおかげで、好き放題できる世界をオレが手に入れられるんだからな」


青年は言う。
嬉しそうに。
その後、黒い穴は赤く光りはじめた。
それは、特殊プレイヤーが消える前に持っていた、あのカードと同じように。
光はどんどんと強くなっていく。
やがて、視界全てを真っ赤に染めた。
・・・が、青年は変わらず手を伸ばし続ける。
愛おしそうに。
うっとりとした顔で。
そして呟く。


「今行くよ。シイグ。なんたって、オレが主人公だからな」






日本は、黒い穴に飲み込まれ
世界から、消えた。



―――――――



俺――シイグは今、暗闇の中にいる。
しかし、永遠に広がる闇のなかに
なぜか、Rordingの文字が浮かんでいる。
この文字は、ゲームの中でよく見る。
なら、ここはゲームの中なのか?
俺が思考の波に乗ろうとした時、一瞬で画面が変わった。


目の前には、変なおっさんと、綺麗なお姉さん。
そして、・・・・・・抱きかかえられてるっぽい、俺。


「オギャァ、オギャァ、オギャァァァァァァァ、オギャァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!(何これーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!)」


現在、俺はお姉さんの腕の中。
なんか、動けない。
まさかとは思う、認めたくはない。
だが、たぶん、違うといいんだけど。
俺は赤ちゃんになっている。
動けないので、周りをよく観察し、聞き耳を立てまくる。
・・・・・・ふむ、ここって、完璧に俺のいた世界じゃないわ。
で、ゲームの世界かって言ったら、それも違う。
なんか、あまりにリアルすぎる。
お姉さん――母親の体温とかすげぇ感じるもん。
でも、ならさっきのRordingは?
・・・・・・兎にも角にも、今のままじゃ何もできん。
出来ることから始めよう。
まずは
ウインドウや、スキルからだな。




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どーも、波良田瑛太です。
感想、お待ちしています。
それでは。
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