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伸奈ちゃんとカノ。 第三話 風邪をひいたカノ 看病する伸奈
作者:彩香   2013/08/01(木) 23:23公開   ID:zkX0tmjFfTk
第三話
風邪をひいたカノ
看病をする伸奈

カノside
ボクは、朝、起きた。
といっても、10時すぎだ。
完全な昼前だ。
ベッドから足を床につける。
頭に頭痛が走る。
それだけではなく、体の中に鉛を入れられたように重い。
これは、完全な熱だ。
でも、心配かけちゃいけない。
ボクは欺く。
いつも通りの笑顔。
よし。大丈夫だよ。
何とかなる。大丈夫…
「よし!今日も元気に行こう。」
笑って誤魔化す。
ボクは、部屋のドアを勢い良く開けた。
リビングに行くと伸奈ちゃんが居た。
伸奈ちゃんがボクを見る。
他のみんなは用事やら仕事やら任務で居ない。
いるのは、伸奈ちゃんとボクだけだ…
ボクは、笑顔で言った。
「伸奈ちゃん!元気?」
彼女はうなづいた。
同時に、ボクを見る。
「カノは?」
ボクは、笑って言った。
「元気だよー」
すると、伸奈ちゃんの顔は険しくなった。
「ウソつき…」
えっ?
伸奈ちゃんは、雑誌の山の一番上の雑誌を掴み、ボクに投げつけた。
ボクは、白羽どりのように雑誌を取る。
「な、に、すんの?」
伸奈ちゃんは不機嫌そうに立ち上がると、ボクの額に手を置いた。
「熱い…熱があるでしょ?」
あぁ、バレチャッタ…
バシンッ…
伸奈ちゃんはボクの頬を平手で叩いた。
「バカ、秘密にしたら余計な心配をかけてるでしょ?最初から素直になりなさい。」
何か…ボク、怒られてる。
伸奈ちゃんは、珍しく微笑む。
優しく、優しく、微笑む。
「ほら、自分の部屋に戻りなさい。」
伸奈ちゃんの手がボクの手を掴み、ボクを移動させようとする。
「うん…自分で出来るよぉー」
「バーカ、置いてける訳ないでしょ?」
伸奈ちゃんはボクを部屋まで運び、ベッドに寝かした。
「今、薬と水、持ってくるから待ってて…」
ギュッ……
「どーした?」
ボクは、気が付いたら、伸奈ちゃんの腕を掴んだ。
「いか…ないで…。」
スゴく怖かった。
伸奈ちゃんがボクの所から消えるんじゃないかと思って。
「戻って来るから…、薬と水だけ…持ってくるからね。」
彼女は、微笑み、ドアの向こうに消えた。
ボクは、少し寂しい。
何で?何で?
人の暖かさが分からない。
分からない。分からない。
分からない。分からない。
分からない。分からない。
「うぅっ!」
自然と涙が混み上がる。
頬につたる雫がボクの不安を膨らませた。
ガチャ…
ボクの部屋のドアが開いた。
顔を上げると、伸奈ちゃんが顔があった。
「ヒック……ヒック…。」
「えっ?カノ、どーした?ほらほら泣かないでよ…」
ボクの背中を摩りながら、彼女は困ったような声で言った。
「ね?カノ?だから、泣かないで!」
ポンポン…ボクの背中をリズム良く叩いた。
「私ね。あの衣亜って人と連絡とってるんだ。」
えっ?衝撃発言だった。
「あの人ね。この間、私の為に動いてくれたようなものだったの…悪い人だけど、お礼が言いたくて…それで、私、連絡をとったの、そしたら彼女…泣いてて、カノみたいに泣いてたんだ。」
「どうして、ボクにそんなこと?」
伸奈ちゃんは、何も言わなかった。
ただ一言
「似てるから…」
似てるから…?
ボクと衣亜って女の人と、どこが似ているんだろう。
ボクには、謎だった。
「あのね、ボクね。昔、覚えてないんだけど…大切な人を失ったみたいなんだ。その人の記憶だけ、剥がれ落ちてるんだ…だけど、最近、夜とか頭痛と一緒にその人の言葉が聞こえるんだ…。
良くわからないけど…ボクに必死に何かを言ってるんだ…だから、そんなのだから…スゴく怖いんだ。伸奈ちゃんが消えるんじゃないかな、なんて、思って…怖い。」
それを聞いてる、伸奈ちゃんは暖かかった。
そうだ。人の暖かさがこれだ。
あっ!ある意味風邪をひいて良かったかなぁ?

衣亜side
大丈夫…大丈夫…。
「おい、お前…精神状態、ボロボロじゃないか?」
と、クロハに心配されるぐらいだ。
「いつも、大丈夫…」って、応えてきた。
ピリリリ…
私のケータイがなる。
誰からだろ?
あっ!伸奈ちゃんだ。
「もしもし?」
『もしもし?今日な、カノが風邪をひいたんだよ…衣亜さんみたいに泣きじゃくってたよ。私が消えるかもしれないって…』
呆れたように伸奈ちゃんは、言う。
『さすがって言う感じかな?それにカノ、大切な人が昔居たって、言ってたよ…』
「ふーん…思い出して欲しくはないんだけど…」
『衣亜さんと似てるよ。』
…………
「ありがとう。」
ピッ!
私は、ケータイの通話を切った。
似てる、かあ…
修ちゃんと私がね…
当たり前のような違うような…
何か…複雑な気分だなぁー。
何も守れなかったんだもん。
せめて、影で支えるしかできないんだもん…
私は、家族が好きで大っ嫌いだった。
人を信じる事が許されない。
心は人を信じたい。
でも、体は拒んでいる。
「元々は、私の体は弱かったのにね…いつの間にか、成長してね…」
胸の中がパンクしそうだ。
また、困った時は頼りにしてね…
伸奈ちゃん…









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バカな駄作です。
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