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運命決闘 INNOCENT/EXTRA 五話、八神堂にようこそ
作者:起源くん   2013/07/31(水) 04:29公開   ID:phDx6G0VJjk
スピードレーシングを終えた一同は、レイヴンの計らいでフードコートでカレーを振る舞われていた。

「当店自慢の絶品カレーだ」

「「「「わ〜〜♪」」」」

運ばれたカレーの香ばしい香りに、食欲がそそられる。
レヴィに至っては今にも食べそうであった。

「これレヴィ! いただきますの号令がまだだぞ!」

「う〜〜・・・・」

「誰が音頭をとる?」

「それならユリウス先生が適任じゃない」

「わかった。それでは、この世の全てのカレーに感謝を込めて、いただきます」

「「「「いただきます!」」」」

若干変な音頭だったが、気にせずカレーをほうばる一同。そして、衝撃を受ける。

「何これ! メチャクチャ美味いじゃない!」

「こんな美味しいカレー初めてだよ!」

「うん♪ 頬っぺたが落ちちゃいそう♪」

アリサ、なのは、すずかの三人は絶品カレーの美味さに驚きながらも、手を止めなかった。

「何か王様の味に似ているね」

「当たり前だ。これは我とレイヴンの合作レシピで作っておるからな」

「互いのレシピを出し合い、吟味したからな。チビ王の味に似ているのはそのせいだろう」

「そうなんだ〜〜うま♪うま♪」

レヴィはカレーに夢中であまり説明を聞いてはいなかった。
その一方、熱心にレシピについて聞いている人物がいた。

「なるほど・・・・そんな隠し味があるとは」

「ただし量には注意せよ。あまり多すぎるとカレーがダメになってしまうからな」

「分量的には?」

「小さじ半程度だ」

ディアーチェの解説に熱心に聞くユリウス。彼はカレーに目がなく、よく同僚の知得留先生とカレー廻りやカレー研究会を開く程である。噂によると、知得留先生に洗脳されてカレー好きになったとか、真相は謎である。
カレーを食べながら談笑していると、プレシアが血相を変えてやって来た。

「大変よ!! アリシアがいないの!!」

「え? アリシアならそこに・・・・って、いない!?」

先程まで席に座っていた筈のアリシアは、姿形もなかった。プレシアはますます取り乱す。

「店内のカメラを全て見たけど、何処にもいないのよ! はっ! ま、まさか・・・・誘拐!? 何てこと! アリシアは小さくて可愛いから、ロリコンなオッサンに拐われたに違いないわ! 許せん! アリシアの可愛さに気づくのは認めるけど、手を出すのは、例え神であろうと、英雄の王様だろうと許さないわ! 見つけ出して―――――」

「落ち着け」

「きゃん!」

暴走するプレシアの頭をお玉で叩くレイヴン。
プレシアは少し涙目になりながら、レイヴンの方を見る。

「痛いわよ〜」

「お前が暴走するからだろうが」

「でもアリシアが・・・・」

「それなら手紙をもらっている。ほれ」

そう言ってレイヴンは、手紙を広げた。

“王様へ。
お嬢さんは頂いた。
返して欲しければ、皆を連れて八神堂に御越しください。
貴方のちびタヌキより”

そんな文面が書かれていた。
それを見たディアーチェはわなわなと体を震わせ。

「あのうつけがーーーー!!」

ディアーチェの叫びは店内中に響く。
そんな中、手紙の文面を見た優人はタメ息を吐く。

「こんな文章を書くのははやてぐらいしかいないな・・・・まったく」

「一体誰なんですか?」

「本屋八神堂の店主さんだよ。私達と同い年なんだけどね」

「飛び級で大卒。確か今年で社会人一年目だったかな?」

「そんな十才児がいるのかよ!?」

「ふぇ〜凄〜い」

優人の話を聞いて慎二は突っ込み、なのはは感心する。

「取り合えず。向こうから招待されたのなら、行くのが礼儀わよ。
ここからなら、そんなに遠くじゃ無いから」

「待て遠坂。先にレオの場所を教えてくれ」

「それなら大丈夫ですよ。レオがいる所が、八神堂ですから」

「何? 確かにレオは本も読むが、あそこではブレイブデュエルは出来ないぞ?」

「ふふふ。まあ、それは着いてからのお楽しみですよ」

凛は不敵な笑みを浮かべた。




そんなこんなで、手紙に書かれてある八神堂に赴く一同。
因みに、プレシアもついていこうとしたが、リンディに見つり、敢えなく捕まってしまったので、同行を涙目ながら断念した。
店の近くに行くと、一人の少女が立っていた。

「おお! よく来たな王様! 優人さんもいらっしゃい」

「こんにちははやて」

「我を使いっ走りにするとはいい度胸だな子狸」

「それでも連れてきてくれるから、王様は大好きなんや♪」

「ええい! 抱きつく出ないぞ!」

はやてはディアーチェに抱きつき、ディアーチェははやてを抱き付くはやてを引き離そうとした。
そんなやり取りを見ていると、なのははある疑問を口にした。

「二人は姉妹さんなのかな?」

「いや、赤の他人だよ。世の中にはそっくりな人間が三人いると言うからね。
ほら、レヴィとフェイトが似ているように」

「因みに、遠坂に同性同名同性格の叔母がいるよ。
髪の色が違わなかったら、クローンって思う程だよ」
「あれは衝撃的だったな・・・・本当はクローンじゃない?」


「ちょ、ちょっと! どういう事よ!?
そりゃ、初めて会った時は驚いたけど、私は正真正銘の真人間よ!」

「えっと・・・・・・・・」

優人と慎二の話を聞いて、真っ向から訂正を求める遠坂。どう反応すればいいか悩むなのはだった。
すると店から、白髪褐色の青年が騒ぎに駆けつけたのか、顔を出した。

「騒がしいと思ったら君達か、それにしても珍しく大所帯だな」

「あ、シロウ兄」

彼の名は衛宮シロウ。衛宮優人の兄で、八神堂の副店長をしている。

「おお! 師匠ではないか! ええい! 離れよ子狸!」

「ああん! 王様のいけず!」

ディアーチェははやてを引き離すと、身だしなみを整え始めた。

「見苦しい所を見せてしまったな師匠よ。ところで、ちびヒヨコがこちらに来ている筈だが?」

「ああ、アリシア君なら来ているぞ」

「レオも来ていると聞いたが?」

「ああ、レオも地下アリーナで遊んでいるぞ」

「地下アリーナ? 八神堂にそんな物があったけ?」
優人は首を傾げた。結構長く八神堂に通っているが、地下アリーナどころか、そもそも地下施設がある事すら初めて知ったのだ。

「それは見てからのお楽しみや。ついつきてや」

そう言ってはやては八神堂に入って行った。優人達もその後を追う。
中に入ると、カウンターに銀髪の女性が座っていた。

「うちの店員のアインスや」

「初めまして、八神・リィンフォース・アインス。アインスと呼んでおくれ」

アインスは丁寧に挨拶を交わす。
すると慎二はアインスをじっと見ながら、小さく呟いた。

「・・・・・・・・・・・・いい」

「へ?」

「良いよ、凄く良い! かなりドンピシャじゃないか!!」

「お、落ち着けよ慎二! 何が言いたいのかさっぱりだ!」

「衛宮! どうしてもっと早くアインスさんを紹介してくれなかったんだよ!?」

「え!?」

「仕草とかもろ好みだよ。ああいうのって、大和撫子って言うだよな」

(アインスは一応外人なんだけど・・・・・・・・)

「ああいうのって癒されるんだよね〜。周りにまともな女がいないから、余計に癒される」

「あら? それは一体誰の事かしら?」

凛はにこやかな笑顔を浮かべているが、慎二の話を聞いていたのか、内心怒っている事がよく分かる。

「ん? どうやら自覚があるみ―――があ!?」

慎二は言葉を言う前に、凛のアイアンクローを喰らう。
一体どれ程の握力だろうか、その状態のまま慎二を持ち上げた。

「あだだだだだ!?」

「すごいすごい♪ 片手でチンジを持ち上げてる♪」

「ほお〜〜、アイアンクローを生で見るのは初めてや」

「それよりも・・・・・・こやつ人間か?」

「は、早く止めないと!」

「問題あるまい。シンジなら」

「ああ、慎二ならきっと大丈夫。どんなふうになっても、三秒で復活するさ」

(僕はギャグキャラじゃな〜〜〜い!!)

慎二の魂の叫びは、誰にも届かなかった。




一悶着あったが、取り合えず騒ぎも収まり、慎二も無事復活を果たしたところで、優人達は地下アリーナに案内された。

「まさかこんな所があったとは・・・・・・・・完全に見過ごしていたな」

「いや、誰だって書店の地下にこんなのがあるとは思わないって」

「まるで秘密基地だね」

「まったく、博士も悪ノリが過ぎるな・・・・」

「どうや? 当店自慢の地下アリーナは?」

「正直、言葉も出ないわ・・・・」

「驚きの連続だもんね・・・・」

そうして話していると、アナウンスが聞こえ、珍妙な機械に乗ったバニー姿のアリシアが現れた。

《レディース! アンド! ジェントルマン! T&Hの看板娘にして、出張ウグイス嬢のアリシアだよ〜〜〜!》

アリシアの登場に呼応するかのように、会場は熱気に包まれる。

《さて! 今宵のスペシャルマッチはゲートクラッシャーズだ!》

ゲートクラッシャーズ。
幾重にもあるゲートを破壊し、先にあるターゲットを破壊する単純明快なゲームである。

《それでは選手の紹介です!
八神堂のマスコット! 鉄槌の騎士ヴィータ!》

《うおっしゃ!》

ヴィータが画面上に現れると、歓声が上がる。
彼女の人気の高さがうかがえる。

《続いて、ロケテスト二位! 星光の殲滅者! シュテル・ザ・デストラクター!》

《よろしくお願いします》

シュテルと呼ばれた少女がおじきをして現れた。
一見、氷のような冷たさを感じる一方、その内には灼熱のような闘志があると、優人は感じた。

《そして最後の選手はこの人だーー!》

アリシアが叫ぶと、画面には優人の顔馴染みのレオ・B・ハーウェイの姿が映し出された。

《ロケテスト全国一位! デュエリスト頂点に立つ最強のデュエリスト! 太陽王子! レオナルド・B・ハーウェイ!》

《どうも、レオナルド・B・ハーウェイです。良い試合にしたいと思います》

レオが爽やかな笑顔を見せると、女性達の黄色い声が鳴り響く。

「ふん、相変わらずキザな奴だよな。気にくわない」

「レオが女の人にモテるのは今に始まった事じゃないだろ?」

「それでも気にくわないだよ! アイツに取り巻きの女の子を取られた僕の気持ちが分かるか!?」

「いや、まったくわからん」

「少しは分かれよ!」

「んな無茶な!」

「二人とも、馬鹿な話ししないでモニターを見なさいよ。始まるわよ」

凛に言われ、優人と慎二はモニターに視線を移す。

するとヴィータが最初に動いた。
スキルを発動させ、渾身の一撃を持って次々とゲートを破壊進める。
一方レオとシュテルは動かずにいた。

「ふむ、シュテルの奴め、アレをやるつもりだな」

「レオの奴も器用だよな。普通の奴じゃあんなの出来ないぜ」

「?? どういう事だ?」

「まあ見ていれば分かるわよ」

凛はそう言って再びモニターに集中し始めた。
優人もモニターに視線移した瞬間、レオとシュテルから焔と炎が巻き起こる。

《ガラティーン!》

《ブラストファイア!》

二つの炎熱砲がゲートを貫き、ほぼ同時にゴールターゲットを貫いた。
因みにヴィータは余波に巻き込まれ、ダウンしてしまっている。

「す、凄い・・・・」

「なんつう迫力・・・・」

「あれが一位と二位の実力・・・・・・」

「・・・・・・・・」

あまりにも歴然の差に驚く初心者四人だったが、その中で優人となのはは驚くと同時にある気持ちが沸き上がる。

((戦ってみたい!))

その機会は直ぐに訪れるのであった。


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■作者からのメッセージ
innocentを読んで一番驚いたのは、はやてが飛び級で大学卒業済みで尚且つ社会人一年目って所でした。
色々飛んだ設定だなっと思えました。
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