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マブラヴ 転生者による歴史改変 47話
作者:ぜんくう◆7RWKYcvP01c   2013/11/17(日) 18:00公開   ID:I3fJQ6sumZ2
 夏と言えば海、海と言えば水着。
 当然夏に水着回は必須、そう思っていた頃が私にもありました…
 えーというわけで、おひさしぶり、立花隆也です。
 夏だよ、夏。
 なのに一週間後に迫った桜花作戦のせいでそんな暇ナッシング!
 くそったれ、誰だ、夏にハイヴかちこみ作戦なんて立案したのは!
 …おれとゆうこりんでした。
 ふっ、身からでた錆とはこういうことか。認めたくないものだな、若さ故の過ちというのは…
 というわけで、今の楽しみは新規導入された衛士強化装備、正式名称は97式衛士強化装備なのだが、その鑑賞である。
 身につけるのは、強化外骨格で洗練された光学迷彩の技術を駆使した、光学迷彩スーツ。侵入するのは、第十三戦術機甲大隊の女性衛士が着替えるドレッシングルーム!
 たぎるぜ!
 装備を身につけ、鏡で光学迷彩に問題が無いことを確認。気分は潜入工作員、伝説の傭兵といったところだ。
 さあ、いこう。見果てぬフロンティアへ!



 結論から言おう。おれは敗北した。
 いや、侵入したのまでは良かったのだが、まさか途中に脳波感知式センサーなんてものが設置されているとは思わなかった。
 柊町基地でも導入しているのは、ゆうこりんの執務室に続くフロアだけだぞ。
 脳波感知式センサーは、従来のセンサーとは違い、人の検出に特化した物だ。人間である限り脳は活動している。その際に漏れ出る脳波を感知して、登録されている脳波パターン以外の人間がいると警報を発する様になっているのだ。
 この脳波式センサーの恐ろしいところは、催眠状態や、裏切り行為、殺意を抱いた状態などの特定の心理状態にある場合の脳波にも反応して、警報を発するところにある。
 こいつを使えば嘘発見機も簡単にできてしまう凄い奴である。
 ちなみに脳波感知式センサーの存在をすっかり忘れていた俺は、一発で侵入を検知されてしまった。
 だが検知されるだけならまだ良い。被っているヘルメットにある脳波キャンセラーを使えば、脳波感知式センサーでも脳波を拾うことはできない。
 完全に油断していたせいで、今の今まで切っていたのだ。なにせこいつが結構バッテリーを喰ってしまうので活動時間も同時に短くなってしまうからな。
 そんなわけで、一時はアラートが駆け巡り緊急体制が敷かれたが、導入したての警報装置の誤作動、ということで決着がついて緊急体制は解除された。
 唯一の誤算は、その警備兵の中に本来なら柊町で例の機体の受領をしているはずの、憎いあんちくしょうがいたことか。
 そう、まりもんこと神宮司まりも大尉である。
 壁際に佇みひっそりと警備兵をやり過ごしていたおれの前を奴が横切っていくときに、何気ない仕草で奴はおれの方を向いたかと思うと、

 「後で私の部屋に来なさい」

 と口パクでおれに命令してきた。
 当然おれはその言葉に従ったね。だってまだ命はおしいもん!
 いそいそと元来た侵入経路を辿って、帝国技術廠から退散するおれであった。



 「で、どういうことなのかしら、隆也くん?」

 「はっ、なんと言いましょうか、ようやく完成した新型スーツのできばえを試そうとちょっとしたいたずら心と申しましょうか」

 「ふーん、あのまま足を進めていたら、ある部屋が存在したはずよね?」

 「え?ある部屋?適当に散歩するだけの予定だったから、あんまり見取り図は詳しくないんだけどな。ほら、あのフロアって整備兵であるおれが出入りすることはほとんどないから」

 背中から吹き出る汗。ぶっちゃけ、まりもがおれの目的を知らないはずがない。それをなぜこうもねちねちと遠回しに責めてくるのだろう?
 まさかあれか、まりものやつSに目覚めたのか?これはプレイのいっかんなのか?

 「はあ、ばかね、そんわけないでしょ」

 「え、あれ?もしかして声に出てた?」

 「だだ漏れだったわよ」

 冷たい目でおれを見下ろすまりも。なんだ、やっぱりSに目覚めているんじゃないか?
 言っておくが、今の状況はおれがまりもの士官室の床に正座して、まりもが足を組んでイスに腰掛けている。
 当然目線はおれが見上げるのに対して、まりものそれは見下ろすものになっている。
 一部の人間にはご褒美かもしれないが、おれにはその気はちょっとしかない。だから、少しだけ嬉しい。

 「はぁ、まあいいわ、どうせ新型の衛士強化装備ののぞきが目的だったんでしょ」

 「イグザクトリー(はい、その通りでございます)」

 「あんまりふざけているとひんむいて、十三大隊専属整備兵の宿舎に転がしてもいいんだけど…」

 その声に潜む本気と書いてマジと読む、マジ度におれはおののいた。これはやるといったらやる覚悟の持ち主だけがもつ凄みだ!

 「誠にもうしわけない。ただ…」

 平身低頭、誠意を持って謝罪する。

 「ただ?」

 「性欲を持て余す」

 「やっぱりひんむいて…」

 「ぎゃー、だってだって、ここ最近、まりもんもゆうこりんも相手してくれないじゃないか!」

 そう、そうなのだ。
 おれがこうも性欲を持て余しているのは、まりもと夕呼のどっちもが相手をしてくれないからなのだ。
 まあ、ハイヴ攻略の翌日は即時撤退命令が出たせいで、ばたばたしていたし、戻ったら戻ったで桜花作戦発動のため息つく暇さえなかったからな。
 おれはどうなのかって?
 もちろん、こんなこともあろうかと、すでに対応準備は完了している。
 それに所属も帝国軍、国連軍の両方にあるため、どちらかに専任する必要がないのをうまく利用して、こうやって自由な時間を満喫している。
 まあ、ばれたらあとで夕呼にぼこられるだろうが、その程度は想定の範囲内だ。

 「それはまあ、そうだけど。今はそんことしている暇はないでしょ?」

 まったくも、きかん坊のやんちゃさんね、といった感じでため息をつきながらおれを見つめるまりも。
 うん、やっぱり教師に向いているな。早いところ、女教師まりも、を拝めるようになりたいものだ。
 もちろん、プレイは生徒と女教師でやる。リアル女教師、マジエロイ!
 というか、まりもの体つきがエロいんだよな。これでタイトスカートの女教師スタイルをとれば、おれの愚息も思わず暴走してしまいますよ。
 まりもん、まじエロ女教師!

 「誰が、エロ女教師よ!」

 ぽかっ、と頭をはたかれた。

 「また口から出ていました?」

 「少しね」

 やや頬を赤らめたまりもが明後日方向を向いている。
 まてよ、これってチャンスじゃね?

 「神宮司先生…」

 いいながら立ち上がりまりもに迫る。

 「ちょっ、誰が神宮司先生よ」

 「神宮司先生、おれ、先生のこと」

 「え、あ、だめ…」

 と無理矢理女教師まりもプレイに突入しようとしたおれの野望を、無粋なコール音が阻む。

 「あっ、内線、内線だから」

 わたわたと内線と格闘し始めるまりもをみて、とりあえずはプレイの継続を断念するおれ。
 さすがに萎えたわい。

 「え、夕呼?うん、隆也くんならここにいるけど。ええ、わかったわ、すぐに連れて行くわ」

 どうやら相手は夕呼のようだ。ちぃっ、どうしておれの周りの女ってのはこうも勘が鋭いのかね?

 「隆也くん、夕呼が急いで柊町基地まで来るようにって。私も同行すること、だって」

 「へいへい、分かりましたよ。まあ、もともとこの後は柊町に戻るつもりだったんだから別に良いがね。おまけにまりもんは、本当なら柊町にいるはずだったんだし」

 「そういうこと、実は私は隆也くんを捕まえに来たのよ」

 「へ?そうなんだ。でもなんでわかった?」

 「女の勘よ」

 いたずらが成功したように小悪魔的に笑うまりもの表情は、実にエロティカルエンジェルであったと、ここに記そう。



 というわけで、我らが国連軍柊町基地に到着。軍用ヘリでひとっ飛びでした。
 まあ、おれとまりもなら、素敵走りした方が早いという説もあるのだが、まあ、そこはそれ。

 「やっと来たわね、全くアタシを働かせておいて、自分だけ楽しもうなんてずいぶんと殊勝な心がけじゃない?」

 「だろ、おれっていつも殊勝な心がけを忘れない漢だから」

 「嫌みにきまってるでしょうが!」

 「人の言うことは素直に信じる心、それはとても尊い物だと思うのです、香月先生」

 「はあ?誰が先生ですって?」

 「もちろん香月先生です。先生、ぼく、ぼくもうがまん、がっ?!」

 後頭部を凄まじい衝撃が走る。

 「まったく、どうして同じネタに走るのかしら?」

 あきれた様にいうまりも。当然衝撃の正体は彼女の一撃だ。

 「さーせん、やっぱり天丼は基本だと思って」

 「はあ、もう、いいけどね。それより私用の戦術機の引き渡しだったんじゃないの?」

 諦めたらしく、話題を変えるまりもであった。いや、おれ的には天丼って大切だと思うのよ。
 あ、良いこと思いついた。まりもと夕呼で天丼プレイ。
 これは新しい!

 「なんか、バカが、バカな妄想に浸っている見たいね。まりも、起こしてやって」

 「はあ、まったくもう、了解」

 後頭部に再び衝撃が。それも、さっきと寸分違わぬ位置に。

 「ぐぅ、頭がぁ!!」

 「さ、行きましょうか」

 「そうね。でもどんな戦術機なの?」

 「見ればわかるわよ。まあ仕様書を見ただけだけど、確かにアンタに相応しい機体だと思うわよ」

 「嬉しいような、なにか不思議な気持ちね」

 信じられるか?この会話、まりもがおれの両足を小脇に抱えておれを引きずりながらしているんだぜ?
 段差があるびに、背中を走る痛みに耐えながらおれはさるがままになっていた。いや、この角度から見る2人のお尻、ナイスだね!



 「これが、アイツがアンタのために作った機体よ」

 地下特設格納庫に、それは佇んでいた。
 従来の戦術機とは一線を画す機体。
 戦術歩行戦闘機、その名称を覆す存在。
 先進撃震参型のフォルムをさらに洗練させたその姿、重厚でありながらなおその内にしなやかさを兼ね備えているのを感じさせる。
 間違いなく撃震、F−4J系統にありながら、それを外れた存在、そんな印象を見る物に与えるその全高は、先進撃震参型よりも頭一つ分高い。

 「これが、私のための戦術機」

 圧倒的な威圧感。戦術機ならどれもが持つそれが、この機体の前では霞んでしまう。
 機体としての格が違うことが見ただけでも分かる。
 帝国軍カラーに仕上がっているが、この機体の前ではその色など関係ない。
 所属などの小さなくくりには縛られない。これは人類の牙であり刃である、人類の反抗と不屈の闘志の象徴。

 「そうだ、撃震オルタネイティブ、撃震でありながら撃震を外れた決戦存在」

 撃震オルタネイティブ、通称撃震ALである。

 「動かしてみるか?」

 おれの言葉に、撃震ALに魅入られたようになっていたまりもが、現実に引き戻されたようにおれを見つめる。

 「これを、私が?」

 「まりもん以外に誰がいるんだ?」

 「でも、これお高いんでしょ?」

 「それがですね、奥様、今ならなんと…」

 「まりも、現実逃避はよしなさい。これは間違いなく、こいつがアンタのための作った機体よ」

 珍しく乗ってくると思ったら、まりものやつ現実逃避してたのか。

 「まあ、そういうわけで、乗ってみてくれ」

 「ええ、わかったわ」

 その日、一機の戦術機が国連軍柊町基地の演習場に姿を現した。
 一目見ただけで、多くの衛士がその戦術機が、自分たちの操る戦術機とは全く別格であることを悟ったという。
 そしてその動きを見た瞬間確信した。あれは、戦術機とは違う、全く違う何かだ。あの存在の前には従来の兵器はなんの意味も成さないと肌で感じた。
 合同演習中であった各国の衛士からの報告を通じて、衛士たちの本国が調査に動くがその存在を表すものは何一つ無かったという。
 まあ、おれが地下でこつこつと作ってきたんだから、知っている人間なんて夕呼かマブレンジャー達ぐらいのものだろう。
 ちなみにスペック的には、先進撃震参型を遥かに上回るんだが、そんなことを発表するわけにはいかない。

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