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青年冒険譚〜武人大国救済伝〜 第三話:光を受けて輝く少女?違うな、闇を感じて輝く少女だ←?
作者:マスカレイド   2014/03/20(木) 21:35公開   ID:8YA7Hr6Ij6Y
目を覚ます。
見慣れた天井が広がる、いつもの空間。
気持ちのエエ朝やなぁ……
それにしても……なんややわらかくて気持ちのエエ感触が、
体中にまとわりついとるなあ……
そう思った僕は何気なく胴に巻きつく正体を確認する。
「ッ―――――――――!!!ウワ!!!」
ッデェ!!壁に頭打ってもうたわぁ……クッ〜……
じゃない!ったく、昨日までのことをすっかり忘れとったわ。
そやったそやった。
僕に抱きついたまま可愛らしい寝顔で寝入っている幼い女の子、
アレクを僕の部屋で内密に飼……住まわせることになったんやったわ。
「ん……あら……た……」
昨日までのミステリアスを具現化したような無機質さがなく、
無邪気な甘い声でアレクが僕の胸元あたりに頬擦りをする。
無論、二人の隙間には「例の人形」も挟まれているわけだが……

「兄貴!どうしたん?いますっごい音したけど!?」

あ、あかん。亜子が来てもうた。
言い方から心配してくれとると思ってええんやろか。

とにかく音がしたの自体は僕の責任やからな、適当にごまかすか。
「い、いんやいや。なんでもあらへんで。
てかドアどんどんせんといて。ちょいガタきとるんやで?」
「あ、ごめんね。だいじょぶならええわ。」
なんや冷たいな思いながら何気なく鏡を見る。
僕の顔には、どことなくさびしいような感情が現れとるようやった。
けど、

「ま、中二にもなるとそんなモンやな……」
そう思い直しアレクの寝顔に視線を戻すと、

「ふぁ……ん〜……おはよ、ア〜ラタ……」
「ああ、おはよ。」

一瞬パッチリと目を開いた後に、また昨日のような
冷めたような目つきに戻り、しかしそれでいて、
あどけなさの残るような声で声をかける彼女に、僕も笑顔で返す。
さて、今日は麻帆良学園都市でも案内したるか……
――――――――――――――――――――――――――――――――
麻帆良学園……いわゆる一貫校で、その上、
一つの市そのものが学校であるっちゅう学園都市なんやからホンマ驚いたデ。
しかも……
「今日こそ決着つけさせてもらうぜ!!」
「オゥ、望むところぉ……!」
「タナカに食券5枚!」「僕は六枚!!!」
「ニダイに二十枚!!」「負けんなネコマルゥ!!」
あーあーあー、どいつもこいつも食券かけて小っこい賭けみたいなもんして
アホばっかやねん。
この学園はマジで好きなんやけど……このテンションばっかりは僕も駄目だわ。
しかも、学園祭の売り上げは公認で着服可能且つそこから長者へと花開いたヤツ、
本場の遊園地の遊具建設にとどまらず、文化祭のために超リアルな遊具
(ジェットコースターやら)を建てるとかいう、バイタリティ半端ない大学学部。
しっかし、なにやら何までブッとんどるこの学園の様子を話しても、
このガキンチョ、平然としとるのは何故??

「ねぇ、アラタ、あのね……」

?、アレクが突然神妙な顔で僕を見つめてくる。
「アラタ……旅……すきだよね……?」
「ん?おう、男は何歳になっても冒険だけはやめれへんで。」
そんな性格やから、まあ家族からは難色を示されるんやけどな。
「しばらくの内に……私と旅に出て欲しいんだけど……良いかな……?」

お〜!!マジか!今年の夏休みの旅プランまだ全然やったわ。

「OK,OK。いや、マジ渡りにふ『それでね、アラタ』お、おう?」
なんやなんや。今日はやけに良う喋るなあ。もっと無機質なタイプやなかったっけ?
と、思うたけどまあええわ、続けて続けて。

「その……旅は、危険ばっかだし、辛いし……下手したら……死ぬ……かも……」

……ふ、何を言い淀んねん思うたら、そんなことかいな。
あのな……、僕は思いつめた顔をする彼女に答える。
「男の冒険なんて、大なり小なり危険ばかりや。
いつだって旅先じゃ死ぬ覚悟やで……んま、死ぬのはまっぴらやけどな!!!」
そう高らかに笑う僕に対し、アレクの表情は……
呆れたとも安心したともつかん感じやった。

さて、と。せっかくや。買い物でも行くか。
同意するいつもの無表情で頷くアレクの頭を軽く撫で、
僕らは「SUPER☆MAHORA」へと向かっていった……


―――――――――――――――――――――――――――――――――
「クソクソクソ!!どっこにもいねぇじゃねえか!!
大体学園都市って、ぁんだよ!?広すぎんだよゴラ!!」
ところ変わって路地裏のごみ置き場。
ヒステリックな大声を上げた男が勢い良くごみ缶を蹴り倒す。
当然、ごみ缶の方はけたたましい音を立てて倒れるが……
「!!!!ガァッハ!!ゴホ……」
男も腹部近辺が鈍い痛みを感じ取り、むせながらその場にへたり込んでしまう。
「るせぇぞ。人間共に見られたらどうすんだバカ。」
「っはぁ、はあ……すまねぇ、兄ちゃん……」
その呼称から彼の兄貴分と思わしき、腹に肘打ちを入れた男が軽く首を回す。
どうやら彼らは「人間」ではないようだ……
「しっかしよぉ……こんな平和ボケしたアホみてェな街に
マジで『アイツ』がいんのか?」
そう言い、何気なく表通りに気を配る兄貴分だが、
何かに気付いたらしく驚きの表情を浮かべ、オイオイと弟分を小突く。
その視線の先――灰色寄りの髪をした少年と、彼に連れられ談笑する少女……
いや、それだけならありふれた光景に過ぎず、問題はその胸元に抱えた人形だ。
可愛らしい動物系ならともかく、大斧を手にし、騎士を思わせる頭部と、
明らかに女児の所有物としても商品としてもセンスがおかしいのだ。
「……!!まさか……!!!」
ようやくハッとして彼らの元へ行こうとした弟分だが、
不意に例の少女が何かを見つけたらしく、隣の男に何かを言うなり、
少々強引に背中を押し、突き進んでいってしまった。
あわてて彼らが二人の近くにたどり着いたつもりだった頃には、
すでに姿を消してしまっていた……
「ッ!!遅かったか!!!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――
アラタと買い物を済ませて、私は彼の話を聞きながら帰っていた。
なんていい笑顔で喋るんだろう、この人は。私もこんな風に笑えたらな……
そんなことを考えながら歩いているときだった……

―――――――――――――!!!!

何か、嫌な視線を感じた。
さりげなく横目で正体を探るうち、私はごみ置き場の奥にその正体を特定した。
真赤なドレッドヘアと、青いニット帽を被った目つきの悪い二人組、私はそれで悟った。

「ヤ ツ ラ が つ い に 動 き 出 し た」と……

仕方ない、笑顔を作るのって苦手だけど……
「どうしたん?アレク。険しい顔して、かわええのが台無しやで?」
心配そうに声をかける彼に眼を向ける……
「(ゴメン)アラタ!!ねぇ、何アレ何アレ!?もっと近くまでよってみよ!!」
「はェ!!?」
突然のことに怪訝な顔をしながらも戸惑うアラタだが、そんなの気にしていられない。
「まだ」彼に話すわけにはいかない。
私は強引にアラタの背中を押して支離滅裂に方向転換させてヤツラを撒くことに成功した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
「冗談じゃねぇ!!一回逃したらしばらく会えねぇって、転生モンスターじゃねぇんだぞ!!」
青いニット帽の男……弟分は叫ぶが、22時だ、と真赤なドレッドへアの兄貴分に諌められ、
気持ちを落ち着ける。
「まぁ、なんだ?俺ら『かくれんぼ』のプロじゃん?
このドデカイ街全体が舞台、いいじゃねぇか、上等よぉ……」
そう言いニヤリとする兄貴分に、弟分は納得する。
「ああ、確かに俺らかくれんぼは得意だな兄ちゃん。モチロン……」
そう、隠れるのが得意、とはあらゆる隠れ方を知っていることであり当然、
「見つけるのもな!!」

「「チャッキ〜ン!!!」」

二人は互いの裏拳どうしを軽く打ち付けあい、不敵な笑みを浮かべる……

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■作者からのメッセージ
ブログなんかでもプロローグを書いただけでダウンしてしまう私がめでたく
3(4)話目を迎えさせていただきました!!
ありがとうございます!!

さて、次回からはついにバトルの予感、いや、予定(笑)

ちなみに、今日全国配信の九神将をフルコンプして全国制覇しました(笑)

はやく幼し……軍神様のご様子を書きたいところですが、
今はまだ我慢して前座編ですww
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