江戸の治安を守る警察機関『真選組』。
その屯所の敷地内では……
??「コイツか、攘夷志士共から押収したヤツというのは?」
局長の近藤勲はそう言って、押収された『ソレ』を眺める。
ゴリラに似ていると言われているが、真選組を纏める程の寛大さを持っている。
??「ああ、どうやらそうらしい」
そう言って副長の土方十四郎が、口に咥えた煙草を手に取った。
真選組の頭脳的存在で、『鬼の副長』に異名を持つ。
??「どうやら、コイツは何かの転送装置らしいですぜい」
一番隊隊長の沖田総悟は、そう言いながら一枚の紙に書かれた内容に目を通す。
実力は真選組最強であるが、かなりのドSでもある。
土方「転送装置だぁ? んなもん作って、一体何企んでんだ?」
近藤「兎に角、中を調べてみるか」
沖田「そうですね」
こうして3人は、装置の中に入ったのだった。
―第一話:ようこそ、ゲイムギョウ界へ!(前編)―
転送装置に入ってみると、中は結構快適な程広かった。
近藤「中は結構広いな。 このスペースなら、10人入っても大丈夫だな」
土方「何? その「100人乗っても大丈夫!」的なノリは? アレだよね? 物置のCMだよね?」
近藤「ところで総悟、その説明書には何が書かれてるんだ?」
沖田「え〜とですねぇ……」
と、沖田が内容を読み上げる。
沖田「まず、“天井にある赤いボタンがあります”」
近藤「ん? これか?」
天井にあった赤いボタンを近藤がポチッと押すが、
沖田「“それが作動装置なので、無闇に押さないようにしましょう”だそうですぜぃ」
近藤「え?」
土方「マジで?」
音声『転送装置、作動します』
装置が作動し始めた。
近藤「イヤァァァァァァァァァァ! どうしよトシ! 俺つい押しちゃったよ!?」
土方「総悟ォォォォォォォォォォォォォ! それをもっと早く言えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
混乱する近藤と怒る土方であったが、沖田は表情を全く変えず、
沖田「二人とも、落ち着いてくだせぇよ。 いまから説明書の内容を読みあげますから」
そう言って説明書の内容を読み上げる。
沖田「え〜と……“装置の壁に青いボタンがあります”」
近藤「あ、これか!!」
そう言って近藤は、壁にあった青いボタンを押したが、
沖田「“装置の作動を急激に速めるボタンなので、決して押さないでください”だそうですぜぃ」
二人「…………………え?」
音声『転送開始まで、残り10秒……』
遂にカウントダウンが始まった。
沖田「あ、始まっちゃいましたね」
土方「――って待てやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 何でそんな事しか書かれてねぇんだその説明書はぁぁぁぁぁ!!」
近藤「落ち着くんだトシ! ここは素数を数えるんだ!!」
土方「何処の神父だアンタは!!」
沖田「ていうか近藤さん。 素数の数え方知ってるんですかぃ? 俺だって知らないんですぜぃ?」
近藤「あ、そういや知らねぇや」
土方「じゃあ何で数えようとしたんだアンタはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
土方の絶叫が響く中、カントダウンが終わり、
音声『転送、終了しました』
3人は、その場から消えたのだった。
〜プラネテューヌ〜
上条当麻が目を覚ますと、そこは女の子の部屋と思いしき一室であった。
当麻「……………此処何処?」
辺りを見渡すが、明らかに自分がいた場所ではなかった。
??「やっと気が付きましたか」
そう言って本の様な土台に乗った小さな少女が、宙に浮かびながら現れた。
ソレを見た当麻は、
当麻「誰!?」
当然の反応を見せた。
その反応に彼女も答えた。
イストワール「あ、申し遅れました。 私の名前はイストワール。 このプラネテューヌの教祖です」
当麻「教祖? んじゃ、ここアンタの部屋?」
イストワール「いえ、ここは貴方がたをこの世界に呼んだ方の部屋です」
当麻「え、呼んだ?」
すると、何者かが部屋の中へと入って来た。
??「あ、イースン。 その人、目が覚めたの」
薄い紫色の髪に十字キーのような髪留めを着けた、ジャージ風のパーカーを着た少女であった。
イストワール「ええ、やっとで目覚めましたよ」
当麻「え〜と……どちら様?」
その問いに、イストワールが答えた。
イストワール「ご紹介します。 彼女の名はネプテューヌさん。 このゲイムギョウ界にある紫の大陸『プラネテューヌ』の女神です」
当麻はイストワールから、自分達の置かれている状況を説明した。
話を簡潔にまとめると、ゲイムギョウ界に新たな敵軍が現れ、4人の女神ですら歯が立たなかった。
そこで女神達は、異世界から助けを求める事を選び、“拾った者をその場でゲイムギョウ界に送り込む特殊な小箱”を異次元に送ったのである。
当麻「つまり、俺やインデックス達はアンタ達の“魔王を退治してくれる勇者探し”に巻き込まれちゃったってことか?」
イストワール「えーと……まあ、そんな感じですかね」
全てを知った当麻は、絶叫を上げたのだった。
当麻「不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
まあ、当然であるが―――。
部屋を出ると、インデックスと美琴と浜面の3人がのんびりとお茶を飲んでいた。
インデックス「あ、とうま!」
美琴「やっと起きたのね」
浜面「大将、もう夜の7時過ぎてるぜ」
??「あ、お目覚めでしたか」
すると、セーラー風のワンピースを着た長い薄紫の髪の少女が現れる。
当麻「え〜と……イストワールさん。 あの方は?」
イストワール「プラテューヌの女神候補で、ネプテューヌさんの妹のネプギアさんです」
ネプギア「あ、お茶を持ってきますね」
そう言って彼女は、すぐに台所に出たのだった。
ネプギアが淹れてくれたお茶を飲むと、当麻は3人に問う。
当麻「んで、これからどうする?」
美琴「話を聞かされて、放っておくワケにはいかないでしょ?」
浜面「もう、無関係って言えねぇしな」
インデックス「それで、とうまはどうするの?」
最後にインデックスに問われた当麻は、フゥと息を吐くと、
当麻「確かに無関係じゃなくなったし、放っておくつもりもねぇ。 それに困ってるなら助けないワケにもいかないしな」
ソレを聞いた3人は……
3人「(言うと思った)」
心の中でそう思ったのだった。
当麻「まあ、そんな事だから……」
そう言って当麻は、ネプテューヌに手を差しだす。
当麻「というワケだ、ネプテューヌ。 力を貸すよ」
ソレを聞いたネプテューヌは、パァと笑顔を見せ、
ネプテューヌ「うん、宜しく」
当麻と固い握手を交わした。
するとネプテューヌは少し離れると、
ネプテューヌ「んじゃいーすん。 当麻君も目を覚ましたし、やっていいよね?」
イストワール「論より証拠ですからね。 ではお二人とも、お願いします」
ネプテューヌ「いっくよーネプギア」
ネプギア「うん」
二人の体が光り出したのである。
するとネプギアが、白いレオタード風の服を纏った姿に変わり、
ネプテューヌ?「ふう……さて、改めて自己紹介ね」
ネプテューヌに関しては、黒いレオタード風の服纏った長身の女性に変わった。
パープルハート「初めまして、上条当麻君。 私はこのプラネテューヌの守護する女神・ネプテューヌ。 この姿での呼び名は『パープルハート』よ」
性格や口調まで変わっていた事に当麻達は驚きを隠せなかった。
当麻「あ……アハハハハ………マジか、マジで女神だったんだな」
思わず笑ってしまった当麻は、左手を差しだし、
当麻「改めて、上条当麻だ。 宜しくな、女神様」
パープルハート「ええ、こちらこそ宜しく」
パープルハートも右手を差しだし、二人は握手を交わしたのだった。
〜ラステイション〜
ノワールは自身の部屋にて、何かを待っていた。
ソレを見た妹のユニは、心配そうな顔をする。
ユニ「お姉ちゃん、ホントに来るかしら?」
ノワール「ええ、きっと来るわ。 私が放った小箱だもの」
ユニ「でも……来たとしても、何処に現れるかが……」
ノワール「そうね……そこは盲点だったわ――」
姉妹でそんな会話をしていたが、まさにその時であった。
ユニ「!? お姉ちゃん、上!!」
ノワール「へ?」
ユニが叫んだときには遅く、
ノワール「んが!」
ノワールの頭上から何者かが落ちてきて、そのまま彼女は下敷きになってしまった。
謎の小箱を手にしたジョルノ達3人は、ボートの上から初めて見る部屋へと移動していた。
ミスタ「イテテテ……此処何処だよ?」
フーゴ「建物の中……みたいだが…」
辺りを見渡した3人は、目の前に居る少女――ユニと目が合った。
ジョルノ「すみません、もしかしてここは貴方の家ですか?」
ジョルノが問うと、少女も口を開いた。
ユニ「え……ええ……けど、あの…」
3人「?」
ユニ「姉が貴方がたの真下にいるので、早く下りてくれませんか?」
それを聞いた3人は、目線を下に向けると、
ノワール「…………」
ノワールがバタバタと手足を動かしていたのだった。
ノワール「全く、とんだ目に遭ったわよ」
ジョルノ「いや、申し訳ない。 まさか僕等も、水上のボートからこの部屋にワープするとは思わなかったので」
色々あったが、一同はとりあえずと一息つけるのであった。
ジョルノ達はノワールから自分達の状況を聞かされた。
女神が存在する世界と言う事自体は信じ難い事であったが、ノワールとユニが女神化を見せたので、その存在をすぐに納得できた。
ミスタ「でもよ、そのアンデットゾーンの奴等は、まだ動いていないんだろう?」
ノワール「ええ……だから迂闊に手が出せないの」
フーゴ「
GIOGIOはどう思います?」
フーゴがそう言うと、ジョルノは即座に答えを見せた。
ジョルノ「暫く様子を見ておく必要がある。 速かれ遅かれ、アンデットゾーンとは戦う事になる。 それまでは束の間の休息を取る必要があるのでは?」
ノワール「…………」
ユニ「…………」
それを聞いた二人は、妙に納得してしまった。
というよりは、納得せざる負えなかった。
二人はジョルノに対し、不思議な印象を持っていた。
とても爽やかな感じで、今にも黄金の風が吹き出しそうな感じであったのだ。
ジョルノ「まあ、とりあえずは」
ジョルノは手を差しだすと、
ジョルノ「このジョルノ・ジョバァーナ率いる『パッショーネ』。 ラステイションの……いや、ゲイムギョウ界の為に力を貸そう。 宜しく頼みますよ、ノワール」
ノワール「フッ……ええ、宜しく頼むわ」
ノワールも手を差しだし、二人は握手を交わしたのだった。
黒き女神と黄金体験……二人が出会った時、物語が始まった。
TO BE CONTINUED