前回のあらすじ。
平賀源外の作った転送装置に乗った銀時達3人であったが、誤って作動ボタンを押してしまい、
銀時「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
現在、空からの急行落下中であった。
新八「銀さぁぁぁぁぁぁぁぁぁん! これってもしかして、絶体絶命って奴ですか!?」
神楽「銀ちゃん! これからどうなるアルか!?」
銀時「落ち着けお前等! とりあえず、マイムマシーンを探すぞ!!」
新八「いや、お前が落ち着けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
―第三話:ようこそ、ゲイムギョウ界へ!(番外編)―
〜???〜
とある山道の中。
??「〜♪」
一人の少女が、楽しそうに散歩をしていた。
??「今日もいい天気で、素敵な散歩日和だなぁ〜」
呑気にそう言っていた彼女であったが、まさにその時であった。
ドガァと、3人の男女――万事屋トリオが落ちて来たのだった。
??「ほえ?」
銀時「いててて……何でこうなるんだよ?」
新八「まあ、良いじゃないですか。 3人とも無事だったみたいですし」
神楽「全くアルよ。 ところで此処は何処アルか?」
辺りを見渡す3人であったが、少女が不思議そうな顔をする。
??「あのぉ〜……大丈夫ぅ?」
銀時「え?」
??「何か、落ちて来たけどぉ〜、怪我とかしなかったぁ?」
首を傾げる少女であったが、
銀時「あ〜、心配してくれてんの? 大丈夫大丈夫、全然平気だから」
神楽「私達はこの程度じゃ死なないアル」
新八「いや、普通あの上空から落ちたら死ぬから」
当たり前のように答える銀時と神楽であったが、新八は当たり前のツッコミを入れた。
銀時「ところで、ここは何処だ? え〜と……」
プルルート「あたしはプルルート。 宜しくね、お兄さん」
そう言って彼女――プルルートは手を差しだす。
それを見た銀時も、握手するように彼女の手を握る。
銀時「俺ァ坂田銀時。 宜しくな」
新八「僕は志村新八です」
神楽「私は神楽アル」
軽い自己紹介が終わった後、プルルートはこんな事を言った。
プルルート「ところで……どうして銀ちゃん達は、空から落ちて来たのぉ〜?」
3人「………………」
それを聞いた3人は、一度沈黙すると、
神楽「ああああああああああああああああああああああああああああ!! そうだったアルゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
新八「そうだぁぁぁぁぁぁ! 僕等、源外さんの転送装置に入って、いつの間にか空に移動してたんだったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
銀時「あのジジイぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!! 無事に戻れたら、必ずしばいてやらぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
山全体に響くほどの叫びを上げ、その光景にプルルートも、
プルルート「ほえ?」
首を傾げたのだった。
ひとまず落ち着きを取り戻した銀時達3人は、プルルートからこの世界の事について説明された。
女神が守護する世界『ゲイムギョウ界』。
その一つであるプラネテューヌに、偶然にも銀時達は落ちてきてしまった。
簡単に解釈すると、万事屋トリオは源外の転送装置によって異世界に跳ばされてしまったのである。
プルルートの案内で、プラネテューヌの教会に向かった銀時達。
街の中はまるで、近未来的で自分達の住む世界とは天と地の差であった。
教会に辿り着いた彼らであったが、そこで思わぬものを見てしまう。
??「あ、プルルートさん。 お帰りなさい」
人の肩に乗っかりそうな大きさの少女が、宙に浮いていたのである。
銀時「新八……俺ァ遂に、妖精の存在を知ってしまった」
新八「そうですね」
神楽「ちっこくて可愛いアル」
??「あのぉ〜……何の話をしてるんでしょうか?(-o-;)」
流石に彼女――イストワールも、唖然とするしかなかった。
イストワールに事情を説明した銀時達(説明は殆ど新八)。
それを聞いた彼女は、少しだけ考えると、
イストワール「分かりました。 では皆さんが元の世界に帰れる方法を探しておきます。 それまでは、このプラネテューヌにいて下さい」
そう告げると、3人は驚きを隠せなかった。
銀時「マジで!? 助かったわ!!」
神楽「助かったネ、いーすん!」
新八「有難うございます!」
新たな拠点を見つけた3人は、プラネテューヌの居候になったのだった。
イストワールの勧めで、ギルドに向かった3人。
そこでは様々な依頼書が掲示板に張られていて、その中の幾つかの依頼を引き受けるものであった。
万事屋である3人にとって、ギルドの仕事は日常茶飯事なもの。
その依頼書の中の一枚を、銀時は手に取った。
銀時「流石に、ムズい奴はやばそうだしな。 少し簡単なヤツから行くぞ」
新八と神楽、そしてプルルートの3人も後ろから依頼書を覗く。
そこには、こんな内容が書かれていた。
『シカベーダー討伐』――と。
プラネテューヌにある遺跡。
その名は『ZECA遺跡』。
その一角である『ZECA一号遺跡』に、銀時達4人が来ていた。
モンスターの一種『シカベーダー』を10体討伐するというものである。
初めて見た際は、万事屋トリオは唖然とし、
銀時「何アレ? 鹿なの? イン○ーダーなの?」
新八「なんというか……レトロゲームに出てきそうなモンスターですね?」
神楽「でも愛嬌があって、可愛いアル」
などのコメントが殺到(?)したのだった。
依頼された通りの数のシカベーダーを討伐した銀時達。
銀時「よーし、けぇるぞ〜」
そう言ってギルドに戻ろうとしたが、まさにその時であった。
ドガァと彼等の目の前に、何者かが天井を突き抜けて現れたのである。
その姿を見た万事屋トリオは、驚きを隠せなかった。
それはテレビゲームのRPGにしか存在しないと思っていたドラゴンである。
銀時「ど……ドドドドド……ドラゴンンンンンンンンンンンンン!?」
新八「嘘おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
神楽「かっけぇぇぇぇぇぇ!!」
プルルート「あれぇ〜? 確かあのドラゴンはぁ〜……」
新八「あ、プルルートちゃん、知ってるの!?」
プルルート「うん。 あたしが〜、銀ちゃん達と出会った『ジェットセット』ていう山道のモンスターだよ〜」
そう言って彼女は、目の前のモンスター――エンシェントドラゴンを見る。
しかし3人は、更に驚いてしまった。
新八「えええええええええええええええええ!? 僕たちと出会った場所って!? あそこのモンスターだったのぉぉぉぉ!?」
銀時「マジでか!?」
神楽「マジでか!? 凄いアル!!」
エンシェントドラゴン「グオォォォォォォォォォォ!!」
遺跡全体に響き渡るエンシェントドラゴンの雄叫び。
そしてこのモンスターは、その鋭い眼光を銀時達4人に向けていた。
それを見た銀時は、すぐさま木刀を構えた。
銀時「新八! 神楽! プルルート! 気ぃ付けろ、来るぞ!!」
エンシェントドラゴン「ウオォォォォォォォォォォ!!」
エンシェントドラゴンは両腕の鋭い爪を使い、銀時達に襲いかかった。
豪快に振るわれた爪は、地面を深く抉り取る。
銀時達は、すぐさまその攻撃を回避した。
神楽「ヤバいアル! あの爪にやられたら!!」
銀時「ああ。 一溜まりもねぇじゃねぇか!!」
そう言って銀時は、思いっきり跳び上がると、
銀時「オラァァァァァ!」
ドガァと木刀による一撃を、エンシャントドラゴンの頭部に叩きつけた。
エンシェントドラゴン「グォ……」
しかしドラゴン自体には効いておらず、ギロリと睨み返されてしまった。
エンシェントドラゴン「ウオォォォォォ!」
更にドラゴンは腕を伸ばすと、そのままガシリと銀時の体を握りしめる。
銀時「ぐっ!」
ミシミシと体中の骨が軋み、
エンシェントドラゴン「グォォォォ!」
そのままドラゴンは、銀時の体を地面に叩きつけた。
銀時「ガッ!」
叩きつけられた衝撃で、銀時は予想以上のダメージを負ってしまう。
新八「銀さん!」
神楽「銀ちゃん!」
新八と神楽が救出に向かうが、
エンシェントドラゴン「グォォォォ!」
ドラゴンは腰部にある長い尻尾を振るい、二人を吹き飛ばした。
二人「うわぁ!」
エンシェントドラゴン「グォォォォ!」
雄叫びを上げ、そのまま銀時を踏みつけようとするドラゴン。
銀時「くそっ!」
絶体絶命の銀時であったが、まさにその時であった。
プルルートが手に持ったぬいぐるみで、ドガァとドラゴンの側頭部を殴打したのである。
殴られたドラゴンは勿論、その場から吹き飛ばされてしまった。
銀時「………」
驚いた銀時であったが、彼女は静かな口調でこう言った。
プルルート「どおして〜…こんなひどい事〜、するのかなぁ〜……」
立ち上がったドラゴンを前に、プルルートは静かな怒りを見せる。
プルルート「もう……あたし〜……」
怒りのボルテージが一気に上がった瞬間、
プルルート「怒っちゃったかもぉ〜〜〜〜!!」
彼女の体が、強く光り出したのであった。
その光景を見た銀時達3人は、驚きを隠せなくなってしまう。
そこには菖蒲色の長い髪に赤い瞳、そしてボンテージのような黒い衣装を纏った長身の妖艶な女性が立っていたのである。
これがプルルートのもう一つの姿、アイリスハートであった。
万事屋トリオ「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」
銀時「もももももしかしてお前、ぷ……ぷぷプルルート!?」
新八「嘘ぉ!?」
神楽「まままままマジでプルちゃんアルか!?」
アイリスハート「フフッ……そうよ♪」
彼女の余りの変貌ぶりに、万事屋トリオは驚愕してしまう。
銀時「どこからどう見ても、完璧な女王様じゃねぇか!!」
銀時がそう言って指摘するが、その時であった。
エンシェントドラゴン「ウオォォォォォ!」
殴られた怒りなのか、ドラゴンが咆哮を上げた。
そんなドラゴンを前に、アイリスハートは不敵な笑みを見せる。
アイリスハート「全く……翼の生えた図体のでかいトカゲの分際で……私に挑もうっていうの?」
カツンカツンと歩み寄るアイリスハートは、手に持った蛇腹剣を握りしめると、
アイリスハート「それじゃ、行くわよトカゲちゃん? た・だ・し……途中で死んでも、文句は言わないでねぇ!! アハハハハハ!!」
そう言って高らかに笑った。
エンシェントドラゴン「ぐ、ぐぉぉ!?」
それを見たドラゴンは、本能的な恐怖を感じ取った。
新八「敵より味方の方が怖すぎるんですけどォ!?」
神楽「というか、敵の方が怯えてるアルよぉ!?」
銀時「ちょっ!? マジで洒落になってねぇんだけど!?」
この光景に、万事屋トリオも恐怖を感じ取った。
エンシェントドラゴン「ウオォォォォォ!」
ドラゴンは翼を広げ、飛ぼうとするが、
アイリスハート「あらぁ? 誰が「飛んでもいい」って―――言ったかしら!」
それよりも速く、アイリスハートが翼を斬り落とした。
翼を落とされたドラゴンは、そのまま地面に激突してしまう。
さらに追い撃ちと言わんばりに、アイリスハートの剣がドラゴンを切り刻んだ。
エンシェントドラゴン「ウオォォォォォ!」
その圧倒的な強さに、ドラゴンの巨体は地に伏してしまう。
しかしアイリスハートは、笑みを浮かべながら唇を舐める。
アイリスハート「あら? このままトドメを刺すと思った?」
エンシェントドラゴン「!?」
アイリスハート「さあ、ここからが本番よ?」
ニィと笑う彼女の笑みは、完全なドSモードに入っていて、
エンシェントドラゴン「(ガクガクガクガク)」
ドラゴンも恐怖で体を震わせていて、そして―――
アイリスハート「そぉれ、そぉぉぉれ!!」
蛇腹剣を鞭のように振るい、ドラゴンの体に何度も叩きつけた。
これにはドラゴンも、抵抗する気力が無くなっていた。
因みにこの光景を目にしていた万事屋トリオは、
万事屋トリオ「ヒィィィィィィィィィ!(ガクガクブルブル)」
恐怖のあまりに、一生癒えないトラウマを植えつけられたのだった。
一方的に責め、決してトドメを刺さない。
無駄に高く、そして恐ろしい技術を見せたアイリスハート。
因みにエンシェントドラゴンは、ちゃんと彼女にトドメを刺されてしまう。
色んな意味で、可哀相なモンスターであった。
アイリスハート「あ〜……スッキリした♪」
そう言ってアイリスハートは、元のプルルートの姿に戻った。
そんな彼女を目にして、万事屋トリオは未だに恐怖で顔が真っ青であった。
プルルート「ねぇ、銀ちゃん」
銀時「!?」
突然声を掛けられ、ついビクッとなってしまった銀時。
プルルート「早く帰ろっか?」
満面な笑顔でプルルートが笑うと、
万事屋トリオ「はっ! 仰せのままに、プルルート様!!」
3人は敬礼のポーズを取ったのだった。
この時、彼らの心の中では――
“プルルートを怒らせるのは、何があっても絶対に避けよう”
――という考えが深く刻まれたのだった。
TO BE CONTINUED