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超次元大戦 第十三話:呪いのデーボ
作者:亀鳥虎龍   2015/02/19(木) 09:06公開   ID:0mQarvJSN/Y
 銀時とプルルートは、とあるホテルに来ていた。

実はこのホテルで、不審な人物がいるという匿名の電話があったのである。

不審人物のいる部屋に入った二人。

果たして、二人が見た光景とは!?
















―第十三話:呪いのデーボ―












 部屋の中は、とても綺麗なものであった。

銀時「……おいおい、何処にもいねぇじゃねぇか。 ガゼネタじゃねぇか?」

そう思った銀時であったが、プルルートは既に女神化したのだった。

アイリスハート「いいえ銀ちゃん。 ガゼじゃないみたいよ? 出てきたら、冷蔵庫の中に隠れてないで」

彼女の指摘と共に、冷蔵庫の扉が開く。

冷気と共に出て来たのは、全身に無数の傷跡を付けた男だった。

アイリスハート「あらぁ、中々鋭い殺気を放つのね? このアイリスハートにいたぶられる前に、名乗って貰おうかしら?」

そのドS女王様ぷりに、銀時は背筋を凍らせてしまうが、男は動じることなく名乗った。

デーボ「俺の名は、呪いのデーボ。 タロットで、『悪魔デビル』のカードを暗示するスタンド使い。 『悪魔』は呪いと恐怖、精神状態の異常の表れを意味する。 何故俺が、冷蔵庫の中にいると分かった?」

デーボの問いにアイリスハートは、クスリと笑ってしまう。

アイリスハート「アラ? もしかしてアナタ、銀ちゃんよりオツムが酷いのかしらぁ?」

冷蔵庫の上にある飲み物を指差し、不敵な笑みを見せた。

アイリスハート「冷蔵庫の中身を出しておいて、片付けてないじゃない?」

銀時「というか、サラッと俺に対して酷い言い方してない!?」

という銀時のツッコミもスルーするかのように、二人は戦闘態勢に入った。




















 先に動いたのは、デーボであった。

デーボ「『エボニーデビル』!!」

彼の体から、一体のスタンドの像が出現するが、

アイリスハート「ファインディングヴァイパー!」

デーボ「ぶっ!」

それより速く、アイリスハートの攻撃が決まった。

デーボ「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

アイリスハート「アラアラあっけない。 もしかしてアナタ、オツムだけじゃなく戦闘力もたりなかったかしら? だとしたら、とんだ負け犬ね。 そこでキャンキャン吠えていれば――」

何時もの罵声と共に、チラリとデーボの姿を見た。

デーボ「キヒッ!」

アイリスハート「!?」

銀時「!?」

その瞬間、彼が不気味に笑った。

デーボ「とうとう……やりやがったなぁ〜! イテェ……とってもイテェよぉ〜!!」

銀時「な、何だコイツ!?」

笑いながらベランダの方まで後退していくデーボ。

アイリスハート「な、何なの?」

デーボ「この痛みは……恨みで……晴らさなきゃなぁ〜! たっぷりと、思う存分に、テメェを恨めるぜぇ〜! ギャァァァァァァァ!!」

意味深な言葉と共に、デーボはベランダから落下したのだった。

アイリスハート「はっ!」

銀時「くそっ!」

デーボの姿を確認しようとした二人であったが、そこにはデーボの姿は無かった。

銀時「き、消えやがった!?」

アイリスハート「くっ! 逃げられたわ!!」

しかしその瞬間であった。

スパァッと、アイリスハートの足が切れたのだった。

アイリスハート「な!?」

銀時「何ィ!?」

いつの間にか両足を切られていたアイリスハートは、その場でガクリと膝を着いてしまう。

アイリスハート「ぐっ!」

銀時「プルルート、大丈夫か!?」

アイリスハート「な、何なのよアイツ!? 何時の間に足を!?」

銀時「兎に角、俺の肩に掴まれ」

アイリスハートを担ぎ、銀時は彼女をベッドの上に寝かせた。













 その場にあった布でアイリスハートの傷を縛ると、銀時は辺りを見渡していた。

銀時「うん? そういや、この部屋の鍵がねぇぞ?」

ベッドの上や電話の傍にも無かった。

銀時「まさか、洗面所じゃあねぇだろうな?」

そう思い、洗面所まで向かった。

銀時が洗面所に向かったが、アイリスハートも部屋の辺りを見渡す。

しかし、鍵が落ちていた形跡は見当たらなかったが、

アイリスハート「(もしかして……)」

何かを思い、ベッドの下を確認すると、

アイリスハート「はぁ、やっぱりあったわぁ」

そう言って鍵を発見する。

アイリスハート「さっきのゴタゴタで、下に落ちたのかしら?」

鍵を取る為に、ベッドの下に潜ったアイリスハート。

手を伸ばし、鍵を掴んだが、

アイリスハート「!?」

何かがバタバタする音が聞こえた。

アイリスハート「え? 銀ちゃん?」

最初は銀時なのかと思ったが、その時であった。

バシィ!と、電気コードが投げ縄のように彼女の手足を縛りつけた。

アイリスハート「な!?」

驚くアイリスハートであったが、更なる追い撃ちが彼女を襲った。

アイリスハート「キャッ! め、目が!?」

何者かがシャンプーで彼女の視界を封じた瞬間、ギコギコと鋸でベッドの足を斬り落としたのである。

ドガッと支えを失くしたベッドの重みで、アイリスハートは下敷きになってしまった。

因みにこのホテルのベッドは、一つで1200kgはある。

アイリスハート「キャァァァァァ!」

突然の物音に、洗面所にいた銀時も駆けつける。

銀時「おい、プルルート! 何があった!?」

アイリスハート「ダメよ銀ちゃん! 殺されるわ!!」

しかし、その時であった。

銀時「な!?」

何者かが、銀時の目に何かをぶちまけた。

銀時「ぐあっ! コイツは墨汁か!? ちくしょッ、目が!!」

???「ウケケケケ……」

“彼”はベッドの上に乗ると、そのままアイリスハートの前に顔を見せた。

その正体は――、

???「へい! よくも……」

アイリスハート「!?」

以外、それは人形であった。

???「よくも、俺の体に傷を付けたなぁ〜プルルートぉ〜〜〜〜〜!!」

その人形は、デーボと同じ口調で喋る。

否、これこそデーボのスタンドの真の能力である。

呪いのデーボ、スタンドの名は『エボニーデビル』。

能力……己を傷つけた相手への恨みによる遠隔操作。














 呪いのデーボは当時、『アメリカインディアンの呪術師』を名乗った殺し屋で、彼の能力を政治家やマフィアの人間が高く評価していた。

彼の全身にある傷、これはスタンド能力を発動する為の条件の一つである。

その条件とは、ワザと挑発した相手に己を痛めつけさせ、スタンドはその恨みのパワーで操る事が出来る。

その為、一般の目には“呪い殺された”ように見えてしまうのである。

そんな彼であったが、一人のスタンド使いを殺そうと能力を使ったが、逆に返り討ちに遭い死亡した。

しかしデスハートはそんな彼の能力を高く買い、甦らせたのである。

銀時「この!」

銀時は声のする方へと木刀を振るった。

デーボ「バァカめ! お前、視界を封じられた状態で、戦えると思ってるのか? このトンチキが!!」

攻撃を避けたデーボは、天井の電気にぶら下がる。

銀時「くそっ! プルルート、今助けるぞ!」

見えない状態でベッドに向かおうとする銀時であったが、

デーボ「させるかぁ!」

背後に回ったデーボが、ガブリと首筋に噛みついたのである。

銀時「ぐあぁぁぁ! ヤロォ!」

デーボ「おっと!」

しかし銀時が攻撃しようとすると、すぐさま回避した。

銀時「(あんにゃろ〜! 俺が攻撃を止めると、すぐに攻撃しやがる!! ガムシャラにやるしかあ―――ねぇ!!)」

仲間を助けたくても目が見えず、動きまわる敵に翻弄される銀時。

木刀を振るい、デタラメに部屋の中を撒き散らす。

そんな彼を他所に、デーボは冷蔵庫の上の飲み物の瓶を割っていた。

その場で割ったり、ベッドや床に投げ捨てる。

デーボ「ゲヘヘヘヘ!!」

アイリスハート「クッ! 銀ちゃん!!」

手足を縛られたアイリスハートは、拘束を解こうと何度ももがくが、

デーボ「シャッハァー!」

デーボが槍を構え、ベッドに矛先を突き刺した。

アイリスハート「キャァッ!」

ブスリとベッドは刺さったが、アイリスハートの体には刺さらなかった。

するとその時であった。

銀時「調子に乗ってんじゃあねぇぞ! この豆チビがぁ!!」

気配と聴覚を頼りに、一気にベッドへと駆けだした銀時。

彼はそのままシーツを使い、デーボを捕獲したのだった。

















デーボ「くそっ! 離せェ!!」

銀時「捕まえたぜ、槍も折ってやらぁ!」

そう言って銀時は、デーボの槍をへし折るが、

デーボ「ヒャッハー!」

スパァと剃刀で左手を斬られてしまう。

銀時「ぐあっ! ヤロォー!!」

デーボ「おっと!」

銀時「待て―――のわっ!?」

逃げ出すデーボを追いかけようとするが、銀時は誤って足を滑らせてしまう。

ベッドから落ちた彼であったが、そのままザクリと肩や腕に瓶の破片が突き刺さってしまう。

銀時「いっって! くそっ!!」

しかし銀時はコードを切断し、

アイリスハート「きゃっ!」

アイリスハートの拘束を解いた。

デーボ「ウケケケケケケ!! ヘイ、銀ちゃんよぉ! 今からテメェのタマキンを噛み切ってやるぜぇ!! その後にプルルート、テメェのデカ乳も噛み切ってやるぜぇ!!」

アイリスハート「くっ! なんて、卑猥な男なの!」

流石にこの台詞には、アイリスハートも頭にきていた。

デーボ「それよりも、お前等ぁ! 周りをよぉく見ろ。 さっきから床が濡れているのに、気付かなかったかぁ?」

アイリスハート「!?」

銀時「そういや、テメェ……さっきから瓶を割って、中身をぶちまけていやがったな」

デーボ「今頃気づいたのかよ? 小便が出りゃ、もっと濡らして、テメェ等の顔にぶっかけてたねぇ!」

再び天井にぶら下がったデーボは、漏電したドライヤーを握りしめていた。

デーボ「さぁて俺はこの濡れた部屋に、漏電したドライヤーをこれからどうすると思う?」

銀時「!?」

アイリスハート「まさか!?」

彼の次の行動に、二人は青ざめてしまった。

デーボ「勿論、部屋を乾かす為じゃあねぇぜ?」

アイリスハート「銀ちゃん!」

銀時「!?」

ドライヤーの電源を『弱』から『強』に切り替え、漏電はさらに強くなり、

デーボ「恨み晴らす置くべきか……死ね」

そしてデーボは、ドライヤーを下に落としたのである。














 このままではドライヤーの漏電が液体を伝っていき、銀時もアイリスハートも感電死してしまう。

ニヤリと笑うデーボであったが、まさにその時であった。

銀時「へっ! “人を呪わば穴二つ”ってことわざ、知らなかったみてぇだな!!」

銀時の木刀が、ドライヤーを貫き、

デーボ「うげっ!?」

そのままデーボの頭を突き刺したのだった。

デーボ「な、何故!? 何故ベッドの上の俺の……俺の正確な位置が!?」

驚くデーボであったが、クスリとアイリスハートが笑った。

アイリスハート「アナタ、やっぱりオツムが足りなかったようね?」

続くように銀時も口を開いた。

銀時「俺ァな、鏡を割っていたんだよ。 ベッドの下のプルルートに、テメェを見つけて貰う為になぁ!!」

デーボ「グゲッ!」

豪快に木刀を振るうと、突き刺していたデーボは壁に叩きつけられた。

目の墨汁を拭い取った銀時と、ベッドから脱出できたアイリスハート。

銀時「はい、ご対面」

アイリスハート「ウフフフ……お・待・た・せ♪」

デーボ「ゲェェェェ!!」

これを観たデーボは、形勢逆転を感じて逃走を図るも、

銀時「逃がすかよ!」

スバァと銀時に両足を切り落とされてしまったのだった。

デーボ「ギャァァァ!」

足を落とされたデーボは、もはや逃げる事は出来ない。

そんな彼に、銀時はこんな質問をした。

銀時「おいデーボ、俺達ァデスハートってヤツの事について聞きてぇ事がある。 ヤツの能力を喋って貰うぜ?」

その問いに対し、デーボはすぐに答えた。

デーボ「バカかお前は? 自分の手口を簡単に教える殺し屋はいねぇぜ!! 教えるのは、自分か相手が死んだ時だけだ!!」

更に何かを言おうとした彼に対し、銀時は不敵に笑いながらこう言った。

銀時「お前は次に、“鏡のない部屋だったら、お前等を簡単に始末で来たのによォ”と言う!!」

まさにその時であった。

デーボ「鏡のない部屋だったら、お前等を簡単に始末で来たのによォ―――ハッ!!」

銀時の予想した通りの台詞を言ってしまったデーボは、動揺を隠しきれなくなってしまった。

そんな彼に、銀時は鬼が如き鋭い目付きで睨む。

銀時「じゃあ、やってみろよ?」

デーボ「え!?」

銀時「どうした? オメェ…俺のタマキンとプルルートのデカ乳を噛み切るって言ってたよなぁ? やってみやがれ、このド低俗ヤロー!!」

木刀を構え、何時でも戦える体勢に入ると、

銀時「俺はテメェの……」

デーボ「ウガァ!!」

両腕の腕力だけで跳びかかったデーボとすれ違うが、

銀時「ソコ以外を切り刻んでやらぁ!!」

ズバァと人形を切り刻み、彼のスタンド『エボニーデビル』を消滅させたのだった。














 その頃、このホテルの男子トイレでは、

デーボ「ギィィィヤァァァァァァァァァァァァァァ!!」

デーボの叫びが、外まで響いたのである。

清掃員「お客様、長い事トイレに入られてますが、大丈夫ですか――」

ホテルの清掃員が、ノック後に個室トイレの扉を開けると、

清掃員「ヒィ!」

局部以外を切り刻まれたデーボの最期の姿があったのだった。















 その後、デーボを撃破した銀時は、

銀時「イテテテ……畜生、あのヤロォ〜。 部屋中に割れた瓶なんか撒き散らしやがって」

アイリスハート「ほら、破片を抜くからじっとしってて」

肩に刺さった瓶の破片をアイリスハートに抜いて貰い、同時に彼女の治療を受けて貰っている。

銀時「つーかプルル−ト。 オメェ、そろそろ変身解かねぇの?」

デーボ戦から変身を解いていないアイリスハートであったが、

アイリスハート「ええ、まだやり残したがあるの」

銀時「やり残し?」

首を傾げた銀時に対し、彼女は驚くべき行動を取った。

銀時「んぐ!?」

アイリスハート「ん♪」

なんと、自身の唇と銀時の唇を重ねたのである。

唇をゆっくりと放し、そして彼女は告げた。

アイリスハート「あたしぃ、銀ちゃんの漢気に惚れちゃった////」

銀時「え!?」

紅潮した頬は、間違いなく“ホの字”の証。

アイリスハート「だから必ず、銀ちゃんをとりこにしてあ・げ・る////」

それを聞いた銀時は、青ざめた顔と冷や汗と供に、

銀時「(えええええええええええええええええええええええええ!?)」

心の中で叫んでしまったのだった。

















TO BE CONTINUED

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■作者からのメッセージ
 呪いのデーボの登場でした。

という事で、銀時×プルルート(アイリスハート)のカップリングを作りました。

声優つながりで、銀さんにジョセフのあの“十八番”をやらせました。

大・満・足です!

たまに銀さんがポルナレフのポジジョンになっている気がしますが、コミカル的に気にしてません(笑)。

銀時「笑えるかぁぁぁぁぁ(怒)!」
テキストサイズ:10k

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