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超次元大戦 第十一話:復活のアヌビス神・そのA
作者:亀鳥虎龍   2015/02/13(金) 17:02公開   ID:Iagjyn7tR9w
 ネプテューヌと長谷川の激闘から数分後。

???「ん? 何だこりゃ?」

別の誰かが、刀を手にした。

とても美しい刀身。

誰もが見とれてしまうほど美しい。

果たして、手にしたのは誰なのか!?






―第十一話:復活のアヌビス神・そのA―






 プラネテューヌにある床屋。

平和島静雄は店の扉を開けると、

銀時「んあ?」

銀時も散髪に来ていた。

丁度、髭を剃って貰うところであった。

静雄「銀さんも、髪切りに?」

銀時「いや、俺ァアレだ。 この店が“髭剃りだけのサービス”やってるて聞いたもんだから」

静雄「……近藤さんなら分かるけど、銀さんも髭あったんだな」

すると、銀時は一本の刀を店主に渡した。

銀時「オヤジ、悪ィんだけどこの刀、隅っこに置いてくんねぇか?」

店主「ヘイ」

その刀に対し、静雄は疑問を感じた。

静雄「銀さん。 その刀、どうしたんだ?」

その問いに、銀時はすぐさま答えた。

銀時「ああ、これか? 森で拾ったんだよ。 何故か木が何本かバラバラに斬られてたけどな」

静雄「……そんなトコから、よく普通に拾ったな」

その後、銀時の髭剃りが始まった。





 シャリッと剃刀で銀時の髭が綺麗剃られる。

そんな静寂の中、静雄はいつの間にか眠っていた。

銀時「ん〜〜! オッサン、中々綺麗に剃れてんじゃねぇか?」

店主「そっすか?」

銀時「そうそう。 トレビアンだよ、ト・レ・ビ・ア・ン!!」

すると銀時は、店主にこんな頼みをした。

銀時「悪いんだけどよ、顎の下も剃ってくんねぇか?」

店主「へい、顎の下……ですね?」

顎の下に刃を近付ける店主であったが、銀時がつい目を開けると、

店主「顎の下だな、坂田銀時ぃ!!」

銀時「何ぃ〜〜〜!?」

店主が手にしていたのは、剃刀ではなく刀であった。

先程、銀時が隅っこに置かせた刀だ。

店主「テメェの顎をこのまま剃ってやるぜ! このアヌビスのスタンドがなぁぁぁぁぁぁ!!」

一気に刀を引き寄せた店主であったが、銀時はチェアーのレバーを倒し、

銀時「くっ!!」

後ろに体を倒した。

それにより斬られずに済み、刀身はそのまま店主の胸に喰い込んだ。

店主「うおぉぉぉぉぉぉ!?」

これに店主も驚くが、すぐさま刀を引き抜いた。

銀時「テメェ! この店のオヤジじゃあねぇのか!?」

銀時は腰の木刀を手に取ると、何時でも戦える構えを取った。

それを見た店主は、刀を構え、

店主「きえぇぇぇぇぇぇぇ!!」

そのまま銀時に襲いかかったのだった。






 静雄が眠りから覚めると、店内はとんでもない状況になっていた。

銀時「ぐっ!」

店主「くくくく……」

刀を手にした店主が、銀時を襲っていたのである。

静雄「銀さん、コイツは一体!?」

銀時「近付くんじゃあねぇぞ静雄! 流石にオメェの拳でも、この斬れ味を相手にすんのはかなりデンジャラスだぜ! それにコイツ、腕はド素人なのに結構――」

距離を取る為、銀時は店主を蹴り飛ばした。

銀時「――強いぜ!!」

店主「うぐっ!」

壁に激突した店主に、銀時はそのまま突進する。

銀時「オラァァァァ!」

豪快に木刀が振り下ろされるが、まさにその時であった。

店主「フン!」

店主は先程とは想像つかないほどの反射速度で、銀時の攻撃を防いだのである。

銀時「何!?」

これには銀時も、驚きを隠せなかった。

店主「今の戦いで、お前の攻撃パターンは全て憶えた。 例えこの刀の持ち主が変わろうとも、一度戦った相手には絶対に絶対に絶〜〜〜〜対に負けなあぁぁぁぁぁい!!」

振るわれた凶刃が、銀時を襲うとした。

まさにその時であった。

ゴンッと、店主の頭に何かがぶつかった。

店主「うぐっ!?」

放たれたのはゴミ箱で、投げたのは静雄だった。

静雄「今度は、俺が相手だ」

ゴキリと指の骨を鳴らす静雄に、店主は刀を構える。

店主「きえぇぇぇぇぇぇぇ!!」

刀を振るった店主であったが、静雄はそれをかわすと、

静雄「オラァ!」

右手からの鉄拳を繰り出し、店主を殴りつけた。

殴られた店主は、そのまま窓を突き破って外まで吹き飛ばされた。






 外まで吹き飛ばされた店主であったが、その場でムクリと立ち上がった。

銀時「オイィィィィィ!? お前の拳を喰らって、当たり前のように立ってますけどぉ!?」

静雄「いや、流石に俺も、当てるのが精一杯だった」

青ざめる銀時とは対照的に、静雄は以外に冷静であった。

静雄「しかし、珍しいぜ。 ふざけた策を使って来ないヤツはよ」

二人は外に出ると、店主は既に刀を構えていた。

銀時「くっ! どうすんだ静雄!?」

すると静雄は、偶然見つけたワゴン車に近付くと、

静雄「よし、コイツを借りるか」

銀時「え、借りるかってそれ、車のドア――」

ベリッと、ドアを当たり前のように引き剥がしたのである。

銀時「え!?」

これには銀時も驚き、

店主「はい!?」

店主も驚いてしまう。

静雄「俺ァ、理不尽に生きて来たからなァ……。 素手で戦ってやるほど、お人好しじゃあ――ねぇぞ!!」

ワゴン車のドアを自身の前方に構え、そのまま静雄は突進したのだった。

店主「はっ! しまっ―――」

ドガァと静雄との正面衝突を受けた店主であったが、さらにここで、

静雄「ウオォォォォォォォォラァァァァァァァァァァァ!!」

追い撃ちと言わんばりの鉄拳が、店主に撃ちこまれたのだった。






 異常なまでの静雄の攻撃に、

店主「まさか……車のドアを…引き剥がして……盾代わりに……する……とは……だが……もう、憶え………た………」

流石も店主も、その場で気絶してしまった。

静雄「ふぅ〜……何だったんだ、一体」

銀時「さっき、“持ち主が替わろうとも”って言ってたから、持ち主を操る刀みてぇだ。 鞘に納めるぞ」

そう言って銀時は、刀を鞘に納めたのだった。

銀時「どうすんだこの刀ァ? その辺に捨てても、また誰かが拾って襲いかかるぞ?」

静雄「川か海の底に、永久に沈めるってのはどうだ?」

銀時「あ、成程。 その手があったか!!」

二人はすぐさま、その場を立ち去ろうとしたが、

兵士「おい貴様等、何している!!」

銀時・静雄「!?」

プラネテューヌの兵士に見つかってしまったのである。

兵士「床屋で喧嘩があったと聞いて駆けつけたが、貴様等が犯人か!」

銀時「何でそうなんの!?」

兵士「さあ、刀を渡して貰おうか!!」

そう言って兵士は、刀の鞘を掴みだした。

それを見た銀時は、すぐさま柄を握り締めた。

銀時「ってオイ! 何すんだ、放しやがれ!!」

兵士「ウルサイ! 貴様が放せ!」

銀時「ふざけんな! オメェが放しやが――」

刀の引っ張り合いをしてしまう二人であったが、まさにその時であった。

チャキンと、刀が鞘から抜けてしまい、

銀時「しまっ!?」

ドクン!と、銀時の体に異変が起きたのだった。






静雄「銀さん!?」

兵士「き、貴様ぁ! 刀を抜いたなァ!!」

叫ぶ兵士であったが、銀時は兵士を強く睨んだ。

銀時「俺が刀を抜いただと? おい兵士、貴様ァ〜……それでホントにこの国の番人か?」

兵士「お、おい何を!?」

銀時「抜いたのは……、鞘を引っぱったテメェだろうがァ!!」

銀時は刀を豪快に振り下ろそうとしたが、静雄が間一髪で兵士を蹴り飛ばした。

蹴り飛ばされた兵士は、そのまま壁に激突して気絶したのだった。

互いに睨み合う、静雄と銀時。

静雄は嘗て、妖刀と相まみえた事がある。

今回もその類だと直感したのだった。

静雄「黒幕は何処にいるかは知らねぇが……どうやら銀さんは、刀の術に嵌っちまったようだな」

冷静を装う彼であったが、内心では焦っていた。

静雄「(とは言えど、銀さんとやりあう事になっちまうとはな……拙いぜ、最悪の場合、銀さんを殺す事になっちまう)」

別世界の住人である静雄は知らなかったが、銀時は嘗て『白夜叉』の異名を持った伝説の攘夷志士。

本気を出した彼と戦うという事は、手加減できるほど甘い相手ではないのと同じである。

銀時「クククク……このアヌビス神、貴様の怪力は既に憶えている。 一度戦った相手には、絶対に絶〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜対に負けんのだぁぁぁぁぁぁぁ!!」

そう言って銀時は、刀を振るったのだった。

銀時「フン、ハッ! タァ、フン!!」

今までにない驚異的な速さと恐るべきパワー。

静雄「くっ!」

これには静雄も苦戦を強いられてしまうが、彼は一旦距離を取ると、

静雄「フン!」

その場に会った標識を引き抜き、

銀時「何ぃ!?」

静雄「オラァァァァァァァ!!」

そのまま銀時の腹部にフルスイングしたのだった。

ドガァ!と攻撃はヒットし、銀時は吹き飛ばされてしまった。

静雄「(クッ! やるしかねぇ……銀さんを倒さねぇと、俺がやられる!)」

銀時「まさか、標識を武器に使うとは……だが、もう憶えた」

覚悟を決めた静雄に対し、銀時はゆっくりと立ち上がった。

銀時「クククク……平和島、今貴様は“銀時を倒さないと自分が負ける”と思っているな?」

静雄「!?」

銀時「甘いな、それは甘い考えだ。 何故なら、ここでトドメのダメ押しというやつを……見せてやるのだからなァ!!」

そう言って銀時は、腰の木刀を手に取ったのである。

銀時「これには……これには勝てるかなぁぁぁぁぁぁ!?」

それはなんと、木刀と『アヌビス神』による二刀流だった。

実は銀時の木刀は、妖刀・星砕と呼ばれる辺境の星にある金剛樹という樹齢1万年の大木から作られた、真剣を上回る強度・硬度を誇る木刀である。

それと同時に、通信販売の商品でもある。

因みに彼がこの木刀を通販で買っているのは、一部の人間しか知らない。





 木刀と妖刀の二刀流で襲いかかる銀時に、静雄は標識で立ち向かった。

キンキンと鳴り響く、二つの金属音。

銀時「ホラホラホラホラァ!!」

静雄「ぐっ!」

銀時「どうした! さっきまでの威勢は何処行った!?」

徐々に劣勢に追い込まれた静雄。

そしてスパンと標識が真っ二つに斬られ、

銀時「胴がガラ空きだァ!!」

妖刀の刃が、静雄の腹部に突き刺さったのだった。

静雄「!?」

アヌビス神「勝ったァァァ! この『アヌビス神』が、勝利を手にしたのだァァァァ!!」

徐々に力が入り、『アヌビス神』は刀を押し込んでいく。

アヌビス神「このままでは終わらん! 貴様の体に刀を押し込み、内臓をバラバラにぶちまけて―――」

しかしここで、『アヌビス神』は驚きを隠せなくなった。

アヌビス神「ぶち……まけて……アレ? ふん〜〜〜〜〜!!」

刀を押し込んでいるのに、奥に刺し込んだ気配がなかった。

アヌビス神「何だこりゃぁぁぁぁぁ!? 切っ先が5mmしか刺さってないぃぃーーーー!? どうなってんだコイツの体はぁぁぁぁぁぁ!?」

何故なら静雄の体には、刀が僅か5mmしか刺さっていなかったのだ。

100億Vの電流ですら「痛い」で済ませられる程の強靭さを持つ静雄の肉体。

流石の『アヌビス神』も、刀が刺さらない敵に会うのは初めての経験であった。

すると静雄は、刀を片手で掴むと、

静雄「おい、このまま押しこむって言ってたなぁ?」

バキンと切っ先をへし折った。

アヌビス神「えぇぇぇぇぇぇ!?」

そしてこのまま、刀に向けて連打を叩き込んだのだった。

静雄「オォォォォォォラァァァァァァァ!!」

アヌビス神「何ぃ〜!? す、『星の白金スタープラチナ』以上のパワーとスピードだとぉ!? マズイ、引っ込めなくては!!」

しかし、それはもう遅く、

静雄「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」

アヌビス神「ひぃーーー! やめてくれぇぇぇぇぇ!!」

自慢の刀身を全て砕かれた『アヌビス神』は、遂に柄と鍔のみとなった。

静雄「ところで、「バラバラにぶちまける」って言ってたな?」

ニィと笑った静雄は、銀時の手から放すと、

静雄「望み通りにしてやらぁ! オラァ!!」

バキンと残りを拳で破壊した。

アヌビス神「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

勿論、刀に宿した『アヌビス神』のスタンドも消滅したのだった。





 銀時が目を覚ますと、静雄が煙草に火を点けていた。

静雄「よう、目覚めたか?」

銀時「あれ? 俺ァ、一体どうしたんだ?」

静雄「気にすんな、もう終わった」

銀時「………そうか」

そんな二人の背後では、

少年「あれ、何これ?」

通りかかった少年が、切っ先に手を置いた。

まさにその時であった。

少年「はぁぁぁぁ〜〜……」

なんと『アヌビス神』は、今度は少年の体を乗っ取ったのだった。

『アヌビス神』の本体は、500年前にこの刀を作った刀鍛冶で、名前はキャラバン・サライ。

本体は死に、今はスタンドだけが刀に宿っている。

嘗ては博物館に納められていたが、ある一人の吸血鬼によって持ちだされ、忠誠を誓っていた。

アヌビス神「貴様のパワーとスピード、そしてその強靭さは憶えた。 だから今度こそ、絶〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜対にぶっ殺す!!」

少年が地面を思いっきり踏みつけ、

アヌビス神「くたばれ、平和島ぁーーーーーーーーー!!」

思いっきり切っ先が、静雄に目掛けて飛んで行ったのだった。

そして、遂に……、

静雄「!?」

静雄の背中に、切っ先が突き刺さった。

アヌビス神「やったーーーーーーー! 遂に勝ったぁーーーーーーー!!」

遂に『アヌビス神』は、静雄から勝利を手にした―――筈だった。

静雄「あ痛っ!」

切っ先はまたもや、5mmしか刺さらず、

アヌビス神「何でだぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

カランと、その場で落ちたのだった。

静雄「この妖刀〜〜〜」

銀時「!? おい、静雄!!」

銀時が止めようとするが、遂に静雄は切っ先を持ってしまった。

それを目にした『アヌビス神』も、

アヌビス神「ラッキー! このまま平和島の体を乗っ取って、銀時を殺してやるぜぇ!!」

幸運が舞い降りたと喜んだが、それも束の間だった。

静雄「人の後背中を突き刺そうって事はよぉ……間違えりゃ、死ぬって分かってんだよな? 分かっててやったって事は殺す気で来たんだよなぁ?」

静雄は乗っ取られるどころか、当たり前のように持っていたのだ。

アヌビス神「何ぃ〜〜〜〜〜〜〜〜!?」

これにはアヌビス神も、驚きを隠せなかった。

静雄「海に沈んでろ、この刀野郎ぉぉぉぉぉ!!」

そして彼の剛腕により、切っ先は手裏剣の如く飛んで行ったのだった。





アヌビス神「バカなぁぁぁぁぁ!? 俺の支配下に置かれないないて、どんだけ精神が頑丈なんだよ!?」

静雄の肉体と精神の強靭さに、アヌビス神は叫ぶしか他は無かった。

しかも、切っ先はそのまま海へと飛んで行き、

アヌビス神「いやぁぁぁぁぁぁ!」

ボチャンと海中へと沈んだのだった。

アヌビス神「どうしよう! このままでは、刀が錆びてしまう!!」

海底まで沈んだ『アヌビス神』は、偶然泳いでいた魚達に声を掛ける。

アヌビス神「あ、そこの魚供! 俺を運んでくれ! このままでは2〜3日で錆びてしまうんだ」

しかし魚達は、何処へと去ってしまう。

アヌビス神「ちょっとぉぉぉぉ!」

すると、今度は通りすがりのカニに目を付ける。

アヌビス神「あ、そこの蟹さ〜ん。 美味しい餌あげるから、俺を岸まで運んでくれない?」

しかし蟹も、その場から去ったのだった。

アヌビス神「あ、待って! 見捨てないでぇ〜!! うえぇ〜ん、孤独だよぉ〜〜〜〜!!」

こうして『アヌビス神』の戦いは、幕を下ろしたのでした。

アヌビス神・戦闘不能リタイア――。

チャンチャン♪







TO BE CONTINUED

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■作者からのメッセージ
以上で、VSアヌビス神でした。
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