ジョルノの世界……通称『スタンド使いの世界』。
この世界のエジプトにあるナイル川。
デスハートはそこから一本の刀の切っ先を回収した。
デスハート「この程度の錆なら、すぐに修復できるな」
そう言って彼女は、再びゲイムギョウ界に戻ったのだった。
―第十話:復活のアヌビス神・その@―
???「あれぇ? 此処何処だ?」
30代後半でサングラスを掛けた男が、辺りを見渡していた。
彼は長谷川泰三。
銀時の住む世界――通称『侍の世界』の住人で、“
まるで
ダメな
オッサン”の意味を込めて、『マダオ』のあだ名を付けられている。
ある日仕事探しをしていた時の事、
男(言いは儲け話があるよ)
スーツ姿の男にそう言われ、男に付いて行ったのだ。
すると、謎の装置の中に入れられ、現在に至ったのだった。
辺りを見渡すと、彼は森の中にいた。
暫く森の中を歩いていると、彼は一本の刀を拾った。
長谷川「何だこりゃ?」
手にとって拾うと、鞘から刀を抜いた。
その刀身は、とても妖しく美しい。
長谷川「綺麗な刀だな」
暫く見惚れていたのだが、まさにその時であった。
ドクン――と、長谷川の頭の中で『声』が聞こえたのだった。
長谷川「な、何だ!?」
???『私の名はアヌビス、冥府の神を暗示するスタンド。 長谷川よ、お前は私を抜いたのだ。 お前は私の“本体”だ、お前は私に選ばれたのだ』
声の主『アヌビス』が語っていくが、長谷川の背後に蜘蛛型モンスター『タランチュラ』が出現した。
タランチュラは膝を着く長谷川に襲いかかるが、まさにその時であった。
斬ッ!とタランチュラの体が真っ二つに切断されたのだった。
刀を鞘に納めた長谷川は、ゆっくりと立ち上がった。
サングラスの奥のその両目は、鋭い眼光となっていた。
アヌビス『さあ、長谷川よ! 奴等を斬れ! 女神達を斬れ! お前は剣の達人だ、誰にも負けん!!』
ネプテューヌは現在、街の中を歩いていた。
特にギルドの仕事をしていたワケではない。
七罪騎の次の動きが未だにない為、パトロールに出かけていた。
――というのは口実で、実際はサボりたかっただけである。
暫く歩いていた彼女であったが、
ネプテューヌ「ん?」
突如、何かの気配を感じた――気がした。
気のせいだと思い、彼女は暫く歩いたのである。
森まで歩いた瞬間、ネプテューヌは女神の姿に変身した。
パープルハート「出てきなさい、いるの分かってるのよ」
尾行を気付かれた相手は、堂々とその姿を見せた。
パープルハート「珍しいわね、あなたの様な正体を明かして現れる敵は。 名乗って貰おうかしら」
長谷川「名は、長谷川泰三。 アヌビスのカードを暗示するスタンド使いだ。 プラネテューヌの女神よ、その命貰い受ける」
パープルハート「フフッ、「命貰い受ける」ねぇ……。 ストレートで嫌いじゃないわ」
そう言ってパープルハートは、チャキリと剣を構える。
それを見た長谷川も、鞘から抜いた刀を構えた。
ダッ!と長谷川は地を蹴ると、真っ向から剣を振るった。
だが、ここでパープルハートは違和感を覚えた。
それは長谷川の剣技が、あまりにも素人に等しい動きだったのだ。
パープルハート「(何、この男の戦い方? 動きも構えも、まるで素人同然だわ。 でも、何かがおかしい!? ここは距離を取るしか――)」
長谷川が次の攻撃を仕掛ける前に、パープルハートは近くの木に隠れるように間合いを広げた。
しかし、その時だった。
ズバァッ!と剣が木を透過して、パープルハートの体を斬り裂いた。
ブシュゥと傷口からは血が溢れ出て来た。
パープルハート「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
体が裂かれ、パープルハートは思わず叫んでしまった。
しかし服を良く見ると、裂かれた形跡が全く無かった。
裂かれたのは、完全に体の肉だけであった。
パープルハート「(き、木を透過して私の体を斬り裂いた!? 服には斬られた形跡がない!? まさか体だけを!?)」
長谷川のスタンドが“モノを透過させる能力”を持っていると考え、パープルハートは出来るだけ間合いを広げた。
パープルハート「さあ、来るなら来なさい! 女神に勝負を挑んだ事、後悔させてあげるわ!!」
彼女が構え、長谷川の次の攻撃を待っていた。
長谷川「クククククク……」
不気味に笑う長谷川に、パープルハートは冷や汗を掻いてしまう。
しかし、その時であった。
ドゴォと彼女の真後ろにあった木が、突然倒れて来たのだ。
否、長谷川が刀で斬ったのである。
パープルハート「な!?」
長谷川「バカめ! 透過するだけじゃあない!! 切断も可能なんだぜぇ!!」
倒れて行く木の勢いを利用し、トドメに入ろうとする長谷川。
長谷川「終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
絶体絶命と思われた、まさにその時だった。
パープルハート「はぁぁぁぁぁ!!」
パープルハートは倒れてきた木をバラバラに斬り裂き、
長谷川「何ィ!?」
パープルハート「クリティカルエッジ!!」
眼にも止まらぬ速さの剣技で、長谷川にダメージを負わせたのだった。
長谷川「ぐはっ……」
口から血が零れ、長谷川はそのまま地面へと倒れた。
地面に着地したパープルハートは、息を切らしながら呟いた。
パープルハート「ハァ……ハァ……危なかった……。 まさか、こんな敵がいたなんて」
流石に体力が疲労したが、パープルハートは長谷川を病院まで運んで行ったのだった。
彼が持っていた刀をその場に残したまま……。
上条当麻の住む世界――通称『科学と魔術の世界』。
それは丁度夜の事であった。
神父服を纏った赤い髪の男と腰に刀を差した女性が、学園都市の街中を歩いていた。
男の名はステイル=マグヌス、彼女の名は神裂火織。
魔術組織『イギリス清教』の一員である。
二人は上司に当たる最大主教のローラ=スチュアートの命により、学園都市に潜む不審者を捕縛しに来たのである。
暫く歩いていると、二人は何者かの気配を察知した。
神裂「ステイル!」
ステイル「ああ!」
二人はすぐさま、その気配を辿っていき、
ステイル「ここのようだね」
神裂「そのようですね」
着いた場所は路地裏であった。
辺りを見渡していた二人であったが、まさにその時であった。
ステイル・神裂『!?』
先程の気配が、徐々に近づいてきていた。
そしてその気配の持ち主と、遂に対面したのだった。
二人の前に現れたのは、なんと男だった。
しかし、ただの男ではなかった。
凍りつくような眼差し、黄金色の頭髪に透き通った白い肌。
そして、男とは思えぬ妖しい色気を漂わせていた。
男の顔を見た瞬間、二人は背筋が凍ってしまうような悪寒を感じた。
全てが闇に包まれ、知らぬ内にその身を引き裂かれそうな感覚に陥った。
例えるなら、胃の中の内容物が吐しゃ物として出てきそうな感覚。
更に例えるなら、常に喉元に刃を向けられたような感覚であった。
抵抗しようにも、体が恐怖で動く事が出来なかった。
そんな二人に向かって、男はゆっくりと語りかけた。
???「キミ達は、普通の人間にはない……特別な
能力を持っているようだねぇ? 一つ、私に見せてくれると嬉しいのだが……」
男の声を聞いた二人は、信じられない感覚に陥ってしまった。
彼の言葉を聞くと、なんと心が安らぐのだ。
『悪魔の囁き』という言葉がある。
己の行動が間違っていると考えてしまった人間の耳元で、別の自分の声が聞こえてしまう。
ステイルと神裂はまさに、悪魔の言葉に耳を傾けていたのだった。
ゆっくりと近付く男に対し、ステイルが取った行動は、
ステイル「見せてやる、その時はお前の最後になるがな!!」
手から発した炎で、男を焼き尽くそうとした。
しかし、まさにその時だった。
ドガァと彼は後ろの壁に激突していた。
ステイル「な!?」
突然の事にステイルは、頭の中が混乱していた。
攻撃を仕掛けたのは自分なのに、何故吹き飛ばされているんだと――。
神裂「ステイル!?」
突然の事に神裂も驚きを隠せなかったが、その時は既に男が近付いていた。
神裂「!?」
???「さぁ、キミはどんな
能力を持っているのかい?」
目が合った瞬間、神裂は地面に膝を着いてしまった。
世界で20人しかいない『聖人』の自分でも、目を見ただけですぐに分かった。
勝てる相手ではないと――。
神裂火織の頭の中は混乱していた。
目の前の男から発する『途轍もない邪悪』。
それは自分では絶対に勝てないと――。
否、世界の全ての人間では太刀打ちできないと――。
ガタガタと身体の震えが止まらない。
神経にも脳髄にも伝わった恐怖で、涙をこぼしてしまった。
神裂「あ……あああああ…………あああ……」
まともに声が発する事出来ない程、恐怖が彼女を支配していた。
すると男は、そっと彼女の頬に手を添える。
その行動に、ビクッと驚いてしまった神裂。
しかし、男の口から出た言葉はこうだった。
???「怖がる事は無いのだよ、友達になろうじゃあないか?」
神裂「!?」
その言葉を聞いた神裂は、全ての思考を止めた。
心の底から安心感を得た彼女は、
神裂「私は、貴方様に従います」
遂に彼女は、完全に男の手に堕ちたのだった。
TO BE CONTINUED