バキュンバキュン――と、放たれた弾丸。
ミスタとホル・ホースは、激しい銃撃戦を繰り広げた。
ミスタ「そこだぁ!」
2「行ックゼェ!」
6「ヒャッハー!」
ミスタの弾丸は、『ピストルズ』によって速度が上げられる。
そのまま他の『ピストルズ』が、軌道を曲げて飛ばす。
それを見たホル・ホースも、『
皇帝』から弾丸を放つ。
ホル・ホース「やろぉ……今度こそドタマにブチ込んでやるぜ!」
ミスタ「だったら俺ァ、口ん中を狙ってブチ込んでやるぜ!」
『暗殺』と『銃』、そして『
幽波紋』という3つのキーワード。
これらが揃った2人のスタンド使いの戦いは、更に加速を上げるのだった。
―第十八話:暴食の騎乗兵と皇帝の銃使いそのB―
欠損した肉体の部位を『治す』事で、復活を果たしたジョルノ。
それを見た『ワイルドハーツ』は、驚きを隠せなかった。
ファーメ『に、肉体の部位を作り、そして治す能力だと!?』
ジョルノ「正確には、傷口に直接嵌め込む能力だから、痛みは伴うけどね」
生命を操るスタンドという情報は、既にインヴィとの戦いで知った。
しかし、肉体の部位を作る事もできるというのは情報にはなかった。
ファーメ『(マズイ! ここは一旦退かないと!!)』
移動用のバイクに乗りこんだ『ワイルドハーツ』であったが、まさにその時だった。
バイクの車体から蔦の様なものが出現したのだ。
ファーメ『こ、これは!? まさか、バイクの部品を植物に変えて!?』
拘束された『ワイルドハーツ』は、身動きが取れなくなる。
ジョルノ「『ゴールド・エクスペリエンス』!」
ジョルノはスタンドを出現させ、真っ向から殴りかかった。
ジョルノ「無駄ァ!」
拳は命中し、『ワイルドハーツ』も吹っ飛ばされてしまう。
ジョルノ「URYYYY!!」
更に追い撃ちを仕掛けるジョルノであったが、『ワイルドハーツ』はそれよりも速く回避し、
ファーメ『シャァァァァ!!』
『ゴールド・E』の右手首を斬り落とした。
一瞬の内に回り込んだ『ワイルドハーツ』は、ジョルノの首筋に爪を向ける。
ファーメ『ウフフフ……流石にアナタも、回り込まれたらひとたまりもないでしょ?』
そんな彼女に対して、ジョルノは表情を変えていなかった。
ジョルノ「その爪は僕に向けるより、自分の身を護る事に使うべきだと思うけどね」
ファーメ『何ですって?』
ジョルノ「さっき『ゴールド・E』の手を落としたと思ってるようだけど、あれは僕がワザと切り離したんだ。 そして切り落とされた『手』は、『肉体の一部』ではなく『物質』へとなった。 そして――」
ファーメ『!?』
すると『ワイルドハーツ』の体内を、何かが這い上がって来た。
ジョルノ「既に別の『生命』に生まれ変わって、お前の体内に侵入した」
ファーメ『ま……さか!?』
インヴィとの戦闘情報でもあった。
彼女へのトドメとなった生物。
ジョルノ「お察しの通り、ピラニアだ」
その瞬間、ボコォと『ワイルドハーツ』の体内から、ピラニアが食い破って出て来たのだった。
ファーメ『ぐぅ!』
心臓まで達したダメージを喰らいながらも、戦闘態勢に入ろうとする『ワイルドハーツ』
それを見たジョルノは、すぐさまスタンドの特性に気付いた。
ジョルノ「これ程の傷を受けながらも動ける……経験があるぞ。 貴様、『遠隔自動操縦型』のスタンド使いだな? どおりで本体が見当たらないワケだ」
スタンドの特性を見抜かれたファーメであったが、『ワイルドハーツ』を容赦無く操る。
ファーメ『それがどうしたの? だからって、私がこの場を引くとは思ってないでしょ!!』
ジョルノ「勿論だ」
右手首を戻した『ゴールド・E』は、足元の小石を木に生まれ変わらせ、そのまま『ワイルドハーツ』が迫って来るのを待つ。
ファーメ『何の真似かは知らないけど、これで終わりよ!!』
『ワイルドハーツ』が爪を大きく振り下ろそうとした、まさにその瞬間。
ザンッと木を斬り裂いた瞬間、『ワイルドハーツ』がダメージを受けた。
ファーメ『なっ!?』
ジョルノ「『ゴールド・E』の能力を、「生命を操るだけ」だと思ったか?」
ファーメ『な……にを……した……!?』
ジョルノ「『ゴールド・E』が生み出した生命は、攻撃を受けそうになると、我が身を護る為に、相手の攻撃をそのまま跳ね返す事が出来る」
ファーメ『!?』
切札は、最後まで隠し持つ。
この土壇場で、ジョルノは『ワイルドハーツ』を追い詰めたのである。
そして『ゴールド・E』の連打が、容赦無く叩き込まれ、
ジョルノ「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」
ファーメ『グギャァァァァァァァァァ!!』
トドメの一撃と共に、『ワイルドハーツ』は消滅したのだった。
ジョルノ「無駄なんだ。 何をしようと、無駄なんだ。 無駄無駄」
スタンドが消滅した事でリンクが切れたファーメ。
ファーメ「くっ! 『ワイルドハーツ』の再発動には、約48時間のカロリー摂取が必要。 この場は退くしか――」
撤退の準備に入ろうとしたファーメであったが、まさにその時であった。
「しゃぁぁ〜」
ファーメ「っつ!」
一匹の蛇が、ガブッと彼女の足に噛みついた。
それと同時に、体が痙攣を起こしたのである。
ファーメ「あ、がぁぁぁぁぁぁ!!」
のたうち回る彼女は、この蛇の正体に気が付いた。
ファーメ「ま、まさか……『ゴールド・E』の!?」
そう、ジョルノは『ワイルドハーツ』が乗っていたバイクの部品に生命を与え、毒蛇に生まれ変わらせたのだった。
そして全身に毒が回り、ファーメはその場で息絶えたのだった。
“暴食の騎乗兵”ファーメ……死亡
激しい銃撃戦を繰り広げたミスタとホル・ホース。
ホル・ホース「フッ…ここまで長期戦に持ち込んだのはミスタ、お前が初めてだぜ」
ミスタ「俺も、こんなに勝負が着かねぇのは、初めての経験だぜ」
すると、ミスタのズボンから音が聞こえた。
ミスタ「ん?」
もしもの時にと、ノワールから渡された通信端末である。
ホル・ホース「出ろよ。 それくらいは待ってやる」
そう言われ、ミスタは通信機に耳を当てた。
ミスタ「もしもし、ジョルノか? え、ホントか? 分かった」
ピッと通信を切ると、ミスタはホル・ホースに向かってこう言った。
ミスタ「さっきジョルノから連絡があってよ……オメェの相棒、死んだぞ」
ホル・ホース「………は?」
突然の言葉に、ホル・ホースは苦笑する。
ホル・ホース「おいおいおいおいおい、この俺にハッタリは通用しねぇよ。 ミスタ、そいつァ冗談きついぜ?」
ミスタ「だったらあの方向にある相棒の死体、見て来るか?」
親指でファーメの死体のある方向を指すミスタに対し、
ホル・ホース「………」
ホル・ホースは暫く沈黙すると、
ホル・ホース「よし、見て来よう!」
ミスタ「あ、待ちやがれ!!」
その場から撤退し、ミスタもその後を追った。
ホル・ホース「(コイツァ敵わねぇぜ、俺一人じゃあ完璧不利! ここは一旦退いて、次の機会を待つしかねぇ! 元々、俺のスタンドは暗殺向きなんだよ。 誰かとコンビを組む事で、初めて真価を発揮する。 『一番より2』、それがこのホル・ホースの人生哲学だ。 文句あっか!)」
暫く追いかけられていたホル・ホースであったが、まさにその時であった。
ププーッ!と、偶然大型トラックが目に入り、
ホル・ホース「げぇぇぇぇ!?」
ドガァと正面からぶつかったのだった。
ミスタ「な!?」
これにはミスタも驚いたのだが、
ホル・ホース「うぐっ……」
不幸中の幸いなのか、ホル・ホースは左脚の骨折だけで済んでいた。
ミスタ「へぇ……結構、運が良いんだな」
こうしてホル・ホースは、救急車で病院へと運ばれたのだった。
ホル・ホース……
再起不能