アンデットゾーンの中枢部・
漆黒の塔。
銀時「遂に、ここまで来たんだな」
小さく呟いた銀時に、他の一同も同意であった。
門は鍵が掛かっていたが、静雄の怪力で容易く開いた。
敷地内に入ったが、警備は手薄だった。
ミスタ「随分と人の気配がねぇな?」
土方「けど、気を付けろよ。 敵が潜んでいるかもしれねぇ」
警戒しながらも、塔の扉を開いた。
―第二十三話:魂を奪う執事・その@―
扉を開き、中を確認する。
サクラ「誰もいないわね?」
沖田「罠があるかもしれませんねぇ」
警戒しながら中へと入る。
ジョルノ「明らかに警備の者がいませんね」
当麻「罠の類もねぇぞ?」
一方通行「チッ、これが明らかに“入って下さい”って言ってンのと同じじゃねェか」
暫く歩くと、奥に扉が見えた。
ナルト「この扉の向こうに、七罪騎が?」
ゴクリと唾を飲み込む一同。
ナルト「開けるぞ」
ジョルノ「ええ」
扉を開けた瞬間、そこに一人の男が立っていた。
服装からして執事のようであるが、
???「守護女神御一行様、ようこそお越し下さいました」
そう言って彼はペコリとお辞儀をする。
ベール「確認しますが、アナタは七罪騎の者ですの?」
ダービー「いえ、私はDIO様の元で執事をさせて頂いています。 名をテレンス・T・ダービーと申します」
その名を聞いた当麻は、まさかという顔をした。
当麻「待てよ? “ダービー”って……アンタまさか!?」
ダービー「はい。 貴方がたに敗れた、ダニエル・J・ダービーの弟です」
神裂「成程、兄君の仇討ということですか?」
神裂がそう言うと、ダービーは表情を全く変えずにこう返した。
ダービー「兄は皆さんにこう言いませんでしたか? “賭けは人間関係と同じ。 イカサマを見抜けなかったのは、見抜けない人間の敗北、泣いた人間の敗北”だと。 そうです。 皆さんとの勝負に負け、敗北した兄が『悪』なのです。 ですから、恨みなどこれっぽっちもありませんよ。 兄は兄、私は私でDIO様をお守りするだけです」
するとダービーの体から、人型の虚像が出現した。
テレンス・T・ダービーのスタンド『アトゥム神』である。
スタンドを見たジョルノも、すかさず『ゴールド・エクスペリエンス』を出現させる。
拳を構えた『ゴールド・E』であったが、ダービーの口からとんでもない台詞が出て来た。
ダービー「賭けよう! 『ゴールド・E』の最初の攻撃は、右のストレートパンチだ」
ジョルノ「!?」
突然の言葉に驚くジョルノであったが、
ジョルノ「無駄ァ!」
『ゴールド・E』のストレートパンチが、『アトゥム神』へと放たれた。
しかし、右ではなく左からであった。
だが、その時であった。
『アトゥム神』はパンチが繰り出されるよりも速く、体を動かしたのだ。
それにより、『ゴールド・E』のパンチを避けたのである。
ガシリと腕を掴む『アトゥム神』。
これには全員が驚いた。
ミスタ「何だと!?」
フーゴ「『ゴールド・E』のパンチを避けた!?」
『アトゥム神』は『ゴールド・E』の腕を払いのけると、そのままダービーの体へと戻った。
ダービー「私も賭け事が好きなのですが、兄と違って上手く行かなくて」
不敵に笑うダービーであったが、ジョルノは驚きを隠せなかった。
ジョルノ「(どういうことだ? 彼は自分で右のパンチを予想していた。 しかし、僕が左のパンチを放った瞬間、それを予期したように避けた!?)」
ダービーに対して疑問が浮かんだジョルノであったが、ダービー本人は小さく笑うとこう言った。
ダービー「DIO様をお守りする私としては、貴方がたを追い払う必要があるのですが、ここはどうでしょう? 私と賭けをしませんか?」
賭けをするという言葉に、殆どが疑問を向けた。
銀時「賭けだと?」
ダービー「そうです」
するとダービーは、テーブルに置かれたテレビゲームに視線を向ける。
ダービー「賭けと言っても、テレビゲームで私と勝負をしたいのですが」
一方通行「テメェ……TVゲームで俺達に勝つ自信があるってンのかァ?」
ダービー「
Exactly!」
浜面「そんな悠長な事やってられっか!」
美琴「同感ね。 ここでアンタを倒せば良いだけの話よ!」
浜面や美琴が戦闘態勢に入るが、ダービーは余裕の笑みを隠さなかった。
ダービー「言っておきますが、貴方がたにはその選択肢しかありません。 何故なら、ジョルノは既に私の術中に嵌っています」
ジョルノ「何?」
神楽「どういうことアルか!」
ダービー「フフフ、ジョルノの右腕を見れば分かります」
そう言ってジョルノの右腕を指さす。
ジョルノは右腕の袖をまくりあげると、
ジョルノ「な!?」
そこには手のようなものが、彼の右腕を掴んでいるようか形になっていた。
ダービー「私のスタンドの『手』を貴方の腕に掴ませて貰いました。 ここから逃がさないようにね」
ジョルノ「確かに……異物感も痛みも感じない……ただ“腕を握りつぶせそうな感覚”を感じる」
右腕の中の『手』を眺めた後、ジョルノは袖を元に戻した。
ダービーの策に嵌った一行であった、インデックスがあるものに目を付ける。
それは、テーブルの奥にある棚に並べられた人形であった。
インデックス「ねぇ、あの人形は何? なんか、妙な感じがするんだよ?」
ダービー「ほう、そちらの小さなレディはお目が高い。 これは私の自慢のコレクションでしてね」
当麻「コレクション?」
ダービー「そうです。 兄のコレクションはつまらなかった。 ただ『魂』をコインに変え、眺めるだけでしたからねぇ」
ジョルノ「!?」
ダービー(兄)の話を聞かされたジョルノは、まさかという顔をする。
そして次の瞬間、彼の予感は的中した。
人形「あ……ああ……」
全員「!?」
人形「ダービー……何か……お話……して……」
銀時「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
土方「人形が喋ったぁぁぁぁ!?」
突然人形が喋り出し、銀時と土方は驚いてしまう。
神裂「兄君との戦いでもそうでしたが……ダービー、アナタの能力はまさか!?」
ダービー「そう、私との『賭け』に負けた者は魂をスタンドに抜かれ、人形に入れられる……ばらしてしまいますが、これが私の能力です」
平然と能力を説明するダービーであったが、全員は更に警戒を強めた。
当麻「兄弟揃って、ふざけた能力だ。 いや、兄貴の方がまだマシに見えるな、こんなモノを見せられたら」
ダービー(兄)と戦った経験がある当麻達は、彼の方がまともに見えた。
神裂「紳士の仮面を被っただけで、とんだサイコパスですね!」
ジョルノ「貴様!」
ダービー「さあ、貴方がたの誰が、私とのゲームを楽しみますか?」
イスに座り、不敵な笑みを見せるダービー。
すると、一行の中でネプテューヌが口を開いた。
ネプテューヌ「分かった。 最初は私がやる」
全員「な!?」
それを聞いた一行は、驚きを隠せなかった。
ネプギア「お姉ちゃん、本気で言ってるの!?」
ジョルノ「別にアナタからやる必要は」
ネプテューヌ「大いにあるよ。 特にジョル君は、腕にそんなもの付けられて、ゲームに集中できるとは思えないし」
ジョルノ「……」
右腕にある『アトゥム神』の手を見て。ジョルノは少し黙りこむ。
ネプテューヌ「大丈夫。 TVゲームなら自信はあるし、そのテーブルのソフトも、最近の人なら「もう飽きた」って言うのがあるから」
そう言って彼女は、女神化と同時に一本のソフトを手に取る。
パープルハート「この『F-MEGA』での対戦を希望するわ」
ダービー「………」
パープルハート「賭けるわ、私の魂を」
ダービー「グッド」
この言葉が合図となり、ダービーとの戦いが始まったのだった。
TO BE CONTINUED