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超次元大戦 第二十四話:魂を奪う執事・そのA
作者:亀鳥虎龍   2015/03/19(木) 14:13公開   ID:ddYUW.MG.4E
 椅子に腰かけ、コントローラーを手に取る両者。

パープルハート「一つ聞くけど、私が勝ったらジョル君の腕にある『手』は外してくれくんでしょうね?」

その問いに対して、ダービーではなく当麻が答えた。

神裂「安心してくださいネプテューヌ。 ダービーの兄もそうでしたけど、彼等は賭けに負けたと感じたら魂を返す。 そういう能力です」

当麻「それから、あの詐欺師の弟だからな。 何か姑息な事しかもしれねぇ」

当麻の言葉に対し、ダービーは怪訝な顔をする。

ダービー「兄とは違います。 イカサマはしません」












―第二十四話:魂を奪う執事・そのA―













 レースゲーム『F-MEGA』による対決が始まった。

まず、プレイするマシンを選択する。

ダービー「どのマシンで?」

パープルハート「Aカー

ダービー「同じく」

今度は番号の選択があった。

ダービー「何番にしますか?」

パープルハート「17番で」

ダービー「では私は、15番で。 1月5日生まれなんでね」

そして最後にコースを選択し、ゲームが開始された。

ダービー「コースはコース1。 4周走り、タイムの速い方が勝ち。 準備は良いですか?」

パープルハート「紳士ぶってないで、掛かって来なさい」

スタートを待つパープルハートであったが、チラリとダービーのコントローラを見る。

彼は何度もアクセルボタンを小刻みに連打していた。

パープルハート「(まずい、スタートダッシュを決める気だわ! こっちにはそんな余裕はない)」

そして遂に、レースがスタートしたのだった。












 スタートと共に、ダービーのマシンが突っ走る。

パープルハート「くっ!」

パープルハートもスタートするが、ダービーのマシンにブロックされる。

ノワール「マズイわ! 同じマシン同士のレースは同じスピードで走るから……」

ベール「簡単に追い越す事は不可能ですわ!」

ブラン「このままじゃ、ネプテューヌの負けよ!?」

ミスタ「結構詳しいな、お前等」

ベール「よくプレイしてますので」

新八「いや、どんだけ暇人なんですか!?」

外野のやり取りの中、パープルハートはとんでもない行動に出た。

なんと彼女は、ギルルルと十字ボタンを回転させるように押し始めた。

ダービー「何ぃ!?」

これによりマシンはスピン攻撃を行い、ダービーのマシンを弾き飛ばした。

ダービー「このテクニック! まさか貴様、このゲームをやりこんでいるな!?」

パープルハート「答える必要はないわ!」












 パープルハートのスピン攻撃によって互いのマシンは弾き飛ばされた。

ガードレールのおかげでコースアウトは免れたが、一歩間違えれば危険であった。

ダービー「くっ! ただこのゲームをやりこんでいるワケではない! コースアウトの危険性を恐れぬこの大胆さ、凄味がある!!」

ネプギア「お姉ちゃん、早くマシンを走らせて!」

パープルハートとダービーは、互いのマシンをコースに戻すと、なんと同時にスタートした。

第一コーナーまで約3秒、フルスロットルまで時速360キロ。

そして、二人のマシンは同時にコーナーを曲がった。

サクラ「やった、凄いわ!」

いの「これならいける!!」

ダービー「気に入りましたよネプテューヌ! 魂を掛けるというのに少しもビビらないゲーム操作。 まさに恐怖を克服したと言っても良い。 アナタの様にやり応えのある相手じゃあないと、私のコレクションに加える価値は無い!!」

楽しそうに笑うダービーに対し、パープルハートは心の中で呟いた。

パープルハート「(私が恐怖を克服した? フフッ、お褒めの言葉をありがとう。 鍛えられたのよ、アナタのご主人様にね)」

それは、『小箱』を異世界に送った直後の事である。














 ネプテューヌは夜の街並みを散歩していただけであった。

その時に、何かの気配を察知し、すぐさま女神化したのだった。

そして気配の持ち主、DIOと対面したのである。

今までにない邪悪を目にし、パープルハートは胃の内容物が逆流するような感覚に陥った。

しかしDIOは、そんな彼女に対して、

DIO(怖がる必要はないのだよ、友達になろうじゃあないか?)

まるで恐怖に怯える子供に接するかのように、彼は優しい言葉で囁いたのである。

DIOの言葉を聞いた者は、心が安らぎ、彼の虜になってしまう。

髪から出現した『肉の芽』が迫って来た瞬間、

パープルハート(うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)

彼女は叫びと共に、その場を飛び去ったのだった。

戦おうとは考えなかった。

戦おうとすれば、『肉の芽』を埋め込まれて仲間にされていたのだから。

教会にある自身の部屋に籠ると、彼女はベッドの中へと入る。

パープルハート(う……うあぁぁぁぁぁぁぁぁ)

そして無意識に涙を流し、眠りに入るまで泣き続けたのだった。

そして数日後、神裂とステイルの件をキッカケに、その事をジョルノに話したのである。

それを聞いた彼はこう答えた。

ジョルノ(DIOの言葉に耳を傾けた者は、麻薬中毒者と同じ。 一度ハマまれば、二度と後戻りが出来ない。 だが、キミがここにいるのは、その麻薬を振りきる勇気を持っていたからだ。 だから、自分を恥じる事は無い。 今の自分を誇ってもいいんだ)

その言葉に彼女は嬉しさを感じたが、同時に自分を呪った事があった。

何故、DIOの言葉に耳を傾けたのか――と。














 パープルハートがダービーとの対戦を志望した理由、それはDIOの言葉に耳を傾けかけた自身への怒りからであった。

パープルハート「(もう二度と、あの時の惨めな自分には戻らない! プラネテューヌの女神として、このゲームにおいて、精神的なミスがないと思って貰うわ!!)」

同時に走ったマシンは、同時に様々なコーナーを通過していく。

そして第6コーナーを曲がった瞬間、その先にはトンネルがあった。

トンネルを抜けると、2倍の加速でマシンを走らせる権利を得られるのである。

トンネルへと迫って来た、その直後であった。

二人のマシンが、トンネルに入らんとぶつかり合った。

しかしスピン攻撃の影響で、パープルハートのマシンのパワーはダービーより少なかった。

そしてパープルハートのマシンは押し負け、ダービーのマシンがトンネルへと向かう。

このままでは、パープルハートのマシンがトンネルの縁にぶつかってしまう。

インデックス「マズイんだよネプテューヌ! ここはトンネルを譲って、次に走ってほしいんだよ!!」

パープルハート「いいえ、まだ奥の手はあるわ!!」

まさのその瞬間であった。

パープルハートはとんでもない事をした。

普通のレースゲームのプレイヤーなら、絶対にあり得ないと思う事を!

なんとマシンを傾けさせ、トンネルの壁を走ったのである。

ノワール「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

ベール「ね、ネプテューヌ……アナタ、何時の間にそんな技術ワザを!?」

ブラン「流石に、普通なら絶対にあり得ないわ」

これには、ノワール達も驚愕したのだった。















 同時に走るマシンであったがダービーが体当たりを繰り出してきた。

パープルハート「!?」

ダービー「(くっ! パワー残量が少なくなっても構わん。 少しでもネプテューヌとの差を付けなければ!!)」

途中でトンネル内が暗くなり、レースの状況は分からなくなった。

銀時「オイィィィ! 暗くて見えないんだけどぉ!!」

因みにこの加速トンネルは、八か所のカーブと一か所の地雷原、そしてキャノン砲がある。

それらを暗闇の中で進まなくてはならないのである。

カーブを曲がり、地雷を避け、

パープルハート「くる!」

そして最後のキャノン砲が放たれた。

砲撃を避けると、一瞬の光でマシンが見えた。

僅かであったが、ダービーのマシンが速く走っていた。

ダービー「フフッ、どうやら体当たりのやった甲斐があったようだな」

トンネルを抜けた瞬間、2倍の加速によってダービーの15番マシンが、パープルハートの17番マシンを負い越した。

ダービー「このままブロックをすれば、勝負は私の勝ちだ!!」

勝利を確信したダービーであったが、まさにその時であった。

パープルハート「いいえ! パワー残量はアナタの方が少ないわ、ダービー!!」

ダービー「!?」

パープルハートのマシンがスピン攻撃を放ち、ダービーのマシンをコースの外へと飛ばしたのだった。












 パワー残量が少ない方が吹き飛ぶ。

体当たりでパワー残量を減らした事で、ダービーのマシンはコースアウト。

新八「やったぁぁぁぁぁ!!」

コンパ「やったです、ねぷねぷ!!」

アイエフ「これで決まりね!」

パープルハート「アナタのマシンはコースアウト。 この勝負、私の勝ちみたいね♪」

勝利を確信し、パープルハートは微笑みを見せるが、

ダービー「ふ……フフフフフ……」

ダービーが不敵な笑みを見せた。

ダービー「違うね、パワーを減らしたのはワザとなのです。 キミに私のマシンを吹き飛ばして貰う為にな!!」

パープルハート「!?」

するとその時だった。

ダービーのマシンはなんと、どんどん隣りのコースへと吹き飛び、そのまま無事に着地したのだった。

近藤「う、嘘だろう!?」

ユニ「そんな、コースを飛び越えるなんて!?」

ダービー「そう、普通は不可能は事だ。 例え850キロの加速でもコースアウトをすれば地面に激突する。 しかし、誰かに弾き飛ばして貰えれば動作も無いのだよ。 ネプテューヌ、私のマシンのパワーが少ないと知ったキミならば、必ずスピンを仕掛けてくると計算したのだよ!」

パープルハート「そ……そん……な………」

計算されたダービーのテクニックに、パープルハートのショックは大きく、

当麻「敗北を認めるな、ネプテューヌ!!」

遂に『アトゥム神』に、魂を奪われてしまった。

ノワール「ネプテューヌゥゥゥ!!」

ブラン「そんな!?」

ベール「こんな事って!?」

全員が驚きを隠せず、ダービーは汗だくなりながら辛勝の笑みを見せた。

ダービー「ハァ……ハァ……掴んだぞ。 とうとう魂を掴んだぞ。 しかし、大した女だ。 このゲームF-MEGAで私に冷や汗をかかせたのは、お前で二人目だ」













TO BE CONTINUED


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