前回までのあらすじ。
『傲慢』、『強欲』、『怠惰』。
この3人の七罪騎が、いずれ反乱分子になるかもしれないと感じたデスハート。
禁術を使って自身を三人に増やし、抹殺を謀った。
その内の『強欲』と『傲慢』を抹殺に成功するが、『怠惰』と交戦していた方の彼女がDIOに血を吸われて殺害される。
DIOの邪悪な雰囲気に、『怠惰』のケディアは、遂に真の力を見せたのだった。
―第二十七話:GIOGIOvsDIO・その@―
怠慢を捨て、本気を出したケディア。
ケディア「見せてあげるわ、DIO。 これが……プライとグリー以外……デスハートですら把握しきれなかった、私の真の能力チカラだ!!」
今までにない驚異的な闘気と殺気を放ち、真っ向から受け止めたDIOも笑う。
DIO「くははははは!! 面白い、こうでなくてはなぁ!!」
腕のボウガンの弦を引くが、DIOはある事に気付く。
ボウガンには、矢が装着されていないのである。
ケディア「いけ、『アイアン・バタフライ』」
パァンと放たれたと同時に、何かが飛んできた。
何かを察したDIOは、すぐさま反射的に避けた。
すると、その時であった。
ドガァンと、壁に大きな穴が空いたのである。
DIO「………ほう、空気か」
ケディア「驚いたわ、よく気付いたわね」
DIO「我が『
世界』の精密動作を甘く見るな」
ケディアのスタンド『アイアン・バタフライ』。
能力はボウガンと一体化で、弦を引くと同時に大気中の空気を矢として放つ。
その威力、なんと戦車2台分。
すると彼女は、後ろの壁にも大穴を空けると、
DIO「ん?」
ケディア「場所を変える、来なさい」
そう言って穴の外へと出たのだった。
それを見たDIOも、不敵な笑みを見せ、
DIO「面白い、良いだろう」
彼女を追う為に、外へと出たのだった。
時刻は午後18時50分――。
DIOが自由に活動できるには、十分過ぎる時間であった。
その頃、ジョルノ達はというと、
ナルト「な、何だってばよこれはぁ!?」
ジョルノ「!?」
当麻「お、おい……」
銀時「マジか!?」
最初の部屋である『強欲の間』に来たのだが、主のであるグリーは既に息を引き取っていた。
右腕を切断され、心臓を一突き。
念のために脈を調べても、やはり死んでいた。
銀時「な、仲間割れか?」
ジョルノ「分からないが……彼が殺された事は確かだろう」
奥の扉を眺め、ジョルノは足を進める。
ジョルノ「皆、行こう」
次に着いた『怠惰の間』では、
銀時「オイィィィィィ!? どうなってんだコイツァ!?」
部屋は壁に大穴が空けられていた。
しかも、床には干からびた女性の死体が。
ネプテューヌはその死体を見て驚いた。
ネプテューヌ「ねぷ!? この死体、デスハートだよ!?」
ジョルノ「何っ!?」
銀時「マジでか!? んじゃ、これで事件解決!?」
新八「何でだよ!」
穴の外を眺めたジョルノは、ヒナタにこんな事を頼んだ。
ジョルノ「ヒナタ、この穴の外からの光景を白眼で探れますか?」
ヒナタ「え、出来ますけど」
そう言って彼女は、すぐさま白眼で外を見通した。
白眼で見た先には、プラネテューヌの街々が見えた。
ヒナタ「!?」
一軒の建物の屋根に立つ男。
この男を見たとき、彼女の背筋が凍りついた。
黄金色の頭髪に透き通るような白い肌、そして男とは思えない妖しき色気を漂わせていた。
何かを探すような感じの男であったが、まさにその時であった。
バッ!と振り向き、指を指しながら何かを喋っていた。
凍りつくような眼差しが、遠くにいる筈の自分を睨みつけているかのようであった。
男から感じた邪悪な気配は、一瞬で彼女を包みこんだ。。
ヒナタ「!!」
糸が切れたかのように膝が崩れてしまう。
ナルト「ヒナタ!!」
すぐさまナルトが抱きかかえるが、彼女の息は異常なまでに荒かった。
ジョルノ「ヒナタ、大丈夫ですか!?」
ヒナタ「……じゃない」
ジョルノ「え?」
ヒナタ「普通じゃない……あんな……あんな人が、存在するなんて!? ホントに何者なの!?」
唇が紫になり、顔も真っ青になるほど。
極寒にいたような震えが、未だに止まっていなかった。
ナルト「ヒナタ、一体……何を見たんだってばよ!?」
震える体をナルトに抱えられながら、ヒナタは口を開いた。
ヒナタ「お……男が……プラネテューヌにいた………最初は背中を……向けていたけど………突然……私を睨むかのように……振り向いた……」
ジョルノ「それだけ……ですか?」
ゴクリと唾を飲み込むジョルノに対し、ヒナタは首を横に振った。
ヒナタ「喋ってた……唇の動き……だと……こう言ってた……気がする」
ジョルノ「なんて、言っていたんですか?」
震える口をゆっくりと開きながら、ヒナタは男が言っていた言葉を発した。
ヒナタ「“き・さ・ま・み・て・い・る・な”」
その瞬間だった。
稲妻が走るかのような衝撃が、ジョルノに降り注いだ。
彼女の証言が正しければ、男はこう言っていたのだ。
“貴様、見ているな!!”――と。
それを聞いたジョルノは、その相手が何者かを察した。
ジョルノ「DIOォ!」
DIO――。
この言葉を聞いた一行は、驚きを隠せなかった。
ノワール「ちょっと待ってよ!? ここからプラネテューヌまで、かなりの距離なのよ!? なのにソイツ、ヒナタが自分を見ていた事に気づいていたの!?」
ベール「本当に、何者なんですの!?」
女神ですら恐怖させる邪悪の帝王。
まさに、デスハートより恐ろしい相手かもしれない。
ジョルノ「ポルナレフさん……」
ポルナレフ「行くのか?」
ジョルノ「はい」
ポルナレフ「なら、私も行く。 戦いには参加できんが、DIOのツラくらいは久々に拝んでおこうと思う」
それを聞いたネプテューヌは、いつの間にか女神化していた。
パープルハート「プラネテューヌが危ないってのに、守護女神の私が行かないワケにはいかないわね。 ネプギア、ここはお願いね」
ネプギア「うん、任せて」
ノワール「しょうがないわね、私も付き合ってあげるわ」
ブラン「流石に、野放しにはしたくないから」
ベール「ゲイムギョウ界の大地に、穢れを運んだ報いを受けて貰う必要がありますわね」
ミスタ「ボスが行くんなら、俺も参謀として参加する必要があるな」
フーゴ「僕も、この命はジョジョの為に使うと誓ったからね。 闘わないワケにはいかない」
ノワール、ブラン、ベール、ミスタ、フーゴもそう言い、すぐさま亀の中に入った。
ジョルノ「じゃあ、ネプテューヌ。 すぐにお願いします」
パープルハート「ええ、任せて」
そう言ってジョルノが亀の中に入った後、パープルハートはその場からプラネテューヌへと飛んだのだった。
その頃、プラネテューヌでは……、
DIO「フン」
屋根から屋根へと跳び移りながら、DIOはケディアを捜し出す。
そして、次の屋根へと跳び移った瞬間、何かがDIOの足に引っ掛かった。
DIO「!?」
同時にDIOの方へと、無数の矢が飛んできたのである。
DIO「フン! 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」
『
世界』が出現し、拳で矢を弾き落とす。
最後の矢を弾き落とした瞬間、まさにその時であった。
ケディア「戦いの主導権を握る時はまず、機動を削ぐか罠を使って隙を作るしかない」
『アイアン・バタフライ』を構え、ケディアは不敵に笑った。
ケディア「これで終わりよ、DIO! 喰らいなさい! 『アイアン・バタフライ』の必殺技、
空気の矢!!」
放たれた
空気の矢は、そのままDIOへと向かっていく。
しかしDIOは、笑い飛ばすように叫んだ。
DIO「バカめ! 知るが良い! 『
世界』を!! まさに帝王に相応しい、支配するための力である事を!!」
その瞬間、『
世界』の能力が発動した。
DIO「『
世界』!!」
能力を発動した瞬間、DIO以外のあらゆるものが、動きを止めた。
否、これこそが『
世界』の能力。
それはなんと、“時を止める”事であった。
止まった時の中を、DIOはゆっくりと歩き出す。
DIO「これが『
世界』だ。 最も、時が止まった貴様には分からぬ事だがな」
ケディアの元まで寄ると、『
世界』の拳が、彼女の腹部を貫いた。
時を止められた状態から、ケディアは腹部を貫かれた。
DIO「これが、『
世界』だ。 これで貴様は、死んだ」
DIOはそう言うと、彼女に蹴りを叩き込んだ。
そして時が動き出すと同時に、ケディアの体は地面へと落ちた。
アンデットゾーンから約30分後、プラネテューヌに着いたジョルノ達。
パープルハート「ハァ、ハァ……30分もぶっ通しで飛ぶって、結構疲れるわね」
しかし、その時であった。
ドガァと、地面に何かが叩きつけられた。
全員「!?」
これには彼等も驚くが、そこにはケディアが貫かれた腹部から血を流しながら倒れていた。
ジョルノ「大丈夫か!?」
ジョルノが走り寄るが、彼女は既に虫の息であった。
ケディア「…………」
朦朧とした意識の中、ジョルノの顔を見た。
“覚悟”と“決意”、そして“夢”を背負っている者の目をしていた。
本来は敵に当たる男に、勝利を託す事にしたケディア。
ケディア「(いい目だわ………彼になら………任せ……られる………安心して………逝ける………わ)」
ゆっくりと目を閉じたケディアは、ジョルノの腕の中で息を引き取った。
怠惰のケディア……死亡。
ケディアの死を看取ったジョルノであった。
DIO「とうとう……会う事が出来たな、ジョルノ」
ジョルノ以外「!?」
ジョルノの気配を追って来たDIOが、その場に立っていた。
彼から感じ取る邪悪な気配は、その場にいる者達に恐怖を与えた。
亀から出て来たポルナレフは、鋭い眼光でDIOを睨んだ。
ポルナレフ「DIOッ!」
DIO「久しぶりだなポルナレフ。 安心しろ、貴様も後であの世に送ってやる。 しかしその前に、貴様を始末しなければな」
ジョルノ「ああ……そうだな……DIO」
ゆっくりと立ち上がったジョルノは、黄金の精神を宿した目で、DIOと顔を合わせた。
DIOもまた、漆黒の邪悪を宿した目で、ジョルノと顔を合わせた。
ジョルノ「DIO……」
DIO「ジョルノ……」
ジョースターとDIO。
GIOGIOvsDIO。
次元を超えた親子による因縁の戦いが、遂にに始まったのだった。
DIO「搾り取ってやろう、貴様の命を!」
ジョルノ「止めてみせる、貴様の野望を!」
TO BE CONTINUED