プラネテューヌに向かう途中、
ポルナレフ「ジョルノ、これを持ってろ」
ジョルノ「?」
ポルナレフは例のタロットカードをジョルノに差し出す。
ポルナレフ「コイツの正体は未だに謎だが、もしかすると役に立つかもしれん」
それを聞き、ジョルノはコクリと頷くと、
ジョルノ「じゃあ、この一枚を」
星のカードを手に取ったのだった。
―第二十八話:GIOGIOvsDIO・そのA―
一方の
漆黒の塔では、
ヒナタ「…………」
DIOの邪気に触れたヒナタが、未だに震えが止まっていなかった。
このままでは先には行けない。
かと言って、彼女を置いていくワケにもいかない。
そしてナルトは、ある決断をした。
ナルト「皆、悪ィ。 俺はヒナタの震えが治まるまで、ここにいるってばよ」
土方「!?」
ステイル「本気で言ってるのかキミは!?」
殆どが驚くが、木の葉メンバーは互いに頷き合う。
サクラ「分かったわ、ナルト」
神裂「な!?」
いの「その代わり、ヒナタをちゃんと護りなさいよ」
それを聞いたナルトは、驚いたような顔をする。
ナルト「い、良いのかよ? 俺が自分で言った事だけどよ?」
リー「水臭いじゃないですかナルト君! 僕等の中では、キミが一番頑張ってた方なんですよ!!」
テンテン「そうね、たまには私達を頼りなさいよ? 特に私とリーは先輩なんだから」
チョウジ「今度は僕等が、ナルトに頼られる番だ」
サイ「今まで僕等は、キミに頼ってたからね。 その分をここで返すのも良いと思うしね」
シノ「サイの言うとおりだ。 何故なら、お前は色んなものを背負い過ぎだ」
キバ「たまには俺等を頼りやがれ」
赤丸「ワン!」
シカマル「まあ、お前の重荷を一番背負ってくれてんのはヒナタだからな」
言葉に嘘は無い。
そして最後に、サスケが背を向けながら呟いた。
サスケ「俺達は先に行く。 ゆっくりで良いから来いよ、このウスラトンカチ」
仲間達の言葉にナルトは、小さく笑う。
ナルト「……ああ、任せたってばよ」
その光景を見た静雄は、不敵に笑い、
静雄「流石に護衛は必要だろう? 俺も残るぜ」
そう言って煙草に火を点ける。
当麻「上条さんもここに残っときますか」
インデックス「私も残るんだよ」
一方通行「まァ、メンドくせェが、護衛は多い方が良ィだろォがよ」
打ち止め「ミサカも残る! って、ミサカはミサカは自分の意見を主張してみたり!!」
浜面「恋人の為に残るって気持ちは分かるからよ、俺も残るぜ」
彼に続くように、当麻とインデックスに
一方通行と
打ち止め、そして浜面もそう言った。
ナルト「んじゃ、頼むぜ皆」
サスケ「ああ……」
サクラ「任せなさい」
こうして、一行は残る側と進む側に分かれる。
銀時「そんじゃ、キバっていくぜ!」
そして銀時達は、更に上の階へと登ったのだった。
その頃のプラネテューヌでは、ジョルノとDIOの戦いが始まろうとしていた。
ジョルノ達はポルナレフから、DIOの『
世界』の能力を聞かされている。
時を止める……普通なら、絶対に存在しない能力だと感じる。
特に女神達は、
ノワール(嘘でしょ!? 時を止めるなんて、今まで聞いた事ないじゃない!?)
ベール(チートですわ! 明らかに反則ではありませんか!?)
ブラン(時を止められたら、流石に私達も終わりね)
ネプテューヌ(そんなの、対処のしようがないよ!?)
と、顔を青ざめてしまう。
しかしジョルノは“吹き飛ばした時の中を飛び越える”能力を持ったスタンド使いと戦っているので、あまり動じなかった。
そんな彼は、実の父にして倒すべき敵であるDIOを目にした瞬間、己の中のジョースターの精神が叫ぶのを感じた。
コイツは、倒さなければならない――と。
緊迫する空気の中、先に動いたのはジョルノであった。
足を進ませ、DIOへと近づく。
DIO「ほう、向かってくるのか? 逃げずにこのDIOに近付くというのか?」
ジョルノ「近付かないと、アンタを攻撃できないからな」
DIO「クククク……ならば存分に近付くが良い」
射程距離内へと入ったジョルノは、すかさず『ゴールド・エクスペリエンス』を放った――が、
DIO「無駄ァ!」
『
世界』の蹴りが、『ゴールド・E』の足に命中した。
ジョルノ「ぐぅ!?」
突然の攻撃に、ジョルノもダメージの反動で怯んでしまう。
DIO「弱い弱い……パワーもスピードも『
世界』の前には及ばん。 話にならんな」
ジョルノ「成程、僕の『ゴールド・E』と同じ“接近パワー型”。 これ程とはな……」
DIO「貴様のスタンドの強さを見ておこうと思ったが、大した事なかったな」
ジョルノ「本気で言ってるのか? 確かにパワーは大したものだ。 ズボンが破けた程度だけどな」
破けたズボンの裾を見ながら挑発するジョルノ。
DIO「やはり貴様の精神はジョースターの血統と同じか。 負けず嫌いな部分が承太郎と同じだ。 まあいい、挑発には乗ってやろう」
フン!と、『
世界』は拳を構える。
それを見たジョルノも、『ゴールド・E』を発動させる。
遂に、二人のスタンドが激突した。
拳による凄まじい一撃を放った『
世界』。
しかし『ゴールド・E』は、紙一重でそれを避ける。
そのまま蹴りを放つが、『
世界』は後ろへとさがった。
激しい攻防戦を繰り広げていたが、
ジョルノ「無駄無駄無駄無駄ァ!!」
ジョルノが『ゴールド・E』の拳による、凄まじいラッシュを放った。
DIO「フン、
突きの連打の速さ比べか……。 良いだろう!」
これを見たDIOも、『
世界』拳によるラッシュを放った。
「「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」」
凄まじい破壊力と凄まじい速さで放たれた、二人のスタンドのラッシュ。
ドガドガドガドガと、拳と拳がぶつかり合う。
DIO「貧弱貧弱ぅ!!」
しかし『
世界』が放った一撃で、『ゴールド・E』は吹き飛び、
ジョルノ「ぐっ!」
その反動でジョルノも後ろへと吹き飛んでしまう。
DIO「パワーもスピードも、このDIOの『
世界』が貴様より上であることが分かった。 サービスタイムは終わりだ!」
するとDIOは、大きく構えを取った。
DIO「ジョースターの血統に対しては、全身全霊! 手加減無し! 容赦無しで殺すと決めている!! そしてジョルノ、貴様を消すのはやはり、この
能力よ!!」
そして次の瞬間、
DIO「『
世界』!!」
全ての時が、止まったのだった。
止まった時の中で、DIOはゆっくりとジョルノに近付く。
間近に迫ったDIOであったが、まさにその時であった。
DIO「ん?」
僅かだが、ジョルノの右手が動いていたのだ。
しかしこれを見たDIOは、当たり前のように笑い飛ばしたのだった。
DIO「くくく……フハハハハハハ!」
すると自身の手に付いていたあるモノを、ジョルノの右手に近付けると、ソレはカチッとくっ付いた。
DIO「磁石を付けていたのか。 あのパワー比べの時に、手帳か財布の留め金の磁石を私の腕に付けていたとはな。 かつて承太郎が、この方法で私の目を欺いたものよ」
エジプトでの戦いを思い出した為、危うく同じ方法に掛かる事は無かった。
DIO「だが、所詮は貴様の寿命がほんの少しだけ伸びただけのこと。 今度こそ終わりだ、ジョルノォ!!」
そして『
世界』の拳が、2〜3発もジョルノの身体に叩きこまれた。
DIO「そして、時は動き出す」
時が動き出した瞬間、ジョルノの身体は吹き飛び、
ジョルノ「がっ!」
街灯にぶつかった。
ポルナレフ「ジョルノ!」
DIO「ふん」
圧倒的なスタンド能力の差。
DIOは自身の勝利を確信していた。
しかし、ジョルノはDIOの予想を大きく上回った。
ジョルノ「くっ……」
DIO「何ィ!?」
なんと彼は、ゆっくりと立ち上がったのだ。
DIO「ジョルノ、貴様一体何をした!?」
ジョルノ「……何だと?」
DIO「何をしたかと聞いている!?」
ジョルノ「さあな……アンタのスタンドも、大した事なかったってことだな」
DIO「チィ、減らず口を叩きおって! 『
世界』!!」
そして再び、時が止まったのだった。
止まった時の中、『
世界』は再びジョルノに拳を叩きこんだ。
だが、その時だった。
DIO「何ィ!?」
なんと『ゴールド・E』が、ジョルノの意思に関係なく、攻撃を防いでいた。
そして拳を弾いた『ゴールド・E』は、逆に拳を叩きこんだのだった。
それによりDIOの身体は大きく吹っ飛び、
DIO「バカな!? ジョルノにも、我が止まった時の中を入門できる
能力があるだとぉ!?」
そのまま、遠くの飲食店の窓を突き破った。
そして時が動き始めると、ジョルノは自身の異変にようやく気付いた。
ジョルノ「動……けた……僅かだが、止まった時の中を動けた。 しかし、『ゴールド・E』の能力は“生命を与える”事であって、止まった時の中を動けるの能力を持っていない」
何故この能力を持っているのか、彼自身も不思議に感じた。
しかし、今は考える時ではない。
ジョルノ「(だが、僅かでもいい……DIOに対抗できるなら、この僅かな希望に賭けるだけだ)」
そしてジョルノは、DIOが吹き飛んだ先へと走って行ったのだった。
そんな中、ミスタ達は、
ミスタ「ポルナレフ、俺達も行くか?」
ポルナレフ「出来ればそうしたいが、これはジョースターとDIOの戦いだ。 邪魔はできない」
パープルハート「じゃあ、どうすれば?」
ポルナレフ「今はジョルノに、任せるしかない」
そう言ってジョルノの勝利を祈るのだった。
DIOが吹き飛ばされた飲食店に向かうと、
ジョルノ「!?」
そこにはDIOが立っていて、店員らしき女性の喉を突き刺して血を吸い取っていた。
ジョルノ「どうやら、体力の回復が済んだようだな」
すると、DIOはいつの間にか姿を消していた。
ジョルノ「!?」
咄嗟にジョルノは、気配でDIOの位置を察知した。
DIO「気配で負ったか、流石だ。 まさか、貴様も止まった時の中を動けたとはな。 正直驚いたぞ」
ジョルノ「そいつはどうも」
DIO「私も初めは、ほんの瞬き程度だったが、この首のキズが馴染むにつれ、5秒まで動けるようになった。 更に、この肉体の持ち主であるジョナサンの孫、ジョセフ・ジョースターの血を吸った事で、11秒は止められるようになった。 まあ、時が止まっているのに制限があるというのは妙な感覚だが、とにかく11秒止められるようになった」
時を止め、再び別の場所へと移動したDIO。
ジョルノ「!!」
DIO「さて、このDIOは考える。 ジョルノ、お前は何秒動けるのか? もしかすると、かつての私の様に11秒止められるのに、動けないフリをしているんじゃあないかとね」
それを聞いたジョルノは、心の中で呟いた。
ジョルノ「(マズイな……DIOはそこまで動けるのか。 さっきのは僕自身、何故動けたのかが、不思議でならない。 とにかく、動けるのはほんの一瞬だ。 この一瞬で勝負するしかない)」
DIO「まあ、知られたくないのは当然だな。 私の推測では、お前が動けるのは一瞬だと思う。 だが例え一瞬でも、止まった時の中で貴様に近付くというのは賢い者のする事ではない。 私の方が圧倒的に有利だとしてもだ」
ジョルノ「…………」
次の瞬間だった。
DIO「そこでだジョルノ、貴様が何秒動けようとも関係ない処刑を考えたぞ!!」
なんとDIOは、両手に数えきれない量のナイフを構えた。
ジョルノ「なっ!?」
これを見たジョルノは、全身が凍るほど顔を青ざめた。
DIO「青ざめたな? このナイフはさっきの店から頂いて来たものだ。 コイツを見た貴様は、自分がどんな死に方をするのかを悟ったハズだ!」
ジョルノ「(マズイ! ここは逃げなければ!!)」
咄嗟にジョルノは、スタンドのパワーを活かして上空へと跳び上がった。
しかし、そんな彼にDIOは叫んだ。
DIO「無駄だ! 貴様は既に、私の“
詰み”に嵌ったのだ! 『
世界』!!」
そして、時は止まったのだった。
TO BE CONTINUED